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2020年6月29日には、同条件で日本でも承認された<ref>{{Cite web |title=METex14変異陽性進行NSCLCを対象にカプマチニブが承認、しかし現状では実質的に投与できず |url=https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202006/566219.html |website=がんナビ |accessdate=2022-02-04 |language=ja |last=がんナビ}}</ref>。
2020年6月29日には、同条件で日本でも承認された<ref>{{Cite web |title=METex14変異陽性進行NSCLCを対象にカプマチニブが承認、しかし現状では実質的に投与できず |url=https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202006/566219.html |website=がんナビ |accessdate=2022-02-04 |language=ja |last=がんナビ}}</ref>。


米国食品医薬品局(FDA)は、{{仮リンク|迅速承認プログラム|en|Accelerated approval (FDA)}}に基づいて申請を処理し、カプマチニブの{{仮リンク|優先審査|en|Priority review}}、{{仮リンク|希少疾病用医薬品|en|orphan drug}}、{{仮リンク|ブレークスルーセラピー|en|breakthrough therapy}}指定を認めた<ref name="FDA capmatinib" /><ref name="FDA PR" />。
米国食品医薬品局(FDA)は、{{仮リンク|迅速承認プログラム|en|Accelerated approval (FDA)}}に基づいて申請を処理し、カプマチニブの{{仮リンク|優先審査|en|Priority review}}、{{仮リンク|希少疾病用医薬品|en|orphan drug}}、{{仮リンク|画期的医薬品|en|breakthrough therapy}}指定を認めた<ref name="FDA capmatinib" /><ref name="FDA PR" />。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2022年2月4日 (金) 11:14時点における版

臨床データ
販売名 Tabrecta
Drugs.com monograph
MedlinePlus a620038
ライセンス US Daily Med:リンク
胎児危険度分類
  • Not recommended
法的規制
投与経路 By mouth
識別
CAS番号
1029712-80-8
ATCコード L01EX17 (WHO)
PubChem CID: 25145656
DrugBank DB11791
ChemSpider 25069712
UNII TY34L4F9OZ
KEGG D10891
ChEMBL CHEMBL3188267
別名 INC280
化学的データ
化学式C23H17FN6O
分子量412.43 g·mol−1
テンプレートを表示

カプマチニブ(Capmatinib)は、膜受容体肝細胞増殖因子受容体HGFRをコードするMET 遺伝子のエクソン14をスキップする変異を有する転移性非小細胞肺癌(NSCLC)の成人の治療薬である[1][2][3]

主な副作用は、末梢性浮腫、吐き気、疲労、嘔吐、呼吸困難、食欲減退などである[1][4][2]

NSCLCは、肺の組織に悪性癌細胞が形成される疾患である[2]。肺癌の中で最も一般的なタイプであり、肺癌全体の90%が非小細胞肺癌に分類される[2]。NSCLCは、健康な細胞が異常を来して急速に増殖する事で発生する[2]。この形態の癌の危険性の一つは、癌細胞が肺から他の臓器や体の部位に広がる可能性が高い事である[2]。癌の転移は一連の事象から構成されており、MET エクソン14のスキップは、癌の転移に重要な事象であると認識されている[2]MET エクソン14スキップを齎す変異は、肺癌患者の3~4%に認められる[2]

カプマチニブは、特定の変異(間葉系-上皮系移行またはMET エクソン14スキップをもたらす変異)を有する非小細胞肺がんを治療するために日米で承認された初めての治療薬である[2]

効能・効果

日本

  • MET 遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
    • 充分な経験を有する病理医または検査施設における検査により、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品[注 1]を用いること。

米国

  • カプマチニブは、FDAが承認した検査で間葉系上皮移行(MET)エクソン14スキップが検出された変異を有する転移性非小細胞肺癌(NSCLC)の成人の治療に適応されるキナーゼ阻害薬である[1][4]

警告

間質性肺疾患が現れ、死亡に至った症例も報告されている。

副作用

重大な副作用とされているものは、

  • 間質性肺疾患
間質性肺疾患(2.1%)、肺臓炎(4.1%)
  • 体液貯留(54.6%)
末梢性浮腫(52.6%)、低アルブミン血症(7.2%)、胸水心嚢液貯留(1.0%)等
AST増加(7.2%)、ALT増加(10.3%)等
血中クレアチニン増加(25.8%)、腎不全急性腎障害

である。

カプマチニブは、間質性肺疾患(肺組織が瘢痕化する肺疾患群)、肺炎(肺組織の炎症)、肝毒性(肝細胞の損傷)、光過敏症、胚・胎児毒性などを引き起こす可能性がある[4]。初期の実験室での細胞における光毒性の明確な陽性シグナルに基づき、患者は日光に対してより敏感になる可能性があるので、カルマチニブ服用中は皮膚を覆い、日焼け止めを使用し、日焼けをしないように注意するよう助言されるべきである[4][2]

