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'''屈折'''(くっせつ、{{Lang-en-short|refraction}}<ref>{{Cite book|1 =和書|author =[[文部省]]|coauthors =[[日本分光学会]]|title =[[学術用語集]] 分光学編|edition =増訂版|url =http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi|date =1999年|publisher =[[培風館]]|isbn =4-563-04567-5|page =}}{{リンク切れ|date=2017年10月 |bot=InternetArchiveBot }}</ref>)とは、波([[波動]])が異なる[[媒質]]を通ることによって進行方向を変えることである。異なる媒質を通るときに、波の[[周波数]]が変わらずに進む[[速度]]が変わるため進行方向が変わる([[エネルギー保存の法則]]や[[運動量保存の法則]]による)。観測されやすい屈折は、波が0度以外の角度で媒質を変えるものである。
'''屈折'''(くっせつ、{{Lang-en-short|refraction}}<ref>{{Cite book|1 =和書|author =[[文部省]]|coauthors =[[日本分光学会]]|title =[[学術用語集]] 分光学編|edition =増訂版|url =http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi|date =1999年|publisher =[[培風館]]|isbn =4-563-04567-5|page =}}{{リンク切れ|date=2017年10月 |bot=InternetArchiveBot }}</ref>)とは、波([[波動]])が異なる[[媒質]]を通ることによって進行方向を変えることである。異なる媒質を通るときに、波の[[周波数]]が変わらずに進む[[速度]]が変わるため進行方向が変わる([[エネルギー保存の法則]]や[[運動量保存の法則]]による)。観測されやすい屈折は、波が0度以外の角度で媒質を変えるものである。


光の屈折がもっとも身近な例であるが、例えば音波や水の波動も屈折する。波が進行方向を変える度合いとしては[[ホイヘンス=フレネルの原理|ホイヘンスの原理]]を使った[[スネルの法則]]が成り立つ<ref name=":0">{{Cite book|author=斉藤晴男 兵藤申一|title=高等学校 物理IB|date=1993年|publisher=啓林館}}</ref>。部分的に反射する振る舞いは[[フレネルの式]]で表される。なぜ光が屈折するかについては、[[量子力学]]的に[[経路積分|ファインマンの経路積分]]によって説明される<ref>R. P. Feynman "Space-Time Approach to Non-Relativistic Quantum Mechanics" Rev. Mod. Phys. '''20''' (1948) 367.</ref><ref>R. P. Feynman "Space-Time Approach to Quantum Electrodynamics" Phys. Rev. 76, (1949) pp.769-89 </ref>。
光の屈折がもっとも身近な例であるが、例えば音波や水の波動も屈折する。波が進行方向を変える度合いとしては[[ホイヘンス=フレネルの原理|ホイヘンスの原理]]を使った[[スネルの法則]]が成り立つ<ref name=":0">{{Cite book|author=斉藤晴男 兵藤申一|title=高等学校 物理IB|date=1993年|publisher=啓林館}}</ref>。部分的に反射する振る舞いは[[フレネルの式]]で表される。なぜ光が屈折するかについては、[[量子力学]]的に[[経路積分|ファインマンの経路積分]]によって説明される<ref>R. P. Feynman "Space-Time Approach to Non-Relativistic Quantum Mechanics" Rev. Mod. Phys. '''20''' (1948) 367.</ref><ref>R. P. Feynman "Space-Time Approach to Quantum Electrodynamics" Phys. Rev. 76, (1949) pp.769-89 </ref>。

2018年11月23日 (金) 08:18時点における版

光が屈折しているため、水中の棒が曲がって見える。

屈折(くっせつ、: refraction[1])とは、波(波動)が異なる媒質を通ることによって進行方向を変えることである。異なる媒質を通るときに、波の周波数が変わらずに進む速度が変わるため進行方向が変わる(エネルギー保存の法則運動量保存の法則による)。観測されやすい屈折は、波が0度以外の角度で媒質を変えるものである。

光の屈折がもっとも身近な例であるが、例えば音波や水の波動も屈折する。波が進行方向を変える度合いとしてはホイヘンスの原理を使ったスネルの法則が成り立つ[2]。部分的に反射する振る舞いはフレネルの式で表される。なぜ光が屈折するかについては、量子力学的にファインマンの経路積分によって説明される[3][4]

