コンテンツにスキップ

「マルチ商法」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
タグ: ビジュアルエディター モバイル編集 モバイルウェブ編集
編集の要約なし
タグ: ビジュアルエディター モバイル編集 モバイルウェブ編集
50行目: 50行目:


== 被害事件・報道 ==
== 被害事件・報道 ==
*共同通信社によると1994年6月8日訪問販売の[[サンフラワー]]社長がマルチ商法で逮捕された<ref name=":4">{{Cite web |title=「マルチ商法」写真・グラフィックス・映像一覧:報道写真の共同通信イメージリンク |url=https://imagelink.kyodonews.jp/search?product_type=1,2,11&keyword=%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E5%95%86%E6%B3%95 |website=報道写真・ニュース映像なら共同通信イメージリンク |access-date=2022-10-01 |publisher=[[共同通信社]]}}</ref>。
*共同通信社によると1994年6月8日訪問販売のマルチ商法をしていた「[[サンフラワー]]」の社長が逮捕された<ref name=":4">{{Cite web |title=「マルチ商法」写真・グラフィックス・映像一覧:報道写真の共同通信イメージリンク |url=https://imagelink.kyodonews.jp/search?product_type=1,2,11&keyword=%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E5%95%86%E6%B3%95 |website=報道写真・ニュース映像なら共同通信イメージリンク |access-date=2022-10-01 |publisher=[[共同通信社]]}}</ref>。
*共同通信社によると、2011年7月14日に通信機器販売会社「シーズンナウ」へマルチ商法の疑で福岡県警家宅捜索入った<ref name=":4" />。
*共同通信社によると、20081月7日にマルチ商法をしてた「ヴィヴ」7人逮捕された<ref name=":4" />。
*共同通信社によると、2011年7月14日に通信機器販売会社「シーズンナウ」へマルチ商法の疑いで福岡県警の家宅捜索が入った<ref name=":4" />。
*共同通信社によると2016年11月4日 「電子が発生する」と主張していた機器、化粧品、健康食品を販売していた「IPSコスメティックス」へマルチ商法として業務停止命令がされた<ref name=":4" />。
*共同通信社によると2016年11月4日 「電子が発生する」と主張していた機器、化粧品、健康食品を販売していた「IPSコスメティックス」へマルチ商法として業務停止命令がされた<ref name=":4" />。
*2020年10月1日に母子家庭で育ったために金銭的余裕の無い[[女子大生|女子大学生]]が、同級生から紹介された、「AIを駆使して暗号資産を運用するので、投資すれば多額の配当が出る」とうたっていた暗号資産投資詐欺「[[ジュビリーエース]]」のために自殺した<ref name=":2" /><ref name=":3" />。2021年11月「ジュビリーエース」詐欺していたグループの一部でセミナー開催し、出資金の3倍まで配当を保証するなどと勧誘し、[[ビットコイン]]形式で新たな出資者紹介で紹介者は紹介料などを得られるマルチ商法の手口で出資者を拡大し、集金していた男女7人は、「無登録高配当をうたう投資ファンド」への出資勧誘に対する[[金融商品取引法|金融商品取引法違反]](無登録営業)の疑いで摘発された。摘発された53歳の会社役員はジュビリー側に委託されて勧誘していたと述べていて、他6人中2人は53歳の会社役員から指示を受けて活動していた。残りの4人はジュビリーグループ自体の元従業員であった<ref>{{Cite web |title=「やらなかったらバカだ」親族に誘われ手渡した2000万円 “暗号資産” 650億円集金か {{!}} アーカイブ記事 |url=https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/861584 |website=沖縄タイムス+プラス |access-date=2022-10-01 |language=ja}}</ref>。