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|名称 = 清輝
|名称 = 清輝
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|燃料 = [[炭団]]:218,400[[斤]]<ref name="M8艦船総数表"/>(約168.4英トン)
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|乗員 = 士官21名 兵員119名 雇人19名 合計159名<ref name="大井2019" /><br />'''1875年''':136名<ref name="M8艦船総数表"/><br />'''1876年6月時定員''':236名<ref name="M9.6.30艦船表">[[#M1-M9海軍省報告書]]画像108-109、艦船表(明治9年6月30日現在)</ref>
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'''清輝'''(せいき)は、[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の[[軍艦]]<ref name="艦船名考(1928)清輝"/>。
'''清輝'''(せいき)は、[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の[[軍艦]]{{sfn|艦船名考|1928|pp=39-40}}。清輝は「輝く清い光」の意味で{{Sfn|片桐|2014|pp=197-198}}、[[易経]]に「輝光日新其徳」とあるという{{sfn|艦船名考|1928|pp=39-40}}。
'''清輝'''は「輝く清い光」の意味で<ref name="銘銘伝(2014)清輝">[[#銘銘伝(2014)]]pp.197-198、清輝</ref>、
[[易経]]に「輝光日新其徳」とあるという<ref name="艦船名考(1928)清輝">[[#艦船名考(1928)]]pp.39-40、清輝 せいき Seiki.</ref>。


== 概要 ==
== 概要 ==
[[明治維新]]後の初めての国産軍艦として[[横須賀造船所]]で建造された（それまでの建造艦船は何れも運送船や御召船などになる）<ref name="銘銘伝(2014)清輝"/>。
[[明治維新]]後の初めての国産軍艦として[[横須賀造船所]]で建造された（それまでの建造艦船は何れも運送船や御召船などになる）{{Sfn|片桐|2014|pp=197-198}}。設計はフランス人技術者[[レオンス・ヴェルニー]]、建造は日本人の職工であった<ref name="大井2019" />。また日本艦船として初めてヨーロッパへ遠征したことでも特筆すべき艦である{{Sfn|片桐|2014|pp=197-198}}。
設計はフランス人技術者[[レオンス・ヴェルニー]]、建造は日本人の職工であった<ref name="大井2019" />。
また日本艦船として初めてヨーロッパへ遠征したことでも特筆すべき艦である<ref name="銘銘伝(2014)清輝"/>。


[[1888年]]に触礁により破壊された<ref name="kanpho"/>。
[[1888年]]に触礁により破壊された<ref name="kanpho"/>。


==艦型==
== 艦型 ==
3[[マスト|檣]][[バーク]]型<ref name="M8艦船総数表"/>
3[[マスト|檣]][[バーク]]型<ref name="M8艦船総数表"/>の[[砲艦]]{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上486}}、または[[スループ]]{{Sfn|大日本帝国軍艦帖|1894|p=17}} になる。
の[[砲艦]]<ref name="機関史(1975)上p486"/>、
または[[スループ]]<ref name="軍艦帖(1894)p17清輝"/> になる。


=== 機関 ===
=== 機関 ===
日本で製造された機関の中で初めて2段膨張式機械を備えた{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上486}}。[[ボイラー]]は片面戻火缶（または[[スコッチボイラー|円缶]]{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上482}}）2基を備えた{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上486}}。蒸気圧力は45[[重量ポンド|ポンド]]/[[平方インチ]]<ref>{{Harvnb|帝国海軍機関史|1975}}別冊No.4、主機械罐制式発達一覧表</ref>。また触面復水器が設置された{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上482}}。
日本で製造された機関の中で初めて2段膨張式機械を備えた<ref name="機関史(1975)上p486"/>。
ボイラーは片面戻火[[ボイラー|缶]](または[[スコッチボイラー|円缶]]<ref name="機関史(1975)上p482"/>)2基を備えた<ref name="機関史(1975)上p486"/>。
蒸気圧力は45[[重量ポンド|ポンド]]/[[平方インチ]]<ref name="機関史(1975)別冊No4">[[#帝国海軍機関史(1975)]]別冊No.4、主機械罐制式発達一覧表</ref>
。
また触面復水器が設置された<ref name="機関史(1975)上p482"/>。


