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2021年6月10日 (木) 12:32時点における版
ビッグ・リボウスキ | |
---|---|
The Big Lebowski | |
監督 | ジョエル・コーエン |
脚本 |
イーサン・コーエン ジョエル・コーエン |
製作 | イーサン・コーエン |
製作総指揮 |
ティム・ビーヴァン エリック・フェルナー |
ナレーター | サム・エリオット |
出演者 |
ジェフ・ブリッジス ジョン・グッドマン ジュリアン・ムーア スティーヴ・ブシェミ デヴィッド・ハドルストン |
音楽 | カーター・バーウェル |
撮影 | ロジャー・ディーキンス |
編集 |
ロデリック・ジェインズ トリシア・クック |
製作会社 | ワーキング・タイトル・フィルムズ |
配給 |
グラマシー・ピクチャーズ アスミック |
公開 |
1998年3月6日 1998年9月24日 |
上映時間 | 117分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $15,000,000 |
興行収入 |
$46,142,637[1] $17,451,873[1] |
『ビッグ・リボウスキ』(The Big Lebowski)は、1998年製作のアメリカ映画。コーエン兄弟製作のコメディ映画。
同姓同名の大金持ちと間違えられ、誘拐事件に巻き込まれた男の騒動を描いている。
ストーリー
1991年、ブッシュ政権下のロサンゼルス。ジェフリー・“デュード”・リボウスキは、ある夜、自宅で2人の男に押し入られ、部屋の敷物に小便を掛けられる。身に覚えのない金の支払いを要求されるが、同姓同名の人違いだとわかると、闖入してきた男等はその場を去っていった。
ボウリングのチームメイトであるウォルターとドニーのアドバイスを受けたデュードは、敷物を弁償してもらうためにもう一人のリボウスキ(ビッグ・リボウスキ)を探しあて、その男が住む屋敷を訪れる。男は裕福な慈善家だったが、デュードを穀潰しの怠け者と罵り、けんもほろろに追い返す。デュードは一先ず敷物を一枚持ち帰り、屋敷を出ようとすると、ビッグ・リボウスキの若い妻・バニーに出くわす。
数日後、デュードはビッグ・リボウスキの秘書から、バニーが誘拐されたとを聞かされる。彼は身代金の引渡し役を頼まれるが、この事件はバニーの自作自演の狂言誘拐ではないかと疑っていた。その夜、またも自宅で見知らぬ2人組の男に押し入られ、暴行され、敷物も奪われる。
翌日、誘拐犯から身代金の要求があり、デュードは秘書から100万ドルの入ったブリーフケースと携帯電話を預かる。金の受渡しに向かう途中、狂言誘拐を信じたウォルターが無理やり同行し、人質を取り戻して金も奪おうとする。しかし結局ウォルターが用意した偽のブリーフケースだけ奪われ、犯人を取り逃がしてしまう。
困った2人はひとまずボウリング場に行き、身代金の受渡は無事に済んだことにしようと、嘘を付くことにする。ところがボウリング場を出ると、駐車場に停めていた車が盗まれていた。車の中には、身代金の入ったケースを置いたままだった。
翌日、自宅で警官に被害届をしていると、デュードを殴って敷物を盗んだという女から電話が来る。その女はビッグ・リボウスキの実娘で、前衛アーティストのモードだった。彼女はデュードを自分のアトリエに呼び出し、バニーがジャッキー・トリホーンのポルノ映画に出ていた事、用意した身代金は財団の資金であることを伝え、デュードに身代金の奪還を依頼する。
その頃、ビッグリボウスキの元に、バニーのものと思われる切断された足指が送りつけられ、デュードが金の受渡をしてないことがばれてしまう。
その夜、警察から盗難車が見つかったと知らされ、デュードは胸をなでおろす。するとそこへ、またしても3人組の見知らぬ男達が押し入り、ステレオを破壊される。男等の正体は誘拐犯で、身代金を渡すよう脅される。翌日デュードは、発見された車を取りに行くが、身代金の入ったケースは無くなっていた。
翌日、数日前に来た2人組の男が再びデュードの家に押し入り、またも敷物に小便を掛ける。デュードはジャッキー・トリホーンのもとに連行され、バニーの居所を聞かれるが答えず、カクテルに薬を盛られて意識を失ってしまう。目を覚ますと、デュードはマリブ警察に保護されていた。署長に激しく罵倒され、警察署を出ると、帰りのタクシーでイーグルスについての些細な口論の末、運転手に車から追い出される。