2019年4月~2020年11月までに約650億円を集金していた。彼らは有罪判決を受けた<ref name=":2">{{Cite web |title=そして娘は命を絶った ~“暗号資産”めぐる事件の果てに|NHK |url=https://www3.nhk.or.jp/news/special/jiken_kisha/shougen/shougen47/ |website=NHK NEWS WEB |access-date=2022-10-01 |language=ja |last=日本放送協会}}</ref><ref name=":3">{{Cite web |title=「投資」に150万円支払った22歳女性 死を選んだ「なぜ」(1) |url=https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000267729.html |website=テレ朝news |access-date=2022-10-01 |language=ja}}</ref>。2022年9月30日に沖縄県宜野湾市議選[[れいわ新選組]]が公認・初当選した[[プリティ宮城ちえ]]議員が教師時代に教え子への[[仮想通貨]]のマルチ商法勧誘告発報道がされた。元生徒に勧誘した投資案件「ジュビリーエース」は、警視庁に[[金融商品取引法|金融商品取引法違反]](無登録営業)の疑いで逮捕された会社役員らの投資グループが「金融商品」とした投資ファンドであり、仮想通貨売買益が出ると騙し、新たな出資者紹介料が得られとして約650億円集めたマルチ商法の手口であった<ref name=":1" />。そのため、[[山本太郎]]代表と[[大石晃子]]衆院議員は記者会見をしたが、山本太郎代表は「違法性を知って勧誘したわけではない。」「この投資が詐欺であることを宮城自身も知らなかった。彼女も損害をこうむった被害者のひとり。」「党として、現時点で除籍などは考えていない」と主張した上で議員辞職させることも否定した。更に山本太郎代表は「'''ネットワークビジネスやマルチ商法というのは、この国において違法ではない。合法的に許されたやり方。」「違法性、詐欺的な手法を使ってということであるならば違法になる。犯罪者扱いで、記事を出されるやり方もどうかと思う」'''とマルチ商法をも擁護した'''<ref name=":1">{{Cite web |title=れいわ山本太郎代表、公認女性市議の〝マルチ商法勧誘疑惑〟 勧誘認めるも「違法性知らなかった」処分なし(よろず~ニュース) |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/e84499f90bf7586d56a6882761a26d819c70a0bd |website=Yahoo!ニュース |access-date=2022-10-01 |language=ja}}</ref>。'''記者会見をみた紀藤弁護士は残念な会見とし、「宮城ちえ市議も被害者」と主張したこと、「マルチ商法は合法」とマルチ業者の言い分と同じ主張をしたことを批判した<ref>{{Cite web |title=紀藤正樹弁護士「残念な会見」れいわ山本太郎代表を批判「マルチ商法は違法ではない」に/デイリースポーツ online |url=https://www.daily.co.jp/gossip/2022/10/01/0015686914.shtml |website=デイリースポーツ online |access-date=2022-10-01 |language=ja}}</ref>。
*2020年10月1日に母子家庭で育ったために金銭的余裕の無い[[女子大生|女子大学生]]が、同級生から紹介された、「AIを駆使して暗号資産を運用するので、投資すれば多額の配当が出る」とうたっていた暗号資産投資詐欺「[[ジュビリーエース]]」のために自殺した<ref name=":2" /><ref name=":3" />。2021年11月「ジュビリーエース」詐欺していたグループの一部でセミナー開催し、出資金の3倍まで配当を保証するなどと勧誘し、[[ビットコイン]]形式で新たな出資者紹介で紹介者は紹介料などを得られるマルチ商法の手口で出資者を拡大し、集金していた男女7人は、「無登録高配当をうたう投資ファンド」への出資勧誘に対する[[金融商品取引法|金融商品取引法違反]](無登録営業)の疑いで摘発された。