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「ドライヴ・マイ・カー」のレコーディングは、1965年10月13日の深夜に[[アビー・ロード・スタジオ|EMIスタジオ]]で行われた。同日は『ラバー・ソウル』のためのレコーディング・セッションの初日にあたる{{Sfn|Lewisohn|1988|p=63}}。マッカートニーは、[[ジョージ・ハリスン]]と共に基本のリズムトラックをレコーディングし、ハリスンの提案に沿うかたちでベースと低音のギターで似 |
「ドライヴ・マイ・カー」のレコーディングは、1965年10月13日の深夜に[[アビー・ロード・スタジオ|EMIスタジオ]]で行われた。同日は『ラバー・ソウル』のためのレコーディング・セッションの初日にあたる{{Sfn|Lewisohn|1988|p=63}}。マッカートニーは、[[ジョージ・ハリスン]]と共に基本のリズムトラックをレコーディングし、ハリスンの提案に沿うかたちでベースと低音のギターで似たリフを弾いた。ハリスンは当時[[オーティス・レディング]]の「[[リスペクト (オーティス・レディングの曲)|リスペクト]]」を聴いており、その影響で「ドライヴ・マイ・カー」は今までのビートルズの曲よりリズム・トラックが強力で、レディングが[[メンフィス (テネシー州)|メンフィス]]のスタジオで生み出したベースのヘビーな音を真似ている{{Sfn|MacDonald|1994|p=132-133}}。作家のロバート・ロドリゲスは本作を「明白な[[リズム・アンド・ブルース|R&B]]の実験」で、収録曲のほとんどが[[フォークロック]]志向の『ラバー・ソウル』で、[[スタックス・レコード|スタックス]]や[[モータウン]]のアーティストに傾倒している数少ない例としている{{Sfn|Rodriguez|2012|p=50, 74-75}}。 |
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マッカートニーはメイン・ボーカルを歌っており、マッカートニーのボーカルについてジャーナリストの{{仮リンク|リッチー・アンターバーガー|label=リッチー・アンターバーガー|en|Richie Unterberger}}は、「ハードロックのボーカル」と評している<ref>{{cite web |last=Unterberger |first=Richie |authorlink=:en:Richie Unterberger |year=2009 |title=Drive My Car |publisher=[[オールミュージック|AllMusic]] |url={{Allmusic|class=song|id=t819430|pure_url=yes}} |accessdate=2019-02-24 }}</ref>。マッカートニーは、[[ピアノ]]のパートと[[スライドギター]]の[[ソロ (音楽)|ソロ]]を[[オーバー・ダビング]]した{{Sfn|MacDonald|2005|p=166}}。曲は2本の[[エレクトリック・ギター]]で弾かれたブルージーなリフ{{Sfn|Womack|2007|p=115}}から始まり{{Sfn|Riley|2002|p=157}}、この冒頭のリフもベーシック・トラックにオーバー・ダビングされた。 |
マッカートニーはメイン・ボーカルを歌っており、マッカートニーのボーカルについてジャーナリストの{{仮リンク|リッチー・アンターバーガー|label=リッチー・アンターバーガー|en|Richie Unterberger}}は、「ハードロックのボーカル」と評している<ref>{{cite web |last=Unterberger |first=Richie |authorlink=:en:Richie Unterberger |year=2009 |title=Drive My Car |publisher=[[オールミュージック|AllMusic]] |url={{Allmusic|class=song|id=t819430|pure_url=yes}} |accessdate=2019-02-24 }}</ref>。マッカートニーは、[[ピアノ]]のパートと[[スライドギター]]の[[ソロ (音楽)|ソロ]]を[[オーバー・ダビング]]した{{Sfn|MacDonald|2005|p=166}}。曲は2本の[[エレクトリック・ギター]]で弾かれたブルージーなリフ{{Sfn|Womack|2007|p=115}}から始まり{{Sfn|Riley|2002|p=157}}、この冒頭のリフもベーシック・トラックにオーバー・ダビングされた。 |
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「ドライブ・マイ・カー」は、イギリスで1965年12月3日に[[パーロフォン]]から発売された6作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『[[ラバー・ソウル]]』にオープニング・トラックとして収録された。アメリカで3日後に[[キャピトル・レコード]]から発売された同作は、当時のアメリカ市場で流行していた「フォークロック」色を強めることを目的に収録曲が変更され{{Sfn|Kruth|2015|p=7-8}}{{Sfn|Womack|2014|p=794}}、本作はアメリカ盤において未収録となった。そのため、アメリカでは1966年6月20日に発売されたキャピトル編集盤『[[イエスタデイ・アンド・トゥデイ]]』に収録された。なお、同作においてもオープニング・トラックとなっている。後に『[[ザ・ビートルズ1962年〜1966年]]』や『[[リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス]]』にも収録された。 |
