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「クリ属」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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* [[クリ]] {{Snamei|C. crenata}}
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'''クリ属'''(クリぞく、[[学名]]: {{Snamei|Castanea}})は、[[ブナ科]][[クリ亜科]]に含まれる[[属 (分類学)|属]]の一つ。[[落葉樹]]。[[種子]]を食用にする。


== 形態・生態 ==
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* 9種(本文を参照)
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[[ファイル:Chestnut blossom.png|thumb|250px|栗の花- 撮影2008年6月中旬、千葉県]]
'''クリ''' ''Castanea'' ('''栗'''、{{lang-en-short|Chestnut}})属は、[[ブナ科]] (Fagales) クリ亜科 (Castaneoideae) に含まれる分類群の一つ。[[落葉樹]]。[[種子]]を食用にする。北半球の温暖で湿潤な地域に広く分布している。


[[葉]]は[[単葉]]で、卵型または倒卵形、葉の長さは10 - 30cm、幅は4 - 10cm。葉の縁には間隔の広い、鋭く尖った[[鋸歯]]があり、鋸歯と鋸歯の間は浅く凹んでいる。
== 概要 ==
ほとんどの[[種 (分類学)|種]]は樹高20 - 40mにもなるが、 チンカピン類は小型で灌木状になる。[[葉]]は単葉で卵型または倒卵形、葉の長さは10 - 30cm、幅は4 - 10cm。葉の縁には間隔の広い、鋭く尖った鋸歯があり、鋸歯と鋸歯の間は浅く凹んでいる。[[花]]は白っぽい尾状[[花序]]を成し、男性の[[精液]]の臭いとも評される重たい臭いがある。果実は直径5 - 11cmで[[棘|いが]]に覆われ、1個から7個の種子が入っている。[[花崗岩]]質や[[結晶片岩]]質の酸性土壌を好み、[[石灰岩]]質などのアルカリ性土壌には生えない。


[[花]]は白っぽい尾状[[花序]]を成し、男性の[[精液]]の臭いとも評される重たい臭いがある。[[蜜源植物]]でもあり、独特の味があり好みが分かれるが、[[ミネラル]]分の多い[[蜂蜜]]が採れる。
クリの実のことを「[[マロン (植物)|マロン]]」と呼ぶ場合があるが、本来は[[トチノキ科]]の[[トチノキ|マロニエ]]の実のことである。かつてマロニエの実を使って[[マロングラッセ]]を作っていたが、後にクリの実で代用するようになった結果、マロンにクリの意が生じたといわれる。


[[果実]]は直径5 - 11cmで[[いが]]に覆われ、1個から7個の[[種子]]が入っている。クリの実のことを「[[マロン (植物)|マロン]]」と呼ぶ場合があるが、本来は[[トチノキ科]]の[[トチノキ|マロニエ]]の実のことである。かつてマロニエの実を使って[[マロングラッセ]]を作っていたが、後にクリの実で代用するようになった結果、マロンにクリの意が生じたといわれる。
[[蜜源植物]]でもあり、独特の味があり好みが分かれるがミネラル分の多い[[蜂蜜]]が採れる。


[[花崗岩]]質や[[結晶片岩]]質の酸性[[土壌]]を好み、[[石灰岩]]質などのアルカリ性土壌には生えない。
== 種 ==
<gallery>
* ''Castanea alnifolia'' - Bush Chinkapin - [[ワイセイチンカピン]](北米)
* ''Castanea crenata'' - Japanese Chestnut - [[クリ]](日本、[[朝鮮半島]]南部
ファイル:Japanese Chestnut02.jpg|[[雄花]]([[クリ]])
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* ''[[:en:American Chestnut|Castanea dentata]]'' - American Chestnut - [[アメリカグリ]](北米)
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* ''Castanea henryi'' - Henry's Chestnut - [[ヘンリーグリ]]([[中華人民共和国|中国]]。[[中国語]]「錐栗」)
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* ''Castanea mollissima'' - Chinese Chestnut - [[シナグリ]](中国。中国語「板栗」)
ファイル:Kuri 20081013b.JPG|クリの実
* ''Castanea ozarkensis'' - Ozark Chinkapin - [[オザークチンカピン]](アメリカ合衆国)
ファイル:Kuri 20081013a.JPG|クリの実(拡大)
* ''[[:en:Allegheny Chinkapin|Castanea pumila]]'' - Allegheny Chinkapin - [[チンカピングリ]](アメリカ合衆国)
</gallery>
* ''[[:en:Sweet Chestnut|Castanea sativa]]'' - Sweet Chestnut - [[ヨーロッパグリ]](欧州)
* ''Castanea seguinii'' - Seguin's Chestnut - [[モーパングリ]](中国。中国語「茅栗」)