摘発された53歳の会社役員はジュビリー側に委託されて勧誘していたと述べていて、他6人中2人は53歳の会社役員から指示を受けて活動していた。残りの4人はジュビリーグループ自体の元従業員であった<ref>{{Cite web |title=「やらなかったらバカだ」親族に誘われ手渡した2000万円 “暗号資産” 650億円集金か {{!}} アーカイブ記事 |url=https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/861584 |website=沖縄タイムス+プラス |access-date=2022-10-01 |language=ja}}</ref>。2019年4月~2020年11月までに約650億円を集金していた。彼らは有罪判決を受けた<ref name=":2">{{Cite web |title=そして娘は命を絶った ~“暗号資産”めぐる事件の果てに|NHK |url=https://www3.nhk.or.jp/news/special/jiken_kisha/shougen/shougen47/ |website=NHK NEWS WEB |access-date=2022-10-01 |language=ja |last=日本放送協会}}</ref><ref name=":3">{{Cite web |title=「投資」に150万円支払った22歳女性 死を選んだ「なぜ」(1) |url=https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000267729.html |website=テレ朝news |access-date=2022-10-01 |language=ja}}</ref>。2022年9月30日に沖縄県宜野湾市議選[[れいわ新選組]]が公認・初当選した[[プリティ宮城ちえ]]議員が教師時代に教え子への[[仮想通貨]]のマルチ商法勧誘告発報道がされた。元生徒に勧誘した投資案件「ジュビリーエース」は、警視庁に[[金融商品取引法|金融商品取引法違反]](無登録営業)の疑いで逮捕された会社役員らの投資グループが「金融商品」とした投資ファンドであり、仮想通貨売買益が出ると騙し、新たな出資者紹介料が得られとして約650億円集めたマルチ商法の手口であった<ref name=":1" />。そのため、[[山本太郎]]代表と[[大石晃子]]衆院議員は記者会見をしたが、山本太郎代表は「違法性を知って勧誘したわけではない。」「この投資が詐欺であることを宮城自身も知らなかった。彼女も損害をこうむった被害者のひとり。」「党として、現時点で除籍などは考えていない」と主張した上で議員辞職させることも否定した。更に山本太郎代表は「'''ネットワークビジネスやマルチ商法というのは、この国において違法ではない。合法的に許されたやり方。」「違法性、詐欺的な手法を使ってということであるならば違法になる。犯罪者扱いで、記事を出されるやり方もどうかと思う」'''とマルチ商法をも擁護した'''<ref name=":1">{{Cite web |title=れいわ山本太郎代表、公認女性市議の〝マルチ商法勧誘疑惑〟 勧誘認めるも「違法性知らなかった」処分なし(よろず~ニュース) |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/e84499f90bf7586d56a6882761a26d819c70a0bd |website=Yahoo!ニュース |access-date=2022-10-01 |language=ja}}</ref>。'''記者会見をみた紀藤弁護士は残念な会見とし、「宮城ちえ市議も被害者」と主張したこと、「マルチ商法は合法」とマルチ業者の言い分と同じ主張をしたことを批判した<ref>{{Cite web |title=紀藤正樹弁護士「残念な会見」れいわ山本太郎代表を批判「マルチ商法は違法ではない」に/デイリースポーツ online |url=https://www.daily.co.jp/gossip/2022/10/01/0015686914.shtml |website=デイリースポーツ online |access-date=2022-10-01 |language=ja}}</ref>。