自宅に辿りつくと、モードが待っていた。彼女は子供を望んでいて、父親の義務は果たさなくていいからと、デュードとセックスをする。デュードは突然、事件の背景に気づく。ウォルターと屋敷を訪れると、既にバニーは戻っていた。ビッグリボウスキに問い質すが、事件の真相も、金の行方も分からないままだった。
その夜、デュード達がボーリング場から出ると、誘拐犯の三人組が、デュードの車に火を付けて待ち構えていた。ウォルターは金の支払いを断り、3人を倒すが、ドニーが驚いて心臓発作を起こし、そのまま死んでしまう。
2人は身寄りのないドニーの遺体を引き取ることになる。埋葬費用が払えないため、遺体は火葬し、遺灰はコーヒー缶に入れて、海辺の絶壁に散骨する。
そしてデュードは、いつもの生活に戻る。<了>
登場人物・キャスト
- ジェフリー・“デュード”・リボウスキ
- 演 - ジェフ・ブリッジス
- 学生時代は反戦活動に参加していたスラッカー。メタリカのマネージャーに就いていた頃もあったが、さしたる目的も欲も無い末に無職で街一番の不精者となった。ホワイトルシアンを好み、マリファナを吸う。友人たちとボウリング大会に参加している。
- ウォルター・ソブチャック
- 演 - ジョン・グッドマン
- ベトナム戦争退役軍人で防犯ショップの経営者。デュードのボウリングのチームメイトで親友。つねに拳銃を所持している。ユダヤ人ではないが、ユダヤ人の前妻の影響で改宗した厳格なユダヤ教徒であり、サバトの日には何もしない。ドニーが何か話そうとする度に遮る。すぐにベトナム戦争の話題を出し、デュードをいらつかせる。
- セオドア・ドナルド・“ドニー”・カラボッソス
- 演 - スティーヴ・ブシェミ
- 小心者のサーファー。デュードのチームメイト。ゲームを真面目に楽しんでいる。なにか話そうとする度にウォルターに遮られるため、デュードらが関わっている事件が見えていない。そのためセリフが少ないのだが、これはコーエン兄弟の前作『ファーゴ』でブシェミが非常にお喋りな役を演じたためにセリフを極力減らしたからだという。
- ジェフリー・リボウスキ
- 演 - デヴィッド・ハドルストン
- 通称“ビッグ・リボウスキ”。朝鮮戦争の時の後遺症で脚に障害を持ち、車椅子に乗っている大富豪。現在の妻はバニーであり、モードは亡くなった妻との子。
- モード・リボウスキ
- 演 - ジュリアン・ムーア
- “ビッグ・リボウスキ”が亡くなった妻との間にもうけた娘。フェミニストの前衛芸術家。結婚はしていないが子供を欲しがっている。
- バニー・リボウスキ
- 演 - タラ・リード
- “ビッグ・リボウスキ”のトロフィーワイフ。ポルノ映画に出演した過去がある。明らかにモードより若い。緑色のペディキュアをしている。本名はフォーン(Fawn Gunderson)。ミネソタの両親の元から家出し、捜索願いが出されていた。
- ブラント
- 演 - フィリップ・シーモア・ホフマン
- “ビッグ・リボウスキ”の忠実な秘書。二人のリボウスキをつなげる役割を果たす。
- ウーリ・コンコル
- 演 - ピーター・ストーメア
- ニヒリスト集団のリーダー格。カール・ハンガスと言う名前でポルノ映画に出演した過去がある。ニヒリスト集団は全員ドイツ人であり、ドイツ語訛りの英語を話す。彼らは元ミュージシャンで「アウトバーン」というアルバムを出したことがあるという設定であり、モデルはクラフトワークである。
- ジーザス・クインターナ
- 演 - ジョン・タトゥーロ
- ボウリング大会準決勝でのデュードたちの対戦相手。少年愛者で露出狂。ラテンアメリカ系訛りの英語を話す。
- スモーキー
- 演 - ジミー・デイル・ギルモア
- ボーリング場でウォルターにピストルを突き付けられていた男。良心的兵役拒否者。ギルモアは、テキサスの有名なカントリー・ミュージシャン。
- ノックス・ハーリントン
- 演 - デヴィッド・シューリス
- ビデオアーティスト。モード・リボウスキの友人。スキンヘッド。
- マリブ警察署長
- 演 - レオン・ラッサム
- マリブの警察署長。ファシスト。
- ダ・フィーノ
- 演 - ジョン・ポリト
- いわば探偵。雇い主はバニーの両親。
- ジャッキー・トリホーン
- 演 - ベン・ギャザラ
- リッチなポルノ映画プロデューサー。闇金融のボスという裏の顔を持つ。バニーを探している。
- ザ・ストレンジャー
- 演 - サム・エリオット
- この映画の語り部。ボウリング場にあるバーでたびたびデュードの隣に座るカウボーイ風の男。テキサス訛り。
備考
ミュージシャンのエイミー・マン、および、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーがニヒリストの一人として出演している。