「ドライブ・マイ・カー」は、イギリスで1965年12月3日に[[パーロフォン]]から発売された6作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『[[ラバー・ソウル]]』にオープニング・トラックとして収録された。アメリカで3日後に[[キャピトル・レコード]]から発売された同作は、当時のアメリカ市場で流行していた「フォークロック」色を強めることを目的に収録曲が変更され{{Sfn|Kruth|2015|p=7-8}}{{Sfn|Womack|2014|p=794}}、本作はアメリカ盤において未収録となった。そのため、アメリカでは1966年6月20日に発売されたキャピトル編集盤『[[イエスタデイ・アンド・トゥデイ]]』に収録された。なお、同作においてもオープニング・トラックとなっている。後に『[[ザ・ビートルズ1962年〜1966年]]』や『[[リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス]]』にも収録された。 |
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イギリスやアメリカでは、シングル・カットされることはなかったが、スペインでは1966年に同名のEP盤が発売され、EP盤のA面には本作と「[[ノルウェーの森]]」、B面には「[[君はいずこへ]]」と「[[ユー・ウォント・シー・ミー]]」が収録された |
イギリスやアメリカでは、シングル・カットされることはなかったが、スペインでは1966年に同名のEP盤が発売され、EP盤のA面には本作と「[[ノルウェーの森]]」、B面には「[[君はいずこへ]]」と「[[ユー・ウォント・シー・ミー]]」が収録された。また、ベルギーやナイジェリアでは「[[ミッシェル (曲)|ミッシェル]]」とのカップリングでシングル・カットされ、ベルギーのシングルチャートでは第1位を獲得した<ref name="ultratop" />。 |
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2006年に[[シルク・ドゥ・ソレイユ]]のショーのサウンドトラック盤として発売された『[[LOVE (ビートルズのアルバム)|LOVE]]』に、「[[愛のことば (ビートルズの曲)|愛のことば]]」「[[ホワット・ユー・アー・ドゥーイング]]」とのメドレー「'''ドライヴ・マイ・カー / 愛のことば / ホワット・ユー・アー・ドゥーイング'''」({{Lang-en|''Drive My Car / The Word / What You're Doing''}})が収録された。このメドレーには、「[[タックスマン]]」のギターソロと「[[サボイ・トラッフル]]」のホーンセクション<ref name="allmusic">{{AllMusic | last=Erlewine |first=Stephen Thomas |title=Love - The Beatles {{!}} Songs, Reviews, Credits |class=album |id=love-mw0000445831 |accessdate=2020-09-23}}</ref><ref name="PopMatters">{{cite web |title=The Beatles: Love – PopMatters Music Review |work=PopMatters |date=2006-12-15 |accessdate=2020-09-23 |url=http://www.popmatters.com/pm/music/reviews/8835/the-beatles-love1/}}</ref><ref name="allmusic" />のほか、「[[ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ]]」のコーラスと「[[ヘルター・スケルター]]」の効果音がコラージュされている<ref name="YouTube">{{Cite video |title=Love 03 |url=https://www.youtube.com/watch?v=3YAt6_-haqU |accessdate=2020-09-23 }}</ref> 。 |
2006年に[[シルク・ドゥ・ソレイユ]]のショーのサウンドトラック盤として発売された『[[LOVE (ビートルズのアルバム)|LOVE]]』に、「[[愛のことば (ビートルズの曲)|愛のことば]]」「[[ホワット・ユー・アー・ドゥーイング]]」とのメドレー「'''ドライヴ・マイ・カー / 愛のことば / ホワット・ユー・アー・ドゥーイング'''」({{Lang-en|''Drive My Car / The Word / What You're Doing''}})が収録された。このメドレーには、「[[タックスマン]]」のギターソロと「[[サボイ・トラッフル]]」のホーンセクション<ref name="allmusic">{{AllMusic | last=Erlewine |first=Stephen Thomas |title=Love - The Beatles {{!