2022年10月1日 (土) 10:41時点における版

マルチ商法(マルチしょうほう)あるいはマルチレベル・マーケティングMLM, multi-level marketing)は、会員が新規会員を誘い、その新規会員が更に別の会員を勧誘する連鎖により、階層組織を形成・拡大する販売形態である。正式名称は連鎖販売取引で、その通称である。紀藤正樹弁護士は特定の条件を満たした場合を除くと違法となっている商法であると解説している[1]

定義

実際「マルチ商法」という用語は正式な法律用語等ではなく合法違法の別なく様々な定義が存在するが、その中で使われている代表的な用法をいくつか示す。

  1. 連鎖販売取引のこと[2](通常、この定義で用いる。多くの辞書でもこの意味で用いられている。消費生活センターも、この用法を採用している)。
  2. 連鎖販売取引と、それに類似したものの総称。
  3. 連鎖販売取引のうち商品を再販売するもの。
  4. 連鎖販売取引とそれに類似商法のうち悪質なもの[2][3]

またマルチ商法は、無限連鎖講の防止に関する法律によって禁止されているねずみ講と近接する部分が多く、公序良俗違反として同法の違反が認定された判決も多い[4]。マルチ商法の中には、売買契約と金銭配当組織とを別個の契約と解し、銭配当組織部分は実質的にはねずみ講であり公序良俗違反とされた判例もある[5]。よって「マルチ商法(ネットワークビジネス等)だから、違法なねずみ講とは違う」と言った用法は、必ずしも成立しない点には注意が必要である。

概説

「マルチレベル・マーケティング」と称される商形態の起源は諸説あるものの何れもアメリカで始まったという点では一致している。1868年に創業したホームプロダクツ業者のJ・R・ワトキンス英語版は代理店を通じて製品を販売する一方で代理店が別の業者を代理店としてスカウトした場合に報酬を支払う商法を採用しマルチ商法の原型を生んだと言われている[6]。その後1890年にはカリフォルニア香水社(現エイボン・プロダクツ)・1934年にはカリフォルニア・ビタミン(その後ニュートリライトに改称し現在はアムウェイ傘下)が創業し、同様の販売手法を採用した。

日本には1970年代にアメリカホリディマジックが進出した頃から始まったと言われている。マルチ商法は、Multi-Level Marketingの日本語訳として定着し使用されていた。当時この商形態を規制する法律がなく、取引や勧誘に際しての問題や事件が発生し社会問題となったことから、1976年に制定された「訪問販売等に関する法律」において「連鎖販売取引」として定義され、要件に該当するものは勧誘などの行為が法律による規制の対象となった。「訪問販売等に関する法律」は、2000年に「特定商取引法」に改称され、以降数度の法改正を重ねて現在に至っている。

2001年までは特定負担金の額(2万円以上)など連鎖販売取引の定義条件に当てはまらないものが「マルチまがい商法」と呼ばれていた。そして、当時の大手を含めた多くのマルチ商法企業は、規制逃れを目的に特定負担金を連鎖販売取引の定義条件以下(2万円未満)に設定していた為、連鎖販売を主宰している企業のほとんどがマルチまがい商法という状況だった。そのため、2001年6月1日の法改正にて、連鎖販売取引の定義から特定負担金の条件がなくなった結果、規制逃れをしていた企業もすべて連鎖販売取引(マルチ商法)にと区分されることになった。

マルチ商法の形態

ピラミッド型のヒエラルキーを形成することや、新たな参加者の勧誘などの販売展開の方法がねずみ講と類似しており、過去に「ESプログラム」や「アースウォーカー」は、マルチ商法(連鎖販売取引)として展開していたものの、実質はねずみ講であったとして摘発されている。マルチ商法の形態は多種多様である。

  • 加盟者が新規加盟者を誘い、その加盟者がさらに別の加盟者を誘引するという連鎖が行われる。階層組織を拡大させるタイプもあれば、中央に集中する形のものもある。また「加入者に上限を定めている」と謳う場合もあるが、現実離れした上限設定である場合も多い。末期には勧誘を停止させ、購入での貢献を会員に求める形に形態を変化させる場合もある。さらに下部が一定数になるとトップが抜けて行くタイプなど商形態は実に様々である。また新たなタイプの発生も予想されるので、組織形態からマルチ商法を把握するのは困難である。
  • 加盟者は個人である場合が多いが、時として法人である場合もある。なお加盟者が法人であった場合、クーリングオフなど特定商取引法の規制が適用されない場合がある。
  • 組織に加盟している者は、契約上は商品を売る企業から独立した事業主の立場となるが、多くの場合、上位加盟者(アップ)から誘引された他の加盟者やダウンラインなどとグループを持ち、組織的に新たな従事者を誘引する活動を行っている場合が多い。
  • 現在のマルチ商法形態の中には、商品やサービスと金銭の流れは全て(もしくは大部分)主宰企業から会員直接の取引となり、紹介者、紹介された人との間での売買関係はないものも多い。
  • 新規加盟者を増やすことや、加盟者及び配下の加盟者(ダウンライン)の商品購入金額により、自分がランクアップしたり(ランク制度)、報酬(コミッション、ボーナスとも言われる特定利益のこと)の対象範囲が大きくなって、利益が増える仕組みを取るところが多い。当然、報酬の設定も会社によって異なる。新規加入によって作られる組織として、ブレークアウェイと呼ばれるものの他に、ユニレベル、マトリックス、バイナリーなど様々あるが、それらを組み合わせた複合型も多く見られる。

