「サヨナラゲーム」の版間の差分
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2006年3月5日 (日) 05:52時点における版
サヨナラゲームとは、野球およびソフトボールにおいて、後攻チームが決勝点を挙げると同時に終了する試合のこと。勝利チームの攻撃で試合が終わることから、「さようなら」を略して「サヨナラ」と呼ばれる。
概説
野球やソフトボールでは、攻守交替が明確になされるため、最終回の表が終了した時点で後攻チームがリードしている場合には、既に勝敗が決しているとして後攻チームの攻撃を行わない。しかし、最終回の表が終了した時点で同点もしくは先攻チームリードの場合には、最終回の裏の後攻チームの攻撃が行われる。このとき、後攻チームが勝ち越し点を奪えば、その時点で勝敗が決したとして、後攻チームの攻撃を続けずに、試合終了となる(ただし、その得点がランニングホームランでない本塁打の場合には、打者が本塁に生還するまで試合が行われる)。これがサヨナラゲームである。また、同点で最終回が終了した場合には、試合を主催する団体の取り決めによって延長戦が行われることがある。この場合にも、後攻チームが決勝点を挙げれば、その時点で試合終了となるためサヨナラゲームとなる。いずれの場合でもサヨナラゲームは後攻チームの勝利でなければならない。なお、時間切れ、雨天などによってコールドゲームとなったときには、最終回で後攻チームが決勝点を奪ってもサヨナラゲームと呼ばないことが多い。
スコアのランニング表示では、最終回裏の得点表記の後ろに「X」印を付ける。また、チームの総得点で勝利チームの得点の横に「X」印をつけることもある(例:1X - 0)。もともとこの「X」印は、最終回の表終了時に後攻チームがリードしておりその裏を行わない(俗にこれを、Xゲームということがある。日本では、字形が似ていることから「×」と勘違いされていた事も)場合、最終回裏のスコアボードに付ける(ことが多い)印であり、「裏の攻撃が行われていないが、試合が終了した」ことを意味する。サヨナラゲームの場合に得点表記の後ろに「X」印をつけるのは、ここから派生し、「裏の攻撃が途中のうち(第3アウトが成立する前)に試合が終了した」ことを意味すると考えて差し支えない。
サヨナラゲームの決勝点を挙げたプレーにも「サヨナラ」が冠せられる。例えば「サヨナラヒット」「サヨナラホームラン(本塁打)」のように用いられる。「サヨナラエラー」「サヨナラ暴投」などというように守備側のミスによってサヨナラゲームとなる場合もある。
アメリカメジャーリーグの実況においても、日本球界を経験した選手・OBなどの影響もあって「Sayonara!!」と叫ぶことがあるが、通常は延々と続くと思われる状態から抜けるという意味で、walk-offが使われる。なお「サヨナラヒット/ホームラン」に相当する語は"game-ending hit/home run(homer)"。サヨナラホームランは他に"walkoff home run(homer)"とも(w:List of baseball jargonも参照)。
試合のパターン例
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
阪神 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 4 |
福岡ダイエー | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1X | 5 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
福岡ダイエー | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 5 |
阪神 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1X | 6 |
サヨナラゲームにまつわるエピソード
通常の試合は、敗戦チームの攻撃終了で試合終了となるが、サヨナラゲームでは勝利チームの得点で試合終了となるため、劇的な印象を与える。そのため、サヨナラゲームに関しては、様々な逸話が残されている。
監督自ら代打満塁サヨナラホームラン
