コンテンツにスキップ

「大塚康生」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
144行目: 144行目:
== 画集 ==
== 画集 ==
*ミリタリー 4×4 グラフティ(1998年)
*ミリタリー 4×4 グラフティ(1998年)
*大塚康生の機関車少だったころ
*大塚康生 ルパン三世 作画集(2012
*大塚康生の機関車少年だったころ(2016年)


== DVD ==
== DVD ==

2019年10月26日 (土) 02:33時点における版

おおつか やすお
大塚 康生
生年月日 (1931-07-11) 1931年7月11日(93歳)
出生地 日本の旗 日本島根県鹿足郡津和野町
国籍 日本の旗 日本
職業 アニメーターキャラクターデザイナー
ジャンル アニメーション
テンプレートを表示

大塚 康生(おおつか やすお、1931年7月11日 - )は、島根県出身のアニメーターキャラクターデザイナー

東映動画では、直属の上司として新入当時の宮崎駿の指導育成に当った。他にも杉井ギサブロー月岡貞夫芝山努小田部羊一椛島義夫近藤喜文田中敦子うつのみや理貞本義行田中達之板垣伸など多くのアニメ業界人に影響を与えた。

人物

東映動画アニメーター第一期生。日本におけるアニメの創成期から第一線で活躍し、宮崎駿高畑勲と組んで『太陽の王子 ホルスの大冒険』『ルパン三世』『パンダコパンダ』『未来少年コナン』『じゃりン子チエ』などを手がける。演出を担当する時には、鈴木一というペンネームを用いることがある。

麻薬取締官事務所勤務という異色の経歴を持つ[1]英語中国語にも堪能であるらしい[2]。東映動画では、直属の上司として新入社員・宮崎駿の指導育成に当たった。他にも指導を受けた人材は多数にのぼる(著名な人物として、杉井ギサブロー月岡貞夫芝山努小田部羊一椛島義夫近藤喜文田中敦子うつのみや理貞本義行田中達之板垣伸など)。

軍用車両に造詣が深く、ジープマニアとしても有名である。田宮模型(現・タミヤ)初代社長である田宮義雄の息子の1人が東映動画に勤務しており[3]、その縁から田宮模型のジープ型ラジコンカー『ワイルドウィリス』のデザインを手がけたり、ミリタリーミニチュアシリーズで兵士フィギュアのポーズ監修を担当したり、ミニ四駆のボディを実車をデフォルメしたものにするようにアドバイスを与えたりもしている。一時はアニメーター廃業を決意し、プラモデルメーカーのMAX模型に勤務したこともあった[4]

『MVJ』(Military Vehicle Journal)という軍用自動車研究誌を、1989年から2000年にかけて私費で13冊発行した。これは印刷された部数が極めて少なく、書店での販売はされなかった。編集は大塚がすべて行い、内容は資料性が高く各国のアーカイブからの写真とオリジナル・イラストも多く掲載されている。

現在は一線を離れ、スタジオジブリ東映アニメーション研究所などで後進の指導に当たっている。その一方、『無敵看板娘』では久々にテレビアニメの原画エンディングアニメーション)を担当したりもしている。また、近年の『ルパン三世』作品については「絵や内容が保守的。いっその事一から作り直した方が良い」と苦言を呈している。「アニメーターは演技者である」とつねづね公言しており[5]、最近の止め絵ばかりのアニメにも苦言を呈することが多い。

そのダイナミック&コミカルなアニメートは話題を呼び、宮崎と組んだ『未来少年コナン』や『ルパン三世 カリオストロの城』、『 ルパン三世 (TV第2シリーズ)さらば愛しきルパンよ』などで、その才能を発揮した。