概要

水中の棒が上に曲がって見える図

屈折は光学ではおもに角度を持った波が、ある屈折率を持った媒質を通ったときの方向変化を扱う。例えば光線がガラスを通ると、屈折して曲がっているように見えるが、これはガラスが空気と異なる屈折率を持っているためである。この光線が水平の角度でガラスを通過した場合、光線は速さを変えて方向を変えないが、この場合も屈折という。

左の図のように、水中に差し込んだ棒が上方に曲がって見える現象は光の屈折で説明できる。空気の屈折率は約1.0003、水の屈折率は約1.3330と異なるため、水から反射した光は屈折して目に届く。つまり図の棒上のxに由来する光が水面で屈折を起こすため、Xの見かけ上の位置はYになる。これが水中の棒が実際より上方にあるように見せる。

屈折率が大きい媒質から小さい媒質にが入るときに、入射光が境界面を透過せずすべて反射することを全反射という。この原理は光ファイバー等に使われる[2]等方的な媒質から異方的な媒質へ波が進む場合は、複屈折を起こす[5]

スネルの法則

スネルの法則の例

スネルの法則は二つの媒質中を進行する波の伝播速度と、入射角・屈折角の関係を表した法則。媒質Aにおける波の速度を、媒質Bにおける波の速度を、媒質Aから媒質Bへの入射角(またはBからAへの屈折角)を、媒質Bから媒質Aへの入射角(またはAからBへの屈折角)をとすると、以下の関係が成立する。

ここで、の値を媒質Aに対する媒質Bの相対屈折率と定義し、これを(または)で表す。以上のことをまとめると

となる(図を参照)。

フレネルの式

フレネルの式は、界面における光のふるまい(反射屈折)を記述する式である。屈折率がの媒質からの媒質へ界面に垂直に光線が入射すると、入射光の強度をとした場合の反射光の強度は以下のように表される。[6]

入射面の内側に偏光している光が、透明な媒質の表面で反射された場合の入射角を屈折角をとすると、反射光の強度は以下のように表される。

入射面に垂直な方向に偏光している光の場合には以下のようになる。

自然現象

蜃気楼幻日逃げ水のほか、日没日の出の時刻が天文学上の計算からずれるという形で現れる。音波の例としては、特定の天候に限って遠方の鉄道などの音がはっきり聞こえるというものがある。これは上空に逆転層が生じ、低温の空気では音速が下がるため、いったん上空に向かって進んだ音波が屈折し、再び地上に戻ってくると説明される[2]

応用機器

レンズ
プリズム
  • レンズ - 凸レンズでは通した光を屈折させて一点に集中させ、凹レンズでは光を屈折させて並行に進ませることによって、観測している者に実像より拡大や縮小した像を見せる。レンズは顕微鏡望遠鏡眼鏡などに使われる[2]
  • プリズム - 媒質は光の波長によって異なるため、プリズムを出る光は波長の違いにより色ごとに分散する。この光の分散が虹のようなスペクトルを作り出す。
  • 糖度計 - 試料液(測定対象となる液体)に含まれる糖の含有量によって光の屈折率が異なる性質を利用して糖度を計る[7]

脚注

  1. ^ 文部省日本分光学会学術用語集 分光学編』(増訂版)培風館、1999年。ISBN 4-563-04567-5http://sciterm.nii.ac.jp/うcgi-bin/reference.cgi [リンク切れ]
  2. ^ a b c d 斉藤晴男 兵藤申一 (1993年). 高等学校 物理IB. 啓林館 
  3. ^ R. P. Feynman "Space-Time Approach to Non-Relativistic Quantum Mechanics" Rev. Mod. Phys. 20 (1948) 367.
  4. ^ R. P. Feynman "Space-Time Approach to Quantum Electrodynamics" Phys. Rev. 76, (1949) pp.769-89
  5. ^ 複屈折とは”. ユニオプト株式会社. 2017年1月2日閲覧。
  6. ^ フレネルの反射公式”. コトバンク. 2017年1月1日閲覧。
  7. ^ 屈折計ってどんな装置?”. 京都電子工業株式会社. 2017年1月2日閲覧。

関連項目

外部リンク