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「増殖 (YMOのアルバム)」の版間の差分

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== ツアー ==
== ツアー ==
本作のリリース後にはツアーは行われなかったが、1980年10月11日のニューシアター(オックスフォード)を皮切りにワールドツアー「[[FROM TOKIO TO TOKYO|YELLOW MAGIC ORCHSTRA WORLD TOUR '80]]』が行われている。
本作のリリース後にはツアーは行われなかったが、リリース前の1980年3月21日から5月7日にかけて行われた国内ツアーの[[テクノポリス2000-20]]で収録曲である「ナイス・エイジ」と「シチズンズ・オブ・サイエンス」が演奏されている。そして1980年10月11日のニューシアター(オックスフォード)を皮切りにワールドツアー「[[FROM TOKIO TO TOKYO|YELLOW MAGIC ORCHSTRA WORLD TOUR '80]]』が行われている。


== 収録曲 ==
== 収録曲 ==

2013年11月9日 (土) 12:03時点における版

『増殖』
YMOEP
リリース
録音 1980年
STUDIO "A"
THE STUDIO DOO WAP
ジャンル テクノポップ
ニュー・ウェイヴ
時間
レーベル アルファレコード
プロデュース 細野晴臣
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 1位(オリコンチャート
  • YMO アルバム 年表
    パブリック・プレッシャー
    1980年
    増殖
    (1980年)
    X∞Multiplies
    (1980年)
    『増殖』収録のシングル
    テンプレートを表示

    増殖 - X∞Multiplies (Alfa YMO1) は、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の4作目のアルバム。

    背景

    前作『パブリック・プレッシャー』の成功に気を良くしたアルファレコードは、同様のライヴ盤のリリースを要請したが、メンバーはそれを拒否し、代案として本作のリリースを提案した。

    高橋幸宏は本アルバムは「ボーカルもの」をやりたいという明確なイメージを作成前に持っていた。さらに、当時好んで聴いていたラジオ番組「スネークマンショー」を細野晴臣に聴かせたところ、細野も気に入り、曲の間にコントを挟むギャグ・アルバムを作ることを細野が決めた。[1]

    多くの曲を作成する時間もないことから10インチのミニアルバムとなった。[1]

    収録されたスネークマンショーによるコントは1976年から1980年にかけて放送されたラジオ番組『スネークマンショー』からのものや、同番組に出演していた伊武雅刀小林克也桑原茂一らとYMOのメンバー等によるものであった。収録されたコントは同番組で放送されたものだが、すべてこのアルバム用に録りなおしている。

    リリース

    1980年6月5日アルファレコードからリリースされた。

    当初は10万枚限定盤の予定であったが、20万枚以上の予約が入ったため通常生産盤としてリリースされ、アルバムは特殊段ボールケースにセットして販売された(通常の12インチアルバムとサイズを合わせるため)。レコード番号は「YMO-1」であるが、バンドの名称が番号に採用されるのは異例なことであった。

    YMOの結成20周年企画盤として、スネークマン・ショーの桑原茂一プロデュースにより、CD版の装丁などを『増殖』そっくりに真似た『増長』がリリースされた(1998年)。収録された楽曲や曲順はほぼそのままで、コント部分を爆笑問題長井秀和が全く内容を変えて演じている。

    アートワーク

    ジャケットで使われたYMOメンバー3人の人形は、当時3人がテレビCMで出演していた「フジカセット」の新聞広告で使われていたものであった。

    材質は前面の数体がFRP[2]で、それ以外はFRPの個体から複製した塩化ビニール製である。また、2008年に復刻されて市販されている。

    ツアー

    本作のリリース後にはツアーは行われなかったが、リリース前の1980年3月21日から5月7日にかけて行われた国内ツアーのテクノポリス2000-20で収録曲である「ナイス・エイジ」と「シチズンズ・オブ・サイエンス」が演奏されている。そして1980年10月11日のニューシアター(オックスフォード)を皮切りにワールドツアー「YELLOW MAGIC ORCHSTRA WORLD TOUR '80』が行われている。