カプマチニブは、発育中の胎児や新生児に害を与える可能性がある[1][2]

作用機序

この物質は、胚発生、器官形成、創傷治癒に関与するチロシンキナーゼであるc-Metを阻害するが[7][8]、癌の発生にも関与している。

臨床試験

有効性は、MET エクソン14スキップが確認された転移性NSCLC患者334名を登録した多施設非無作為化非盲検マルチホート試験「GEOMETRY mono-1試験(NCT02414139)」で実証された[3][4]。参加者の中には、癌に対する治療歴がある患者とない患者(治療歴なし)がいた[3]。参加者は、病勢進行または許容できない毒性が現れるまで、カプマチニブ400mgを1日2回経口投与された[4][2]。有効性は、参加者のうち97人からの結果に基づいている[3]。本試験は、米国、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イスラエル、イタリア、日本、韓国、レバノン、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ロシア、シンガポール、スウェーデン、スイス、スペイン、台湾、英国の 92 施設で実施された[3]

主要な有効性評価項目は、全奏効率(ORR)であり、これは一定量の腫瘍縮小が認められた被験者の割合を反映するものである[2]。また、有効性の評価指標として、奏効期間(DOR)が設定された[2]。有効性評価対象者は、NSCLCに対する治療歴のない28名と治療歴のある69名であった[2]。28名のORRは68%であり、完全奏効が4%、部分奏効が64%であった[2]。69名のORRは41%であり、全員が部分奏効を示した[2]。NSCLCの治療歴がない患者のうち、奏効期間が12カ月以上持続したのは47%で、治療歴のある患者の32.1%に比べ、奏効期間が短かった[2]

承認

カプマチニブは、2020年5月に米国でカプマチニブのコンパニオン診断薬であるFoundationOne CDxアッセイと共に、医療用医薬品として承認されている[4][9]

2020年6月29日には、同条件で日本でも承認された[10]

米国食品医薬品局(FDA)は、迅速承認プログラム英語版に基づいて申請を処理し、カプマチニブの優先審査英語版希少疾病用医薬品画期的医薬品指定を認めた[4][2]

脚注

注釈

  1. ^ FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル[5]が承認されているが、日本肺癌学会日本肺がん患者連絡会厚生労働省に他のパネル遺伝子検査による検出でも投与可能とするよう要望書を提出している[6]

出典

  1. ^ a b c d e Tabrecta- capmatinib tablet, film coated”. DailyMed (2020年5月6日). 2020年5月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s "FDA Approves First Targeted Therapy to Treat Aggressive Form of Lung Cancer". U.S. Food and Drug Administration (FDA) (Press release). 6 May 2020. 2020年5月8日閲覧  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  3. ^ a b c d e Drug Trials Snapshots: Tabrecta”. U.S. Food and Drug Administration (FDA) (2020年5月6日). 2020年5月21日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  4. ^ a b c d e f g h FDA grants accelerated approval to capmatinib for metastatic non-small”. U.S. Food and Drug Administration (FDA) (2020年5月6日). 2020年5月6日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  5. ^ 医薬品の適応判定を目的として承認された体外診断用医薬品又は医療機器の情報”. 2022年2月4日閲覧。
  6. ^ 肺がんのMET/NTRK遺伝子診断におけるエキスパートパネルの活用に関する要望書”. 2022年2月4日閲覧。
  7. ^ “The selective c-Met inhibitor capmatinib offsets cisplatin-nephrotoxicity and doxorubicin-cardiotoxicity and improves their anticancer efficacies”. Toxicology and Applied Pharmacology 398: 115018. (April 2020). doi:10.1016/j.taap.2020.115018. PMID 32333917. 
  8. ^ “A phase II study of the efficacy and safety of the MET inhibitor capmatinib (INC280) in patients with advanced hepatocellular carcinoma”. Therapeutic Advances in Medical Oncology 11: 1758835919889001. (2019). doi:10.1177/1758835919889001. PMC 6906348. PMID 31853265. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6906348/. 
  9. ^ Tabrecta: FDA-Approved Drugs”. U.S. Food and Drug Administration (FDA). 2020年5月6日閲覧。
  10. ^ がんナビ. “METex14変異陽性進行NSCLCを対象にカプマチニブが承認、しかし現状では実質的に投与できず”. がんナビ. 2022年2月4日閲覧。

外部リンク

  • Capmatinib”. Drug Information Portal. U.S. National Library of Medicine. 2022年2月4日閲覧。
  • Capmatinib hydrochloride”. NCI Drug Dictionary. National Cancer Institute. 2022年2月4日閲覧。
  • Capmatinib hydrochloride”. National Cancer Institute. 2022年2月4日閲覧。
  • 臨床試験番号 NCT02414139 研究名 "Clinical Study of Oral cMET Inhibitor INC280 in Adult Patients With EGFR Wild-type Advanced Non-small Cell Lung Cancer" - ClinicalTrials.gov