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「ヘッケ作用素」の版間の差分

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'''ヘッケ作用素'''(ヘッケさようそ、{{lang|en|Hecke operator}})とは、ウェイト<math>k</math>の[[正則保型形式]]に作用する[[作用素]]。[[モーデル作用素]]を拡張して定義される。


== 定義 ==
'''ヘッケ作用素'''(-さようそ、{{lang|en|Hecke operator}})とは、ウェイト<math>k</math>の[[正則保型形式]]に作用する[[作用素]]のことである。[[モーデル作用素]]を拡張して定義される。

==定義==
<math>f</math>をウェイト<math>k</math>の正則保型形式<math>M_{k}(\Gamma)</math>と仮定する。
<math>f</math>をウェイト<math>k</math>の正則保型形式<math>M_{k}(\Gamma)</math>と仮定する。
(ただし、<math>\Gamma := SL_2(Z)</math>である。)
(ただし、<math>\Gamma := SL_2(Z)</math>である。)
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正則保型形式<math>f</math>のフーリエ係数である<ref>黒川他「数論Ⅱ」p.451.</ref>。
正則保型形式<math>f</math>のフーリエ係数である<ref>黒川他「数論Ⅱ」p.451.</ref>。
:<math>f = \sum^\infty_{n=0} a(n,f) q^n.</math>
:<math>f = \sum^\infty_{n=0} a(n,f) q^n.</math>
==ヘッケ環==
== ヘッケ環 ==
作用素<math>T_{k}(m)</math>は関係式
作用素<math>T_{k}(m)</math>は関係式
:<math>T_{k}(m) T_{k}(n) = T_{k}(n) T_{k} (m) = \sum_{d|(m,n)}d^{k-1} T_{k}\left(\frac{mn}{d^2}\right),</math>
:<math>T_{k}(m) T_{k}(n) = T_{k}(n) T_{k} (m) = \sum_{d|(m,n)}d^{k-1} T_{k}\left(\frac{mn}{d^2}\right),</math>
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代数を構成する<ref name="number_theory_2_454"></ref>。この<math>\mathbb{T}_{k}</math>を'''ヘッケ環'''と呼ぶ。
代数を構成する<ref name="number_theory_2_454"></ref>。この<math>\mathbb{T}_{k}</math>を'''ヘッケ環'''と呼ぶ。
(ただし、[[ヘッケ環]]は、制限を加えたものや、局所的な類似など他にもいろいろとある<ref name="number_theory_2_454"></ref>。)
(ただし、[[ヘッケ環]]は、制限を加えたものや、局所的な類似など他にもいろいろとある<ref name="number_theory_2_454"></ref>。)
==出典==
== 出典 ==
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2015年6月19日 (金) 00:07時点における版

ヘッケ作用素(ヘッケさようそ、Hecke operator)とは、ウェイト正則保型形式に作用する作用素モーデル作用素を拡張して定義される。

定義

をウェイトの正則保型形式と仮定する。 (ただし、である。) このとき、に対して、ヘッケ作用素は、

によって定義される [1]。 ただし、[2]、また、は 正則保型形式のフーリエ係数である[3]

ヘッケ環

作用素は関係式

を満足するので、は可換な 代数を構成する[1]。このヘッケ環と呼ぶ。 (ただし、ヘッケ環は、制限を加えたものや、局所的な類似など他にもいろいろとある[1]。)

出典

  1. ^ a b c 黒川信重、栗原将人、斎藤毅共著「数論Ⅱ:岩澤理論と保型形式」岩波書店、2005年、ISBN 4-00-005528-3, p.454.
  2. ^ 黒川他「数論Ⅱ」p.390.
  3. ^ 黒川他「数論Ⅱ」p.451.