日本アニメーター・演出協会(JAniCA)会員。テレコム・アニメーションフィルム顧問。

略年譜

主な作品

エピソード

  • 2006年8月16日から20日に入間市博物館で開催された「JEEPの機能美展」には、大塚所有のFIAT500が展示されていた。
  • 鉄道写真家南正時はAプロダクション在籍時、大塚が描いた蒸気機関車のスケッチや写真を見たことが、鉄道写真家への転向のきっかけとなった。
  • 無類の車好きとしても知られるが、『ルパン三世』での荒い運転描写は、大塚に車の購入を勧めた販売員が降雨直後の荒川にて、水しぶきに突っ込んだ際のスリップの立て直し実演を見せられたことが着想元になっている。また、『ルパン三世 カリオストロの城』で有名なカーチェイスが生まれたのは、相当痛んでいた中古の自家用車を運転中、ものすごい勢いでタイヤごと車体が吹き飛んだからである。
  • 高畑勲Aプロダクションから日本アニメーションに移籍する際には、彼の給与や待遇などの交渉を行なった。大塚本人は、「日本アニメーションに対し、最高の待遇を出してくれるならという条件で高畑に移籍を説得すると言った」と語っている。
  • 押井守監督の実写映画『紅い眼鏡』にタクシー運転手役で出演している(台詞は永井一郎が担当)。
  • 西崎義展から『宇宙戦艦ヤマト』に作画監督として参加しないかと誘われたことがあるが、即座に断っている[8]
  • 小田部羊一が時代考証を行った『なつぞら』(2019年度上期NHK連続テレビ小説)では、大塚をモチーフにした人物として、警察官出身の下山克己(演・川島明)が登場している[9]

著書

  • 作画汗まみれ アニメージュ文庫:徳間書店、1982年
  • 宮崎駿・大塚康生の世界(宮崎駿と共著):オフィスアクション、1982年
  • JEEP JEEP JEEP(編集・執筆):ホビージャパン、1983年
  • 大塚康生16歳の車の画帖:徳間書店、1987年
  • 軍用ジープ(編訳):徳間書店、1987年
  • イラストレーターの仕事・アニメーターの仕事(わたせせいぞうと共著):ダイヤモンド社、1992年
  • ジープ太平洋の旅:ホビージャパン、1994年
  • 大塚康生のおもちゃ箱:自費出版、1996年
  • 作画汗まみれ 増補改訂版:徳間書店、2001年
  • ジープが町にやってきた:平凡社ライブラリー、2002年
  • ディズニーアニメーション 生命を吹き込む魔法(日本語版監修 共同):徳間書店、2002年
  • リトル・ニモの野望:徳間書店、2004年
  • 大塚康生インタビュー アニメーション縦横無尽(森遊机と共著):実業之日本社、2006年
  • 王と鳥 スタジオジブリの原点(共著):大月書店、2006年
  • 作画汗まみれ 改訂最新版:文藝春秋〈文春ジブリ文庫〉、2013年

画集

  • ミリタリー 4×4 グラフティ(1998年)
  • 大塚康生 ルパン三世 作画集(2012年)
  • 大塚康生の機関車少年だったころ(2016年)

DVD

  • 大塚康生の動かす喜び(2004年)

ドキュメンタリー映画

関連項目

脚注

  1. ^ 大塚康生『作画汗まみれ 改訂最新版』(文藝春秋〈文春ジブリ文庫〉、2013年)p.20。ただし取締官ではなく、補助職員であった。
  2. ^ ジブリの仕事のやりかた。宮崎駿・高畑勲・大塚康生の好奇心。(2004年7月)
  3. ^ 田宮俊作田宮模型の仕事 (文春文庫)[要ページ番号]
  4. ^ 大塚康生『大塚康生インタビュー』(実業之日本社、2006年)p.154
  5. ^ キャラクターも演技者であれ 大塚康生×上田文人対談 ~もっと上手くなりたい!動かす力~(2010年9月)
  6. ^ これは当時東京には定職のない転入者が規制されていたことから、上京するために厚生省の試験を受けて合格したという経緯による(大塚、2013年、p.21)。
  7. ^ 日本アカデミー賞公式サイト”. 日本アカデミー賞協会の運営する公式サイト。日本アカデミー賞の概要、歴史の他、歴代の全受賞者受賞作品のデータを掲載。. 2019年1月19日閲覧。
  8. ^ 宮崎駿の"師匠"の原点は蒸気機関車だった - 東洋経済オンライン
  9. ^ 『なつぞら』麒麟・川島明 実在モデルは高畑勲&宮崎駿の“育ての親”だった 2019年7月11日、文春オンライン 2019年9月26日閲覧

外部リンク