コンテンツにスキップ

「軽犯罪法」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
44行目: 44行目:
| 閲覧日時 = 2012-6-27
| 閲覧日時 = 2012-6-27
}}
}}
</ref>。2013年5月には「当人に明らかに異常な言動が見られない限りは犯罪を疑う理由はなく[[職務質問]]等は違法」とする判決が示された<ref>[http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013052801001940.html 東京地裁、職務質問は違法と認定 都に5万円賠償命令] 共同通信2013年5月28日</ref>。</small>
</ref>。</small>
#* <small>刃渡り'''15cm'''以上の[[刀]]([[日本刀]]を指す)・[[剣]]等(両刃の刃物を指す)は[[銃砲刀剣類所持等取締法|銃刀法]]3条により所持が禁止されており、刃体の長さが'''6cm'''を超える刃物([[カッターナイフ]]など)は同法22条により携帯が禁止されているため、本号は原則として6cm以下の刃物等(刃渡りの短い[[剃刀]]など)について適用があることになる。また、「隠して」という文言があるため、[[ベルト (服飾)|ベルト]]に装着したり、[[キーホルダー]]などにぶら下げるなどして(他者から見える形で)公然と携帯していれば軽犯罪法違反に該当しないこととなる。しかし、その一方で多くの道府県<!-- 全部列挙する必要もないでしょう -->の[[迷惑防止条例]]では、「何人も、[[公共]]の場所又は公共の[[乗物]]において、正当な理由がないのに、[[刃物]]、[[鉄棒]]、[[木刀]]その他人の身体に危害を加えるのに使用されるような物を、公衆に対し不安を覚えさせるような方法で携帯してはならない。」と規定されているため一概に[[合法]]とまでは言い切れない。</small>
#* <small>刃渡り'''15cm'''以上の[[刀]]([[日本刀]]を指す)・[[剣]]等(両刃の刃物を指す)は[[銃砲刀剣類所持等取締法|銃刀法]]3条により所持が禁止されており、刃体の長さが'''6cm'''を超える刃物([[カッターナイフ]]など)は同法22条により携帯が禁止されているため、本号は原則として6cm以下の刃物等(刃渡りの短い[[剃刀]]など)について適用があることになる。また、「隠して」という文言があるため、[[ベルト (服飾)|ベルト]]に装着したり、[[キーホルダー]]などにぶら下げるなどして(他者から見える形で)公然と携帯していれば軽犯罪法違反に該当しないこととなる。しかし、その一方で多くの道府県<!-- 全部列挙する必要もないでしょう -->の[[迷惑防止条例]]では、「何人も、[[公共]]の場所又は公共の[[乗物]]において、正当な理由がないのに、[[刃物]]、[[鉄棒]]、[[木刀]]その他人の身体に危害を加えるのに使用されるような物を、公衆に対し不安を覚えさせるような方法で携帯してはならない。」と規定されているため一概に[[合法]]とまでは言い切れない。</small>
#* <small>[[催涙スプレー]]について「その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」に該当すると判断した判例<ref name=h210326/>がある。</small>
#* <small>[[催涙スプレー]]について「その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」に該当すると判断した判例<ref name=h210326/>がある。</small>

2013年5月28日 (火) 13:07時点における版

軽犯罪法
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 なし
法令番号 昭和23年5月1日法律第39号
種類 特別法犯
効力 現行法
成立 1948年4月30日
公布 1948年5月1日
施行 1948年5月2日
主な内容 軽微な犯罪に対して処罰する法律
関連法令 刑法
条文リンク 総務省法令データ提供システム
テンプレートを表示

軽犯罪法(けいはんざいほう、昭和23年5月1日法律第39号)は、さまざまな軽微な秩序違反行為に対して拘留科料の刑を定める日本法律である。

概要

騒音、虚偽申告、乞食、覗きなど33の行為が罪として定められている。公布時は34の行為であったが、第1条第21号(動物の虐待)がより厳罰化されたため削除された(1年の懲役または100万円の罰金となった)。