    収録曲

    A面
    全編曲: イエロー・マジック・オーケストラ。
    #タイトル作詞作曲時間
    1.ジングル“Y.M.O.”(JINGLE "Y.M.O.") イエロー・マジック・オーケストラ
    2.ナイス・エイジ(NICE AGE)クリス・モスデル高橋ユキヒロ、坂本龍一
    3.スネークマン・ショー(SNAKEMAN SHOW)  
    4.タイトゥン・アップ(TIGHTEN UP (Japanese Gentleman Stand Up Please!))ビリー・ブッチャーアーチー・ベル
    5.スネークマン・ショー(SNAKEMAN SHOW)  
    6.ヒア・ウィー・ゴー・アゲイン(HERE WE GO AGAIN ~ TIGHTEN UP)  
    B面
    #タイトル作詞作曲時間
    7.スネークマン・ショー(SNAKEMAN SHOW)  
    8.シチズンズ・オブ・サイエンス(CITIZENS OF SCIENCE)クリス・モスデル坂本龍一
    9.スネークマン・ショー(SNAKEMAN SHOW)  
    10.マルティプライズ(MULTIPLIES) エルマー・バーンスタイン、イエロー・マジック・オーケストラ
    11.スネークマン・ショー(SNAKEMAN SHOW)  
    12.ジ・エンド・オブ・エイジア(THE END OF ASIA) 坂本龍一
    合計時間:

    曲解説

    A面

    1. ジングル“Y.M.O.” - JINGLE "Y.M.O."
      ラジオ番組のジングルを模した曲で、小林がラジオDJ風のトークを聞かせた後、次の曲に切れ目なしに続く。ドラムモーグIII、ベースと「パン!」となるパーカッションプロフェット5を使用している。坂本龍一は単にジングルということで、職業作家みたいなノリで書いたものとコメントしている[1]1999年リリースの細野晴臣監修のベストアルバム『YMO GO HOME!』ではディスク1冒頭で単独で使用され、2003年にリリースされた坂本龍一監修のベストアルバム『UC YMO』ではこのつなぎをそのまま再現している。
    2. ナイス・エイジ - NICE AGE
      アルバム作成前にA&Mレコードからの依頼でアメリカ用シングルとして「シチズンズ・オブ・サイエンス」と共にレコーディングされた(ただし、アメリカのマーケティングにそぐわないという理由でリリースはされていない)[1]。曲中でニュース速報を読んでいるのは元サディスティック・ミカ・バンドボーカリスト福井ミカである。本作の録音当時、イエロー・マジック・オーケストラはポール・マッカートニーとのセッションを予定していたが[3]、来日したポールが大麻不法所持によって逮捕勾留されたため、セッションが不可能となってしまった。その時のポールの妻リンダのメッセージが曲中のニュース速報である。速報中で読み上げられる「22番」とはポールの拘置所内での番号であり、同じく「Coming Up Like A Flower」は同じ年の4月に発売されるポールのシングルカミング・アップ」で歌われるフレーズである。シングル『タイトゥン・アップ』のB面にも納められている。
    3. スネークマン・ショー - SNAKEMAN SHOW
      スネークマン・ショーでのコント名「KDD」。「ミスター大平」とは大平正芳のパロディーであり、大平が会社名の「KDD」を言いにくそうにしているのはKDD事件のパロディーである。
    4. タイトゥン・アップ - TIGHTEN UP (Japanese Gentlemen Stand Up Please!)
      詳細は「タイトゥン・アップ」を参照。
    5. スネークマン・ショー - SNAKEMAN SHOW
      スネークマン・ショーでのコント名「ミスター大平」。コント「KDD」の続きで、大平が英語があまり話せなかったことを利用し、日本人を冒涜するという内容。
    6. ヒア・ウィー・ゴー・アゲイン - HERE WE GO AGAIN ~ TIGHTEN UP

