コンテンツにスキップ

「Layer By Layer」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Roudai (会話 | 投稿記録)
全般的な内容の修正
1行目: 1行目:
'''Layer By Layer'''(レイヤー・バイ・レイヤー、'''略称LBL''')は、[[ルービックキューブ]]の解法の一つ。
'''Layer By Layer'''(レイヤー・バイ・レイヤー、略称'''LBL''')は、[[ルービックキューブ]]の解法の一つ。
3x3x3の立方体である[[ルービックキューブ]]を3つの層と見立てて、一層ずつ順番に揃えていくことから、Layer By Layer(日本語訳:層ごとに)という名前が付けられている。
近年では、特にCross、F2L、OLL、PLLの頭文字を取って、'''CFOP'''と呼ぶことも多い
== 歴史 ==

David Singmasterが著書「Notes on Rubik's "Magic Cube" 」(1980年)の中で紹介したのが始まりとされる<ref name="linkedresources">{{cite web |url = http://www.linkedresources.com/teach/rubik/solution.php |title = A Step by Step Solution of Rubik's "Magic Cube" |author = David Singmaster |date = 1980-08-06 |publisher = Jeffrey W Baumann & LinkedResources |accessdate=2018-12-23|archiveurl = https://web.archive.org/web/20060304183050/http://www.linkedresources.com/teach/rubik/solution.php |archivedate=2006-03-04}}</ref><ref name="ryanheise-beginner">{{cite web |url = http://www.ryanheise.com/cube/beginner.html |title = Beginner's Rubik's Cube Solution |quote = The general layer-by-layer approach described above is credited to mathematician David Singmaster and was first published in his 1980 book "Notes on Rubik's Magic Cube" |author = Ryan Heise |accessdate=2018-12-23|archiveurl = https://web.archive.org/web/20150926083418/http://www.ryanheise.com/cube/beginner.html |archivedate = 2015-09-26}}</ref>。また1981年にベストセラーとなったJames G. Nourseの著書「The Simple Solution to Rubik's Cube」の中でも、同様の考えが採用されている<ref name="upi">{{cite news|url=http://www.upi.com/Archives/1982/01/05/BEST-SELLER/3264379054800/|last=Hanauer|first=Joan|title=The man who wrote the best-selling book of 1981|date=5 January 1982|publisher=United Press International}}</ref>。
== 概要 ==
[[ルービックキューブ]]構造を3層、各層を順に揃えていく解法。現在スピーキュービストの中で最もポピュラーであり最速完成のベースとして知られている。現在主流であるCFOPはLBLを更に高速に揃えるために発展メソッドと言える。
現在ルービックキューブのスピード解法最も普及している[[CFOPメソッ]](別名Fridrichメソッド)は、Layer By Layer考えをベースとして発展させものである。
CFOPのスタンダードメソッドとしては2017年現在、Cross以降はF2Lが41手順、OLLが57手順、PLLが21手順の合計119手順が知られている<ref>[http://roudai.net/beginner/ ルービックキューブを速く揃えられるようになるには]</ref>。
この119手順のうち、Cross以降は完全1面を6手順(基本3+例外3<ref>コーナーピースが90度回転している場合、例外ステップを経て基本ステップを回す手順がある。</ref>)、F2Lを2手順、上面クロスを1手順、OLLを1手順、3段目コーナーを揃える1手順、3段目エッジを揃える1手順の最低12手順だけで(配色パターンによって持ち替えて同じ手順を数回繰り返す事で)揃えることが可能である。初心者が記憶するには[[ツクダ式]]よりも手順が多いが、1つの手順は90度回転が3回~10回ほどであり、回転させる箇所も上面(U)・正面(F)・右面(R)・下面(D)の4ヶ所で済み、回転パターンが他の手順にも応用しやすいという利点がある。

Layer By Layerの中でも、アメリカのJessica Fridrichによって考案されたFridrich Methodがよく知られており、彼女自身この解法を用いて平均17秒完成を達成し、当時17歳にして世界チャンピオンの座に輝いた。

2017年現在、スピードキュービングの最速を競っている選手はOLLから6面を意図的に完成させる手順(Orientation of Last Layer and Corner Permutation '''OLLCP''')を用いているが、これ自体は331手順とかなり多い。それでも利用すればPLLをキャンセル出来る確率が通常のOLLよりも6倍に跳ね上がる為、OLLCPはスピードキュービストの命題となっている<ref>[http://blog.roudai.net/post-37/ ルービックキューブ世界記録4.90秒の凄さを一般人にも分かりやすく解説]</ref>。
その他、CFOPを基にしたサブステップが日々研究されている。

