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== SI接頭辞 ==
== SI接頭辞 ==
{{SI接頭辞}}
{{SI接頭辞}}なお、1024(2<sup>10</sup>)倍毎の接頭辞として、IEC([[国際電気標準会議]])にて、「キビ」(kibi,記号:Ki)や「メビ」(mebi,記号:Mi)など、SI接頭辞と区別できる[[2進接頭辞]]が定められているが、当試験にて「[[キビバイト|キビバイト(kibibyte,記号:KiB)]]」や「[[メビバイト|メビバイト(mebibyte,記号:MiB)]]」」などの単位が用いられたことは無い(2020年2月現在)。


== 情報工学の分野における使用法 ==
== 情報工学の分野における使用法 ==
情報工学の分野において、接頭辞「キロ」は、国際単位系 (SI) に従い'''1000'''(10<sup>3</sup>)倍を示す場合と、慣例的<ref>情報工学の分野において、接頭辞「キロ」を、国際単位系 (SI) の定めに従わず、慣例的に1024(2<sup>10</sup>)倍を示す場合があるのは、コンピュータが内部ですべての数値を[[二進法|2進数]]に置き換えて処理していることと、1024(2<sup>10</sup>)が概ね1000であること、及び、な[[オペレーティングシステム|OS]]([[Microsoft Windows]]や[[macOS]]など)にて[[電子媒体|記憶媒体]]の容量や[[ファイルサイズ]]の換算に用いていることが理由である。</ref>に'''1024'''(2<sup>10</sup>)倍を示す場合<ref name="Windows">[[Microsoft Windows]]や[[macOS]]では、コンピュータの記憶容量について1024[[バイト (情報)|バイト]]を1[[キロバイト]](記号もSI接頭辞に従わず、"KB"(頭文字が大文字)と表記)と換算している。</ref><ref name="ITEngineersExamination">[[国家試験]]である[[情報処理技術者試験]]の試験問題にて、「1kバイト=1000バイト」として計算させる場合([[基本情報技術者]] 平成28年春期 午前 問12など)と、「1kバイト=1024バイト」として計算させる場合(基本情報技術者 平成25年秋期 午前 問11など)がる。</ref><ref name="TextBook">[https://seiai.ed.jp/sys/text/csd/cf13/c13b060.html 各教科書のキロバイト] 高等学校の教育課程「[[情報 (教科)|情報の科学]]」の教科書では、「[[キビバイト]]」など[[2進接頭辞]]を用いた単位の説明をせず、「キロ」を1024倍と説明するものが多い。 </ref>がある。この曖昧さを回避するため、'''1024'''(2<sup>10</sup>)倍を表す接頭辞として、IEC([[国際電気標準会議]])にて、SI接頭辞と区別できる[[2進接頭辞]]「'''キビ'''」(kibi,記号:Ki)が定められているが、「[[キビバイト|キビバイト(kibibyte,記号:KiB)]]」は、あまり用いられていない<ref name="Windows" /><ref name="ITEngineersExamination" /><ref name="TextBook" />。また、国際単位系 (SI) 第8版(2006年)にて、キロやその他のSI接頭辞を'''決して2の[[べき乗]]を表すために用いてはならない'''と定めている<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/library/units/si/R8/SI8J.pdf 国際単位系 (SI) 第8版(2006)日本語版(原書:国際度量衡局 日本語訳:産業技術総合研究所 計量標準総合センター)] 3.SI 単位の10進の倍量及び分量 3.1 SI接頭語 p.33サイドノート<br />「これらのSI接頭語は10の整数乗を表す。それらを決して2のべき乗を表すために用いてはならない(例えば,1キロビットは1000ビットであり,1024ビットではない)。IEC 規格 60027-2:2005,第3版,電気用文字記号―第2部:電気通信及びエレクトロニクス(IEC 60027-2: 2005, third edition, Letter symbols to be used in electrical technology –Part 2: Telecommunications and electronics)では2<sup>10</sup>,2<sup>20</sup>,2<sup>30</sup>,2<sup>40</sup>,2<sup>50</sup>,及び2<sup>60</sup>に対する接頭語がそれぞれ以下のように定義されている。