}} Songs, Reviews, Credits |class=album |id=love-mw0000445831 |accessdate=2020-09-23}}</ref><ref name="PopMatters">{{cite web |title=The Beatles: Love – PopMatters Music Review |work=PopMatters |date=2006-12-15 |accessdate=2020-09-23 |url=http://www.popmatters.com/pm/music/reviews/8835/the-beatles-love1/}}</ref><ref name="allmusic" />のほか、「[[ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ]]」のコーラスと「[[ヘルター・スケルター]]」の効果音がコラージュされている<ref name="YouTube">{{Cite video |title=Love 03 |url=https://www.youtube.com/watch?v=3YAt6_-haqU |accessdate=2020-09-23 }}</ref> 。 |
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== カバー・バージョン == |
== カバー・バージョン == |
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{{仮リンク|ブレックファスト・クラブ (バンド)|label=ブレックファスト・クラブ|en|Breakfast Club (band)}}によるカバー・バージョンが、1988年にシングル盤として発売された |
{{仮リンク|ブレックファスト・クラブ (バンド)|label=ブレックファスト・クラブ|en|Breakfast Club (band)}}によるカバー・バージョンが、1988年にシングル盤として発売された。このカバー・バージョンは、同年に公開された映画『{{仮リンク|運転免許証 (映画)|label=運転免許証|en|License to Drive}}』でサウンドトラックとして使用された<ref>{{Cite web |title=License to Drive (1988) - Soundtracks |url=https://www.imdb.com/title/tt0095519/soundtrack |website=[[インターネット・ムービー・データベース|IMDb]] |publisher=[[Amazon.com]] |accessdate=2020-09-23 }}</ref>。同年には、[[ボビー・マクファーリン]]がアルバム『{{仮リンク|シンプル・プレジャーズ|en|Simple Pleasures}}』でカバーした<ref>{{AllMusic |first=Scott |last=Yanow |title=Simple Pleasures - Bobby McFerrin {{!}} Songs, Reviews, Credits |class=album |id=simple-pleasures-mw0000199391 |accessdate=2020-09-23 }}</ref>。 |
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[[ソウライヴ]]は、2010年に発売されたアルバム『{{仮リンク|ラバー・ソウライヴ|en|Rubber Soulive}}』でカバーした<ref>{{AllMusic |first=Hal |last=Horowitz |title=Rubber Soulive - Soulive {{!}} Songs, Reviews, Credits |class=album |id=rubber-soulive-mw0002033192 |accessdate=2020-09-24 }}</ref>。なお、ソウライヴによるカバー・バージョンは、[[TBSラジオ&コミュニケーションズ|TBSラジオ]]『[[たまむすび]]』の交通情報コーナーのBGMとして2017年3月まで使用された。 |
[[ソウライヴ]]は、2010年に発売されたアルバム『{{仮リンク|ラバー・ソウライヴ|en|Rubber Soulive}}』でカバーした<ref>{{AllMusic |first=Hal |last=Horowitz |title=Rubber Soulive - Soulive {{!}} Songs, Reviews, Credits |class=album |id=rubber-soulive-mw0002033192 |accessdate=2020-09-24 }}</ref>。なお、ソウライヴによるカバー・バージョンは、[[TBSラジオ&コミュニケーションズ|TBSラジオ]]『[[たまむすび]]』の交通情報コーナーのBGMとして2017年3月まで使用された。 |
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[[竹内まりや]]は、2019年に発売されたベスト・アルバム『[[Turntable (アルバム)|Turntable]]』でカバーした<ref>{{Cite web |title=竹内まりや、40周年記念企画の豪華3枚組アルバム、モア・ベスト&レアリティーズ&カバーズ『Turntable』9月4日発売 |url=https://tower.jp/article/feature_item/2019/05/10/0701 |website=TOWER RECORDS ONLINE |publisher=[[タワーレコード]] |date=2019-05-10 |accessdate=2020-09-24 }}</ref>。 |
