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「ブイヨン」の版間の差分

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生物学研究のブイヨン培地への言及を加えつつ、全体を整える
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フランス料理の味の基本となるダシは、大きくブイヨンと[[フォン (料理)|フォン]]に分かれる。主として[[ポタージュ]]をはじめとするスープの基本素材となるものがブイヨン、[[ソース (調味料)|ソース]]の基本素材やシチューのベースになるダシがフォンである<ref>辻調理師学校編 『料理上手の基礎知識』 p.91 1984年</ref>。野菜から出る甘みがソースの味を邪魔する心配がないので、フォンと比べて野菜の味をより強く出す。[[牛肉|牛]]、[[鶏肉|鶏]]、[[魚介類|魚]]などの動物質を[[野菜]]などとともに長時間煮込んで作るが、この全体が[[ポトフ]]、汁の部分を取り出したものがブイヨンである。[[コンソメ]]はこうして得られたブイヨンからさらに幾工程もの調理を施して作る、完成度の高いポタージュの一種としてのスープ料理である。
フランス料理の味の基本となるダシは、大きくブイヨンと[[フォン (料理)|フォン]]に分かれる。主として[[ポタージュ]]をはじめとするスープの基本素材となるものがブイヨン、[[ソース (調味料)|ソース]]の基本素材やシチューのベースになるダシがフォンである<ref>辻調理師学校編 『料理上手の基礎知識』 p.91 1984年</ref>。野菜から出る甘みがソースの味を邪魔する心配がないので、フォンと比べて野菜の味をより強く出す。[[牛肉|牛]]、[[鶏肉|鶏]]、[[魚介類|魚]]などの動物質を[[野菜]]などとともに長時間煮込んで作るが、この全体が[[ポトフ]]、汁の部分を取り出したものがブイヨンである。[[コンソメ]]はこうして得られたブイヨンからさらに幾工程もの調理を施して作る、完成度の高いポタージュの一種としてのスープ料理である。


日本では簡便な固形調味料としての印象が強く、比較的短時間でひき肉と刻み野菜を弱火で煮込むという簡略化した手法もあるが本来ブイヨン10リットルを作るには、例えば一例としてのレシピを挙げと、牛すね肉4kg・牛の脛骨2kg・[[ニワトリ|鶏]]1羽・[[鶏がら]]6羽分・[[タマネギ]]2個・[[ニンジン]]3本、さらに香味野菜([[ミルポワ]])の[[セロリ]]・[[ネギ]]・[[ブーケガルニ]]といった大量の材料を使い、弱火で1日煮込み、煮込んでいる間は監視してしっかりとエキュメ([[灰汁|あく]]取り)する必要があるなど<ref>同 p.92の記述するレシピ。</ref>最も時間と費用と手間がかかる、贅沢な出汁の取り方である。
日本では簡便な固形調味料としての印象が強く、比較的短時間でひき肉と刻み野菜を弱火で煮込むという簡略化した手法もある。だが本来ブイヨンを作るには、(10リットル作るためのレシピの一例ではあが)牛すね肉4kg・牛の脛骨2kg・[[ニワトリ|鶏]]1羽・[[鶏がら]]6羽分・[[タマネギ]]2個・[[ニンジン]]3本、さらに香味野菜([[ミルポワ]])の[[セロリ]]・[[ネギ]]・[[ブーケガルニ]]といった大量の材料を使い、弱火で1日かけて煮込み、煮込んでいる間は監視してしっかりとエキュメ([[灰汁|あく]]取り)する必要があるなど<ref>同 p.92の記述するレシピ。</ref>費用と手間が非常にかかるためとても贅沢な出汁の取り方と言える。


== イタリアの「ブロード」 ==
== イタリアの「ブロード」 ==

2016年10月7日 (金) 10:04時点における版

鶏ガラと香味野菜を8時間煮込んだ鶏のブイヨン (Bouillon de volaille)

ブイヨン: Bouillon)は主にフランス料理において主にスープのベースとして用いられる肉と香味野菜からとる出汁。英語圏では「ブロス」(Broth)或いは「スープストック」(soup stock)、イタリア語圏では「ブロード」(Brodo) と称する。この出汁のレシピを起源とする細菌研究の培養実験に用いられる古典的な培地ブイヨン培地である。

概要

フランス料理の味の基本となるダシは、大きくブイヨンとフォンに分かれる。主としてポタージュをはじめとするスープの基本素材となるものがブイヨン、ソースの基本素材やシチューのベースになるダシがフォンである[1]。野菜から出る甘みがソースの味を邪魔する心配がないので、フォンと比べて野菜の味をより強く出す。などの動物質を野菜などとともに長時間煮込んで作るが、この全体がポトフ、汁の部分を取り出したものがブイヨンである。コンソメはこうして得られたブイヨンからさらに幾工程もの調理を施して作る、完成度の高いポタージュの一種としてのスープ料理である。

日本では簡便な固形調味料としての印象が強く、比較的短時間でひき肉と刻み野菜を弱火で煮込むという簡略化した手法もある。だが本来ブイヨンを作るには、(10リットル作るためのレシピの一例ではあるが)牛すね肉4kg・牛の脛骨2kg・1羽・鶏がら6羽分・タマネギ2個・ニンジン3本、さらに香味野菜(ミルポワ)のセロリネギブーケガルニといった大量の材料を使い、弱火で1日かけて煮込み、煮込んでいる間は監視してしっかりとエキュメ(あく取り)する必要があるなど[2]、費用と手間が非常にかかるため、とても贅沢な出汁の取り方と言える。

イタリアの「ブロード」

イタリア料理における「ブロード」は、使用する材料により肉のブロード (brodo di carne)、魚介のブロード (brodo di pesce)、野菜のブロード (brodo di verdure) に大別される。他の料理の素材として使う他に、そのままスープとしても供される。

出典

  1. ^ 辻調理師学校編 『料理上手の基礎知識』 p.91 1984年
  2. ^ 同 p.92の記述するレシピ。