生徒諸君! 最終章・旅立ち

『生徒諸君!最終章〜旅立ち〜』（せいとしょくん さいしゅうしょう たびだち）は、庄司陽子による日本の漫画作品。『生徒諸君!教師編』の続編（第3部）にあたる。2010年より、講談社のヤングレディース誌『BE・LOVE』で連載中。

あらすじ

御園中学校3年3組を卒業まで導いたナッキーこと北城尚子は、日本での教育に限界を感じ辞職する。フィンランドでの5年間の研修を終えたナッキーは、故郷の若幸田村で自分の理想の教育の場「北城学園」を開校する。

登場人物

主人公とその家族

北城尚子（きたしろ なおこ）

シリーズを通しての主人公。6月3日生まれ。故郷・旧若幸田村の将来を憂い、統廃合で廃校になった中学校の校舎を買い取り、北城学園を開校する。

多くの男性から想いを寄せられるが、過去の恋愛に関するトラウマを未だに乗り越えられないようで（「あたしの愛した人は不幸になるのよ」）未だ独身。後ろ髪を伸ばして三つ編みにしていたが、フィンランド行き前に別れた恋人・祝が結婚し幸せになったのを見届け髪を切る(この髪はトビオが貰い受けた)。

また、両親に捨てられたという思いが拭えずに距離を作ってしまっていたが、母・未知子が倒れた際、自身が過去に拘っていたせいで母を苦しめたということを真の意味で気づき、漸く心から両親と和解することが出来た。自身と真理子が生を受ける前、2度の流産により兄か姉が生まれる筈だったのが失われたことを知る。

酒は好きだが弱くすぐつぶれてしまう。

北城誠士（きたしろ せいじ）

ナッキーの父。ナッキーの夢の実現のため、北城グループを挙げて協力する。北城学園理事長。マリナの日本留学を支援する。

北城未知子（きたしろ みちこ）

ナッキーの母。ナッキーを2度も捨てた（1度目は生まれてすぐ若幸田に預けたこと、2度目はマールの死後ナッキーをマールと思いこんだこと）ことをずっと悔いていた。実父の看病にあたっていたが心労で倒れる。実は心臓が弱く、ナッキーたちを身籠る前に2度流産していた。

宮島徳一郎（みやじま とくいちろう）

ナッキーの祖父。北城学園開校式の日に脳内出血で倒れるが、ナッキーと未知子の看病で回復する。地元の誰かと結婚させて未知子をずっとそばに置きたいと考えていたことで誠士と結婚して東京に旅立った娘に捨てられたという思いが強く、娘同前の孫・尚子のことも未知子らは捨てたと2人を蔑み暴言を浴びせたりしたが、自身の介護で倒れた未知子を見て娘が体が弱いことを失念し、過労死という言葉もあるほど介護する側の負担は大きいことをその時になって悟り、意識を回復した未知子と和解した。

宮島里（みやじま さと）

ナッキーの祖母。ナッキーがフィンランドへ渡ってしばらくして亡くなった。

ナッキーを取り巻く人々

野口トビオ（のぐち トビオ）

御園中時代のナッキーの教え子。ナッキーの「心のかけら」を預かる人物でことあるたびに「尚子は俺の女」と公言する。写真専門学校を卒業後、世界各地で子どもの笑顔を撮りつづけていたが、「平和の中の笑顔は当たり前」と気づき、父と同じ戦場カメラマンの道を選ぶ。休暇で帰国するたび若幸田のナッキーの家の2階で居候している。かなり嫉妬深い。初めての戦場で恐怖したあまり、癒しを求めて下宿先の娘・マリナに手を付けてしまう。「尚子とマリナ2人を命かけて守る」と誓い、けじめとして髪を切った。

ヨアキム

教師修業中に友人となったフィンランド人の同僚。フィンランド語のほか英語・ドイツ語・ロシア語も操るマルチリンガルである。ナッキーの教育理念に賛同し来日、北城学園の英語教師となる。担当は中等部だが、金田兄妹と準の英語授業も請け負っている。ナッキーの家の2階に下宿している。料理が上手でナッキーの家の台所は彼が担っている。トビオともなんだかんだ言って打ちとける。母国ではアーチェリーのオリンピック強化選手だった。家族は両親と双子の妹。ナッキーに好意を持っていたが全く相手にされず、仲良くなった瀬川に惹かれ、準とともにウィーンへ立つ瀬川にネックレスを贈り告白した。14巻の時点でまだカタカナしか書けない。