日本語吹替
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
---|---|---|---|
VHS・旧DVD版 | BD・新DVD版 | ||
ジェフリー・“デュード”・リボウスキ | ジェフ・ブリッジス | 山路和弘 | 菅生隆之 |
ウォルター・ソブチャック | ジョン・グッドマン | 玄田哲章 | |
セオドア・ドナルド・“ドニー”・カラボッソス | スティーヴ・ブシェミ | 小杉十郎太 | 二又一成 |
ジェフリー・リボウスキ | デヴィッド・ハドルストン | 有川博 | 樋浦勉 |
モード・リボウスキ | ジュリアン・ムーア | 土井美加 | 唐沢潤 |
バニー・リボウスキ | タラ・リード | 高橋理恵子 | 石塚理恵 |
ブラント | フィリップ・シーモア・ホフマン | 宮本充 | 石住昭彦 |
ウーリ・コンコル | ピーター・ストーメア | 荒川太郎 | 家中宏 |
ジーザス・クインターナ | ジョン・タトゥーロ | 井上倫宏 | 中村秀利 |
ノックス・ハーリントン | デヴィッド・シューリス | 家中宏 | 牛山茂 |
マリブ警察署長 | レオン・ラッサム | 稲葉実 | 広瀬正志 |
ダ・フィーノ | ジョン・ポリト | 西村知道 | 宝亀克寿 |
ジャッキー・トリホーン | ベン・ギャザラ | 羽佐間道夫 | 勝部演之 |
ザ・ストレンジャー | サム・エリオット | 勝部演之 | 大塚周夫 |
作品解説
- 映画の脚本自体は、1991年公開の『バートン・フィンク』とほぼ同時期に書かれたものであるが、当時のコーエン兄弟は彼らの望んだスタッフや俳優を起用できなかったため製作を延期していた。前作の『ファーゴ』の成功で自分たちの望む映画を作れるようになったコーエン兄弟が、改めて製作に取り掛かった作品だとされる[2]。
- 映画のタイトルである『ビッグ・リボウスキ』は、チャンドラーの代表作である『大いなる眠り』(原題:The Big Sleep)からとられている[3]。当初コーエン兄弟は、レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説のような語り口の映画を作ろうとしていた。主人公が不可解な事件に巻き込まれ、怪しげな人物たちと出会い、事件の真相を探るという映画の基本的な構造は、チャンドラー作品と相似している[4]。主人公が悪漢に気絶させられ、夢や幻覚を見るという筋書きも、ハードボイルド小説ではありがちなものである。
- 本作は「最も多く"fuck"が使われた映画」に、計260回で29位にランクインしている。ただし殆どは、デュードとウォルターのセリフである(各々100回以上)。[5]
- 『ジーザス・ロールズ』;ジーザス・クインターナを主人公とするスピンオフ・ドラマが、ジョン・タトゥーロの主演・監督で制作され、2020年にアメリカで公開された。[6]。
- 『リボウスキ・フェスティバル』:映画の熱狂的なファンによって、毎年開催されているボウリング・イベント。ホワイト・ルシアンを飲みながら、映画の好きな登場人物に扮してボウリングをするというもの。2002年の第1回大会はルイビル、それ以降は毎年違う都市で開催されている[7]。
- 『デュードイズム』:主人公デュードの生き方と、道教やエピクロス主義の哲学が融合したライフスタイル。映画の熱狂的なファンによって設立された団体の名前でもある。[8]
配役
主人公のヒッピー崩れのダメ男デュードを、ジェフ・ブリッジスが演じている。ブリッジズは初めて映画の脚本を読んだ時、自分がデュードを演じるために生まれてきたように思えた、と語っている[3]。
デュードのボウリング大会でのチームメイトや対戦相手を、ジョン・グッドマンやスティーブ・ブシェミ、ジョン・タトゥーロらコーエン兄弟制作映画の常連たちが演じているが、いずれの役もコーエン兄弟が彼らの起用を脚本執筆の時から想定して書いたものである[4]。
登場人物のモデル
- デュードのモデルとなったのは、過激な反戦運動で知られる映画プロデューサーのジェフ・ダウドである。ダウドはコーエン兄弟が処女作の『ブラッド・シンプル』の配給先を探している時にそれを手助けした、いわば兄弟にとっての恩人ともいえる人物であった。
- ウォルターのモデルの一人は、コーエン兄弟の友人であり、映画作家・監督のジョン・ミリアスである。彼も軍国主義、右翼思想で、銃器マニアである。
- モード・リボウスキのモデルは、オノ・ヨーコと、アクション・ペインティングなどで有名なキャロリー・シュニーマンである。[9]