== 利用 ==
== 分布 ==
[[北半球]]の温暖で湿潤な地域に広く分布している。
=== 木材 ===
[[ファイル:Kuri-table.jpg|thumb|right|250px|栗の無垢一枚板のテーブル(クリア塗装済み)]]
[[ファイル:Castanea crenata - Japanese Chestnut floor.jpg|thumb|right|250px|栗の無垢フロア(無塗装状態)]]
栗の樹は硬く耐久性が高く、[[木材]]としては銘木にはならないものの、比較的高級品の部類に入る。耐久性の高さから風雨にさらされる鉄道の[[枕木]]、同時に薄く引き剥がしやすい特性を生かし、屋根葺き用の薄板に使われた。また、かつては銃床の材料として広く用いられた。現在では産出量が激減し、テーブルや無垢フロア材として使用されることが多い。無塗装の状態では[[ナラ|楢]]のやや材質の黒っぽい感じであるが、クリア塗装すると力強い年輪が明瞭に現れるのが特徴である。漢字が「西」と「木」の組み合わせであることから[[西方浄土]]になぞらえて[[位牌]]などの[[仏具]]に使用されることも多い。


== 人間との関わり ==
=== 木材 ===
[[ファイル:Kuri-table.jpg|thumb|250px|right|栗の無垢一枚板のテーブル(クリア塗装済み)]]
[[ファイル:Castanea crenata - Japanese Chestnut floor.jpg|thumb|250px|right|栗の無垢フロア(無塗装状態)]]
クリ属の樹は硬く耐久性が高く、[[木材]]としては[[銘木]]にはならないものの、比較的高級品の部類に入る。耐久性の高さから風雨にさらされる鉄道の[[枕木]]、同時に薄く引き剥がしやすい特性を生かし、屋根葺き用の薄板に使われた。また、かつては[[銃床]]の材料として広く用いられた。現在では産出量が激減し、[[テーブル (家具)|テーブル]]や無垢フロア材として使用されることが多い。無塗装の状態では[[ナラ|楢]]のやや材質の黒っぽい感じであるが、クリア塗装すると力強い[[年輪]]が明瞭に現れるのが特徴である。漢字が「西」と「木」の組み合わせであることから[[西方浄土]]になぞらえて[[位牌]]などの[[仏具]]に使用されることも多い。
=== 食用 ===
=== 食用 ===
[[ファイル:Roasted chestnut.jpg|thumb|250px|right|[[夜店]]における[[甘栗]]の調理風景。高温の小石により[[蒸し焼き]]にして[[調理]]する。調理器具内には[[攪拌]]するための回転羽があり、クリの実に満遍なく火が通るようになっている。]]
果実は果皮が薄いため考古遺跡においては遺存しにくいが、栗材は管理栽培されて大型化していることから[[ドングリ]]・[[クルミ]]など[[果実#果実の分類|堅果]]類が主要な食物資源であった[[縄文時代]]から食されていたと考えられている。戦国期から近世には蒸した栗果を扁平に加工した菓子である[[勝栗]](打栗)が[[縁起物]]として重宝され、近世には地方名物として献上品にも用いられた。
果実は[[果皮]]が薄いため、[[考古遺跡]]においては遺存しにくいが、栗材は管理[[栽培]]されて大型化していることから[[ドングリ]]・[[クルミ]]など[[果実#果実の分類|堅果]]類が主要な食物資源であった[[縄文時代]]から食されていたと考えられている。[[戦国期]]から[[近世]]には蒸した栗果を扁平に加工した菓子である[[勝栗]](打栗)が[[縁起物]]として重宝され、近世には地方名物として献上品にも用いられた。茹でたり焼いたりするのが一般的な食べ方。[[南ヨーロッパ]]の[[森林地帯]]では、栗の実を乾燥して粉にしたものを[[小麦粉]]の代用品にしていた。
[[ファイル:Roasted chestnut.jpg|thumb|right|200px|夜店における'''甘栗'''の調理風景。高温の小石により蒸し焼きにして調理する。調理器具内には[[攪拌|撹拌]]するための回転羽があり、栗の実に満遍なく火が通るようになっている。]]
茹でたり焼いたりするのが一般的な食べ方。[[南ヨーロッパ]]の森林地帯では、栗の実を乾燥して粉にしたものを[[小麦粉]]の代用品にしていた。