業界団体として全国直販流通協会(直販協)、日本訪問販売協会(共に、マルチ商法その他を含む訪問販売全般が対象)がある。

批判

表向き合法であるマルチ商法を謳う組織でも、違法となるネズミ講と判断された事例も多い。やり方はカルト宗教と同じように勧誘してくる[7]西田公昭教授によると、他者の夢や不安につけ込んでマルチ商法や投資の勧誘をしてくる人々は商業カルトとも言われる[8]

マルチ商法は数段階下からの不労所得的な報酬(コミッション、ボーナス)を勧誘時の誘引材料にしている場合がもっぱらである。『ダウン』と呼ばれる配下の加盟者を勧誘・加入させ、かつ一定額以上の商品購入を継続して行わなければならないことが現実(表面に現れないノルマとも言われている)である。また加盟者が期待する様な、安楽な生活ができるほどの高額報酬を得るためには自分の下である加盟者が多数が必要であるため、結果として成功者は加盟者全体に対しる上位僅かのみになる。「1人の会員が2人ずつ新規会員を加入させた」と仮定した場合、28世代目では日本の総人口を上回る1億3千万人(227)が必要となる。

マルチ商法は、法律違反や「人間関係のしがらみ」を利用した断りにくい勧誘方法など様々な問題のある活動が相次いだことにより、各地の国民生活センター消費生活センターへ契約に関しての問い合わせ・相談が多く寄せられたこともあって、国民生活センターや消費生活センターでは、マルチ商法を悪質商法であるとし、注意喚起を行っている[9][10]。 上記の為、社会一般でマルチ商法と言うとき、その印象は極めて悪いものとなっている。そうした事情から「ネットワークビジネス」「紹介販売」等の別の呼称を使っている場合がある。また業者により独自の呼称で呼んでいる場合もある。しかしながら商法の呼称に関わらず特定商取引法にいう「連鎖販売取引」に該当している限り、同法の規制を受けることとなる。

連鎖販売取引は、特定商取引に関する法律その他関係する法律を遵守する限り違法なものではないが、一般的な商取引に関係する法律に加えて特定商取引法により更に規制を受けている形であると言える。 問題商法に詳しい紀藤正樹弁護士は「マルチ商法は、“原則違法”」「要は“基本的に違法だけど、特定の条件を満たした場合のみ合法に変わる”といった、厳しい規制の中で展開されているビジネスなんですよ。」と表現している[1]

連鎖販売取引など他の名称

連鎖販売取引もマルチ商法も、「ネットワークマーケティング、ネットワークビジネス、MLM」などの別称で呼ばれる事が多い。連鎖販売取引とマルチ商法が同義であるかという件については、各省庁や消費生活センターなどの公的機関においても見解が分かれている。