[[竹内まりや]]は、2019年に発売されたベスト・アルバム『[[Turntable (アルバム)|Turntable]]』でカバーした<ref>{{Cite web |title=竹内まりや、40周年記念企画の豪華3枚組アルバム、モア・ベスト&レアリティーズ&カバーズ『Turntable』9月4日発売 |url=https://tower.jp/article/feature_item/2019/05/10/0701 |website=TOWER RECORDS ONLINE |publisher=[[タワーレコード]] |date=2019-05-10 |accessdate=2020-09-24 }}</ref>。 |
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== 収録盤 == |
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* 『[[ラバー・ソウル]]』 |
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* 『[[イエスタディ・アンド・トゥディ]]』 |
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* 『[[ザ・ビートルズ1962年〜1966年]]』 |
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* 『[[リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス]]』 |
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* 『[[LOVE (ビートルズのアルバム)|LOVE]]』 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
2021年1月24日 (日) 12:03時点における版
「ドライヴ・マイ・カー」 | ||||||||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||||||||
収録アルバム | 『ラバー・ソウル』 | |||||||||||||||
英語名 | Drive My Car | |||||||||||||||
リリース | 1965年12月3日 | |||||||||||||||
録音 |
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ジャンル | ||||||||||||||||
時間 | 2分28秒 | |||||||||||||||
レーベル | パーロフォン | |||||||||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||||||||
チャート順位 | ||||||||||||||||
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「ドライヴ・マイ・カー 」(英語: Drive My Car)は、ビートルズの楽曲である。レノン=マッカートニー名義となっているが、主にポール・マッカートニーによって書かれた楽曲で、作詞にあたってはジョン・レノンも手助けしている[3]。イギリスでは1965年12月3日に発売された6作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』、アメリカでは1966年6月20日に発売されたキャピトル編集盤『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』にオープニング・トラックとして収録された。
全編にわたってレノンとマッカートニーのデュエットで歌われ、部分的にユニゾンになっている。自動車のクラクションを真似た「Beep beep'm beep beep yeah」や、弱起から始まるイントロが特徴となっている。
背景・曲の構成
歌詞は、語り手が女性に自分は有名な映画スターになるはずで、自身の運転手にしてもいいと伝えられるところから始まる。語り手が断ると、女性は頑張って働くよりももっと素晴らしい時間にしてみせると言ってきた。彼が申し出を受け入れると、女性が「実は車を持ってないの。でも運転手が見つかったし、これから始まるの」と口にする[4]。タイトルの「Drive My Car」は「性交」の意を持つ古いブルースの隠語で、マッカートニーも古いブルースの隠語として使用したことを明かしている[5]。
マッカートニーが楽曲制作のためにウェイブリッジにあるレノンの自宅に向かったときに、マッカートニーはこの曲が思い浮かんだが、この時点でマッカートニーは「歌詞は悲惨だというのは僕には分かっていた」とのこと[6]。コーラスには「You can buy me diamond rings」というフレーズがあったが、"diamond rings"はこれまでに「キャント・バイ・ミー・ラヴ」と「アイ・フィール・ファイン」で使用されていた[7]。レノンは、マッカートニーが考えた歌詞を「馬鹿馬鹿しく、甘すぎる」と否定した[8]。2人は歌詞を書き直すことにし、困難の末にタイトルが「ドライヴ・マイ・カー」に決まり、その題から全体の歌詞が簡単に湧き上がった[8]。当時について、マッカートニーは「最もやっかいなライティング・セッションの1つだった」と振り返っている[9]。
レコーディング