1876年11月29日の試運転届出によると、回転数60[[rpm (単位)|rpm]]で速力8ノット、75rpmで11.2ノットを記録した<ref name="機関史(1975)上p482"/>。
1876年11月29日の試運転届出によると、回転数60[[rpm (単位)|rpm]]で速力8ノット、75rpmで11.2ノットを記録した{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上482}}。


1886年頃、新しいボイラーに換装した<ref name="機関史(1975)上p486"/>。
1886年頃、新しいボイラーに換装した{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上486}}。


===要目===
=== 要目 ===
船体主要寸法については、文献によって色々な単位で数値が残されている。
船体主要寸法については、文献によって色々な単位で数値が残されている。右表の寸法は主に『海軍省報告書』の値となる<ref name="M8艦船総数表"/>。他の文献の値も以下に示す。
右表の寸法は主に『海軍省報告書』の値となる<ref name="M8艦船総数表"/>。
他の文献の値も以下に示す。
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{| class="wikitable"
! 出典 !! 海軍省報告書<ref name="M8艦船総数表"/> !! 大日本軍艦帖(1894)<ref name="軍艦帖(1894)p17清輝"/> !! 帝国海軍機関史(経歴)<ref name="機関史(1975)上p481">[[#帝国海軍機関史(1975)]]上巻p.481</ref> !!帝国海軍機関史(沿革)<ref name="機関史(1975)上p485">[[#帝国海軍機関史(1975)]]上巻p.485</ref>
! 出典 !! 海軍省報告書<ref name="M8艦船総数表"/> !! 大日本軍艦帖(1894){{Sfn|大日本帝国軍艦帖|1894|p=17}}!! 帝国海軍機関史(経歴){{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上481}}!!帝国海軍機関史(沿革){{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上485}}
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!長さ
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== 艦歴 ==
== 艦歴 ==
===建造===
=== 建造 ===
当初は2,600トンの大型艦を予定していたが、資材不足のため計画を改めた{{Sfn|片桐|2014|pp=197-198}}。最終的に「清輝」（897トン）と「[[天城 (スループ)|天城]]」(926トン) が建造されたと言われる{{Sfn|片桐|2014|pp=197-198}}。[[1873年]]（[[明治]]6年）2月10日、ヴェルニーに対し排水量800英トン、出力180馬力、大砲5門の艦の設計が命じられた{{sfn|横須賀海軍船廠史|1973|p=1巻227}}。11月20日、[[横須賀造船所]]にて起工{{sfn|艦船名考|1928|pp=39-40}}。12月4日、新造の180馬力艦は「'''清輝'''」と命名された<ref name="報告書M6.12">[[#M1-M9海軍省報告書]]画像45-47、明治6年12月。</ref>。[[1875年]]（明治8年）3月5日、[[明治天皇]]臨席の下、「清輝」は進水した<ref name="報告書M8.3">[[#M1-M9海軍省報告書]]画像62-63、明治8年3月。</ref>。
当初は2,600トンの大型艦を予定していたが、資材不足のため計画を改めた<ref name="銘銘伝(2014)清輝"/>。
最終的に本艦(897トン)と[[天城 (スループ)|天城]](926トン)が製造されたと言われる<ref name="銘銘伝(2014)清輝"/>。
[[1873年]]([[明治]]6年)
2月10日、ヴェルニーに対し排水量800英トン、出力180馬力、大砲5門の艦の設計を命じた<ref name="船廠史(1973)1p227">[[#横須賀海軍船廠史(1973)]]第1巻p.227</ref>。
11月20日、[[横須賀造船所]]にて起工<ref name="艦船名考(1928)清輝"/>。
12月4日、新造の180馬力艦は'''清輝'''と命名された<ref name="報告書M6.12">[[#M1-M9海軍省報告書]]画像45-47、明治6年12月。</ref>。
[[1875年]](明治8年)
3月5日、[[明治天皇]]が臨幸の元、'''清輝'''は進水した<ref name="報告書M8.3">[[#M1-M9海軍省報告書]]画像62-63、明治8年3月。</ref>。