1956年6月24日の阪神-広島戦。9回裏二死満塁で阪神の選手兼監督だった藤村富美男が自ら「代打、ワシや」と言って打席に立ち、代打満塁逆転サヨナラホームランを決めた。これは藤村の現役最後の本塁打でもある。
天覧試合のサヨナラホームラン
1959年6月25日、後楽園球場での読売-阪神戦は、日本のプロ野球史上唯一の天覧試合であった。9回裏、読売の長嶋茂雄が阪神の村山実からレフトポールぎりぎりに入るサヨナラホームランを放ち試合を決めた。この劇的な結末が日本のプロ野球人気を決定づけたとも言われている。一方、村山は死去するまで「あれはファールや」と言い続けたという。“陛下のご臨席を賜り、おめでたい事だからホームランに”と暗黙の了解が為されたとも言われ、別名“疑惑のホームラン”。
サヨナラホームランがサヨナラヒットに
2004年9月20日の北海道日本ハム-福岡ダイエー戦。9回裏に日本ハムが3点を入れて同点とし、なお二死満塁で日本ハム・SHINJOの放った打球は左翼席に飛びこんだ。スコアボードの9回裏には「7x」が刻まれ、選手達がベンチから飛び出した。余りに劇的なサヨナラ弾を見送った新庄は右手でVサインし、勢いよく一塁を蹴ると一塁走者・田中幸雄が自分の方を向いて待っていた。これから起こる事を察し、慌てたコーチが静止するのも虚しく、新庄と田中幸が抱き合ってクルリと一回転。新庄が前方の走者を追い越した形になり、新庄にアウトが宣告されたが、新庄は一塁に到達していたため記録上は安打であり、その前に三塁走者・奈良原浩が生還していたのでサヨナラ勝ちは成立している。しかし、アウトになった後もそんな事お構いなしに新庄はダイヤモンドを一周し、チームメイトの手荒い祝福を受けている。アウトになった事も、その後の行動もいかにも新庄らしいエピソードとなった。なおスコアボードの9回裏は「4x」に訂正され、試合結果は13-12になった。
敬遠球をサヨナラヒット
他にも新庄は、阪神時代の1999年6月12日に読売戦で、槙原寛己の敬遠球をサヨナラヒットにしたことがある。当時の野村克也監督は、敬遠球を打ちにいってもいいかと新庄に聞かれて答えに窮したあげく「勝手にせい!」と返したという。そして本当にサヨナラヒットにしてしまった新庄を野村は「宇宙人」と評した。実のところ、かねてより新庄は打撃投手に頼み込んで敬遠球を打つ練習をやっていたのである。ちなみに当時の阪神の打撃コーチは柏原純一で、柏原も日本ハム時代に敬遠球をホームランにした経験がある。
代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームラン
2001年9月26日の大阪近鉄-オリックス戦で、大阪近鉄・北川博敏選手が3点リードされた9回裏無死から日本プロ野球史上初の「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームラン」を打った。
日本プロ野球史上、「代打逆転満塁サヨナラホームラン」は7例あり、北川の例は通算6例目に当たるが、優勝を決める一打は史上初である。また3点差を一発でひっくり返す『釣り銭なし』満塁ホームランであることも含め、おそらく空前絶後のものであろう(勝っても負けてもドラマチックだった近鉄というチームを象徴するようなホームランである)。
その他
- ケビン・コスナー主演の映画『さよならゲーム』(原題"Bull Durham"、1988年)がある。
- アメリカンフットボールで、残り時間数秒というところであげた勝ち越し点が決勝点になった試合のことを、野球に倣ってサヨナラゲームと呼ぶことがある。また、その決勝点の原因となったプレイにも、野球に倣ってサヨナラフィールドゴールなどと「サヨナラ」を冠することがある。
- 残り時間数秒であっても、勝ち越し点を取られたチームにも得点のチャンスがあるので、その時点で負けているチームにも逆転の可能性が残されているという意味では、野球のように厳密に「サヨナラゲーム」を定義することはできない。しかし、残り時間が5秒を切っていると得点のチャンスは1度、多くても2度しかなく、しかもよほど上手くボールを運ぶか、相手が大きなミスをしない限りは得点できないので、勝ち越し点をあげたチームはほぼ勝利を確定したことになる。劇的な得点シーンの残像が残るまま試合が終了する感覚が、野球のサヨナラゲームに似ているところからこう呼ばれていると思われる。