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「ダッシュダイエット」の版間の差分

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*ダッシュダイエットには2つのバージョンがある<ref name="MAYO"/>。通常版と減塩版である。通常版ではナトリウムが1日に2300mg(食塩なら5.8g)、減塩版ではナトリウムは1日に1500mg(食塩なら3.8g)を想定している。上の表を見ても分かるように、特に食塩については言及していないが、実践すると自然にナトリウム摂取量が減る。人が摂取する食塩の多く(75%以上)は加工食品に含まれるが、ダッシュダイエットを実践すると加工食品の摂取が減る。
*ダッシュダイエットには2つのバージョンがある<ref name="MAYO"/>。通常版と減塩版である。通常版ではナトリウムが1日に2300mg(食塩なら5.8g)、減塩版ではナトリウムは1日に1500mg(食塩なら3.8g)を想定している。上の表を見ても分かるように、特に食塩については言及していないが、実践すると自然にナトリウム摂取量が減る。人が摂取する食塩の多く(75%以上)は加工食品に含まれるが、ダッシュダイエットを実践すると加工食品の摂取が減る。


*ダッシュダイエットに多く含まれるカリウム、マグネシウム、カルシウムは、ナトリウム(食塩)を体外に排出させる。NHK番組「ためしてガッテン」はダッシュダイエットを、「食塩を排出する食事」として紹介している<ref>[http://www9.nhk.or.jp/gatten/pdf/recipe/R20110216_03.pdf NHKためしてガッテン]</ref>。*ダッシュダイエットは、糖尿病と高血圧の両方がある人にも勧められている<ref>[http://www.diabetes.ca/diabetes-and-you/healthy-living-resources/diet-nutrition/dash-diet DASH diet] Canadian Diabetes Association</ref><ref>[http://health.usnews.com/best-diet/best-diabetes-diets usnews] 糖尿病食のベストランキング同率首位</ref><ref>[http://www.mydashdiet.co.uk/en/the-diet/dash-your-diabetes/ Dash社]</ref>。
*ダッシュダイエットには、カリウム、マグネシウム、カルシウムが多く含まれるカリウム、マグネシウム、カルシウムは、ナトリウム(食塩)を体外に排出させる。NHK番組「ためしてガッテン」はダッシュダイエットを、「食塩を排出する食事」として紹介している<ref>[http://www9.nhk.or.jp/gatten/pdf/recipe/R20110216_03.pdf NHKためしてガッテン]</ref>。
*ダッシュダイエットは、糖尿病と高血圧の両方がある人にも勧められている<ref>[http://www.diabetes.ca/diabetes-and-you/healthy-living-resources/diet-nutrition/dash-diet DASH diet] Canadian Diabetes Association</ref><ref>[http://health.usnews.com/best-diet/best-diabetes-diets usnews] 糖尿病食のベストランキング同率首位</ref><ref>[http://www.mydashdiet.co.uk/en/the-diet/dash-your-diabetes/ Dash社]</ref>。


*ダッシュダイエットは、高血圧用の治療食であって、肥満用の治療食ではない。しかし、ダッシュダイエットは、健康的な食生活に導くので、実践すると過剰な体重は減ることが多い<ref name="MAYO"/>。高血圧と肥満の両方ともある人にも勧められる。
*ダッシュダイエットは、高血圧用の治療食であって、肥満用の治療食ではない。しかし、ダッシュダイエットは、健康的な食生活に導くので、実践すると過剰な体重は減ることが多い<ref name="MAYO"/>。高血圧と肥満の両方ともある人にも勧められる。

2015年5月24日 (日) 06:33時点における版

ダッシュダイエット(DASH diet、Dietary Approaches to Stop Hypertension)は、アメリカ合衆国保健福祉省アメリカ国立衛生研究所に属する国立心肺血液研究所(NHLBI)が、高血圧を予防し治療するために推奨している食事療法のことである。

ダッシュダイエットでは、果物、野菜、全粒穀物、低脂肪食品を充分に摂取する。それらは、肉、魚、鶏肉、木の実、豆を含む。そして、制限するのは、砂糖で甘くした食品や飲料、赤肉、添加された脂肪である。ダッシュダイエットは、血圧を下げる効果がある他に、バランスの取れた栄養素が摂れるようにデザインされている。ダッシュダイエットには、カリウム、カルシウム、マグネシウム、蛋白質、食物繊維が充分に含まれる。

アメリカ合衆国農務省は、ダッシュダイエットを、理想的な食事プランの一つとして推奨している。また、アメリカ心臓協会AHAもダッシュダイエットを推奨している[1]

ダッシュダイエットの内容

米国の国立心肺血液研究所NHLBIによれば、1日に必要なカロリーの目安は、次の表の通りである[2]。1日に必要なカロリー数が変わると、各食品グループの単位数が変わる。