10月15日付で[[井上良馨]]少佐を艦長に任命した<ref name="船廠史(1973)2p28">[[#横須賀海軍船廠史(1973)]]第2巻p.28</ref>。
10月15日付で[[井上良馨]]少佐が艦長に任命された{{sfn|横須賀海軍船廠史|1973|p=2巻28}}。10月28日、日本周辺を東部と西部に分け、東部指揮官には[[中牟田倉之助]]少将、西部指揮官には[[伊東祐麿]]少将が任命され<ref name="海軍省報告M8.10">[[#M1-M9海軍省報告書]]画像68-70、明治8年10月。</ref>、10月31日、「清輝」は東部指揮官所轄予定{{sfn|横須賀海軍船廠史|1973|p=2巻28}}となった<ref name="海軍省報告M8.10"/>。
10月28日、日本周辺を東部と西部に分け、東部指揮官は[[中牟田倉之助]]少将、西部指揮官は[[伊東祐麿]]少将が任命され<ref name="海軍省報告M8.10">[[#M1-M9海軍省報告書]]画像68-70、明治8年10月。</ref>、
10月31日、'''清輝'''は東部指揮官所轄(予定<ref name="船廠史(1973)2p28"/>)となった<ref name="海軍省報告M8.10"/>。


[[1876年]](明治9年)6月21日に'''清輝'''は竣工した<ref name="機関史(1975)上p482"/>。
[[1876年]]（明治9年）6月21日に「清輝」は竣工した{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上482}}。


===1876年===
=== 1870年代 ===
[[1876年]]（明治9年）奥羽巡幸が行われ、「清輝」(竣工前) は5月25日に[[横浜港]]を出港、[[青森港]]に回航していた<ref name="海軍省報告M9.6">[[#M1-M9海軍省報告書]]画像81-82、明治9年6月。</ref>。6月6日、「[[春日丸|春日]]」と「清輝」「[[高雄丸 (日本海軍)|高雄丸]]」が奥羽巡幸の護衛として青森を出港した<ref name="海軍省報告M9.6"/>。6月27日、「清輝」は常備艦とされた<ref name="海軍省報告M9.6"/>。8月1日、入渠してボイラーなどを修理した{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上482}}。10月30日に再入渠し<ref>[[#M9公文類纂12/清輝入渠]]画像1</ref>、スクリュー翼の折損を修理した<ref>[[#M9公文類纂12/清輝入渠]]画像5</ref>。11月6日に出渠し<ref>[[#M9公文類纂12/清輝入渠]]画像3</ref>、11月29日に試運転の結果が報告されている<ref name="機関史(1975)上p483">[[#帝国海軍機関史(1975)]]上巻p.483</ref>{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上483}}。
[[1876年]](明治9年)
この年奥羽巡幸が行われ、'''清輝'''(竣工前)は5月25日に横浜港を出港、[[青森港]]に回航していた<ref name="海軍省報告M9.6">[[#M1-M9海軍省報告書]]画像81-82、明治9年6月。</ref>。
6月6日、[[春日丸|春日]]と清輝、[[高雄丸 (日本海軍)|高雄丸]]が奥羽巡幸の護衛として青森を出港した<ref name="海軍省報告M9.6"/>。
6月27日、'''清輝'''は常備艦とされた<ref name="海軍省報告M9.6"/>。


[[1877年]]（明治10年）1月12日スクリュー翼1枚を失ったため、横須賀で修理したいと申し出があり{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上483}}、1月16日に横須賀港へ入港し<ref>[[#M10公文類纂前編12/清輝横須賀入湾]]画像1</ref>、同日入渠した<ref>[[#M10公文類纂前編12/清輝横須賀入湾]]画像7</ref>。1月19日に出渠し横浜に回航した<ref>[[#M10公文類纂前編12/清輝横須賀入湾]]画像9</ref>。1月24日から同27日にかけて、明治天皇の大和行幸に供奉艦として横浜から神戸まで同行した{{Sfn|片桐|2014|pp=197-198}}<ref>[[#M9.7-M10.6海軍省報告書/沿革]]画像17-20、明治10年1月</ref>。
8月1日入渠し、ボイラーなどを修理した<ref name="機関史(1975)上p482"/>。
10月30日再入渠<ref>[[#M9公文類纂12/清輝入渠]]画像1</ref>、
スクリュー翼の折損を修理した<ref>[[#M9公文類纂12/清輝入渠]]画像5</ref>。
11月6日出渠し<ref>[[#M9公文類纂12/清輝入渠]]画像3</ref>、
11月29日に試運転の結果が報告されている<ref name="機関史(1975)上p483">[[#帝国海軍機関史(1975)]]上巻p.483</ref>。