情報工学の分野において、SI接頭辞「キロ」は、国際単位系 (SI) の定めに従い'''1000'''(10<sup>3</sup>)倍を示す場合と、慣例的<ref>情報工学の分野において、接頭辞「キロ」を、国際単位系 (SI) の定めに従わず、慣例的に1024(2<sup>10</sup>)倍を示す場合があるのは、[[コンピュータ]]が内部ですべての数値を[[二進法|2進数]]に置き換えて処理していることと、1024(2<sup>10</sup>)が概ね1000であること、及び、代表的な[[オペレーティングシステム|OS]]([[Microsoft Windows]]や[[macOS]]など)にて[[電子媒体|記憶媒体]]の容量や[[ファイルサイズ]]の換算に用いていることが主な理由である。</ref>に'''1024'''(2<sup>10</sup>)倍を示す場合<ref name="Windows">[[Microsoft Windows]]や[[macOS]]では、コンピュータの記憶容量やファイルサイズについてについて1024[[バイト (情報)|バイト]]を1[[キロバイト]](記号もSI接頭辞に従わず、"KB"(頭文字が大文字)と表記)と換算している。</ref><ref name="ITEngineersExamination">[[国家試験]]である[[情報処理技術者試験]]にて、「1kバイト=1000バイト」として計算させる問題([[基本情報技術者]] 平成28年春期 午前 問12など)と、「1kバイト=1024バイト」として計算させる問題(基本情報技術者 平成25年秋期 午前 問11など)が出題されている。</ref><ref name="TextBook">[https://seiai.ed.jp/sys/text/csd/cf13/c13b060.html 各教科書のキロバイト] [[高等学校]][[教育課程]]「[[情報 (教科)|情報の科学]]」の教科書では、「[[キビバイト]]」など[[2進接頭辞]]を用いた単位の説明をせず、「キロ」を1024倍と説明するものが多い。 </ref>がある。この曖昧さを回避するため、'''1024'''(2<sup>10</sup>)倍を表す接頭辞として、IEC([[国際電気標準会議]])にて、SI接頭辞と区別できる[[2進接頭辞]]「'''キビ'''」(kibi,記号:Ki)が定められているが、「[[キビバイト|キビバイト(kibibyte,記号:Kib)]]」や「[[キビビット|キビビット(kibibit,記号:Kibit,Kib)]]」などの単位は、あまり用いられていない<ref name="Windows" /><ref name="ITEngineersExamination" /><ref name="TextBook" />。また、国際単位系 (SI) 第8版(2006年)にて、キロやその他のSI接頭辞を'''決して2の[[べき乗]]を表すために用いてはならない'''と定めている<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/library/units/si/R8/SI8J.pdf 国際単位系 (SI) 第8版(2006)日本語版(原書:国際度量衡局 日本語訳:産業技術総合研究所 計量標準総合センター)] 3.SI 単位の10進の倍量及び分量 3.1 SI接頭語 p.33サイドノート<br />「これらのSI接頭語は10の整数乗を表す。それらを決して2のべき乗を表すために用いてはならない(例えば,1キロビットは1000ビットであり,1024ビットではない)。IEC 規格 60027-2:2005,第3版,電気用文字記号―第2部:電気通信及びエレクトロニクス(IEC 60027-2: 2005, third edition, Letter symbols to be used in electrical technology –Part 2: Telecommunications and electronics)では2<sup>10</sup>,2<sup>20</sup>,2<sup>30</sup>,2<sup>40</sup>,2<sup>50</sup>,及び2<sup>60</sup>に対する接頭語がそれぞれ以下のように定義されている。
:名称 / 記号
:名称 / 記号
*キビ (kibi) / Ki
*キビ (kibi) / Ki