  • 経済産業省警視庁日本司法支援センター(法テラス)[11] においては、連鎖販売取引とマルチ商法を同義で使用している。
  • 独立行政法人国民生活センターでは、連鎖販売取引とマルチ商法を同義として使用していない。国民生活センターは、マルチ商法をねずみ講的販売方式全般について広く総称することを基本としている。
  • 地方自治体の消費生活センターでは、マルチ商法を連鎖販売取引と同義としている場合や、ねずみ講的販売方式全般について広く総称している場合など、消費生活センター毎に違いがあり、必ずしも統一して使用されているものではない。
  • (連鎖販売取引企業も多数加入する)公益社団法人日本訪問販売協会では、「一般的には特定商取引法の連鎖販売取引において、法規制を守らない悪質な商行為を「マルチ商法」と呼ぶことが多い」[12] としている。

このように、公的機関内であっても見解が一致しておらず、連鎖販売取引がマルチ商法、ネットワークビジネスをはじめとして、主宰する企業によって様々な別称で呼ばれる場合も多く、消費者にとって非常にわかり難い状況になっているのが現状である。

業界紙「月刊ネットワークビジネス」の2008年11月号「マンガ安心法律学校(4)/マルチ商法とねずみ講の違いって?」において、「(連鎖販売取引が)マルチ商法ではない」と告げることは「不実の告知(真実を言わない、告知しない)」という法律違反となる恐れがあると、注意を呼びかけている。又、同様の説明をしている企業もある。[13]

被害事件・報道

  • 共同通信社によると1994年6月8日訪問販売のマルチ商法をしていた「サンフラワー」の社長が逮捕された[14]
  • 共同通信社によると、2008年1月7日にマルチ商法をしていた「ヴィヴ」の7人が逮捕された[14]
  • 共同通信社によると、2011年7月14日に通信機器販売会社「シーズンナウ」へマルチ商法の疑いで福岡県警の家宅捜索が入った[14]
  • 共同通信社によると2016年11月4日 「電子が発生する」と主張していた機器、化粧品、健康食品を販売していた「IPSコスメティックス」へマルチ商法として業務停止命令がされた[14]
  • 2020年10月1日に母子家庭で育ったために金銭的余裕の無い女子大学生が、同級生から紹介された、「AIを駆使して暗号資産を運用するので、投資すれば多額の配当が出る」とうたっていた暗号資産投資詐欺「ジュビリーエース」のために自殺した[15][16]。2021年11月「ジュビリーエース」詐欺していたグループの一部でセミナー開催し、出資金の3倍まで配当を保証するなどと勧誘し、ビットコイン形式で新たな出資者紹介で紹介者は紹介料などを得られるマルチ商法の手口で出資者を拡大し、集金していた男女7人は、「無登録高配当をうたう投資ファンド」への出資勧誘に対する金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで摘発された。摘発された53歳の会社役員はジュビリー側に委託されて勧誘していたと述べていて、他6人中2人は53歳の会社役員から指示を受けて活動していた。残りの4人はジュビリーグループ自体の元従業員であった[17]。2019年4月~2020年11月までに約650億円を集金していた。彼らは有罪判決を受けた[15][16]。2022年9月30日に沖縄県宜野湾市議選れいわ新選組が公認・初当選したプリティ宮城ちえ議員が教師時代に教え子への仮想通貨のマルチ商法勧誘告発報道がされた。元生徒に勧誘した投資案件「ジュビリーエース」は、警視庁に金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕された会社役員らの投資グループが「金融商品」とした投資ファンドであり、仮想通貨売買益が出ると騙し、新たな出資者紹介料が得られとして約650億円集めたマルチ商法の手口であった[18]。そのため、山本太郎代表と大石晃子衆院議員は記者会見をしたが、山本太郎代表は「違法性を知って勧誘したわけではない。」「この投資が詐欺であることを宮城自身も知らなかった。彼女も損害をこうむった被害者のひとり。」「党として、現時点で除籍などは考えていない」と主張した上で議員辞職させることも否定した。更に山本太郎代表は「ネットワークビジネスやマルチ商法というのは、この国において違法ではない。合法的に許されたやり方。」「違法性、詐欺的な手法を使ってということであるならば違法になる。犯罪者扱いで、記事を出されるやり方もどうかと思う」とマルチ商法をも擁護した[18]記者会見をみた紀藤弁護士は残念な会見とし、「宮城ちえ市議も被害者」と主張したこと、「マルチ商法は合法」とマルチ業者の言い分と同じ主張をしたことを批判した[19]

