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「東急6000系電車 (2代)」の版間の差分

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客室のカラースキームは、車端部を木目調、そのほかの壁面は白を基調としている。
客室のカラースキームは、車端部を木目調、そのほかの壁面は白を基調としている。


座席はすべて[[鉄道車両の座席#ロングシート(縦座席)|ロングシート]]で、1人あたりの掛け幅は460mmである。形状や材質は5000系3次車以降や7000系と共通であるが、座席モケットの色は座面部が橙色、背もたれ部が赤や橙色などを配した[[モザイク]]である。7人掛けの座席部には2か所にを配するが、[[ユニバーサルデザイン]]の一環として弓状に通路部に突出させた形状とされた。この手摺りは5000系5・6次車[[優先席]]部分のみ設置された、本系列では7000系と同様に全座席配置とされた。
座席はすべて[[鉄道車両の座席#ロングシート(縦座席)|ロングシート]]で、1人あたりの掛け幅は460mmである。形状や材質は5000系3次車以降や7000系と共通であるが、座席モケットの色は座面部が橙色、背もたれ部が赤や橙色などを配した[[モザイク]]である。座席周りの[[ユニバーサルデザイン]]の一環としてカーブを描く形状とた。5000系5次車より[[優先席]]部に採用されたものと同一であり、本系列では7000系と同様に全座席配置とされた。


客用ドア間の[[つり革]]位置は床面から1,630mmが基本であるが、これもユニバーサルデザインの一環として1,580mmのものを3個配置することで小柄な乗客・[[子供]]・[[高齢者]]がつかまりやすいように配慮されている。[[網棚|荷棚]]は金網構成で、[[東急3000系電車 (2代)|3000系]]より20mm位置を低くしている。
客用ドア間の[[つり革]]位置は床面から1,630mmが基本であるが、これもユニバーサルデザインの一環として1,580mmのものを3個配置することで小柄な乗客・[[子供]]・[[高齢者]]がつかまりやすいように配慮されている。[[網棚|荷棚]]は金網構成で、[[東急3000系電車 (2代)|3000系]]より20mm位置を低くしている。
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客室側窓は車端部に固定式を1枚、客用ドア間に5000系列に準じた下降式のものを1枚配している。[[窓ガラス]]は[[赤外線|熱線]]吸収および[[紫外線]]カットを図っており、5000系列や7000系と同様に巻き上げ[[カーテン]]は省略されている。
客室側窓は車端部に固定式を1枚、客用ドア間に5000系列に準じた下降式のものを1枚配している。[[窓ガラス]]は[[赤外線|熱線]]吸収および[[紫外線]]カットを図っており、5000系列や7000系と同様に巻き上げ[[カーテン]]は省略されている。


客用ドアは5000系6次車(5111F - 5114F・5166F - 5168F)と同一仕様で、室内側は化粧板仕上げとされ、戸当たり部分には黄色のマーキングを施している。窓ガラスは[[結露]]防止の観点から[[複層ガラス|複層]]構造が採用されている。
客用ドアは5000系6次車と同一仕様で、室内側は化粧板仕上げとされ、戸当たり部分には黄色のマーキングを施している。窓ガラスは[[結露]]防止の観点から[[複層ガラス|複層]]構造が採用されている。


客用ドア上部には[[VIS (鉄道システム)|TIP]]による15インチ[[液晶ディスプレイ]](LCD)を2基設置している。5000系列(5080系の一部を除く)と同一のレイアウトであり、右側に停車駅・乗り換え案内・ドア開閉方向・駅ホーム設備案内などを表示するほか、異常時における運行情報を表示する。左側は「[[TOQビジョン]]」で、動画広告を表示することも可能である。そのほかにも多チャンネル機能を有しており、車内の左右で異なる画面を表示することが可能である。さらに、[[ドアチャイム]]とドア開閉表示灯<!--7000系で導入済み-->も設置している。
客用ドア上部には[[VIS (鉄道システム)|TIP]]による15インチ[[液晶ディスプレイ]](LCD)を2基設置している。5000系列と同一のレイアウトであり、右側に停車駅・乗り換え案内・ドア開閉方向・駅ホーム設備案内などを表示するほか、異常時における運行情報を表示する。左側は「[[TOQビジョン]]」で、動画広告を表示することも可能である。そのほかにも多チャンネル機能を有しており、車内の左右で異なる画面を表示することが可能である。さらに、[[ドアチャイム]]とドア開閉表示灯<!--7000系で導入済み-->も設置している。


