「両岸経済協力枠組協議」の版間の差分
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2010年8月、台湾の[[立法院 (中華民国)|立法院]]における審議が終了し([[民主進歩党]]の修正動議は否決)、9月12日に発効した。中国側が石油化学製品や自動車部品など539品目、台湾側が267品目の合計806品目、貿易額で計約167億ドル(約1兆5000億円)分の関税について、2011年1月、2012年1月、2013年1月の3段階に分けて実施される。 |
2010年8月、台湾の[[立法院 (中華民国)|立法院]]における審議が終了し([[民主進歩党]]の修正動議は否決)、9月12日に発効した。中国側が石油化学製品や自動車部品など539品目、台湾側が267品目の合計806品目、貿易額で計約167億ドル(約1兆5000億円)分の関税について、2011年1月、2012年1月、2013年1月の3段階に分けて実施される。 |
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ECFAは元々、[[2008年中華民国総統選挙|2008年総統選]]に当選した[[馬英九]]([[中国国民党|国民党]])が目玉の経済政策として掲げていたものである。背景には、[[2010年]]に[[ASEAN自由貿易地域]](AFTA)でASEANとFTAを結んだ中国などを巻き込んで巨大な経済圏が築かれる一方、台湾は当時国交のある[[中米]]5カ国と |
ECFAは元々、[[2008年中華民国総統選挙|2008年総統選]]に当選した[[馬英九]]([[中国国民党|国民党]])が目玉の経済政策として掲げていたものである。背景には、[[2010年]]に[[ASEAN自由貿易地域]](AFTA)でASEANとFTAを結んだ中国などを巻き込んでアジアに巨大な経済圏が築かれる一方、台湾は当時国交のある[[中米]]5カ国という地理的に遠い他国としかFTAを結べてない状況にあり、台湾経済の辺境化・孤立化に対する危機感があった。一方、中国は、ECFA締結を統一への足がかりとしたいとの思惑から、[[温家宝]]首相が「台湾に利益を譲る」と述べ、大幅に譲歩した。しかし中国国内に「譲歩し過ぎた」との批判も出たとされる。台湾においてもハイテク製品などについて十分な譲歩が得られなかったとの不満が残っている。 |
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ECFA締結には、民進党や[[台湾団結連盟]]など野党が反対した。その理由は、[[中国本土・香港経済連携緊密化取決め]]や[[中国本土・マカオ経済連携緊密化取決め]]との類似性から、香港やマカオのように「台湾が中国に併呑される」との懸念や台湾国内の農業や中小企業へのダメージなどである。野党は「ECFA締結にあたり、国民投票を実施すべきである」と主張し、署名活動を展開した。ECFA締結直後に台湾政府が実施した世論調査によると、61.1%がECFAの協議に「満足」と回答したという<ref>[http://www.taiwanembassy.org/JP/ct.asp?xItem=149979&ctNode=1453&mp=202 陸委会:台湾の60%以上がECFA調印を評価]</ref>。 |
ECFA締結には、民進党や[[台湾団結連盟]]など野党が反対した。その理由は、[[中国本土・香港経済連携緊密化取決め]]や[[中国本土・マカオ経済連携緊密化取決め]]との類似性から、香港やマカオのように「台湾が中国に併呑される」との懸念や台湾国内の農業や中小企業へのダメージなどである。野党は「ECFA締結にあたり、国民投票を実施すべきである」と主張し、署名活動を展開した。ECFA締結直後に台湾政府が実施した世論調査によると、61.1%がECFAの協議に「満足」と回答したという<ref>[http://www.taiwanembassy.org/JP/ct.asp?xItem=149979&ctNode=1453&mp=202 陸委会:台湾の60%以上がECFA調印を評価]</ref>。 |
2016年10月13日 (木) 10:01時点における版
両岸経済協力枠組協議 | |