脚注

  1. ^ a b 東幹久も応援中!? マルチ商法からネットワークビジネスへ移行するアムウェイは合法か? 違法か?|サイゾーpremium
  2. ^ a b アムウェイ山岡事件判決全文(インターネットアーカイブ)
  3. ^ Q.アムウェイはマルチ商法※1 なのですか?”. アムウェイ(Amway)相談室. 2020年11月30日閲覧。
  4. ^ 連鎖販売取引とねずみ講の勧誘員の責任 |独立行政法人国民生活センター
  5. ^ 坂東俊矢「連鎖販売取引に対する法規制の一考察 (所功教授エリサベト・ライドル・マキャー教授高橋正俊教授定年御退職記念号)」『産大法学』第45巻第3/4号、京都産業大学法学会、2012年、644-623頁、ISSN 0286-3782NAID 120005382076 
  6. ^ Who Invented Multi-Level Marketing (MLM)?”. The Snapping Point. 2022年3月22日閲覧。
  7. ^ 國府田英之 (2022年8月10日). “若者を狙う「マルチ商法」の勧誘実態「やり方はカルト宗教と同じ」 落とされやすい人の特徴とは〈dot.〉”. AERA dot. (アエラドット). 2022年10月1日閲覧。
  8. ^ Inc, PRESIDENT (2022年3月20日). “「大学1年生は"魅力的なカモ"」SNSでつながり、徐々に踏み込んでくる…カルトの新しい勧誘フレーズ”. PRESIDENT WOMAN Online(プレジデント ウーマン オンライン). 2022年10月1日閲覧。 “夢の実現資金の調達や経済的不安につけ込んでマルチ商法や投資を勧める「商業カルト」も増えてきました。”
  9. ^ マルチ商法(三重県消費生活センター)
  10. ^ 「マルチ商法」のトラブルにご注意ください!(仙台市消費生活センター)
  11. ^ 法テラスの マルチ商法のFAQ に「マルチ商法(連鎖販売取引)の販売員」の記載がある。
  12. ^ 特定商取引法とは | 公益社団法人日本訪問販売協会公式WEBサイト
  13. ^ http://www.rinasce.com/kigyo/rensa.pdf
  14. ^ a b c d 「マルチ商法」写真・グラフィックス・映像一覧:報道写真の共同通信イメージリンク”. 報道写真・ニュース映像なら共同通信イメージリンク. 共同通信社. 2022年10月1日閲覧。
  15. ^ a b 日本放送協会. “そして娘は命を絶った ~“暗号資産”めぐる事件の果てに|NHK”. NHK NEWS WEB. 2022年10月1日閲覧。
  16. ^ a b 「投資」に150万円支払った22歳女性 死を選んだ「なぜ」(1)”. テレ朝news. 2022年10月1日閲覧。
  17. ^ 「やらなかったらバカだ」親族に誘われ手渡した2000万円 “暗号資産” 650億円集金か | アーカイブ記事”. 沖縄タイムス+プラス. 2022年10月1日閲覧。
  18. ^ a b れいわ山本太郎代表、公認女性市議の〝マルチ商法勧誘疑惑〟 勧誘認めるも「違法性知らなかった」処分なし(よろず~ニュース)”. Yahoo!ニュース. 2022年10月1日閲覧。
  19. ^ 紀藤正樹弁護士「残念な会見」れいわ山本太郎代表を批判「マルチ商法は違法ではない」に/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online. 2022年10月1日閲覧。

関連項目

外部リンク

相談窓口及び公的機関による解説
業界団体