運転室の機器配置は5000系列と共通である。運転室と客室の仕切窓は5000系列と同じ構成であるが、運転席背後の窓寸法は5000系列より縮小されているほか、この窓のみ遮光ガラスが使用されている。運転席背後と仕切扉には[[遮光幕]]が設置されている。
運転室の機器配置は5000系列と共通である。運転室と客室の仕切窓は5000系列と同じ構成であるが、運転席背後の窓寸法は5000系列より縮小されているほか、この窓のみ遮光ガラスが使用されている。運転席背後と仕切扉には[[遮光幕]]が設置されている。
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なお、2011年11月から04編成の車内の照明器具にLEDが試験導入された。以後2013年から[[東急5000系電車 (2代)|5000系]]や[[東急1000系電車|1500系]]などに順次導入されている<ref>{{Cite web|url=http://www.tokyu.co.jp/csr/tkk_kankyo/focus3.html |title=環境報告書2014 特集3 鉄道事業における消費電力・CO2排出量削減対策 鉄道車両への「LED車内照明」の導入 |accessdate=2015-01-27}}</ref>。その後、04編成は試験終了に伴い2012年に1号車を除き蛍光灯に戻されたが、2014年度に全編成の車内照明がLED化されている。
なお、2011年11月から04編成の車内の照明器具にLEDが試験導入された。以後2013年から[[東急5000系電車 (2代)|5000系]]や[[東急1000系電車|1500系]]などに順次導入されている<ref>{{Cite web|url=http://www.tokyu.co.jp/csr/tkk_kankyo/focus3.html |title=環境報告書2014 特集3 鉄道事業における消費電力・CO2排出量削減対策 鉄道車両への「LED車内照明」の導入 |accessdate=2015-01-27}}</ref>。その後、04編成は試験終了に伴い2012年に1号車を除き蛍光灯に戻されたが、2014年度に全編成の車内照明がLED化されている。
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ファイル:Tokyu New 6000 series EMU 021.JPG|車内(クハ6600形)
ファイル:Tokyu New 6000 series EMU 021.JPG|車内(クハ6600形)
ファイル:Tokyu New 6000 series EMU 022.JPG|7人掛け座席<br />(全形式共通)
ファイル:Tokyu New 6000 series EMU 022.JPG|7人掛け座席
ファイル:Tokyu New 6000 series EMU 023.JPG|優先席周辺<br />(クハ6600形)
ファイル:Tokyu New 6000 series EMU 023.JPG|優先席周辺(クハ6600形)
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ファイル:Inside-Tokyu6000N-24.jpg|車内案内表示器(15インチLCD)

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ファイル:Inside-Tokyu6000N-22.jpg|2段式手すり設置されたいすスペース
ファイル:Inside-Tokyu6000N-24.jpg|車内案内表示器(更新前)
ファイル:Tokyu6000-Wall.jpg|乗務員室背面仕切壁
ファイル:Tokyu6000-Wall.jpg|乗務員室背面仕切壁
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=== 走行機器など ===
=== 走行機器など ===
主回路システムは[[東急5000系電車 (2代)#5080系|5080系]]と同一の[[東芝]]製[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]](IEGT)による2レベル方式の[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]](容量 3,300V/1,200A)で、[[回生ブレーキ]]機能と[[純電気ブレーキ|全電気ブレーキ]]機能を有する。1のインバータで4電動機を駆動する1C4M方式とし、1C4M2群のユニットをデハ6500形に、同1群のユニットをデハ6200形に搭載する。
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File:Tokyu New 6000 series EMU 013.JPG|2群用VVVFインバータ装置<br />(デハ6500形)
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主回路システムは[[東急5000系電車 (2代)#5080系|5080系]]と同一の[[東芝]](7両化増備車以降は[[東芝インフラシステムズ]])製[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]][[半導体素子|素子]](IEGT)による2レベル方式の[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]](容量 3,300V/1,200A)で、[[回生ブレーキ]]機能と[[純電気ブレーキ|全電気ブレーキ]]機能を有する。1のインバータ装置で4[[かご形三相誘導電動機]]を駆動する1C4M方式2群のユニットをデハ6500形に、1C4M1群のユニットをデハ6200形に搭載する。編成中の電動車と[[付随車]]の構成([[MT比]])は3M3Tである。


