コンテンツにスキップ

「TNT換算」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
カロリー換算
m 出典
25行目: 25行目:
このため計算に便利なよう、'''1TNT換算グラムは1000カロリー'''と定義されている。つまり、1TNT換算トンなら10<sup>9</sup>(10億)カロリーである。
このため計算に便利なよう、'''1TNT換算グラムは1000カロリー'''と定義されている。つまり、1TNT換算トンなら10<sup>9</sup>(10億)カロリーである。


カロリーには複数の定義があるが、通常は、1カロリー = 4.184 J([[ジュール]])(熱力学カロリー)であり、'''1TNT換算トン = 4.184×10<sup>9</sup> J'''となる。
カロリーには複数の定義があるが、通常は、1カロリー = 4.184 J([[ジュール]])(熱力学カロリー)であり、'''1TNT換算トン = 4.184×10<sup>9</sup> J'''となる。米国の[[NIST]]でもこの数値を採用している<ref>[https://www.nist.gov/pml/special-publication-811/nist-guide-si-appendix-b-conversion-factors/nist-guide-si-appendix-b8 Special Publication 811(NIST Guide to the SI), Appendix B.8: Factors for Units Listed Alphabetically] ton of TNT (energy equivalent)の欄、正確に「4.184E+09」としている。</ref>


== 由来 ==
== 由来 ==
32行目: 32行目:


== 例 ==
== 例 ==
[[広島市]]に落とされた[[原子爆弾]]([[リトルボーイ]])は、TNT換算で15キロトンである。これは
[[広島市]]に落とされた[[原子爆弾]]([[リトルボーイ]])は、TNT換算で15キロトンである(不確かさは20%)<ref>[https://permalink.lanl.gov/object/tr?what=info:lanl-repo/lareport/LA-08819 The Yields of the Hiroshima and Nagasaki Nuclear Explosions] By John Malik,LA-8819 UC-34,Sep.1985、冒頭のABSTRACT,p.1 又は、XI. CONCLUSIONS,p.25</ref>。これは


: 15×10<sup>3</sup> × 4.184×10<sup>9</sup> J = 6.276×10<sup>13</sup> J
: 15×10<sup>3</sup> × 4.184×10<sup>9</sup> J = 6.276×10<sup>13</sup> J
85行目: 85行目:


== その他 ==
== その他 ==
[[長崎市]]に落とされた[[原子爆弾]]([[ファットマン]])は、TNT換算で約22キロトンである。
[[長崎市]]に落とされた[[原子爆弾]]([[ファットマン]])は、TNT換算で21キロトンである(不確かさは10%)<ref>[https://permalink.lanl.gov/object/tr?what=info:lanl-repo/lareport/LA-08819 The Yields of the Hiroshima and Nagasaki Nuclear Explosions] By John Malik,LA-8819 UC-34,Sep.1985、冒頭のABSTRACT,p.1 又は、XI. CONCLUSIONS,p.25</ref>


== 出典 ==
== 出典 ==

2020年5月7日 (木) 07:36時点における版

TNT換算トン
TNT火薬500トンの爆発
記号 T, t
広義のMTS単位系
エネルギー
SI 4.184×109 J
定義 109 cal
由来 TNT火薬1トンの爆発力
テンプレートを表示
1953年に行われたW9核砲弾の実験。M65 280mmカノン砲で発射。核出力は広島に投下されたのと同じ15kt。

TNT換算(ティーエヌティーかんさん)とは、爆薬爆発などで放出されるエネルギーを等エネルギー量のトリニトロトルエン(TNT)の質量に換算する方法である。

TNT換算で得られる質量をTNT当量という。TNT当量が1トン(1メトリックトン = 1000キログラム)であるエネルギーを、1TNT換算トン、1TNTトン、あるいは誤解の余地がないときは単に1トンといい、必要に応じてキロ (1000)、メガ (100万) のSI接頭辞をつけて使う。

ニュースなどでも「A国の原爆BはTNT換算で50キロトンの破壊力」などと表す使い方が一般的に見かけられる。TNT換算で評価できるのは爆発時の破壊力だけであり、核兵器の使用に伴う放射線障害放射能汚染は考慮されない。

なお、核爆弾以外の通常爆弾で、何トン爆弾という表現が使われることがあるが、これは爆弾の実際の質量であり、TNT当量ではない。

定義

TNTとは高性能爆薬の名称である。TNT1グラムは、理論上は1160カロリー化学エネルギーを有するが、TNT爆薬1グラムの爆発で放出されるエネルギーは、実際には980カロリーから1100カロリーまでの幅がある。

このため計算に便利なよう、1TNT換算グラムは1000カロリーと定義されている。つまり、1TNT換算トンなら109(10億)カロリーである。

カロリーには複数の定義があるが、通常は、1カロリー = 4.184 J(ジュール)(熱力学カロリー)であり、1TNT換算トン = 4.184×109 Jとなる。米国のNISTでもこの数値を採用している[1]

由来

1945年7月16日アメリカ合衆国で人類最初の原子爆弾の実験(トリニティ実験)が行われたが、これに先立つ5月17日に同所で108tのTNT火薬による予備実験が行われた。以来、核兵器の爆発力の測定の単位になった。

広島市に落とされた原子爆弾リトルボーイ)は、TNT換算で15キロトンである(不確かさは20%)[2]。これは

15×103 × 4.184×109 J = 6.276×1013 J

と換算できる。

また、比喩的に「メガトン級」や「ギガトン級」などという言葉が使われる事もある。

グラム単位 記号 トン単位 記号 エネルギー
グラム g マイクロトン μT 4.184×103 J
キログラム kg ミリトン mT 4.184×106 J
メガグラム Mg トン t 4.184×109 J
ギガグラム Gg キロトン kt 4.184×1012 J
テラグラム Tg メガトン Mt 4.184×1015 J
ペタグラム Pg ギガトン Gt 4.184×1018 J

その他

長崎市に落とされた原子爆弾ファットマン)は、TNT換算で21キロトンである(不確かさは10%)[3]

出典

  1. ^ Special Publication 811(NIST Guide to the SI), Appendix B.8: Factors for Units Listed Alphabetically ton of TNT (energy equivalent)の欄、正確に「4.184E+09」としている。
  2. ^ The Yields of the Hiroshima and Nagasaki Nuclear Explosions By John Malik,LA-8819 UC-34,Sep.1985、冒頭のABSTRACT,p.1 又は、XI. CONCLUSIONS,p.25
  3. ^ The Yields of the Hiroshima and Nagasaki Nuclear Explosions By John Malik,LA-8819 UC-34,Sep.1985、冒頭のABSTRACT,p.1 又は、XI. CONCLUSIONS,p.25