コンテンツにスキップ

「ダールグレン砲」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
1行目: 1行目:
[[Image:Dahlgren gun.jpg|thumb|USS[[バージニア (装甲艦)|メリマック]]のダールグレン砲。1861年]]
[[File:Dahlgren gun.jpg|thumb|USS[[バージニア (装甲艦)|メリマック]]のダールグレン砲。1861年]]
'''ダールグレン砲'''(ダールグレンほう、Dahlgren gun)とは、[[南北戦争]]中(及びその前)に北部の海軍が使用した[[滑腔砲]]及び[[ライフル砲]]の一種。表記は'''ダルグレン砲'''とも。滑腔砲については'''ダールグレン式滑腔砲'''とも言われる。
'''ダールグレン砲'''(ダールグレンほう、Dahlgren gun)とは、[[南北戦争]]中(及びその前)に北部の海軍が使用した[[滑腔砲]]及び[[ライフル砲]]の一種。表記は'''ダルグレン砲'''とも。滑腔砲については'''ダールグレン式滑腔砲'''とも言われる。


5行目: 5行目:


== 概要 ==
== 概要 ==
合衆国海軍の火器開発部の長、[[ジョン・A・ダールグレン]]は黒色火薬への着火時の砲尾において爆発の力が最大で、一方、砲弾が砲口近くにある時は掛かる力が最小であることを認識していた。そこで彼は砲尾が非常に太く、砲口が細く、滑らかな外形をした大砲を開発した。これはより先進的な型の大砲に較べて安価であった。ダールグレン砲は、ビール瓶に似た形状から"bottle cannon"<!-- 定訳語がわからないため原語のままに。ヴェルヌの「地球から月へ」か「月世界へ行く」で“サイダー瓶”という訳語を見たことはありますが。Five-toed-sloth -->と綽名された。またダールグレンの名にちなんで呼ばれることもあった。
合衆国海軍の火器開発部の長、{{仮リンク|ジョン・A・ダールグレン|en|John A. Dahlgren}}は黒色火薬への着火時の砲尾において爆発の力が最大で、一方、砲弾が砲口近くにある時は掛かる力が最小であることを認識していた。そこで彼は砲尾が非常に太く、砲口が細く、滑らかな外形をした大砲を開発した。これはより先進的な型の大砲に較べて安価であった。ダールグレン砲は、ビール瓶に似た形状から “bottle cannon”<!-- 定訳語がわからないため原語のままに。ヴェルヌの「地球から月へ」か「月世界へ行く」で“サイダー瓶”という訳語を見たことはありますが。Five-toed-sloth --> と綽名された。またダールグレンの名にちなんで呼ばれることもあった。


[[Image:Dahlgren_gun_crew.jpg|thumb|left|1864年、訓練航海中の合衆国海軍砲艦でダールグレン砲を操作する砲手]]
[[File:Dahlgren gun crew.jpg|thumb|left|1864年、訓練航海中の合衆国海軍砲艦でダールグレン砲を操作する砲手]]
しかしながら彼の設計思想は他の海軍関係者には受け容れられなかった。大砲の装填方式が[[先込め|前装式]]から[[後装式]]へ転換したことと冶金技術の発展による積層砲の出現は、[[20世紀]]になる前に彼の設計を時代遅れなものとした。
しかしながら彼の設計思想は他の海軍関係者には受け容れられなかった。大砲の装填方式が[[先込め|前装式]]から[[後装式]]へ転換したことと冶金技術の発展による積層砲の出現は、[[20世紀]]になる前に彼の設計を時代遅れなものとした。


彼の設計の欠点は、砲尾のhoisting-knobが小さい(壊れやすい)ことと、大砲にとって不可欠である照準角の設定機構を欠いていたことである。これらの不備は[[コロンビヤード砲|ロッドマン砲]]の開発によって改善が試みられた。
彼の設計の欠点は、砲尾の hoisting-knob が小さい(壊れやすい)ことと、大砲にとって不可欠である照準角の設定機構を欠いていたことである。これらの不備は[[コロンビヤード砲|ロッドマン砲]]の開発によって改善が試みられた。


{{Commonscat|Dahlgren guns}}


{{DEFAULTSORT:たあるくれんほう}}
{{Commons category|Dahlgren guns}}

{{デフォルトソート:たあるくれんほう}}
[[Category:大砲]]
[[Category:大砲]]
[[Category:南北戦争]]
[[Category:南北戦争]]

2021年11月17日 (水) 20:46時点における版

USSメリマックのダールグレン砲。1861年

ダールグレン砲(ダールグレンほう、Dahlgren gun)とは、南北戦争中(及びその前)に北部の海軍が使用した滑腔砲及びライフル砲の一種。表記はダルグレン砲とも。滑腔砲についてはダールグレン式滑腔砲とも言われる。

鋳造時に一体成型されたのはごく原始的な大砲だけであって、19世紀の大砲は発射に耐えるための強度と可能な限りの軽さを実現するため、多様な形状の金属製部品を組み合わせて作られた。

概要

合衆国海軍の火器開発部の長、ジョン・A・ダールグレン英語版は黒色火薬への着火時の砲尾において爆発の力が最大で、一方、砲弾が砲口近くにある時は掛かる力が最小であることを認識していた。そこで彼は砲尾が非常に太く、砲口が細く、滑らかな外形をした大砲を開発した。これはより先進的な型の大砲に較べて安価であった。ダールグレン砲は、ビール瓶に似た形状から “bottle cannon” と綽名された。またダールグレンの名にちなんで呼ばれることもあった。

1864年、訓練航海中の合衆国海軍砲艦でダールグレン砲を操作する砲手

しかしながら彼の設計思想は他の海軍関係者には受け容れられなかった。大砲の装填方式が前装式から後装式へ転換したことと冶金技術の発展による積層砲の出現は、20世紀になる前に彼の設計を時代遅れなものとした。

彼の設計の欠点は、砲尾の hoisting-knob が小さい(壊れやすい)ことと、大砲にとって不可欠である照準角の設定機構を欠いていたことである。これらの不備はロッドマン砲の開発によって改善が試みられた。