日本では栗を干した後に搗(つ)いて殻と渋皮を除去したカチグリ(搗栗)が利用されていた。カチグリは名前が「勝ち」につながるため[[武家]]の[[縁起物]]とされた。日本在来種の栗は渋皮が取れにくくカチグリにするための手間がかかるため、近年では渋皮の取れやすい海外産の栗が安価なカチグリの原料とされている。
[[日本]]では栗を干した後に搗(つ)いて殻と渋皮を除去したカチグリ(搗栗)が利用されていた。カチグリは名前が「勝ち」につながるため[[武家]]の[[縁起物]]とされた。日本在来種の栗は渋皮が取れにくくカチグリにするための手間がかかるため、近年では渋皮の取れやすい海外産の栗が安価なカチグリの原料とされている。
* [[焼き栗]] - 日本では[[シナグリ|天津甘栗]]が有名。[[中華人民共和国|中国]]では「糖炒栗子」、「糖炒板栗」の名で、小石とともに人手で焼いて売られている。また、[[フランス]]や[[イギリス]]、[[大韓民国|韓国]]では日本の[[焼き芋]]のように[[屋台]]で売られる冬の[[風物詩]]である。

* [[焼き栗]] - 日本では[[シナグリ|天津甘栗]]が有名。[[中華人民共和国|中国]]では「糖炒栗子」、「糖炒板栗」の名で、小石とともに人手で焼いて売られている。また、[[フランス]]や[[イギリス]]、[[大韓民国|韓国]]では日本の[[焼き芋]]の様に屋台で売られる冬の風物詩である。
* [[栗金団]]
* [[栗金団]]
** [[栗かの子]] - 芋餡でなく栗餡を用いる栗金団。[[長野県]][[小布施町]]の名物として知られる。
** [[栗かの子]] - 芋餡でなく栗餡を用いる栗金団。[[長野県]][[小布施町]]の名物として知られる。
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* [[モンブラン (ケーキ)|モンブラン]]
* [[モンブラン (ケーキ)|モンブラン]]
* 栗の[[ポレンタ]]
* 栗の[[ポレンタ]]

=== 渋皮 ===
=== 渋皮 ===
渋皮は[[石鹸]]などに用いられる(渋皮石鹸)。
渋皮は[[石鹸]]などに用いられる(渋皮石鹸)。


== 参考画像 ==
== 下位分類 ==
* [[ワイセイチンカピン]] {{Snamei||Castanea alnifolia}}({{Lang-en-short|Bush Chinkapin}}) - [[北米]]。
<gallery>
* [[クリ]] {{Snamei||Castanea crenata}}({{Lang-en-short|Japanese Chestnut}}) - 日本、[[朝鮮半島]]南部。
ファイル:Japanese Chestnut01.jpg|雌花
* [[アメリカグリ]] {{Snamei||Castanea dentata}}({{Lang-en-short|American Chestnut}}) - 北米。
ファイル:Japanese Chestnut02.jpg|雄花
* [[ヘンリーグリ]] {{Snamei||Castanea henryi}}({{Lang-en-short|Henry's Chestnut}}、{{Lang-zh-short|錐栗}}) - [[中華人民共和国|中国]]。
ファイル:Japanese Chestnut04.jpg|幼果(1)
* [[シナグリ]] {{Snamei||Castanea mollissima}}({{Lang-en-short|Chinese Chestnut}}、{{Lang-zh-short|板栗}}) - 中国。
ファイル:Japanese Chestnut03.jpg|幼果(2)
* [[オザークチンカピン]] {{Snamei||Castanea ozarkensis}}({{Lang-en-short|Ozark Chinkapin}}) - [[アメリカ合衆国]]。
ファイル:Chestnut03.jpg
* [[チンカピングリ]] {{Snamei||Castanea pumila}}({{Lang-en-short|Allegheny Chinkapin}}) - アメリカ合衆国。
ファイル:Kuri 20081013a.JPG|栗の実(拡大)
* [[ヨーロッパグリ]] {{Snamei||Castanea sativa}}({{Lang-en-short|Sweet Chestnut}}) - [[欧州]]。
ファイル:Kuri 20081013b.JPG|栗の実(外観)
* [[モーパングリ]] {{Snamei||Castanea seguinii}}({{Lang-en-short|Seguin's Chestnut}}、{{Lang-zh-short|茅栗}}) - 中国。
</gallery>

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書
|author = 茂木透写真
|others = 高橋秀男・勝山輝男監修
|title = 樹に咲く花 離弁花1
|year = 2000
|publisher = [[山と溪谷社]]
|series = 山溪ハンディ図鑑
|isbn = 4-635-07003-4
|pages = 278-281
|chapter = クリ属
|ref = woodyplants
}}