    B面

    1. スネークマン・ショー - SNAKEMAN SHOW
      スネークマン・ショーでのコント名「ここは警察じゃないよ」。麻薬中毒者と逮捕しに来た警官のやり取りである。アメリカのコメディアンチーチ&チョンの作品に直接的なインスパイアを受けて作られている。桑原はスネークマン・ショーで麻薬撲滅キャンペーンを行っており、このコントは麻薬の醜さを表現するために幾つか作られたコント(中には前述のポール・マッカートニー逮捕を題材にした「ポールマッカートニー取調室」が存在する)のうちの1つである。ちなみに姉妹編に「エディはここにいないよ」が存在する。
    2. シチズンズ・オブ・サイエンス - CITIZENS OF SCIENCE
      「ナイス・エイジ」と共にアメリカ用シングルとしてレコーディングされた。途中にクリス・モスデルが歌っている部分(というより台詞)がある。ライヴでの同部分は坂本がヴォコーダーを用い担当した。
    3. スネークマン・ショー - SNAKEMAN SHOW
      スネークマン・ショーでのコント名「林家万平」。林家万平は林家三平のパロディであり、中国公演で通訳を介して落語を行っている設定のコントである。
    4. マルティプライズ - MULTIPLIES
      当時スペシャルズ等の台頭でムーブメントとなっていたスカを意識した生演奏主体の作品で、本盤および米国発売のベストアルバムのタイトルとなった曲。発売時のクレジットは「作曲:イエロー・マジック・オーケストラ」だったが、冒頭で「荒野の七人」のメロディーを使用したことから問題が生じ(細野は後年「バーンスタインはしっかり者ですから」とのコメントを残している)、現在は作曲者名が変更されている。
    5. スネークマン・ショー - SNAKEMAN SHOW
      スネークマン・ショーでのコント名「若い山彦」。コントに登場する番組名「若い山彦」は当時のNHK-FMの若者向け音楽番組「若いこだま」のパロディである。コントの中でYMOを褒めているのはYMOの3人である。本作は「それいけスネークマン」で1979年4月17日に放送された「続・若い山彦」の改作であり、それはYMOの代わりに井上瑤のグルービー上がりの女評論家が加わるという内容である。なお、スネークマン・ショーでは「続々・若い山彦」という続編も存在する。
    6. ジ・エンド・オブ・エイジア - THE END OF ASIA
      元々は坂本のオリジナルアルバム『千のナイフ』の収録曲だが、YMOの初期ライブでも頻繁に演奏されている。このアルバムでのバージョンは非常に日本的なアレンジが施されている。坂本は、東海道五十三次歌川広重浮世絵をイメージしていて、初期からやりたかったことだったとコメントしている(このアレンジを「街道もの」と呼んでいる)。途中のヴォイスは伊武雅刀によるもの。三味線の音色はコルグPS-3100、その他はプロフェット5で演奏されている。

    スタッフ・クレジット

    参加ミュージシャン

    スタッフ

    • 細野晴臣 - プロデューサー
    • Y.M.O. - ディレクター、ミックス・エンジニア
    • 桑原茂一 & THE STUDIO DOO WAP - スクリプター
    • 吉沢典夫 - レコーディング・エンジニア
    • 小池光夫 - レコーディング・エンジニア
    • 斉藤篤 - レコーディング・エンジニア
    • 寺田康彦 - レコーディング・エンジニア
    • 田中ミチタカ - レコーディング・エンジニア
    • 小池光夫 - ミックス・エンジニア
    • 市田喜一 (CINQ ART) - 人形造形
    • 高橋ユキヒロ - 人形コスチュームデザイン
    • 鋤田正義 - 写真撮影
    • 上条喬久 - アート・ディレクション
    • 川添象郎 - エグゼクティブ・プロデューサー

    リリース履歴

    No. 日付 国名 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
    1 1980年6月5日 日本 アルファレコード LPCT YMO-1 (LP)・ALC-22001 (CT) 1位 LP盤は10インチの特殊形状
    2 1990年2月25日 日本 アルファレコード CD ALCA-12
    3 1992年 オランダ Roadrunner Records CD LS 9149 2 -
    4 1992年 アメリカ合衆国 Restless Records CD 7 72708-2 -
    5 1994年6月29日 日本 アルファレコード CD ALCA-9041 -
    6 1998年1月15日 日本 アルファレコード CD ALCA-5218 -
    7 1999年9月22日 日本 東芝EMI CD TOCT-24236 - 細野晴臣監修、リマスタリング盤、ライナーノーツ:田中知之
    8 2003年1月22日 日本 ソニー・ミュージックハウス CD MHCL 207 55位 坂本龍一監修、紙ジャケット仕様
    9 2003年 イギリスカナダ エピック・レコード CD 513448 2 (UK)・EK 91848 (CA) -
    10 2010年9月29日 日本 ソニー・ミュージックダイレクト ブルースペックCD MHCL-20103 195位 1999年リマスタリング音源、紙ジャケット仕様、スーパーピクチャーCD

    脚注

    1. ^ a b c d 『イエロー・マジック・オーケストラ』アスペクト刊、2007年
    2. ^ 公開当時は「エクアール樹脂製」と紹介されていた。
    3. ^ のちに高橋がラジオ番組で「ポール・マッカートニーとのセッションは予定されていなかった」と発言。[要出典]坂本も「ポールがスタジオA(YMOがレコーディングしていたスタジオ)に見学に来る」と発言している(ただし坂本は2003年発売のUC YMOに収録された同曲の解説において「もしポールが捕まってなければ、アルファスタジオに遊びに来て、YMOとセッションしてたかもしれないんですが…。」とも発言しており、それが実際のことであったのか、坂本の希望であったのか、また後年言われ続けていた事を反映したのかどうかは不明)。