2020年2月23日 (日) 04:59時点における版

概要

キロ(kilo, 記号:k)は国際単位系 (SI) における接頭辞の一つで、以下のように、基礎となる単位の103(=1000)倍の量であることを示す。記号は小文字立体の「k」である。

1795年の当初のメートル法で定められた6つの接頭辞の一つである。キロは、ギリシア語1000を意味する χίλιοι (khilioi) に由来する。当時は、倍量の接頭辞はギリシャ語から、分量の接頭辞はラテン語から作成することとしていた。そこで、ギリシャ語の単語をフランス語風に変更して作られたのがキロ (kilo) である。1960年の第11回国際度量衡総会 (CGPM) でSIが制定される際に正式に承認された。

小文字を使う理由

倍量の接頭辞の記号のほとんどは大文字であるが、キロは小文字である[1]。これは、倍量には大文字を使うという決まりができる前にすでにキロが定められている。また、小文字で定着していたためである。しばしば"Kg"(キログラム)、"Km"(キロメートル)などと表記されることがあるが、これらは誤りで、正しくは"kg"、"km"である[2]。大文字の「K」は、熱力学温度の単位であるケルビンの記号であるため、Kg、Kmと記述した場合は、「ケルビン グラム」「ケルビン メートル」と誤読される可能性がある。なお、大文字「K」を用いることに計量法上の罰則が伴うものではない。

日本の一般道路の道路標識では、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」[3]により、"Km"(頭文字を大文字)と標示するよう定めていたが、 2008年平成20年)8月1日以降、"km"(頭文字を小文字)と標示するように省令が改正された[4][5]。なお、高速道路での案内標識は、新設当初から"km"(頭文字を小文字)と標示している[6]

曖昧な使われ方

日本において、単に「キロ」と言った場合には、キロメートル (km) またはキログラム (kg) 、ないしはキロメートル毎時 (km/h) を指すことが多い。技術者は金額や人口などの1,000についても「キロ」を用いることがある(例えば20,000円を「20キロ円」と呼び、¥20kと略記する。「単位:千円」として100,000円を100(=100千円)と表記されるのと似ている)。特にアメリカ軍では、しばしば "klick" と略される。2000年問題Y2K問題ワイツーケイもんだい、Y"は年=year、"K"はキロ=kilo)とも呼称された。

SI接頭辞

SI接頭語
接頭語 記号 10n 十進数表記 漢数字表記 short scale メートル法への導入年 国際単位系における制定年
クエタ (quetta) Q 1030 1000000000000000000000000000000 nonillion 2022年
ロナ (ronna) R 1027 1000000000000000000000000000 𥝱 octillion 2022年
ヨタ (yotta) Y 1024 1000000000000000000000000 𥝱 septillion 1991年
ゼタ (zetta) Z 1021 1000000000000000000000 sextillion 1991年
エクサ (exa) E 1018 1000000000000000000 quintillion 1975年
ペタ (peta) P 1015 1000000000000000 quadrillion 1975年
テラ (tera) T 1012 1000000000000 trillion 1960年
ギガ (giga) G 109 1000000000 billion 1960年
メガ (mega) M 106 1000000 million 1874年 1960年
キロ (kilo) k 103 1000 thousand 1795年 1960年
ヘクト (hecto) h 102 100 hundred 1795年 1960年
デカ (deca) da 101 10 ten 1795年 1960年
    100 1 one  
デシ (deci) d 10−1 0.1 tenth 1795年 1960年
センチ (centi) c 10−2 0.01 hundredth 1795年 1960年
ミリ (milli) m 10−3 0.001 thousandth 1795年 1960年
マイクロ (micro) μ 10−6 0.000001 millionth 1874年 1960年
ナノ (nano) n 10−9 0.000000001 billionth 1960年
ピコ (pico) p 10−12 0.000000000001 trillionth 1960年
フェムト (femto) f 10−15 0.000000000000001 須臾 quadrillionth 1964年
アト (atto) a 10−18 0.000000000000000001 刹那 quintillionth 1964年
ゼプト (zepto) z 10−21 0.000000000000000000001 清浄 sextillionth 1991年
ヨクト (yocto) y 10−24 0.000000000000000000000001 septillionth 1991年
ロント (ronto) r 10−27 0.000000000000000000000000001 octillionth 2022年
クエクト (quecto) q 10−30 0.000000000000000000000000000001 nonillionth 2022年

情報工学の分野における使用法

情報工学の分野において、SI接頭辞「キロ」は、国際単位系 (SI) の定めに従い1000(103)倍を示す場合と、慣例的[7]1024(210)倍を示す場合[8][9][10]がある。この曖昧さを回避するため、1024(210)倍を表す接頭辞として、IEC(国際電気標準会議)にて、SI接頭辞と区別できる2進接頭辞キビ」(kibi,記号:Ki)が定められているが、「キビバイト(kibibyte,記号:Kib)」や「キビビット(kibibit,記号:Kibit,Kib)」などの単位は、あまり用いられていない[8][9][10]。また、国際単位系 (SI) 第8版(2006年)にて、キロやその他のSI接頭辞を決して2のべき乗を表すために用いてはならないと定めている[11]が、大手IT企業であるマイクロソフトアップルなどが、未だ国際単位系 (SI) の定めに完全には従っておらず[8][9][10]2のべき乗を表す用法も混在する状況は解決されていない

