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「黄ボール」の版間の差分

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'''黄ボール'''(きボール)は、原料に[[藁]]を用いた[[板紙]]の一種<ref name="tohoku">[https://unit.aist.go.jp/tohoku/techpaper/pdf/4189.pdf ペーパー・コンテナー] 国立研究開発法人産業技術総合研究所東北センター(2021年1月8日閲覧)</ref>。広義の黄ボールには狭義の黄ボールと白裏黄ボールがある<ref name="tohoku" />。
{{出典の明記|date=2012年4月}}
'''黄ボール'''(きボール)は[[板紙]]の一種で、本来は稲わらや麦わらを原料とした板紙であるが、近年は古紙[[パルプ]]に黄色の染料を使い着色した物がある。'''黄板'''、'''黄板紙'''とも呼ばれる。


== 由来 ==
== 特徴 ==
パルプを原料とする白ボール(白板紙の一種)に対して、黄ボールは藁を原料にしている<ref name="tohoku" />。
[[明治時代]]以降、[[洋紙]]の製造法が導入されると球形の[[地球釜]]と呼ばれる蒸解釜で[[藁]](稲わらや麦わら)を煮て[[パルプ]]を作っていた。このパルプを薄く抄いた物が[[わら半紙]]であり、厚く抄いた物が黄ボールである。


西洋では[[コムギ|小麦]]や[[ライムギ|ライ麦]]の麦わらを原料とした板紙として生産された<ref name="tohoku" />。日本では1886年(明治19年)に[[佐久間貞一]]がオランダ製の麦わらを原料にした黄ボールを真似て板紙の生産を始めたが、これが日本での板紙生産の始まりとされている<ref>[https://www.kosi-tokyo.or.jp/paper/news201609.pdf 齋藤浩二「再生資源回収業の変遷」(東京都製紙原料協同組合広報 2016年9月号)] 東京都製紙原料協同組合(2021年1月8日閲覧)</ref>。日本では稲わらが用いられたほか、都市部では[[縄]]、[[むしろ]]、[[俵]]などの廃材も原料として用いられていた<ref name="tohoku" />。
また、その色が稲わらや[[干草]]を食べる馬の[[糞]]に似ていた事から'''馬糞紙'''とも呼ばれていた<ref>{{Cite web |date= |url= https://kotobank.jp/word/%E9%A6%AC%E7%B3%9E%E7%B4%99-604300|title=馬糞紙 |publisher=精選版 日本国語大辞典 |accessdate=2020-11-01}}</ref>。現在では死語に近く、[[昭和]]30年代生まれ以上の人しか分からないと思われる。

そのまま箱の材料に使用されることもあるが、主な用途は貼箱の原紙に利用される<ref name="tohoku" />。上製本の表紙の芯紙としても使用される。また、資源再生の観点から、化成品や木材に変わる保護材(当紙)にも使われている。

なお、その色が稲わらや[[干草]]を食べる馬の[[糞]]に似ていた事から'''馬糞紙'''とも呼ばれていた<ref name="tohoku" /><ref>{{Cite web |date= |url= https://kotobank.jp/word/%E9%A6%AC%E7%B3%9E%E7%B4%99-604300|title=馬糞紙 |publisher=精選版 日本国語大辞典 |accessdate=2020-11-01}}</ref>。現在では死語に近く、[[昭和]]30年代生まれ以上の人しか分からないと思われる。


==脚注==
==脚注==
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== 用途 ==
== 関連項目 ==
* [[わら半紙]]
*昭和40年代までは、紙が堅い事から小学校の工作などに使われていた。
*[[貼箱]]の芯紙として[[パッケージ|高級品の包装]]に使用される。
*上製本の表紙の芯紙として使用される。
*資源再生の観点から、化成品や木材に変わる保護材(当紙)にも使われている。


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2021年1月8日 (金) 00:49時点における版

黄ボール(きボール)は、原料にを用いた板紙の一種[1]。広義の黄ボールには狭義の黄ボールと白裏黄ボールがある[1]

特徴

パルプを原料とする白ボール(白板紙の一種)に対して、黄ボールは藁を原料にしている[1]

西洋では小麦ライ麦の麦わらを原料とした板紙として生産された[1]。日本では1886年(明治19年)に佐久間貞一がオランダ製の麦わらを原料にした黄ボールを真似て板紙の生産を始めたが、これが日本での板紙生産の始まりとされている[2]。日本では稲わらが用いられたほか、都市部ではむしろなどの廃材も原料として用いられていた[1]

そのまま箱の材料に使用されることもあるが、主な用途は貼箱の原紙に利用される[1]。上製本の表紙の芯紙としても使用される。また、資源再生の観点から、化成品や木材に変わる保護材(当紙)にも使われている。

なお、その色が稲わらや干草を食べる馬のに似ていた事から馬糞紙とも呼ばれていた[1][3]。現在では死語に近く、昭和30年代生まれ以上の人しか分からないと思われる。

脚注

  1. ^ a b c d e f g ペーパー・コンテナー 国立研究開発法人産業技術総合研究所東北センター(2021年1月8日閲覧)
  2. ^ 齋藤浩二「再生資源回収業の変遷」(東京都製紙原料協同組合広報 2016年9月号) 東京都製紙原料協同組合(2021年1月8日閲覧)
  3. ^ 馬糞紙”. 精選版 日本国語大辞典. 2020年11月1日閲覧。

関連項目