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「Copland」の版間の差分

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2013年1月27日 (日) 11:36時点における版

Copland Project(コープランドプロジェクト)は1994年Apple社が発表したMacintosh用次世代Mac OSの開発コードネーム。開発は難航し1996年にプロジェクトは中止された。

概要

Apple社がSystem 7シリーズに続く次期OSとして開発を進めていたプロジェクト。当時、既に基本設計が古く様々な部分で限界の見えていたMacintosh用OSを根本的に刷新する新世代OSとなる予定だった(オリジナルのMacのOSのリリースは1984年)。当時、旧来のMac OSの問題点として指摘されていたのは、「メモリ保護の欠如」「プリエンプティブなマルチタスク機構の欠如」「Power Macintosh登場以降もOSコアの部分に残る68000時代のコードによる制約」および、こういった問題点から来る、OSの不安定性、クラッシュの頻発等であり、これらを根本的に解消し次世代のパーソナルコンピュータ環境を構築することを目的としていた。

発表された計画によれば、

など、様々な新要素が約束されていた。アピアランスマネージャを搭載し、テーマファイルを切り替えるだけで外観を大胆に変えることができる機能も発表されていた。この他にNewtonテクノロジーの融合やOpenDocによるドキュメント環境の改革などが挙げられていた。

なおCHRP(Common Hardware Reference Platform; AIX, Windows NT, Mac OSなどの複数オペレーティングシステムを実行可能なPowerPCハードウェアの構想)は本来Coplandを意識して開発されたものである。

開発の迷走と中止

プロジェクトそのものは、1990年代の初頭からすでに開始されており、完成の暁にはSystem 8 (Mac OS 8)となる予定だった。しかし、様々な要因から開発は迷走をつづけた。その原因には以下のような要素が挙げられる。

  • 度重なる最高経営責任者の解任などApple社経営上層部の混乱
  • Apple社内部で開発チームの連携がほとんど行われておらず、個々のチームがバラバラにそれぞれの要素を開発していた
  • 営業サイドからの過大な要求によって、計画が際限なく肥大化していった
  • 既にメモリ保護やプリエンプティブを搭載したWindows NTがリリースされていた市場からの圧力
  • 限定的ながらも、メモリ保護とプリエンプティブを実現したWindows 95のリリースと大ヒット
  • Coplandとは別にPinkプロジェクトという別OSの開発計画を併行させた

Coplandプロジェクトは、あまりにも多くの事をユーザーに約束した結果、収拾が付かなくなり計画は再整理される。

結果、1996年にアップルがJDCで配布した資料によればCoplandのマルチタスク環境は暫定的なものとなり、プリエンプティブに動作するのは、バックグラウンドタスクのみとのことだった。また、メモリ管理機構もMac OS 7の改良版に留まりモダンOSと呼ぶには程遠いものとなった。 Apple社の発表によれば、約束された完全に刷新されたMac用モダンOSは次期プロジェクトGershwinとして登場する事となった。

当初1995年を予定していた出荷予定日を1996年夏、1997年7月と二度の延期を繰り返した後、正式に開発中止が決定された。中止の発表は1996年6月に行われた。プロジェクト打ち切り時、Coplandの構成技術は各プロジェクトチームで個々別々に開発されている状態だったと言われる。

またApple社は開発リソースのほとんどをCoplandに注ぎ込んでいた結果、従来のMac OSへのアップデートは場当たり的な物しか行われなくなり、結果としてMacintoshの陳腐化がますます進んでしまった。

技術的困難

Coplandの開発にあたっては様々な技術的な困難が発生した。いくつもの要因が指摘されているが、中でも完全なシングルタスクを前提としたToolbox APIは、リエントラントにすることが難しかったためだと推測される。結果としてマルチタスク環境との両立が極めて困難なものとなった(この反省は後のCarbonに生かされた)。

その後のCopland

計画中止後、Apple社はNeXTを買収し次世代OS計画を"Rhapsody"へと移行させる。後に"Rhapsody"計画は変更され、代わりにMac OS Xの計画が発表される。"Rhapsody"自身は暫定的にMac OS X Serverとしてリリースされた。その間Copland技術のうち転用が可能な部分は順次Mac OS 8、9などに応用された。ファイルシステムHFS+や、アピアランス・マネージャ(ただしプラチナ以外のアピアランスは搭載されず、アピアランスの切り替え機能はあえて使えなくされていた)、キーチェーンなどがこれにあたる。そのうちいくつかの機能は現在のMac OS Xにも引き継がれた。しかしこれらの機能は、本来Copland用の新しい概念のために設計された技術であり、MacOS8/9では完全に性能を生かしているとはいいがたかった。

なお、開発中止当時はMacintosh互換機が市場に登場した時期であった。市場では徐々に互換機が売り上げを伸ばし始めた時期であったが、Apple社は再び方針を転換し互換機排除を決定した。この時、アップルと互換機メーカーのライセンス契約がSystem 7 (Mac OS 7)シリーズに限定されていた事を利用し、System 7.7として開発されていた従来型Mac OS(コードネーム:Tempo)にMac OS 8の名を割り当て、ライセンス契約を強行的に打ち切った。