「ドライヴ・マイ・カー」のレコーディングは、1965年10月13日の深夜にEMIスタジオで行われた。同日は『ラバー・ソウル』のためのレコーディング・セッションの初日にあたる[10]。マッカートニーは、ジョージ・ハリスンと共に基本のリズムトラックをレコーディングし、ハリスンの提案に沿うかたちでベースと低音のギターで似たリフを弾いた。ハリスンは当時オーティス・レディングの「リスペクト」を聴いており、その影響で「ドライヴ・マイ・カー」は今までのビートルズの曲よりリズム・トラックが強力で、レディングがメンフィスのスタジオで生み出したベースのヘビーな音を真似ている[7]。作家のロバート・ロドリゲスは本作を「明白なR&Bの実験」で、収録曲のほとんどがフォークロック志向の『ラバー・ソウル』で、スタックスやモータウンのアーティストに傾倒している数少ない例としている[11]。
マッカートニーはメイン・ボーカルを歌っており、マッカートニーのボーカルについてジャーナリストのリッチー・アンターバーガーは、「ハードロックのボーカル」と評している[12]。マッカートニーは、ピアノのパートとスライドギターのソロをオーバー・ダビングした[13]。曲は2本のエレクトリック・ギターで弾かれたブルージーなリフ[14]から始まり[15]、この冒頭のリフもベーシック・トラックにオーバー・ダビングされた。
リリース
「ドライブ・マイ・カー」は、イギリスで1965年12月3日にパーロフォンから発売された6作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』にオープニング・トラックとして収録された。アメリカで3日後にキャピトル・レコードから発売された同作は、当時のアメリカ市場で流行していた「フォークロック」色を強めることを目的に収録曲が変更され[16][17]、本作はアメリカ盤において未収録となった。そのため、アメリカでは1966年6月20日に発売されたキャピトル編集盤『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』に収録された。なお、同作においてもオープニング・トラックとなっている。後に『ザ・ビートルズ1962年〜1966年』や『リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス』にも収録された。
イギリスやアメリカでは、シングル・カットされることはなかったが、スペインでは1966年に同名のEP盤が発売され、EP盤のA面には本作と「ノルウェーの森」、B面には「君はいずこへ」と「ユー・ウォント・シー・ミー」が収録された。また、ベルギーやナイジェリアでは「ミッシェル」とのカップリングでシングル・カットされ、ベルギーのシングルチャートでは第1位を獲得した[2]。
2006年にシルク・ドゥ・ソレイユのショーのサウンドトラック盤として発売された『LOVE』に、「愛のことば」「ホワット・ユー・アー・ドゥーイング」とのメドレー「ドライヴ・マイ・カー / 愛のことば / ホワット・ユー・アー・ドゥーイング」(英語: Drive My Car / The Word / What You're Doing)が収録された。このメドレーには、「タックスマン」のギターソロと「サボイ・トラッフル」のホーンセクション[18][19][18]のほか、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」のコーラスと「ヘルター・スケルター」の効果音がコラージュされている[20] 。
演奏
※特記がない限り、出典はイアン・マクドナルドの著書[13]。
- ポール・マッカートニー - リード・ボーカル、ピアノ、エレクトリックベース、スライドギター[21]
- ジョン・レノン - リード・ボーカル、タンバリン、リズムギター[21]
- ジョージ・ハリスン - バッキング・ボーカル、リードギター
- リンゴ・スター - ドラムス、カウベル
マッカートニーによるライブでの演奏
マッカートニーは、1993年に行われた「The New World Tour」で、オープニング・ナンバーとして演奏した。同年に発売されたライブ・アルバム『ポール・イズ・ライブ』に、同ツアーでのライブ音源が収録された。
2005年の第39回スーパーボウルでハーフタイムショー中に本作を演奏し、ロンドンで行われたLIVE 8ではジョージ・マイケルと共演した。2015年9月30日にPETAの慈善興行では、ベック・スポイルと共演した[22]。
2018年にCBS『ザ・レイト・レイト・ショー with ジェームズ・コーデン』のコーナー「Carpool Karaoke」(6月21日放送回)に出演した際に、ジェームズ・コーデンと共に本作を歌唱した[23]。
カバー・バージョン
ブレックファスト・クラブによるカバー・バージョンが、1988年にシングル盤として発売された。このカバー・バージョンは、同年に公開された映画『運転免許証』でサウンドトラックとして使用された[24]。同年には、ボビー・マクファーリンがアルバム『シンプル・プレジャーズ』でカバーした[25]。
ソウライヴは、2010年に発売されたアルバム『ラバー・ソウライヴ』でカバーした[26]。なお、ソウライヴによるカバー・バージョンは、TBSラジオ『たまむすび』の交通情報コーナーのBGMとして2017年3月まで使用された。
2012年に発売された『Sesame Street: Travel Songs』では、エルモが本作をカバーした[27]。
竹内まりやは、2019年に発売されたベスト・アルバム『Turntable』でカバーした[28]。
脚注
出典
- ^ Hamelman 2004, p. 11.