補助電源装置は、IGBT素子による容量210kVAの[[静止形インバータ]](SIV)をサハ6300形とデハ6400形に搭載する。7000系と異なりVVVFインバータとのデュアルモード構成ではない
補助電源装置は、IGBT素子による容量210kVAの[[静止形インバータ]](SIV)をサハ6300形とデハ6400形に搭載する。


主電動機は5000系列・7000系と同一のTKM-99A型で、定格出力は190kWである。歯車比(6.21)や駆動装置にTD継手を採用している点も5000系列や7000系と同一である。
主電動機は5000系列・7000系と同一の190kW[[かご形三相誘導電動機]](TKM-99A)である。歯車比(6.21)や駆動装置にTD継手を採用している点も5000系列や7000系と同一である。
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File:Tokyu New 6000 series EMU 011.JPG|TS-1019A形 M台車
ファイル:Tokyu New 6000 series EMU 013.JPG|2群用VVVFインバータ装置<br />(デハ6500形)
File:Tokyu New 6000 series EMU 012.JPG|TS-1020A形 T台車
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[[鉄道車両の台車|台車]]は[[東急車輛製造]]製の軸梁式軸箱支持[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]で、[[ホイールベース]]は2,100mmである。基本構造は電動台車(TS-1019A)・付随台車(TS-1020A)とも共通化されており、基礎ブレーキ装置[[踏面ブレーキ|ユニットブレーキ]]とされている。
[[鉄道車両の台車|台車]]は5000系列と同一のTS-1019A(電動台車)・TS-1020A(付随台車)、[[東急車輛製造]]製の軸梁式[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]で、[[ホイールベース]]は2,100mmである。基本構造は両者とも共通化されており、基礎ブレーキ装置[[踏面ブレーキ|ユニットブレーキ]]とされている。


[[集電装置|パンタグラフ]]はシングルアーム式で、デハ6200形に1基、デハ6500形に2基搭載される。
[[集電装置|パンタグラフ]]はシングルアーム式で、デハ6200形に1基、デハ6500形に2基搭載し、上昇検知装置を備える。


[[圧縮機|空気圧縮機]]は騒音低減を図ったスクロール式で、サハ6300形とデハ6400形に各1台搭載される。
[[圧縮機|空気圧縮機]]は騒音低減を図ったスクロール式で、サハ6300形とデハ6400形に各1台搭載される。
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2017年8月29日から30日にかけてデハ6300形6両が総合車両製作所横浜事業所から輸送<ref>[http://railf.jp/news/2017/08/30/150000.html 東急6000系中間車が甲種輸送される] 鉄道ファン(railf.jp) 2017年8月30日</ref>された。9月には6103Fが作業を始め、試運転の後、2017年11月4日より7両編成での営業運転を開始した<ref>[http://railf.jp/news/2017/11/05/201000.html 東急大井町線で7両編成の急行列車の運転開始] 鉄道ファン(railf.jp) 2017年11月5日</ref>。以降順次増結が行われ、2018年2月9日の6101Fを最後に6両編成での運用が終了、3月2日より6101Fも7両編成での営業運転を開始している。
2017年8月29日から30日にかけてデハ6300形6両が総合車両製作所横浜事業所から輸送<ref>[http://railf.jp/news/2017/08/30/150000.html 東急6000系中間車が甲種輸送される] 鉄道ファン(railf.jp) 2017年8月30日</ref>された。9月には6103Fが作業を始め、試運転の後、2017年11月4日より7両編成での営業運転を開始した<ref>[http://railf.jp/news/2017/11/05/201000.html 東急大井町線で7両編成の急行列車の運転開始] 鉄道ファン(railf.jp) 2017年11月5日</ref>。以降順次増結が行われ、2018年2月9日の6101Fを最後に6両編成での運用が終了、3月2日より6101Fも7両編成での営業運転を開始している。


新造した中間車は5000系と異なり主に内装デザインにおいて既存車と仕様が揃えられた面が多く、目立った変更点は車椅子スペースの設置と妻引戸窓の大型化、床面や台車の小変更程度(いずれも5000系に準じたもの)である。また側引戸やLCDに5000系6扉車からの流用品が使用されており<ref group="注">そのため妻面の機器箱も存在。</ref>、その部分のみ色が異なっている<ref group="注">このうち鴨居カバーはLCD更新時に交換されたため、以降は通常の色となった。</ref>。
同時期に新造車の組み込みが行われた5000系と異なりTIP装置の更新は行われず、新造車もLCDは15インチ、妻面機器箱ありとなっている。