== 完成までの流れ ==
== 完成までの流れ ==
LBLでは、以下の4つの流れに従って6面を完成させる。
Layer By Layerでは、以下の流れに従って6面を完成させる。各パーツの名称については[[ルービックキューブ]]を参照


=== クロス(一層目エッジ) ===
=== CROSS ===
[[File:Rubiks_19.svg|thumb|80px|CROSS]]
[[File:01 lbl cross.png|thumb|100px|クロス]]
一層目のエッジを揃える。4つのエッジが揃った状態がクロス(十字架)の形になるため、クロスと呼ばれる。ルービックキューブでは各面のセンターのパーツは移動しないため、クロスの側面と各センターの色が合っている必要がある。
一番初めに行う手順。
{{-}}


=== 完全一面(一層目コーナー) ===
上面または下面に少なくとも十字ができるようにキューブを移動する。
[[File:02 lbl fl.png|thumb|100px|完全一面]]
一層目のコーナーを揃える。一面の色と同時に、その側面の色も揃った状態のことを完全一面と呼ぶ。一方、一面の色が揃っているが側面の色は揃っていない状態のことを不完全一面と呼ぶが、そこからでは六面を揃えることはできない。
{{-}}


=== 二層目(Middle Layer)エッジ ===
この時、十字の側面の色も同時に揃える。
[[File:03 lbl f2l.png|thumb|100px|Middle Layer]]
二層目のエッジを揃える。最終層にあるエッジを二層目の適切な位置に移動させるための手順として、最短8手の手順を2つ覚えれば揃えることが可能である。この工程が終わることで、三層のルービックキューブのうち下二層が揃う。
{{-}}


=== F2L ===
=== 最終層(Last Layer) ===
==== エッジ向き - Edge Orientation(EO) ====
[[File:Rubiks_20.svg|thumb|80px|完全一面]]
[[File:Rubiks_7.svg|thumb|80px|F2L]]
[[File:04 lbl eo.png|thumb|100px|Edge Orientation(EO)]]
最終層のエッジの向きを揃える。2つのエッジを反転させる最短6手の手順を1つ覚えれば処理可能。
F2Lは、First Two Layer(ファースト・ツー・レイヤー)の略称。
{{-}}


==== コーナー向き - Corner Orientation(CO) ====
2層目までを揃える。CROSSの手順も初めの2層に含まれているが、一般にF2LはCROSS後の手順を指す。
[[File:05 lbl co.png|thumb|100px|Corner Orientation(CO)]]
最終層のコーナーの向きを揃える。3つのコーナーを回転させる最短7手の手順を1つ覚えれば処理可能。
{{-}}


==== コーナー場所 - Corner Permutation(CP) ====
入門手順では、まずは完全1面を完成させてから2層目を揃える。
[[File:06 lbl cp.png|thumb|100px|Corner Permutation(CP)]]
最終層のコーナーの場所を揃える。 3つのコーナーを移動させる最短9手の手順を1つ覚えれば処理可能。
{{-}}


==== エッジ場所 - Edge Permutation(EP) ====
=== OLL ===
[[File:Rubiks_4.svg|thumb|80px|上面クロス]]
[[File:07 lbl ep.png|thumb|100px| Edge Permutation(EP)]]
最終層のエッジの場所を揃える。3つのエッジを移動させる最短9手の手順を1つ覚えれば処理可能。
[[File:Rubiks_8.svg|thumb|80px|OLL]]
{{-}}
OLLは、Orienting Last Layer(オリエンティング・ラスト・レイヤー)の略称。


=== 補足 ===
3層目の上面の色を合わせる手順。
最終層のエッジ向き(EO)・場所(EP)、コーナー向き(CO)・場所(CP)は、前の工程に影響を及ばさない(COと同時に前工程で揃えたEOも変わる等)手順を使うのであれば、どの順番で処理をしても完成させることができる。
現在最も使われる順番は、それぞれの工程が6~9手と少ない手数で処理可能なEO→CO→CP→EPであるが、David Singmasterが最初にまとめた方法ではEO→EP→CP→COとなっている。


== 出典 ==
入門手順では、まずはエッジキューブの上面の色を合わせてから(この状態を上面クロスと呼ぶ場合もある)、残りのコーナーキューブを合わせる。

=== PLL ===
<!--
[[File:Rubiks_18.svg|thumb|80px|完成]]
-->
PLLは、Permuting Last Layer(パーミュティング・ラスト・レイヤー)の略称。