- ^ a b “ultratop.be - The Beatles - Drive My Car”. ultratop.be. 2020年9月23日閲覧。
- ^ Miles 1997, p. 361.
- ^ Aldridge 1990, p. 24.
- ^ Miles 1997, p. 269-270.
- ^ Miles 1997, p. 269.
- ^ a b MacDonald 1994, p. 132-133.
- ^ a b Spitz 2005, p. 586.
- ^ The Beatles 2000, p. 194.
- ^ Lewisohn 1988, p. 63.
- ^ Rodriguez 2012, p. 50, 74-75.
- ^ Unterberger, Richie (2009年). “Drive My Car”. AllMusic. 2019年2月24日閲覧。
- ^ a b MacDonald 2005, p. 166.
- ^ Womack 2007, p. 115.
- ^ Riley 2002, p. 157.
- ^ Kruth 2015, p. 7-8.
- ^ Womack 2014, p. 794.
- ^ a b Erlewine, Stephen Thomas. Love - The Beatles | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月23日閲覧。
- ^ “The Beatles: Love – PopMatters Music Review”. PopMatters (2006年12月15日). 2020年9月23日閲覧。
- ^ Love 03. 2020年9月23日閲覧。
- ^ a b Everett 2001, p. 315.
- ^ “ポール・マッカートニーとベックが共演、ビートルズの名曲をプレイ”. rockin'on.com (ロッキング・オン). (2015年10月2日) 2020年9月24日閲覧。
- ^ “ポール・マッカートニーが相乗りカラオケ「Carpool Karaoke」でリヴァプールを訪問”. uDiscover. UNIVERSAL MUSIC JAPAN (2018年6月25日). 2020年9月23日閲覧。
- ^ “License to Drive (1988) - Soundtracks”. IMDb. Amazon.com. 2020年9月23日閲覧。
- ^ Yanow, Scott. Simple Pleasures - Bobby McFerrin | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月23日閲覧。
- ^ Horowitz, Hal. Rubber Soulive - Soulive | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月24日閲覧。
- ^ Sesame Street: Travel Songs - Sesame Street | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月23日閲覧。
- ^ “竹内まりや、40周年記念企画の豪華3枚組アルバム、モア・ベスト&レアリティーズ&カバーズ『Turntable』9月4日発売”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード (2019年5月10日). 2020年9月24日閲覧。
参考文献
- Aldridge, Alan, ed (1990). The Beatles Illustrated Lyrics. Boston: Houghton Mifflin / Seymour Lawrence. ISBN 0-395-59426-X
- The Beatles (2000). The Beatles Anthology. San Francisco: Chronicle Books. ISBN 0-8118-2684-8
- Everett, Walter (2001). The Beatles as Musicians: The Quarry Men through Rubber Soul. New York, NY: Oxford University Press. ISBN 0-19-514105-9
- Hamelman, Steven L. (2004). But is it Garbage?: On Rock and Trash. University of Georgia Press. ISBN 9780820325873
- Kruth, John (2015). This Bird Has Flown: The Enduring Beauty of Rubber Soul, Fifty Years On. Milwaukee, WI: Backbeat Books. ISBN 978-1-61713-573-6
- Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. ISBN 0-517-57066-1
- Ian MacDonald (1994). Revolution in the Head: the Beatles' Records and the Sixties. New York: Henry Holt and Company. ISBN 0-8050-2780-7
- Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years From Now. New York: Henry Holt & Company. ISBN 0-8050-5249-6
- Rodriguez, Robert (2012). Revolver: How the Beatles Reimagined Rock 'n' Roll. Milwaukee, WI: Backbeat Books. ISBN 978-1-61713-009-0
- Spitz, Bob (2005). The Beatles: The Biography. Boston: Little, Brown. ISBN 0-316-80352-9
- Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Santa Barbara, CA: ABC-CLIO. ISBN 978-0-313-39171-2