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'''大阪大学 産業科学研究所'''(さんぎょうかがくけんきゅうじょ、''The Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka University''、略称:'''産研'''か'''ISIR''')は、[[大阪大学]]の附置[[研究所]]。[[1939年]]に大阪産業界の支援[[堺市]]に設立され[[1968年]]に[[茨木市]]の吹田キャンパスに移転した。産業に必要な自然科学に研究を続けている。
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== 概要 ==
== 概要 ==
1930代半ばの大阪財界では、産業の発展のために基礎科学の知見に対する期待が高まっていた。1931年に設立された[[大阪帝国大学]]には設立初から理部がまた1935年には旧制[[大阪工業大学]]を合併し工学部が発足てい、教育と研究の二つの機能を持つ大学学部組織よりも研究機能の性格を強めた理工学の大研究機関設置の気運が高まり、有志により1937年に産業科学研究所期成生同盟会が設立された。翌1938年には、財団法人[[大阪大学産業科学研究協会]]が発足した。
([[1931]]([[昭和]]6年))に[[医学部]]と[[大阪大学大学院理学研究・理部|理学部]]で開学した[[大阪大学]]時は「大阪帝国大」)は[[1933]](昭和8年)には[[大阪工業大学 (旧制)|旧制大阪工業大学]]を合併し、[[大阪大学大学院工学研究科・工学部|工学部]]を設置した。大阪をはじめとする関西財界では、教育と研究の二つの機能を持つ大学学部組織よりも研究機能の性格を強めた理工学の大研究機関設置の気運が高まり、有志により1937年に産業科学研究所期成生同盟会が設立された。翌1938年には、財団法人[[大阪大学産業科学研究協会]]が発足した。このような経済界からの期待と支援を受けて、[[1939年]](昭和14年)11月に「自然科学に関する特殊事項で産業に必要なものの基礎的学理及びその応用の研究」を目的に本研究所が設置される。 関西の[[理化学研究所|理研]]を目標に設立されたという<ref>[https://www.ieee-jp.org/section/kansai/activity/meeting_084.html 活動 <nowiki>|</nowiki> IEEE関西支部]</ref>

設立当初は[[堺市]]に所在したが、大阪大学統合計画に基づき、[[1968年]](昭和43年)、大阪大学吹田キャンパス([[茨木市]])に移転した。

電子工学、情報科学、金属および無機材料科学、有機化学、生物化学、高分子化学、放射線科学などの分野で広範囲に研究を進めてきた。また、改組や附属研究施設の設置・拡充などを重ね、[[2009年]]([[平成]]21年)に現在の3研究部門(情報・量子科学系、材料・ビーム科学系、生体・分子科学系)および附属総合解析センター、量子ビーム科学研究施設に改組した。[[2010年]](平成22年)3月には産研インキュベーション棟(5階建て5,000㎡)が竣工し、産学連携を一層推進、阪大で初めてのオンキャンパス型企業リサーチパークを形成している。


2010年4月、「物質・デバイス領域共同研究拠点」([[東北大学]]多元物質科学研究所、[[北海道大学]]電子科学研究所、[[東京工業大学]]化学生命科学研究所、当研究所、[[九州大学先導物質化学研究所]])を形成し、全国の大学、企業研究者と大型共同研究プロジェクトを展開している。
このような経済界からの期待と支援を受けて、1939年「自然科学に関する特殊事項で産業に必要なものの基礎的学理及びその応用の研究」を目的に本研究所が設置される。


産学連携の一層の推進のための拠点として、産研インキュベーション棟(5階建て5,000㎡)を平成22年3月に竣工し、阪大で初めてのオンキャンパス型企業リサーチパークをはじめ、新たな産学連携とプロジェクト研究の拠点として活動を開始している。
設立の背景にある産業界の期待に応える意味から、研究分野を特定の領域に絞らず広く工学・理学の各分野を扱っていることが国立大学附置研究所の中での本研究所の特色である。発足以来組織の陣容を徐々に拡大しながら、研究対象を電子工学、情報科学、金属・材料科学、化学、生体工学、放射線科学などに広げてきた。このような組織の性格から、1995年の組織改組では設置目的を「産業に必要となる先端的な事項で、材料、情報及び生体に関するものの総合研究」と改め、材料・デバイス、情報・知能、および生体・医療の3領域で学際的かつ総合的な研究を行うことを志向している。


[[2013年]](平成25年)11月には、文部科学省「革新的イノベーション創出プログラム」の拠点の一つに大阪大学が採択され、その中心研究機関として産研が活動を開始している。
2005年には[[東北大学]]多元物質科学研究所との間で附置研究所間連携として新産業創造物質科学センターを設立し、翌2006年には[[北海道大学]]電子科学研究所、[[東京工業大学]]資源化学研究所を加えてアライアンスを構成している。