=== Qシート車の組み込み ===
=== Qシート車の組み込み ===

2022年9月3日 (土) 00:09時点における版

東急6000系電車
大井町線を走行する6000系電車
(2008年3月28日 尾山台駅 - 等々力駅間)
基本情報
運用者 東京急行電鉄
東急電鉄
製造所 東急車輛製造
総合車両製作所横浜事業所
製造年 2008年 - 2019年
製造数 6編成44両
運用開始 2008年3月28日
投入先 大井町線
主要諸元
編成 4Ⅿ3T(7両編成)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 95 km/h(大井町線)
110 km/h(田園都市線)
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 878人
車両定員 先頭車139人
中間車150人
自重 クハ6100形 (Tc2) 26.9 t
デハ6200形 (M) 30.7 t
サハ6300形 (T) 28.2 t
デハ6400形 (M2) 33.3 t
デハ6500形 (M1) 32.9 t
クハ6600形 (Tc1) 26.8 t
編成重量 178.8 t
全長 20,435 mm(先頭車)
20,000 mm(中間車)
全幅 2,800 mm
全高 4,050 mm
車体 軽量ステンレス
主電動機 かご形三相誘導電動機
(定格出力190kW/端子電圧1100V、電流128A、周波数62Hz、定格回転数1825rpm)
主電動機出力 190 kW
駆動方式 TD継手式中実軸平行カルダン駆動方式(6202号車のみWN継手)
歯車比 87:14(6.21)
編成出力 2,280 kW
制御方式 VVVFインバータ制御
IGBT素子
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ全電気ブレーキ
保安装置 ATC-P
備考
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東急6000系電車(とうきゅう6000けいでんしゃ)は、2008年平成20年)3月28日に営業運転を開始した東急電鉄通勤形電車である。

東急で6000系を名乗る形式はこれで2代目になるため、「新6000系」と呼ばれることもある。

概要

大井町線では1993年以降、田園都市線のバイパス路線としての機能を持たせることを目的に輸送力増強工事が行われており[1]、この一環として2008年3月28日から、それまで全列車5両編成で運行されていた大井町線に6両編成の急行列車を運行することとなり、これに充当する車両として製造されたものである[2]

「人と環境にやさしい車両」を全体の設計コンセプトとして、東急ですでに標準車両としていた5000系列を設計のベースとしている[2]

2008年3月28日付で6両編成6本が導入された。

車両概説

車体

5000系列と共通の部材を使用したオールステンレス車体である。先頭車前面は繊維強化プラスチック (FRP)製で、運転室から見て右側にオフセット配置された非常用貫通扉を有する。形状は5000系列と異なる特徴的なくさび形とされた。前照灯尾灯は下部両サイドに縦一列に配置されている。

車体配色は5000系列までの車両とは異なり、前面と側面窓上から屋根にかけて東急のコーポレートカラーである赤を配しており、色調も紅色(カーマイン)やマルーンに近いものとなっている。側面には大井町線のラインカラーである橙色が配されており、裾部の帯に加えて、スピード感の演出のため1両あたり2か所、天地いっぱいに前面形状に準じた「くの字」形のグラフィックが配されている。これは編成中央の3・4号車を境に両端に向かうデザインとされている(左写真二子新地のものを参照)。最初に落成した6101Fのみ、側面幕板部の赤帯と裾部の橙色の帯がない状態で出場し、長津田検車区への搬入後、同区にて施工されている。

床面高さはレール面から1,130mmであり、レール面から1,100mmのプラットホームとの段差を低減している。

冷房装置は能力61.05kW(52,500kcal/h)の集中式を屋根上に1基搭載する。装置内の電熱ヒーターおよびヒートポンプ冷凍サイクルを活用した冬期の暖房や除湿も可能としている。5000系列と同じく奇数編成が三菱製、偶数編成が日立製を搭載しており、7両化用の中間車も同様であったが、Qシート車両は2両とも三菱製となった。