鹿児島の情勢不安（後に[[西南戦争]]）のため{{Sfn|片桐|2014|pp=197-198}}、2月13日22時、「春日」と「清輝」は[[神戸港]]を出港し、[[鹿児島]]に向かった<ref>[[#M10公文類纂前11/清輝春日神戸発鹿児島]]画像1</ref>。2月21日、熊本で偵察のため上陸した士官・兵が攻撃され7名が死亡した<ref name="海軍史(1)234">『日本海軍史　第1巻』234ページ</ref>。3月26日、長崎で機関部の修理の届出があった{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上483}}。修理は4月4日に完了した{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上483}}。9月1日、下関で機関が故障し、同地に午後8時投錨、翌2日に博多港に寄港した{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上483}}。9月5日、長崎港に回航し、修理と決定した{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上483}}。同月、[[城山の戦い]]に参加<ref name="海軍史(1)236">『日本海軍史　第1巻』236ページ</ref>。「清輝」は10月10日午前1時30分に横浜港に帰港した<ref>[[#M10公文類纂後編14/清輝帰港]]画像1</ref><ref>[[#M10公文類纂後編14/春日清輝鳳翔横浜帰港]]画像1</ref><ref name="M10.10報告書沿革">[[#M10.7-M11.6海軍省報告書]]画像11-14、明治10年10月沿革</ref>。
===1877年===
[[1877年]](明治10年)
1月12日スクリュー翼1枚を失ったため、横須賀で修理したいと申し出があり<ref name="機関史(1975)上p483"/>、
1月16日横須賀港に入港<ref>[[#M10公文類纂前編12/清輝横須賀入湾]]画像1</ref>、
同日入渠した<ref>[[#M10公文類纂前編12/清輝横須賀入湾]]画像7</ref>。
1月19日出渠し横浜に回航した<ref>[[#M10公文類纂前編12/清輝横須賀入湾]]画像9</ref>。
;大和行幸
1月、明治天皇の大和行幸の際、供奉艦として同行した<ref name="銘銘伝(2014)清輝"/>。
1月24日午前11時、'''清輝'''は[[横浜港]]を出港<ref name="M10.1報告書沿革">[[#M9.7-M10.6海軍省報告書/沿革]]画像17-20、明治10年1月</ref>、
1月27日午前7時55分、神戸港に到着した<ref name="M10.1報告書沿革"/>。
;西南戦争
鹿児島の情勢不安(後に[[西南戦争]])のため<ref name="銘銘伝(2014)清輝"/>、
2月13日午後10時、[[春日丸|春日]]と清輝は[[神戸港]]を出港、[[鹿児島]]に向かった<ref>[[#M10公文類纂前11/清輝春日神戸発鹿児島]]画像1</ref>。
2月21日、熊本で偵察のため上陸した士官・兵が攻撃され7名が死亡した<ref name=海軍史(1)234>『日本海軍史　第1巻』234ページ</ref>。
3月26日、長崎で機関部の修理の届出があった<ref name="機関史(1975)上p483"/>。
修理は4月4日完了した<ref name="機関史(1975)上p483"/>。
9月1日下関で機関が故障し、同地に午後8時投錨、翌2日に博多港に寄港した<ref name="機関史(1975)上p483"/>。
5日長崎港に回航し、修理と決定した<ref name="機関史(1975)上p483"/>。同月、[[城山の戦い]]に参加<ref name=海軍史(1)236>『日本海軍史　第1巻』236ページ</ref>。
'''清輝'''は10月10日午前1時30分に横浜港に帰港した<ref>[[#M10公文類纂後編14/清輝帰港]]画像1</ref><ref>[[#M10公文類纂後編14/春日清輝鳳翔横浜帰港]]画像1</ref><ref name="M10.10報告書沿革">[[#M10.7-M11.6海軍省報告書]]画像11-14、明治10年10月沿革</ref>。
;修理
10月29日[[横浜港]]から[[横須賀港]]に回航し<ref>[[#M10公文類纂後編16/清輝横須賀回航]]画像3</ref>、
横須賀で修理を行った<ref name="清輝至急修復">[[#M10公文類纂後編16/清輝至急修復]]画像3</ref>。
この当時は各港に常備艦を置き、そのために損傷からの修理が多くなって現用の艦が春日1隻になってしまった<ref>[[#M10公文類纂後編16/清輝至急修復]]画像1</ref>。
そのため'''清輝'''の修理が急がれ<ref name="清輝至急修復"/>、
12月26日に出渠した<ref>[[#M10公文類纂後編16/清輝出渠肇敏入渠]]画像1</ref>。