== 沿革 ==
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== 参照 ==
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==

2018年8月10日 (金) 19:14時点における版

大阪大学 > 大阪大学産業科学研究所

大阪大学 産業科学研究所(さんぎょうかがくけんきゅうじょ、The Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka University、略称:産研ISIR)は、大阪大学の附置研究所で、「産業に必要な自然科学の基礎と応用に関する研究」[1]を目的とする研究所である。「情報」、「生体」、「材料」の3領域を対象とし、これらの個別・融合科学の研究を行っている。大阪大学吹田キャンパス(茨木市)に所在する。

東北大学多元物質科学研究所、北海道大学電子科学研究所、東京工業大学化学生命科学研究所、九州大学先導物質化学研究所との5大学附置研究所で「物質・デバイス領域共同研究拠点」を形成している。

概要

1931年昭和6年))に医学部理学部で開学した大阪大学(当時は「大阪帝国大学」)は、1933年(昭和8年)には旧制大阪工業大学を合併し、工学部を設置した。大阪をはじめとする関西財界では、教育と研究の二つの機能を持つ大学学部組織よりも研究機能の性格を強めた理工学の大研究機関設置の気運が高まり、有志により1937年に産業科学研究所期成生同盟会が設立された。翌1938年には、財団法人大阪大学産業科学研究協会が発足した。このような経済界からの期待と支援を受けて、1939年(昭和14年)11月に「自然科学に関する特殊事項で産業に必要なものの基礎的学理及びその応用の研究」を目的に本研究所が設置される。 関西の理研を目標に設立されたという[2]

設立当初は堺市に所在したが、大阪大学統合計画に基づき、1968年(昭和43年)、大阪大学吹田キャンパス(茨木市)に移転した。

電子工学、情報科学、金属および無機材料科学、有機化学、生物化学、高分子化学、放射線科学などの分野で広範囲に研究を進めてきた。また、改組や附属研究施設の設置・拡充などを重ね、2009年平成21年)に現在の3研究部門(情報・量子科学系、材料・ビーム科学系、生体・分子科学系)および附属総合解析センター、量子ビーム科学研究施設に改組した。2010年(平成22年)3月には産研インキュベーション棟(5階建て5,000㎡)が竣工し、産学連携を一層推進、阪大で初めてのオンキャンパス型企業リサーチパークを形成している。

2010年4月、「物質・デバイス領域共同研究拠点」(東北大学多元物質科学研究所、北海道大学電子科学研究所、東京工業大学化学生命科学研究所、当研究所、九州大学先導物質化学研究所)を形成し、全国の大学、企業研究者と大型共同研究プロジェクトを展開している。

産学連携の一層の推進のための拠点として、産研インキュベーション棟(5階建て5,000㎡)を平成22年3月に竣工し、阪大で初めてのオンキャンパス型企業リサーチパークをはじめ、新たな産学連携とプロジェクト研究の拠点として活動を開始している。

2013年(平成25年)11月には、文部科学省「革新的イノベーション創出プログラム」の拠点の一つに大阪大学が採択され、その中心研究機関として産研が活動を開始している。

沿革

  • 1939年 大阪帝国大学の附置研究所として発足。
  • 1947年 学制改革により大阪大学附置となる。
  • 1951年 大阪大学附置音響科学研究所を統合。枚方分室とする。(~1968年)
  • 1958年 附属放射線実験所設置。
  • 1963年 吹田キャンパスに移転
  • 1977年 附属材料解析センター設置
  • 1985年 附属高機能極限材料研究センター設置(~1995年)
  • 1995年 高次インターマテリアル研究センター設置
  • 2001年 第二研究棟竣工
  • 2002年 附属産業科学ナノテクノロジーセンター設置
  • 2003年 ナノテクノロジー総合研究棟竣工
  • 2005年 新産業創造物質基盤技術研究センター設置
  • 2006年 産学連携室、新産業創成研究部門設置
  • 2007年 4附置研究所アライアンス発足、阪大産研、北大電子研アライアンスラボ設置
  • 2008年 特別プロジェクト研究部門発足
  • 2009年 第1研究部門(情報・量子科学系)、第2研究部門(材料・ビーム科学系)、第3研究部門(生体・分子科学系)の3大研究部門と、時限を撤廃し6専任研究分野に拡充した産業科学ナノテクノロジーセンターに改組。
  • 2009年 量子ビーム実験室をナノテクセンターから分離して量子ビーム科学研究施設を設置。
  • 2009年 産業科学連携教育推進センターと国際共同研究センターを設置。
  • 2009年 産研インキュベーション棟竣工。
  • 2009年 総合解析センター発足 (附属材料解析センターと産業科学ナノテクノロジセンター電子顕微鏡室が統合)
  • 2010年 産研を拠点本部とする、北大電子研、東北大多元研、東工大資源研、九大先導研の5大学附置研によるネットワーク型「物質・デバイス領域共同研究拠点」発足、5附置研究所間アライアンス発足
  • 2011年 阪大産研・理研アライアンスラボ設置。imecとの共同研究協定締結
  • 2013年 定例記者会見を開始(毎月1回)
  • 2014年 文科省「革新的イノベーション創出プログラム」拠点に採択(大阪大学)。阪大拠点の中心として活動開始。