毎日のカロリー必要量 (kcal)
年齢 活動量が少ない場合 中等度の場合 活動量が多い場合
女性 19-30
31-50
51+
2000
1800
1600
2000-2200
2000
1800
2400
2200
2000-2200
男性 19-30
31-50
51+
2400
2200
2000
2600-2800
2400-2600
2200-2400
3000
2800-3000
2400-2800


1日に2000kcalを摂取する人の場合の食物配分は、次の表のようである。[2]

2000kcalを摂取する場合の食物配分
食品グループ 1日の分量 1単位の分量 栄養上の意味
穀類 7-8単位 全粒の食パン1枚 or
玄米のご飯0.5カップ
エネルギー源、食物繊維
野菜 4-5単位 生の葉物野菜1カップ or
刻んだ生野菜0.5カップ or
調理後の野菜0.5カップ
カリウム、マグネシウム、食物繊維
果物 4-5単位 中くらいの果物1個 カリウム、マグネシウム、食物繊維
低脂肪乳、低脂肪の乳製品 2-3単位 低脂肪の牛乳1カップ or
チーズ40グラム or
低脂肪のヨーグルト1カップ
カルシウム、蛋白質
赤身の肉、鶏肉、魚 2単位以下 調理後の肉80グラム マグネシウム、蛋白質
ナッツ、種、豆 0.7単位 ナッツ3分の1カップ マグネシウム、蛋白質、食物繊維
脂肪 2-3単位 植物油小さじ1杯 or
サラダドレッシング大さじ2杯
カロリー源
お菓子と砂糖 0.7単位 砂糖大さじ1杯 or
ジャム大さじ1杯
(お菓子は低脂肪にすべき)
穀類

全粒穀物という点が重要である。日本で手に入る全粒穀物は玄米くらいである。日本で売られている全粒粉パンやライ麦パンには、全粒の成分がわずかに含まれるだけである。最低でも半分必要である。

野菜

平均的な人の摂取量よりもかなり多い量の野菜である。冷凍の野菜を使っても良い。もし塩がかけてあれば、水にさらして塩抜きをすると良い。

果物

平均的な人の摂取量よりもかなり多い量の果物である。缶詰の果物を使っても良い。もし砂糖に浸けてあれば、水にさらして砂糖抜きをすると良い。

乳製品

これも平均的な人の摂取量より多い。低脂肪の乳製品(牛乳やヨーグルト)が良い。ヨーグルトは、無糖のものに果物を加えて食べるのが良い。チーズは、食塩を多く含む場合がある。

ナッツ、種、豆

ナッツには、良い油が含まれるが、カロリーが高いので、多量に食べない方が良い。大豆の代わりに豆腐でも良い[3]

脂肪

悪い油(飽和脂肪)を減らす必要がある。このために、肉の脂身、バター、チーズ、全乳、クリーム、卵黄、ラード、パーム油を減らす必要がある。また、悪い油(トランス脂肪)を減らす目的で、クラッカーなどの加工食品、ショートニング、揚げ物を減らす必要がある[3]。良い油(不飽和脂肪)は、魚の油と植物油である。ただし植物油も高温にすると劣化して悪い油となる。

お菓子

1日に約15グラムの砂糖しか摂ることができない。これは非常に少ない量である。甘い物をほんのわずかしか摂ることができない。世界保健機構WHOの新しい基準(1日に25グラムの砂糖)より少ない。和菓子や洋菓子には、通常、重量の30%から50%の砂糖が含まれる。

ダッシュダイエットの特徴

  • ダッシュダイエットに特別のレシピは無い。特別の食材を必要としない。決められた割合で各グループの食物を摂取するだけである。
  • ダッシュダイエットを実践すると2週間以内に効果が現れる[3]
  • ダッシュダイエットは、糖化反応を減らしている[4]
  • 日本の高血圧治療ガイドライン2014によれば、生活習慣の改善について、減塩、DASH食、減量、運動、節酒を比較したところ、降圧の効果が最も大きかったのはDASH食であった[5]
  • ダッシュダイエットには2つのバージョンがある[3]。通常版と減塩版である。通常版ではナトリウムが1日に2300mg(食塩なら5.8g)、減塩版ではナトリウムは1日に1500mg(食塩なら3.8g)を想定している。上の表を見ても分かるように、特に食塩については言及していないが、実践すると自然にナトリウム摂取量が減る。人が摂取する食塩の多く(75%以上)は加工食品に含まれるが、ダッシュダイエットを実践すると加工食品の摂取が減る。
  • ダッシュダイエットには、カリウム、マグネシウム、カルシウムが多く含まれる。カリウム、マグネシウム、カルシウムは、ナトリウム(食塩)を体外に排出させる。NHK番組「ためしてガッテン」はダッシュダイエットを、「食塩を排出する食事」として紹介している[6]
  • ダッシュダイエットは、糖尿病と高血圧の両方がある人にも勧められている[7][8][9]
  • ダッシュダイエットは、高血圧用の治療食であって、肥満用の治療食ではない。しかし、ダッシュダイエットは、健康的な食生活に導くので、実践すると過剰な体重は減ることが多い[3]。高血圧と肥満の両方ともある人にも勧められる。
  • 人工透析中の人はダッシュダイエットを行うことはできない。慢性腎臓病の人は、ダッシュダイエットを行って良いかどうかを主治医に聞かなければならない。[10]
  • ダッシュダイエットを他の健康法(運動、節酒、減塩、禁煙など)と組み合わせると、さらに効果が増す。
  • ダッシュダイエットの導入の前に、数日にわたって、何を、いつ、どのくらい食べたかを記録しておくと良い[11]