前面と側面の種別・行先表示器フルカラーLED式である。8500系8090系2000系方向幕換装車および2004年以降に製造された5000系列では種別表示器をフルカラーLED式、行先表示器を白色LED式としてきたが、本系列では行先表示器もフルカラー式となった。ドア用車側灯のカバーの色は従来の車両の赤から無色透明となり、太陽光の散乱などによる誤認を防いでいる。

なお、大井町線でドアカットを行っている九品仏駅は急行通過駅であるため、ドアカットを示すステッカーは貼付されていない。

車内

客室のカラースキームは、車端部を木目調、そのほかの壁面は白を基調としている。

座席はすべてロングシートで、1人あたりの掛け幅は460mmである。形状や材質は5000系3次車以降や7000系と共通であるが、座席モケットの色は座面部が橙色、背もたれ部が赤や橙色などを配したモザイクである。座席周りの手すりはユニバーサルデザインの一環としてカーブを描く形状とした。5000系5次車より優先席部に採用されたものと同一であり、本系列では7000系と同様に全座席配置とされた。

客用ドア間のつり革位置は床面から1,630mmが基本であるが、これもユニバーサルデザインの一環として1,580mmのものを3個配置することで小柄な乗客・子供高齢者がつかまりやすいように配慮されている。荷棚は金網構成で、3000系より20mm位置を低くしている。

車椅子スペースは中間電動車のデハ6200・6500形の車端部に各1か所設置されている。この部分もユニバーサルデザインの一環として7000系と同様に手すりを横方向に2段設置し、車椅子利用の乗客以外にもベビーカー利用の乗客や立席の乗客に対しても配慮されている。また、各車両間の貫通扉は5000系5次車以降と同じく傾斜式戸閉装置(上吊り傾斜レールによるドアクローザ)を採用されている。

客室側窓は車端部に固定式を1枚、客用ドア間に5000系列に準じた下降式のものを1枚配している。窓ガラス熱線吸収および紫外線カットを図っており、5000系列や7000系と同様に巻き上げカーテンは省略されている。

客用ドアは5000系6次車と同一仕様で、室内側は化粧板仕上げとされ、戸当たり部分には黄色のマーキングを施している。窓ガラスは結露防止の観点から複層構造が採用されている。

客用ドア上部にはTIPによる15インチ液晶ディスプレイ(LCD)を2基設置している。5000系列と同一のレイアウトであり、右側に停車駅・乗り換え案内・ドア開閉方向・駅ホーム設備案内などを表示するほか、異常時における運行情報を表示する。左側は「TOQビジョン」で、動画広告を表示することも可能である。そのほかにも多チャンネル機能を有しており、車内の左右で異なる画面を表示することが可能である。さらに、ドアチャイムとドア開閉表示灯も設置している。

運転室の機器配置は5000系列と共通である。運転室と客室の仕切窓は5000系列と同じ構成であるが、運転席背後の窓寸法は5000系列より縮小されているほか、この窓のみ遮光ガラスが使用されている。運転席背後と仕切扉には遮光幕が設置されている。

なお、2011年11月から04編成の車内の照明器具にLEDが試験導入された。以後2013年から5000系1500系などに順次導入されている[3]。その後、04編成は試験終了に伴い2012年に1号車を除き蛍光灯に戻されたが、2014年度に全編成の車内照明がLED化されている。

走行機器など

主回路システムは5080系と同一の東芝IGBT素子(IEGT)による2レベル方式のVVVFインバータ制御(容量 3,300V/1,200A)で、回生ブレーキ機能と全電気ブレーキ機能を有する。1つのインバータで4基の主電動機を駆動する1C4M方式とし、1C4M2群のユニットをデハ6500形に、同1群のユニットをデハ6200形に搭載する。

補助電源装置は、IGBT素子による容量210kVAの静止形インバータ(SIV)をサハ6300形とデハ6400形に搭載する。

主電動機は5000系列・7000系と同一の190kWかご形三相誘導電動機(TKM-99A)である。歯車比(6.21)や駆動装置にTD継手を採用している点も5000系列や7000系と同一である。

台車は5000系列と同一のTS-1019A(電動台車)・TS-1020A(付随台車)、東急車輛製造製の軸梁式ボルスタレス台車で、ホイールベースは2,100mmである。基本構造は両者とも共通化されており、基礎ブレーキ装置はユニットブレーキとされている。

