コンテンツにスキップ

「疎水効果」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
m chgcat
10行目: 10行目:
* [[界面化学]]
* [[界面化学]]


[[Category:化学|そすいけつごう]]
[[Category:化学結合|そすいけつごう]]

2006年2月18日 (土) 12:34時点における版

疎水結合(そすいけつごう、hydrophobic bond)とはなどの極性溶媒中で疎水性物質同士を集合させる作用であるが、疎水性物質間に結合力が働いて集合させるのではなく、極性溶媒がクラスターを形成することで排除された疎水性物質が集合する効果に起因する。

物質間にはファン・デル・ワールス力が働く為、極性物質であれ非極性物質であれ、ファン・デル・ワールス半径より遠方では引力が働き、同半径内では斥力が働く。これに加えてイオン性物質あるいは永久分極を持つ極性物質では静電相互作用による、イオン結合あるいは水素結合もあわせて働くことになる。このとき、ファン・デル・ワールス力と静電相互作用との結合力ではファン・デル・ワールス力の方が著しく小さい為、極性物質では静電相互作用が支配的になっている。熱力学的には極性物質に非極性物質が入り込んでエントロピーを増大させるよりも、極性物質でクラスター構造等を形成して静電相互作用で系のエネルギーを低減させる方が有利である為、疎水性物質は極性溶媒から排斥されると考えられている。

あるいはタンパク質などの構造解析の結果から、疎水性分子が水と接触する界面においては水はランダムなクラスター構造ではなく、より秩序だった氷状構造をとることが知られている。水が氷状構造をとることで低減するエントロピーは大きいので、疎水性分子がこの水に溶解する際のギブズ自由エネルギーは大きな正の値をとり疎水性物質の溶解は自発的には進行しないとも考えられる。この効果が疎水性相互作用の原因とする考え方もある。

この様な疎水結合による効果はミセル、タンパク質の立体配座、あるいは生体膜などでは重要な働きをしていると考えられる。

関連項目