最後の手順。3層目の各キューブを正しい位置に移動させ、完成させる。

入門手順では、まずはコーナーキューブを正しい位置に移動させてから、残りのエッジキューブを正しい位置に移動させて完成させる。

== 参考文献 ==
*『頭を鍛えるルービックキューブ完全解析!』[[宝島社]]、2005年。
:LBL法のパターンが網羅されている。

== 脚注 ==
{{Reflist}}
{{Reflist}}


== 外部リンク ==
* [http://www.ws.binghamton.edu/fridrich/cube.html Jessica Fridrich]
* [http://roudai.net/ roudai.net CFOPを基にしたスピードキュービングの為の解法サイト]
{{ルービックキューブ}}
{{ルービックキューブ}}

[[Category:ルービックキューブ|れいやはいれいや]]
[[Category:ルービックキューブ|れいやはいれいや]]

2018年12月21日 (金) 15:38時点における版

Layer By Layer(レイヤー・バイ・レイヤー、略称LBL)は、ルービックキューブの解法の一つ。 3x3x3の立方体であるルービックキューブを3つの層と見立てて、一層ずつ順番に揃えていくことから、Layer By Layer(日本語訳:層ごとに)という名前が付けられている。

歴史

David Singmasterが著書「Notes on Rubik's "Magic Cube" 」(1980年)の中で紹介したのが始まりとされる[1][2]。また1981年にベストセラーとなったJames G. Nourseの著書「The Simple Solution to Rubik's Cube」の中でも、同様の考えが採用されている[3]。 現在ルービックキューブのスピード解法として最も普及しているCFOPメソッド(別名Fridrichメソッド)は、Layer By Layerの考えをベースとして発展させたものである。

完成までの流れ

Layer By Layerでは、以下の流れに従って6面を完成させる。各パーツの名称についてはルービックキューブを参照。

クロス(一層目エッジ)

クロス

一層目のエッジを揃える。4つのエッジが揃った状態がクロス(十字架)の形になるため、クロスと呼ばれる。ルービックキューブでは各面のセンターのパーツは移動しないため、クロスの側面と各センターの色が合っている必要がある。

完全一面(一層目コーナー)

完全一面

一層目のコーナーを揃える。一面の色と同時に、その側面の色も揃った状態のことを完全一面と呼ぶ。一方、一面の色が揃っているが側面の色は揃っていない状態のことを不完全一面と呼ぶが、そこからでは六面を揃えることはできない。

二層目(Middle Layer)エッジ

Middle Layer

二層目のエッジを揃える。最終層にあるエッジを二層目の適切な位置に移動させるための手順として、最短8手の手順を2つ覚えれば揃えることが可能である。この工程が終わることで、三層のルービックキューブのうち下二層が揃う。

最終層(Last Layer)

エッジ向き - Edge Orientation(EO)

Edge Orientation(EO)

最終層のエッジの向きを揃える。2つのエッジを反転させる最短6手の手順を1つ覚えれば処理可能。

コーナー向き - Corner Orientation(CO)

Corner Orientation(CO)

最終層のコーナーの向きを揃える。3つのコーナーを回転させる最短7手の手順を1つ覚えれば処理可能。

コーナー場所 - Corner Permutation(CP)

Corner Permutation(CP)

最終層のコーナーの場所を揃える。 3つのコーナーを移動させる最短9手の手順を1つ覚えれば処理可能。

エッジ場所 - Edge Permutation(EP)

Edge Permutation(EP)

最終層のエッジの場所を揃える。3つのエッジを移動させる最短9手の手順を1つ覚えれば処理可能。

補足

最終層のエッジ向き(EO)・場所(EP)、コーナー向き(CO)・場所(CP)は、前の工程に影響を及ばさない(COと同時に前工程で揃えたEOも変わる等)手順を使うのであれば、どの順番で処理をしても完成させることができる。 現在最も使われる順番は、それぞれの工程が6~9手と少ない手数で処理可能なEO→CO→CP→EPであるが、David Singmasterが最初にまとめた方法ではEO→EP→CP→COとなっている。

出典

  1. ^ David Singmaster (1980年8月6日). “A Step by Step Solution of Rubik's "Magic Cube"”. Jeffrey W Baumann & LinkedResources. 2006年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月23日閲覧。
  2. ^ Ryan Heise. “Beginner's Rubik's Cube Solution”. 2015年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月23日閲覧。 “The general layer-by-layer approach described above is credited to mathematician David Singmaster and was first published in his 1980 book "Notes on Rubik's Magic Cube"”
  3. ^ Hanauer, Joan (5 January 1982). “The man who wrote the best-selling book of 1981”. United Press International. http://www.upi.com/Archives/1982/01/05/BEST-SELLER/3264379054800/