本法により警察犯処罰令(明治41年内務省令第16号)は廃止された。

法定刑に拘留・科料しかないことから、幇助犯教唆犯は処罰されない(刑法64条)。また、犯人隠避罪(刑法103条)の客体となる犯人にも当たらない。

濫用の禁止

国民の権利を必要以上に侵害しないため、あるいは、目的を逸脱して濫用される(例えば別件逮捕の手段として利用される)ことを防ぐために、以下の規定がある。

この法律の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。 — 第4条

罪として定められる行為

第1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

  1. 人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者
  2. 正当な理由がなくて刃物鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
    • 「正当な理由」があるとは、同号所定の器具を隠匿携帯することが、職務上又は日常生活上の必要性から、社会通念上、相当と認められる場合をいい、これに該当するか否かは、当該器具の用途や形状・性能、隠匿携帯した者の職業や日常生活との関係、隠匿携帯の日時・場所、態様及び周囲の状況等の客観的要素と、隠匿携帯の動機目的認識等の主観的要素とを総合的に勘案して判断すべきである[1]。2013年5月には「当人に明らかに異常な言動が見られない限りは犯罪を疑う理由はなく職務質問等は違法」とする判決が示された[2]
    • 刃渡り15cm以上の日本刀を指す)・等(両刃の刃物を指す)は銃刀法3条により所持が禁止されており、刃体の長さが6cmを超える刃物(カッターナイフなど)は同法22条により携帯が禁止されているため、本号は原則として6cm以下の刃物等(刃渡りの短い剃刀など)について適用があることになる。また、「隠して」という文言があるため、ベルトに装着したり、キーホルダーなどにぶら下げるなどして(他者から見える形で)公然と携帯していれば軽犯罪法違反に該当しないこととなる。しかし、その一方で多くの道府県の迷惑防止条例では、「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、刃物鉄棒木刀その他人の身体に危害を加えるのに使用されるような物を、公衆に対し不安を覚えさせるような方法で携帯してはならない。」と規定されているため一概に合法とまでは言い切れない。
    • 催涙スプレーについて「その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」に該当すると判断した判例[1]がある。
    • 経理に従事して職務上多額の現金有価証券等を職務上電車徒歩で輸送することがあるから防犯用に催涙スプレーを入手した被告人が、健康上の理由から行うサイクリングを深夜に行う際に、催涙スプレー1本を専ら防御用に隠匿携帯した事例において「正当な理由」があると判断した最高裁判例がある[1]
  3. 正当な理由がなくて合かぎのみガラス切りその他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
    • ただし、「隠して」という文言があるため、公然と携帯していれば軽犯罪法違反に該当しないこととなる。また特殊開錠用具については携帯自体が正当な理由がない場合はピッキング防止法違反に問われることもある。
  4. 生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの
  5. 公共の会堂、劇場飲食店ダンスホールその他公共の娯楽場において、入場者に対して、又は汽車電車、乗合自動車、船舶飛行機その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者
  6. 正当な理由がなくて他人の標灯又は街路その他公衆の通行し、若しくは集合する場所に設けられた灯火を消した者
  7. みだりに又はいかだを水路に放置し、その他水路の交通を妨げるような行為をした者
  8. 水害地震火事交通事故犯罪の発生その他の変事に際し、正当な理由がなく、現場に出入するについて公務員若しくはこれを援助する者の指示に従うことを拒み、又は公務員から援助を求められたのにかかわらずこれに応じなかった者
  9. 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者
    • 火災に発展した場合は重過失失火罪になる。
  10. 相当の注意をしないで、銃砲又は火薬類、ボイラーその他の爆発する物を使用し、又はもてあそんだ者
    • 政府の許可がないまま銃砲や火薬類を所持した場合は、銃刀法違反や火薬類取締法違反に問われることもある。
  11. 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者
  12. 人畜に害を加える性癖のあることの明らかなその他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠ってこれを逃がした者
  13. 公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑をかけ、又は威勢を示して汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催し若しくは割当物資の配給を待ち、若しくはこれらの乗物若しくは催しの切符を買い、若しくは割当物資の配給に関する証票を得るため待っている公衆の列に割り込み、若しくはその列を乱した者
  14. 公務員の制止をきかずに、人楽器ラジオなどの異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者
    • 国会議事堂周辺地域など一部の地域については、静穏保持法違反に問われることもある。
  15. 公職位階勲等学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章記章その他の標章若しくはこれらに似せて作った物を用いた者
  16. 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者
    • 無実の第三者を犯人に仕立て上げて処罰を受けさせる目的で、虚構の犯罪を申告した場合は、虚偽告訴罪となる。
    • 警察・消防等に徒労の出動をさせる目的で、虚構の犯罪や災害を申告した場合は、業務妨害罪に問われた事例がある。
  17. 質入又は古物の売買若しくは交換に関する帳簿に、法令により記載すべき氏名住居職業その他の事項につき虚偽の申立をして不実の記載をさせた者
    • 古物商が自分の判断で帳簿に虚偽の記載をした場合は古物営業法違反に問われる。
    • 質店や古物商が盗品と知っていて買い取ること(故買)も犯罪である。盗品等関与罪を参照。
  18. 自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかった者
    • 扶助を必要とする者を保護する義務を負う者(幼児の親、老人や病人の介護者など)がこれを放置したときは保護責任者遺棄罪となる。
    • 死体を埋葬する義務を負う者(死者の同居人など)がこれを放置したときは死体遺棄罪となる
  19. 正当な理由がなくて変死体又は死胎の現場を変えた者
  20. 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしりももその他身体の一部をみだりに露出した者
  21. 削除
  22. こじきをし、又はこじきをさせた者
  23. 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
    • 「場所をひそかにのぞき見たもの」とあるように当該の場所が無人であっても違法となる。
  24. 公私の儀式に対して悪戯などでこれを妨害した者
  25. 、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者
  26. 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者
  27. 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者
  28. 他人の進路に立ちふさがって、若しくはその身辺に群がって立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者
  29. 他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行為の予備行為をした場合における共謀者
  30. 人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は若しくはを驚かせて逃げ走らせた者
  31. 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者
  32. 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者
    • さく等に囲まれた建造物の敷地に侵入する行為は住居侵入罪に該当する。
  33. みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
  34. 公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者

脚注

  1. ^ a b c 最高裁判所第一小法廷判決 2008年7月9日 、平成20(あ)1518、『軽犯罪法違反被告事件』。
  2. ^ 東京地裁、職務質問は違法と認定 都に5万円賠償命令 共同通信2013年5月28日
  3. ^ 就活中なのに浮浪犯? 「覚せい剤」の男性に無罪 共同通信2009年3月3日

関連項目