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各種表記 | |
繁体字: | 兩岸經濟合作架構協議 |
簡体字: | 两岸经济合作框架协议 |
拼音: | Liǎng'àn Jīngjì Hézuò Kuàngjià Xiéyì |
注音符号: | ㄌㄧㄤˇ ㄢˋ ㄐㄧㄥ ㄐㄧˋ ㄏㄜˊ ㄗㄨㄛˋ ㄐㄧㄚˋ ㄍㄡˋ ㄒㄧㄝˊ ㄧˋ |
英文: | Economic Cooperation Framework Agreement |
両岸経済協力枠組協議(海峡兩岸經濟合作架構協議、Economic Cooperation Framework Agreement、略称ECFA)とは、中華民国(台湾)と中華人民共和国(中国)が締結した自由貿易協定(FTA)である。日本では(中台)経済協力枠組み協定と呼ばれることもある。
概要
2005年4月、連戦国民党主席が訪中して胡錦濤中国共産党総書記と会談した際に蕭万長の提唱した両岸共同市場(一中市場、大中華経済圏)を目指すことで合意[1]。
2009年5月26日、胡錦濤中国共産党総書記と呉伯雄国民党主席の中台トップ会談で協議開始を合意。海峡両岸関係協会(中国側の窓口機関)と海峡交流基金会(台湾側の窓口機関)による協議を経て、2010年6月29日、中国・重慶市で正式に締結された。
2010年8月、台湾の立法院における審議が終了し(民主進歩党の修正動議は否決)、9月12日に発効した。中国側が石油化学製品や自動車部品など539品目、台湾側が267品目の合計806品目、貿易額で計約167億ドル(約1兆5000億円)分の関税について、2011年1月、2012年1月、2013年1月の3段階に分けて実施される。
ECFAは元々、2008年総統選に当選した馬英九(国民党)が目玉の経済政策として掲げていたものである。背景には、2010年にASEAN自由貿易地域(AFTA)でASEANとFTAを結んだ中国などを巻き込んでアジアに巨大な経済圏が築かれる一方、台湾は当時国交のある中米5カ国という地理的に遠い他国としかFTAを結べてない状況にあり、台湾経済の辺境化・孤立化に対する危機感があった。一方、中国は、ECFA締結を統一への足がかりとしたいとの思惑から、温家宝首相が「台湾に利益を譲る」と述べ、大幅に譲歩した。しかし中国国内に「譲歩し過ぎた」との批判も出たとされる。台湾においてもハイテク製品などについて十分な譲歩が得られなかったとの不満が残っている。
ECFA締結には、民進党や台湾団結連盟など野党が反対した。その理由は、中国本土・香港経済連携緊密化取決めや中国本土・マカオ経済連携緊密化取決めとの類似性から、香港やマカオのように「台湾が中国に併呑される」との懸念や台湾国内の農業や中小企業へのダメージなどである。野党は「ECFA締結にあたり、国民投票を実施すべきである」と主張し、署名活動を展開した。ECFA締結直後に台湾政府が実施した世論調査によると、61.1%がECFAの協議に「満足」と回答したという[2]。
ECFA締結を契機に国交のないシンガポールやニュージーランドともFTA交渉が始まって締結され、台湾側は同じく国交のない日本やアメリカなどとのFTA締結に意欲をみせているが、中国側は台湾との政治協議を開始させ将来的な国家統一を目指す構えである。しかし、台湾側の馬英九政権は政治協議の具体的な日程を未定としている。ECFAはあくまでFTAの早期実施に過ぎず、完成度を高めるため交渉を重なる必要がある。2012年中華民国総統選挙の結果次第ではECFAに反対した民進党が政権を獲得する可能性もあったが、結果は国民党の馬英九が再選された[3]。
脚注
- ^ 國家政策經濟研究會,《連胡會新聞公報》,2005年4月29日
- ^ 陸委会:台湾の60%以上がECFA調印を評価
- ^ “台湾総統選、馬英九氏が再選…対中融和継続へ”. 読売新聞. (2012年1月14日) 2012年1月15日閲覧。
参考資料
- 交流協会による情報提供(2011年4月22日)
- 中華民国経済部国際貿易局によるQ&A(2009年4月2日)
- 中華民国・尹啓銘経済部長による説明(2009年3月4日)
- 台湾のWTO等加盟状況(JERTO)
- ASEANのFTA(JETRO、2008年4月作成資料)