「対抗言論」の版間の差分
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パソコン通信上での発言が名誉毀損にあたるか否かで争われた、[[ニフティサーブ現代思想フォーラム事件]]([[ニフティサーブ#ニフティ訴訟|ニフティ訴訟]])において、この法理が認められるかが注目されたが、一審、二審[[判決]]ともに、発言者に民事上の名誉毀損の成立を認めた。 |
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他方、[[ニフティサーブ#ニフティサーブ本と雑誌フォーラム事件|ニフティサーブ本と雑誌フォーラム事件]]では、侮辱的な発言に対して、反論によって社会的評価の低下を阻止し得ているとして発言者の侮辱的な発言の違法性を否定し、この法理を[[裁判所]]が真っ向から認めた。 |
他方、[[ニフティサーブ#ニフティサーブ本と雑誌フォーラム事件|ニフティサーブ本と雑誌フォーラム事件]]では、侮辱的な発言に対して、反論によって社会的評価の低下を阻止し得ているとして発言者の侮辱的な発言の違法性を否定し、この法理を[[裁判所]]が真っ向から認めた。 |
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2006年10月2日 (月) 12:16時点における版
対抗言論(たいこうげんろん)とは、相手方からの言論などの表現活動によって自らの社会的評価が低下しかけた場合、相手方に対して平等な立場で反論が可能であれば、評価の低下を避けるために行うべきであるとされる表現活動をいう。
概要
言論などの表現活動について安易に侮辱や名誉毀損による民事責任、刑事責任が成立するとすれば、表現の自由の保障が阻害され、自由な表現活動に対する萎縮効果が生じるという問題意識を背景として、両者の調和を図る観点から認めるべきとされる法理である。
歴史
ネットワークにおけるコミュニケーションに限られる概念ではない。しかし、パソコン通信をはじめとするネットワーク上で、顔の見えない相手との会話が日常的に行われるようになった1990年代頃から注目されるようになった。
パソコン通信上での発言が名誉毀損にあたるか否かで争われた、ニフティサーブ現代思想フォーラム事件(ニフティ訴訟)において、この法理が認められるかが注目されたが、一審、二審判決ともに、発言者に民事上の名誉毀損の成立を認めた。 他方、ニフティサーブ本と雑誌フォーラム事件では、侮辱的な発言に対して、反論によって社会的評価の低下を阻止し得ているとして発言者の侮辱的な発言の違法性を否定し、この法理を裁判所が真っ向から認めた。
詳細
ニフティサーブ現代思想フォーラム事件一審判決の高橋和之による論評では、次のように論じられている(ジュリスト1997.10.1(1120号)80頁)。すなわち、ネットワーク上での言論が名誉毀損にあたるか否かは、表現の自由の保障と調和するように、法解釈すべきである。そして、表現による害悪に対しては、「対抗言論」、すなわち、互いに言論を交わすことができる平等な立場であることを前提に、直ちに自ら反論することによって処理するのが原則である。名誉毀損が成立するのは、具体的事案において対抗言論が機能しない場合、例えば、名誉を毀損された者が名誉毀損者と平等の立場での表現ができない場合や、プライバシー侵害などに限られる。いいかえれば、自らすすんでネット社会において発言をするパソコン通信においては、意見が異なるものからの批判を受けうることを覚悟しておくべきであり、それが辛辣な言葉になったり、時には人格批判に至る場合でも、それが論争内容と関係がある限りにおいては不当とはいえない。このような批判を受けた場合でも、相手に反論する、またはその論争の「聴衆」の評価によって、自己の名誉回復を図るべきであり、名誉毀損とみるべきではない。
このような観点に立って、ニフティーサーブ現代思想フォーラム事件について、原告は反論によって自己の評価の低下を妨げるよう試みるべきであったのであり、しようと思えばなし得た原告があえて反論しなかったことを理由に、被告に名誉毀損は成立しないのではないかと述べている。
対抗言論と「嫌がらせ」の差異
決して誤解してならないのは、相手が少なくとも一度は反論したにもかかわらず、批判者が同じ理由での攻撃を執拗に続け、その都度相手の反論を求めるかのごとくは、もはや対抗言論の域を超えるものであり、単なる「嫌がらせ」にすぎないものである。
対応する件名・分類記号 | |
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DDC | 340 |
LCC | K |
社会規範としての法に関するカテゴリ。