「玉台新詠」の版間の差分
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2021年5月15日 (土) 09:08時点における版
『玉台新詠』(玉臺新詠、ぎょくだいしんえい)は、中国の南北朝時代に編纂された詩集。『玉臺新詠集』ともいう。全10巻。陳の徐陵(507〜583)の撰。ただし実際には、梁の簡文帝(在位550〜551)が皇太子(東宮)時代に近侍の臣であった徐陵に命じて編纂したものといわれる。簡文帝は早く亡くなった兄の昭明太子が文選を編さんし、古来の詩・賦・文章の佳編を総集したのに対し、かれによって漢から梁に至るまでのすぐれた詩集を総集せしめた。その10巻は、五言詩二韻詩1巻に分かれ、その中心は当時流行した「宮体詩」(「宮体」とは「東宮の詩体」の意味と呼ばれる)と綺艶(きえん)と呼ばられる綺羅脂粉の詩が中心となっている。換言すれば当世風の詩の選集で、梁の武帝をはじめとする皇族やその臣下たちを中心とするが、漢以来の古詩の誠実さの気風は失われていない。資料としても曹植の「棄婦篇」、庚信の「七夕詩」などは本書により伝えられるもの、『文選』所収の無名氏『古詩十九首』中9首を枚乗の作とし、「飲馬長城窟行」を蔡邕の作とするなど、比較考証の資となる点が多く、『文選』とともに古詩研究の重要な書物となっている。
脚注
訳注書
- 『玉台新詠集』鈴木虎雄、岩波書店〈岩波文庫 上中下〉、初版1953~56年、復刊1994年ほか。
- 『玉台新詠』内田泉之助、明治書院〈新釈漢文大系 60・61〉、1974~75年。
- 『玉台新詠』石川忠久、学習研究社〈中国の古典 25〉、1986年。