サウンドトラック
No. | 曲名 | アーティスト名 |
---|---|---|
1 | The Man in Me | ボブ・ディラン |
2 | Her Eyes Are a Blue Million Miles | キャプテン・ビーフハート |
3 | My Mood Swings | エルヴィス・コステロ |
4 | Ataypura | イマ・スマック |
5 | Traffic Boom | ピエロ・ピッチオーニ |
6 | I Got It Bad | ニーナ・シモン |
7 | Stamping Ground | ムーンドッグ |
8 | Just Dropped In | ケニー・ロジャース (カントリー歌手) |
9 | Walking Song | メレディス・モンク |
101 | Glück das mir verblieb | エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト, アントン・デルモタ |
11 | Lujon | ヘンリー・マンシーニ |
12 | ホテル・カリフォルニア (曲) | ジプシー・キングス |
13 | Technopop | カーター・バーウェル |
14 | Dead Flowers | タウンズ・ヴァン・ザント |
反響・評価
- 映画は1998年3月6日に北米で公開され、約1700万ドルの興行収入をあげた。興行的には制作費を若干上回る程度の利益しかあげられず、批評的にも前作『ファーゴ』以上の作品を期待していた多くの評論家たちを失望させた。
- 公開当時は批評的にも興行的にも今ひとつの評価だった本作品だが、DVDが発売されると徐々にブームに火が付き、一躍人気映画となった。深夜に観る映画のチョイスとして、主に若者たちから支持を集めたともいわれる[10]。2012年現在ではカルト映画として一部の熱狂的ファン[誰?]から絶大な支持を受けている。ブリッジスが本作品で見せた自然体の演技は高く評価されている[誰によって?]。
- 1998年度のベルリン国際映画祭では金熊賞の候補となったが、受賞には至らなかった。
- 2003年にはエンターテイメント・ウィークリー誌のカルト映画トップ50で第34位にランクインした。
脚注
- ^ a b “The Big Lebowski (1998)” (英語). Box Office Mojo. 2011年2月25日閲覧。
- ^ Carolyn R. Russell (2001). The Films of Joel and Ethan Coen. Jefferson: McFarland & Company, Inc., Publishers. pp. 142. ISBN 0-7864-0973-8
- ^ a b Production Notes(『ビッグ・リバウスキ』の製作秘話、ユニバーサル・ピクチャーズ版DVD収録)
- ^ a b Making of The Big Lebowski(『ビッグ・リボウスキ』製作の模様を扱ったドキュメンタリー、ユニバーサル・ピクチャーズ版DVD収録)
- ^ “Freeze Frame: The Big Lebowski”. 2007年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年4月27日閲覧。
- ^ “ジョン・タトゥーロ主演「ビッグ・リボウスキ」スピンオフが劇場公開へ : 映画ニュース”. 映画.com. 2020年9月21日閲覧。
- ^ The Lebowski Fest: An Achiever's Story(リボウスキ・フェスティバルを取材したドキュメンタリー、ユニバーサル・ピクチャーズ版DVD収録)
- ^ http://web.archive.org/web/20130324030503/http://travel.cnn.com/bangkok/life/doctrine-chiang-mais-church-latter-day-dude-explained-206793/
- ^ Ciment, Michel; Hubert Niogret (May 1998). "The Logic of Soft Drugs". Postif.
- ^ Finlo Rohrer、“Is The Big Lebowski a cultural milestone?”、BBC News Magazine、2008年10月10日。(参照:2009年3月23日)