パンタグラフはシングルアーム式で、デハ6200形に1基、デハ6500形に2基搭載し、上昇検知装置を備える。

空気圧縮機は騒音低減を図ったスクロール式で、サハ6300形とデハ6400形に各1台搭載される。

保安装置はATC-Pのみ装備する。大井町方先頭車のクハ6100形に車上装置を、溝の口方先頭車のクハ6600形に受信用増幅器を搭載し、両車間を制御伝送するシステムとしている。このATC装置には情報伝送装置(トランスポンダ)を用いることで「駅停車制御」・「臨時速度制御」・「踏切制御」の機能が付加されている。

導入後の変遷

7両編成化

当初は6両編成6本(36両)が投入されたが、輸送力増強のため、2017年度下期より大井町線の急行列車を6両編成から7両編成へ変更することとなり[4][5]、これに伴い中間車の増結が行われた。

2017年8月29日から30日にかけてデハ6300形6両が総合車両製作所横浜事業所から輸送[6]された。9月には6103Fが作業を始め、試運転の後、2017年11月4日より7両編成での営業運転を開始した[7]。以降順次増結が行われ、2018年2月9日の6101Fを最後に6両編成での運用が終了、3月2日より6101Fも7両編成での営業運転を開始している。

新造した中間車は5000系と異なり主に内装デザインにおいて既存車と仕様が揃えられた面が多く、目立った変更点は車椅子スペースの設置と妻引戸窓の大型化、床面や台車の小変更程度(いずれも5000系に準じたもの)である。また側引戸やLCDに5000系6扉車からの流用品が使用されており[注 1]、その部分のみ色が異なっている[注 2]

Qシート車の組み込み

2019年から6020系に続き6000系にもQシートが導入されることとなり、組み込みが行われた。

4月23日から24日にかけてデュアルシート仕様のデハ6300形2両が輸送された[8]。それぞれ6301・6302(ともに3代目)となり、6101F・6102Fに組み込まれている。6101Fは4月末に編成替えを行い、試運転の後に5月28日よりQシート組み込みでの営業運転を開始。6102Fは6月中旬に編成替え、試運転の後に7月16日より営業運転に就いた。

これにより余剰となったロングシート仕様のデハ6301・6302(ともに2代目)は9月4日から6日にかけて[注 3]総合車両製作所横浜事業所へ輸送されたのち、デハ5489・5490として改造され5080系に編入、新造車とともに目黒線8両化に使用された[9]

その他

  • 2019年頃より、車内の防犯カメラ設置が行われており、本系列では、車内照明と一体型の防犯カメラが採用されている。なお、既存の車内照明が寒色系の色味なのに対し、防犯カメラ一体型の物は暖色系の色味になっている[10]
  • 2019年度から2021年度にかけてLCDの17インチ化(TIP装置デジタル化)が行われている。このうち6101F・6102FはQシートの組み込みと同時に実施された。

編成表

製造時(全て7両化のためこの形態は消滅)

 
← 大井町
二子玉川・溝の口・鷺沼・長津田・中央林間
号車 1 2 3 4 5 6
形式  

クハ6100
(Tc2)

<  

デハ6200
(M)●

 

サハ6300
(T)

 

デハ6400
(M2)

< >

デハ6500
●(M1)

 

クハ6600
(Tc1)

搭載機器   VVVF1 SIV,CP SIV,CP VVVF2  
車両番号 6101

6106
6201

6206
6301

6306
6401

6406
6501

6506
6601

6606

7両編成化後

 
← 大井町
二子玉川・溝の口・鷺沼・長津田・中央林間
号車 1 2 3 4 5 6 7
形式  

クハ6100
(Tc2)

<  

デハ6200
(M)●

<  

デハ6300
●(M)

 

サハ6400
(T)

 

デハ6500
(M2)

< >

デハ6600
●(M1)

 

クハ6700
(Tc1)

搭載機器   VVVF1 VVVF1 SIV,CP SIV,CP VVVF2  
車両番号

(旧車番)

6103
 

6106
 
6203
 

6206
 
6303(II)
 

6306(II)
 
6403(II)
(6303)

6406(II)
(6306)
6503(II)
(6403)

6506(II)
(6406)
6603(II)
(6503)

6606(II)
(6506)
6703
(6603)

6706
(6606)

Qシート組み込み編成

 
← 大井町
二子玉川・溝の口・鷺沼・長津田・中央林間
号車 1 2 3 4 5 6 7
形式  

クハ6100
(Tc2)