== 関連項目 ==
{{Wiktionary|くり}}
{{Wikispecies|Castanea}}
{{Commonscat|Castanea}}
* [[マロン (植物)]]
* [[殻斗果]]


== 外部リンク ==
{{commons|Castanea|クリ属}}
* {{ITIS
|ID = 19451
|taxon = ''Castanea'' Mill.
|accessdate = 2013-08-22
}} {{En icon}}
* {{NCBI|21019|''Castanea''}} {{En icon}}
* {{EOL|107742|''Castanea''}} {{En icon}}
* {{Cite web
|author = [[波田善夫]]
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|title = クリ属
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|accessdate = 2013-08-22
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[[Category:木]]
[[Category:木]]

2013年8月22日 (木) 17:56時点における版

クリ属
Castanea sativa
ヨーロッパグリ Castanea_sativa
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類I Eurosids I
: ブナ目 Fagales
: ブナ科 Fagaceae
: クリ属 Castanea
学名
Castanea
Mill.
英名
chestnut
[1]

クリ属(クリぞく、学名: Castanea)は、ブナ科クリ亜科に含まれるの一つ。落葉樹種子を食用にする。

形態・生態

ほとんどのは樹高20 - 40mにもなるが、チンカピン類は小型で灌木状になる。

単葉で、卵型または倒卵形、葉の長さは10 - 30cm、幅は4 - 10cm。葉の縁には間隔の広い、鋭く尖った鋸歯があり、鋸歯と鋸歯の間は浅く凹んでいる。

は白っぽい尾状花序を成し、男性の精液の臭いとも評される重たい臭いがある。蜜源植物でもあり、独特の味があり好みが分かれるが、ミネラル分の多い蜂蜜が採れる。

果実は直径5 - 11cmでいがに覆われ、1個から7個の種子が入っている。クリの実のことを「マロン」と呼ぶ場合があるが、本来はトチノキ科マロニエの実のことである。かつてマロニエの実を使ってマロングラッセを作っていたが、後にクリの実で代用するようになった結果、マロンにクリの意が生じたといわれる。

花崗岩質や結晶片岩質の酸性土壌を好み、石灰岩質などのアルカリ性土壌には生えない。

分布

北半球の温暖で湿潤な地域に広く分布している。

人間との関わり

木材

栗の無垢一枚板のテーブル(クリア塗装済み)
栗の無垢フロア(無塗装状態)

クリ属の樹は硬く耐久性が高く、木材としては銘木にはならないものの、比較的高級品の部類に入る。耐久性の高さから風雨にさらされる鉄道の枕木、同時に薄く引き剥がしやすい特性を生かし、屋根葺き用の薄板に使われた。また、かつては銃床の材料として広く用いられた。現在では産出量が激減し、テーブルや無垢フロア材として使用されることが多い。無塗装の状態ではのやや材質の黒っぽい感じであるが、クリア塗装すると力強い年輪が明瞭に現れるのが特徴である。漢字が「西」と「木」の組み合わせであることから西方浄土になぞらえて位牌などの仏具に使用されることも多い。

食用

夜店における甘栗の調理風景。高温の小石により蒸し焼きにして調理する。調理器具内には攪拌するための回転羽があり、クリの実に満遍なく火が通るようになっている。

果実は果皮が薄いため、考古遺跡においては遺存しにくいが、栗材は管理栽培されて大型化していることからドングリクルミなど堅果類が主要な食物資源であった縄文時代から食されていたと考えられている。戦国期から近世には蒸した栗果を扁平に加工した菓子である勝栗(打栗)が縁起物として重宝され、近世には地方名物として献上品にも用いられた。茹でたり焼いたりするのが一般的な食べ方。南ヨーロッパ森林地帯では、栗の実を乾燥して粉にしたものを小麦粉の代用品にしていた。

日本では、栗を干した後に搗(つ)いて殻と渋皮を除去したカチグリ(搗栗)が利用されていた。カチグリは名前が「勝ち」につながるため武家縁起物とされた。日本在来種の栗は渋皮が取れにくくカチグリにするための手間がかかるため、近年では渋皮の取れやすい海外産の栗が安価なカチグリの原料とされている。

渋皮

渋皮は石鹸などに用いられる(渋皮石鹸)。

下位分類

脚注

  1. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants簡易検索結果表示”. 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList). 2013年8月22日閲覧。

参考文献

  • 茂木透写真「クリ属」『樹に咲く花 離弁花1』高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、278-281頁。ISBN 4-635-07003-4 

関連項目

外部リンク