研究

21世紀COEプログラム研究拠点

21世紀COEプログラムでは、「新産業創造指向インターナノサイエンス」が採択され、研究拠点として機能している。[1]

組織

研究部門

  • 第1研究部門(情報・量子科学系)
    • 光・電子材料研究分野(朝日研)
    • 半導体量子科学研究分野(松本研)
    • 先進電子デバイス研究分野(竹谷研)
    • 複合知能メディア研究分野(八木研)
    • 知能推論研究分野(鷲尾研)
    • 知能アーキテクチャ研究分野(沼尾研)
    • 量子情報フォトニクス研究分野(竹内研)(阪大産研・北大電子研アライアンスラボ)
  • 第2研究部門(材料・ビーム科学)
    • 量子機能材料研究分野(安藤研)
    • 半導体材料・プロセス研究分野(小林研)
    • 金属材料プロセス研究分野(中嶋研)
    • 先端実装材料研究分野(菅沼研)
    • 励起物性科学研究分野(谷村研)
    • 量子ビーム発生科学研究分野(磯山研)
    • 量子ビーム物質科学研究分野(古澤研)
  • 第3研究部門(生体・分子科学系)
    • 励起分子化学研究分野(真嶋研)
    • 機能物質化学研究分野(笹井研)
    • 精密制御化学研究分野(中谷研)
    • 医薬品化学研究分野(加藤研)
    • 生体触媒科学研究分野(谷澤研)
    • 生体情報制御学研究分野(山口研)
    • 生体分子機能科学研究分野(永井研)
  • 新産業創成研究部門
    • 新産業予測研究分野
    • 新産業創造システム研究分野
    • 知的財産研究分野
  • 特別プロジェクト研究部門
    • 第1プロジェクト研究分野
    • 第2プロジェクト研究分野
      • 感染制御学研究分野
      • 極微材料プロセス研究分野
      • セルロースナノファイバー材料研究分野
    • 第3プロジェクト研究分野
      • 生体防御学研究分野(山口研)

附属センター

  • 総合解析センター
  • 産業科学ナノテクノロジーセンター
    • ナノマテリアル・デバイス研究部門
      • 人工生体情報ナノマテリアル分野
      • 単分子素子集積デバイス分野
      • 超分子プロセス分野
      • ナノバイオデバイス分野
      • ナノデバイス診断分野(学内兼任)
      • ナノシステム設計分野(国内客員)
    • ナノ量子ビーム研究部門
      • 量子ビームナノファブリケーション分野(吉田陽一研)
      • ナノ量子ビーム開発分野
      • ナノビームプロセス分野
      • 極限ナノ加工分野(学内兼任)
      • 超高速ナノ構造分野(外国人客員)
    • ナノテクノロジー産業応用研究部門
      • 環境調和ナノマテリアル分野(菅沼研)
      • 計算機ナノマテリアルデザイン分野
      • ナノバイオ知能システム分野
      • ナノテクノロジープロパテント分野(学内兼任)
      • ナノテクノロジートランスファー分野(外国人客員)
    • ナノ構造機能評価研究部門
      • ナノ構造多次元評価分野
      • 表面ナノ構造プロセス評価分野
      • 量子マテリアルデバイス機能評価分野
      • ナノ構造機能理論・シミュレーション分野(学内兼任)
    • オープンラボラトリー
    • 加速器量子ビーム実験室
    • 電子プロセス実験室
    • ナノ加工室
    • ナノテクノロジープロセスファンドリー
  • 新産業創造物質基盤技術研究センター
    • 材料基盤研究プロジェクト
      • ハード材料基盤研究グループ
      • ソフト材料基盤研究グループ
    • 安全・安心ヒューマンインターフェース研究プロジェクト
      • 医療基盤研究グループ
      • ヒューマンインターフェース研究グループ

立地等

所在地
大阪大学吹田キャンパス内
アクセス

参照

外部リンク