<  

デハ6200
(M)●

<  

デハ6300
●(M)

 

サハ6400
(T)

 

デハ6500
(M2)

< >

デハ6600
●(M1)

 

クハ6700
(Tc1)

搭載機器   VVVF1 VVVF1 SIV,CP SIV,CP VVVF2  
車両番号 6101
 
6102
 
6201
 
6202
 
6301(Ⅲ)
 
6302(Ⅲ)
 
6401(II)
(6301)
6402(II)
(6302)
6501(II)
(6401)
6502(II)
(6402)
6601(II)
(6501)
6602(II)
(6502)
6701
(6601)
6702
(6602)

凡例・備考

  • VVVF1:主制御器(1C4M1群) 
  • VVVF2:主制御器(1C4M2群) 
  • SIV:補助電源装置(210kVA静止形インバータ) 
  • CP:空気圧縮機
  • <>:パンタグラフ
  • ●:車椅子スペース設置箇所
  • 網掛け():Qシート車
  • (Ⅱ):同じ番号を名乗る2代目の車両
  • (Ⅲ):同じ番号を名乗る3代目の車両

車体装飾

  • 2008年3月28日の運転開始は3編成にヘッドマークの装着と車体広告の貼付を行っていた。6101Fは6000系デビューのヘッドマーク2種類(うち1種類は旧6000系と一緒に表記)が、6104Fは「東急お台場パス」のヘッドマークと車体広告、6105Fは大井町線急行運転開始の車体広告を施している。

脚注

注釈

  1. ^ そのため妻面の機器箱も存在。
  2. ^ このうち鴨居カバーはLCD更新時に交換されたため、以降は通常の色となった。
  3. ^ 4日に八王子まで輸送。5日には続けて輸送された3008Fと併合し、6日の八王子からの輸送は8両で行われた。

出典

  1. ^ "「大井町線改良工事および田園都市線複々線化工事」に伴う大井町線急行運転実施時期の変更について" (PDF) (Press release). 東京急行電鉄. 18 June 2003. 2018年7月22日閲覧
  2. ^ a b "3月28日、大井町線の急行運転を開始、田園都市線の混雑緩和を目指します さらに新型車両導入、田園都市線の夕刻・夜間の増発など、快適・便利な鉄道を目指した施策に取り組みます" (PDF) (Press release). 東京急行電鉄. 15 February 2008. 2018年7月22日閲覧
  3. ^ 環境報告書2014 特集3 鉄道事業における消費電力・CO2排出量削減対策 鉄道車両への「LED車内照明」の導入”. 2015年1月27日閲覧。
  4. ^ "田園都市線および大井町線の朝ラッシュ時の混雑緩和施策を実施 ピーク前増発や大井町線急行7両編成化など、都心方面の輸送力を増強するとともに、移動手段、働く場所、乗車時間の多様な選択肢を提供します" (PDF) (Press release). 東京急行電鉄. 22 March 2017. 2018年7月22日閲覧
  5. ^ 都心方面への輸送力を増強し混雑緩和を推進します! 大井町線急行列車の7両編成化と新型車両6020系の導入” (PDF). 東京急行電鉄株式会社 (2017年10月12日). 2017年10月12日閲覧。
  6. ^ 東急6000系中間車が甲種輸送される 鉄道ファン(railf.jp) 2017年8月30日
  7. ^ 東急大井町線で7両編成の急行列車の運転開始 鉄道ファン(railf.jp) 2017年11月5日
  8. ^ 東急6000系「Qseat」車が甲種輸送される - 鉄道ファン(railf.jp)鉄道ニュース 2019年4月24日掲載
  9. ^ 東急デハ6300形2両が甲種輸送される|鉄道ニュース|2019年9月5日掲載|鉄道ファン・railf.jp”. 鉄道ファン・railf.jp. 2021年4月8日閲覧。
  10. ^ 鉄道業界初!ソフトバンクの4Gデータ通信に対応した LED蛍光灯一体型の防犯カメラを東急電鉄所属の全車両へ導入完了! - 東京急行電鉄ニュースリリース 2020年7月27日

参考文献

  • 東京急行電鉄(株)運転車両部 車両課 望月敏明「新車ガイド 東京急行電鉄6000系」『鉄道ファン』2008年4月号(通巻564号)p.67 - 73、交友社

外部リンク