脚注

  1. ^ [1] 「計量単位のSI化に係るQ & A(SI単位等普及推進委員会 通商産業省 計量行政室)、 Q5: 接頭語のキロに大文字のKを使用することは可能か。 A5:SIのルールでは、大文字のKは温度の計量単位であるケルビン (K) を表す記号ですので、誤解を生む要因となります。したがって、正しく小文字のkを使用すべきです。特に、欧州やISOなどでは、記号も含めて整合性を求められますので、正しい記号を使用することをお薦めします。 なお、計量法は、計量単位記号については、標準となるべきものを定めていますので、大文字のKを用いることに罰則が伴うものではありません。」
  2. ^ 国際単位系(SI)は世界共通のルールです(PDF) 3ページ目の右下の「誤りやすい単位記号の例」として"10 Kg"(正しくは→ 10 kg)が示されている。
  3. ^ 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和三十五年総理府・建設省令第三号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2017年4月21日). 2020年1月9日閲覧。 “2017年7月1日施行分”
  4. ^ 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部改正について 国土交通省、距離を標示する「Km」標記の「km」への変更。2008年(平成20年)6月30日内閣府国土交通省令第2号による改正内容の報道発表資料。
  5. ^ [2] 国土交通省道路局、道路標識、"案内標識一覧"
  6. ^ 1963年昭和38年)7月13日、総理府建設省令第2号。同年7月14日施行
  7. ^ 情報工学の分野において、接頭辞「キロ」を、国際単位系 (SI) の定めに従わず、慣例的に1024(210)倍を示す場合があるのは、コンピュータが内部ですべての数値を2進数に置き換えて処理していることと、1024(210)が概ね1000であること、及び、代表的なOSMicrosoft WindowsmacOSなど)にて記憶媒体の容量やファイルサイズの換算に用いていることが主な理由である。
  8. ^ a b c Microsoft WindowsmacOSでは、コンピュータの記憶容量やファイルサイズについてについて1024バイトを1キロバイト(記号もSI接頭辞に従わず、"KB"(頭文字が大文字)と表記)と換算している。
  9. ^ a b c 国家試験である情報処理技術者試験にて、「1kバイト=1000バイト」として計算させる問題(基本情報技術者 平成28年春期 午前 問12など)と、「1kバイト=1024バイト」として計算させる問題(基本情報技術者 平成25年秋期 午前 問11など)が出題されている。
  10. ^ a b c 各教科書のキロバイト 高等学校教育課程情報の科学」の教科書では、「キビバイト」など2進接頭辞を用いた単位の説明をせず、「キロ」を1024倍と説明するものが多い。
  11. ^ 国際単位系 (SI) 第8版(2006)日本語版(原書:国際度量衡局 日本語訳:産業技術総合研究所 計量標準総合センター) 3.SI 単位の10進の倍量及び分量 3.1 SI接頭語 p.33サイドノート
    「これらのSI接頭語は10の整数乗を表す。それらを決して2のべき乗を表すために用いてはならない(例えば,1キロビットは1000ビットであり,1024ビットではない)。IEC 規格 60027-2:2005,第3版,電気用文字記号―第2部:電気通信及びエレクトロニクス(IEC 60027-2: 2005, third edition, Letter symbols to be used in electrical technology –Part 2: Telecommunications and electronics)では210,220,230,240,250,及び260に対する接頭語がそれぞれ以下のように定義されている。
    名称 / 記号
    • キビ (kibi) / Ki
    • メビ (mebi) / Mi
    • ギビ (gibi) / Gi
    • テビ (tebi) / Ti
    • ペビ (pebi) / Pi
    • エクスビ (exbi) / Ei
    例えば,1キビバイトは1KiB = 210B = 1024Bと書き表される。ここで,Bはバイトを表す。これらの接頭語はSIに属さないが,SI接頭語の誤用を避けるために,情報工学の分野では既に用いられている。」