野菜、果物、牛乳が多い

(ダッシュダイエットでは、野菜、果物、乳製品を多く摂取する)


ダッシュダイエット導入のガイド[11]
  • ゆっくり食事を変える方が良い。ある日夕食に野菜を1単位加えて、次の日の昼食に果物を1単位加えるなどである。そうすれば、導入時の下痢や便秘を防ぐことができる。
  • これまで使っていたバターやマーガリンの量を半分に減らすのが良い。
  • もし、乳糖不耐症があるのなら、乳糖分解酵素の薬を飲むか、乳糖除去ミルクを使うかするのが良い。
  • 全粒の穀物(例えば全粒の麦、全粒のシリアル)を食べることによって、ビタミンBを補うことができる。
  • 1回の食事でまとめて摂らずに、3食に振り分けた方が良い。各食事に2単位ずつの野菜や果物とするのが良い。果物を間食として摂ることもできる。
  • デザートや間食には、お菓子でなく、果物を使用するのが良い。

研究

(以下は、英語版Wikipedia「ダッシュダイエット」による)

ダッシュダイエットは、アメリカ国立衛生研究所NIHによる2つの研究に基づいている。ダッシュ研究とダッシュ・ナトリウム研究である。

ダッシュ研究では、平均年齢46歳の基本的に健康な男女8813人の中から最終的に459人を選び出して、被験者とした。ただし収縮期血圧が160mmHg以下、拡張期血圧が80-95mmHgの人を対象とした。これは、前向きのランダム化比較試験である。この研究は、1993年から1997年に行われた。この研究では、人々を3つのグループに分けて、異なった食事をしてもらった。一つめのグループは、北部アメリカの人々と同じような食事である。もう一つのグループは、野菜と果物の多い食事である。もう一つのグループは、ダッシュダイエットである。ダッシュダイエットは、野菜、果物、低脂肪乳製品が多く、飽和脂肪、総脂肪、総コレステロールが少ない。

結果は明瞭であった。野菜と果物の多い食事とダッシュダイエットでは、血圧が低下した。血圧の低下が最も大きかったのは、ダッシュダイエットであった。高血圧のある人では、収縮期血圧は、平均11.4mmHg低下した。ダッシュダイエットを始めてから、2週間以内に血圧は低下した。血圧が低下しただけでなく、総コレステロールの値もLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値も低下した。

ダッシュ・ナトリウム研究においても、412人の人々を3つのグループに分けて、異なった食事を摂取してもらった。この研究は、1997年から1999年に行われた。一つめのグループでは、ダッシュダイエットを行いながら、ナトリウムを3300mg(食塩8.4g)摂取した。これは、北部の米国人の平均的な食塩摂取量である。もう一つのグループでは、ダッシュダイエットを行いながら、ナトリウムを2300mg(食塩5.8g)摂取した。これは、食塩を少し制限した場合の食塩摂取量である。もう一つのグループでは、ダッシュダイエットを行いながら、ナトリウムを1500mg(食塩3.8g)摂取した。これは、さらに食塩を制限した場合の食塩摂取量である。どのグループでも血圧は低下したが、食塩を最も少なく摂取したグループで、血圧低下は最も大きかった。高血圧のある人では、収縮期血圧は平均11.5mmHg低下した。また、最初の血圧が高かった人ほど、血圧低下は大きかった。

文献

  1. ^ DASH diet eating plan
  2. ^ a b in brief Your guide to lowering your blood pressure with DASH
  3. ^ a b c d e Nutrition and Healthy Eating MAYO clinic
  4. ^ What is DASH diet?
  5. ^ 高血圧治療ガイドライン2014 p40
  6. ^ NHKためしてガッテン
  7. ^ DASH diet Canadian Diabetes Association
  8. ^ usnews 糖尿病食のベストランキング同率首位
  9. ^ Dash社
  10. ^ 米国全国腎臓協会 ダッシュダイエット
  11. ^ a b Your Guide to Lowering Blood Pressure 米国厚生省 p10

外部リンク