高遠（たかとお）

初登場時32歳。北城グループの顧問弁護士で、ナッキーのブレーンとしてプロジェクトを推し進める。ナッキーに惹かれていたが全く相手にされず、事務所の事務員・亜弥と結婚する。ホテル＝ユニオン傘下の「ファミリー＆アドベンチャーホテル　ホテル若幸田」の支配人になる。

弓岡康介（ゆみおか こうすけ）

高遠とは中学以来のラグビー仲間で腐れ縁。北城グループのプランナーで、ナッキーのブレーンとしてプロジェクトを推し進める。ナッキーに惹かれていたが全く相手にされず、忙しさにかまけたこともあり結婚しそびれた。下の名前は9巻で判明。誠士の指示でマリナの日本生活を支援する。純粋なマリナに惹かれ交際を申し込み、一度は断られたもののつきあうように。

マリナ

トビオが戦地の取材のため下宿していた家の娘。トビオと深い仲になり、彼と結婚しようと追いかけて来日する。日本語はトビオの通訳に習った。北城学園を見学するうちに、日本で勉強して教師になり祖国の子どもたちに笑顔をあげたいと願うようになる。家族の許しを得て再来日、弓岡の事務所でバイトしながら日本人学校へ通う。

北城学園の人々

旧若幸田村にある私立の学校機関。留学の便を考え9月入学制（初年度は4月から6月まで補習を行っていた）をとる。幼稚部（保育幼稚園）・小学部・中学部がある。飛び級がある。学費はスポンサー（幾島電器・大日ヶ丘ケミカル・昭和堂貿易・岩田貿易・ホテル＝ユニオン）が出してくれるので無料である。理事長は北城誠士、校長は金田巌だが、実質上の経営者は北城尚子である。

金田巌（かねだ いわお）

聖美4中時代のナッキーの恩師。請われて北城学園の校長になる。息子の発(あきら・高3)と娘の美姫(中2)も北城学園に入学し、ナッキーの指導を受ける。

瀬川真子（せがわ まこ）

御園中時代のナッキーの教え子。新卒で北城学園の教師になる。低学年クラス副担任で、準にピアノの手ほどきをする。ヨアキムと仲良くなり、ヨアキムに「マコサン」と呼ばれている。告白されるまでヨアキムの好意に気づかなかった。留学する準の親代わりとしてウィーンへ渡る。

三宅静香（みやけ しずか）

御園中時代のナッキーの教え子。北城学園保育幼稚園の保育士になる。担任する児童の父親と不倫関係に陥るが、ナッキーに諭され別れる。

戸田（とだ）

御園中時代のナッキーの同僚。ナッキーの教育方針に賛同し北城学園の教師になる。数学担当。

内海（うつみ）

保健体育担当。ナッキーの道徳の授業のビデオをないしょで撮っていた。ナッキーと金田校長が学園の教育方針について教育委員会に呼び出された際、このビデオが説得材料となる。

立川準（たちかわ じゅん）

開校直前に北城学園に編入してきた小学校2年生。発達障害があり前の学校では厄介者扱いだった。絶対音感があるため生活音が雑音に聞こえてパニックになることに気づいたナッキーの助言で、興味があるピアノと英語を、それぞれ瀬川とヨアキムから習い始める。授業中は外界の音をカットするためヘッドホンをつけている。ピアノは芸美大の梅原哲治教授に才能を認められ内弟子として引き取られ、のちにウィーンの音楽院へ特待生として留学することに。なお、初登場時母親は「9歳」と言っていたが、これが作者の設定ミスなのかは不明。

真田譲（さなだ ゆずる）

初登場時35才。1年目の冬にやってきた新任教師。マサチューセッツ工科大学院講師をしていたが日本の教育に憂いを感じ帰国、あちこちの学校を転々と巡るものの長続きせず、ついには眼病で2年前に視力も職も失った。赴任早々すぐれた指導力で全学の児童生徒の信頼を勝ち取る。施設育ち。学園から歩いて20分の家に下宿している。専門は理科全般だが、宇宙理論から考古学までOK、語学にも堪能。洞察力が鋭くナッキーの過去を見破った。しかし、恩師に一個人の幸福に埋没して世界のために優秀な頭脳を使わない凡人になる気かと言われて恋人を捨てたことを尚子との会話で悔やみ、他の男性と結婚して幸福な家庭を営む元カノに心から謝罪する。

元『悪たれ団』とその家族

岩崎祝（いわさき はじめ）

結婚後は「ハジメ=マイケル=アビーン」。

冒頭、舞子&僚一の披露宴でナッキーに別れを告げられてしまう。当初は思い悩むも兄の守に叱咤され、新たな道を求めてアメリカに渡り、バスケットチーム・ドアーズの準トレーナー（後にチーフ・トレーナー）になる。前任のチーフ・トレーナーに逆恨みされ殴られたことで右眼のレーザー手術を受け、そこでサウスダコタ州の農園の娘である看護婦のシェリー（後述）と知り合う。彼女からのメールで自身がナッキーを"生身の女性"として欲したことのない過去に、自分達が"友人以上"になれない2人の感情の正体が"友愛"であり、それが強すぎて"男と女の愛情"だと錯覚していたことに気づく。それ以降は次第にシェリーと心の距離が縮まって愛し合うようになり、結婚した。シェリーとの間に愛娘テスがいる。２人目の子供にも恵まれる。ミドルネームの「マイケル」はクリスチャンネーム（洗礼名）である。

シェリル=アビーン

愛称シェリー。初登場時25歳（祝の5歳下）。上述事件で目を痛めた祝が入院した病院の担当看護師だった。初めて会った時から「この人は目の他にも傷を持っているのでは」と気づく。祝のナッキーへの思いを知りつつ祝を愛するようになり、祝の過去をすべて受け入れた上で結婚する。

岩崎初音（いわさき はつね）

旧姓小西。祝の兄・守の妻であり2児（友子（ゆうこ）・達也）の母。旧北城邸跡に出来たマンションでスーパーマーケットを開業する。ナッキーの様子に不安を抱いていたが、祝がふっきれてシェリーという真に愛する女性と幸福になることに戸惑い、本人達を尻目にナッキーと祝との復縁を舞子と共にこだわってしまうものの、結婚式を終えたシェリーから「オネエサン」と呼びかけられ、思いを振り切る。ブログをしておりタイトルは『小説家の女房はコンビニの店長』。

田村舞子（たむら まいこ）

旧姓五月野。薬科大学卒業後、婚約者・田村僚一の実家の病院で薬剤師として働いていたが、無医村で働きたいという僚一の役に立ちたいと助産師・薬剤師・ケアマネの資格を取り、結婚後二人で離島に渡る。ナッキーや初音に影響を受けブログを始める。尚子・輔（たすく）・由利の3児の母。僚一の若幸田診療所赴任について行く。戦場で足を負傷したトビオの病状に取り乱すナッキーを見て、ナッキーがトビオに教え子以上の感情を持っていることに気づく。

田村僚一（たむら りょういち）

誰からも必要とされる医者を目指し舞子とともに無医村での医療に携わっている。三人の子どもをもうけ、長女はナッキーと同じ尚子と命名している。離島の無医村の唯一の医師だったが、志願する後継者の医師が名乗り出てくれたので、若幸田市立病院分院（旧若幸田村診療所）の医師になる。

沖田成利（おきた なるとし）

『悪たれ団』メンバー。大学在学中に山の事故で死去するも、その思い出は今もナッキーの胸に深く刻まれている。

その他の人々

飛島崚（とびしま しゅん）

ナッキーの初恋の人。フィンランドでの修業を終え帰国するナッキーに真珠のピアスを贈る。

アフロス先生

フィンランドでのナッキーの指導員。

マックス=トゥルネン

ナッキーのクラスの生徒・アルヴィの父。弁護士。ナッキーのビジネスパートナー。

勇太、耕二

ナッキーの幼なじみ。農協を出て有機農法の通販をしている。若幸田市議会議員となり、ナッキーのプロジェクトを後押しする。のちに議員を辞め、農業株式会社を立ち上げる。

青木公平（あおき こうへい）

御園中時代のナッキーの教え子で元3TD。パティシエ修行のためスイスに留学していた。コンクールで日本人最年少優勝を果たし、パリで1年間修業したのち帰国し、旧北城邸の跡に出来たマンションで自分の店を持つ。店の名は亡き恋人・樹村樹里亜の名にちなむ「ジュリア」。

小津貴昭（おづ たかあき）

若幸田市市長。ナッキーとは村立中学の同級生だった。当時は生徒会長をしていたが、人望厚く成績優秀なナッキーに嫉妬していた。旧若幸田村出身だが村への愛着が薄く、ナッキーの夢を否定し何かと対立する、そのくせナッキーらの陳情には嫌々ながらも受け入れてしまっていた。妻子あり。