10月29日、横浜港から横須賀港に回航し<ref>[[#M10公文類纂後編16/清輝横須賀回航]]画像3</ref>、修理を受けた<ref name="清輝至急修復">[[#M10公文類纂後編16/清輝至急修復]]画像3</ref>。この当時は各港に常備艦を置いており、そのため損傷からの修理が増加して現用の艦が「春日」1隻になってしまった<ref>[[#M10公文類纂後編16/清輝至急修復]]画像1</ref>。そのため「清輝」の修理が急がれ<ref name="清輝至急修復" />、12月26日に出渠した<ref>[[#M10公文類纂後編16/清輝出渠肇敏入渠]]画像1</ref>。
===1878-1879年===
====ヨーロッパ遠征====
[[1878年]](明治11年)から翌年 ヨーロッパ遠征を行った<ref name="大井2019" /><ref>中島武著『[{{近代デジタルライブラリーURL|45012798}} 明治の海軍物語]』三友社、[[1939年]]のうち、「[{{NDLDC|1720072/44}} 軍艦淸輝の歐洲航海]」。</ref>。
1877年12月14日、欧州回航が命ぜられ<ref name="機関史(1975)上p483"/>、
翌1878年1月12日[[横浜港]]に回航し<ref name="M11清輝航泊表">[[#M11.7-M12.6海軍省報告書]]画像51-53、清輝艦航泊表</ref>、
1月17日午後2時45分、横浜港を出港した<ref name="機関史(1975)上p484">[[#帝国海軍機関史(1975)]]上巻p.484</ref><ref name="M11.1報告書沿革">[[#M10.7-M11.6海軍省報告書]]画像19-22、明治11年1月沿革</ref>。
同日は金田湾に碇泊、翌18日は[[下田港]]に停泊、翌19日出港、1月23日[[長崎港]]に到着した<ref name="M11清輝航泊表"/>。
1月26日長崎を出港したが一旦引き返し、1月29日改めて出港した<ref name="M11清輝航泊表"/>。
2月3日[[香港]]着、10日発<ref name="M11清輝航泊表"/>。
2月17日[[シンガポール]]着、21日発<ref name="M11清輝航泊表"/>。
3月1日[[コロンボ]]着、5日発<ref name="M11清輝航泊表"/>。
3月18日[[アデン]]着、21日発<ref name="M11清輝航泊表"/>。
3月29日[[スエズ]]着、翌30日発<ref name="M11清輝航泊表"/>。
同3月30日[[イスメリヤ]]着、翌31日発<ref name="M11清輝航泊表"/>。
同7月31日[[ポートサイド]]に入港、5日間碇泊した<ref name="M11清輝航泊表"/>。
4月11日[[マルタ島]][[バレッタ]]に回航、
4月13日から[[マルタ]]港の造船所で入渠し、修理を行った<ref name="機関史(1975)上p484"/>。
5月4日同地発、以後は各港に数日間碇泊した<ref name="M11清輝航泊表"/>。
同日[[シチリア島]][[シラキュース]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
5月7日同島[[メッシーナ]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
5月10日[[イタリア]]・[[ナポリ]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
5月18日同国[[ラ・スペツィア]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
5月20日同国[[ジェノバ]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
5月24日[[フランス]]・[[ツーロン]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
5月29日同国[[マルセイユ]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
6月5日[[スペイン]]・[[バルセロナ]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
6月9日同国[[カルタヘナ (スペイン)|カルタヘナ]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
6月12日[[イギリス]]領[[ジブラルタル]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
6月15日[[ポルトガル]]・[[リスボン]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
6月20日スペイン・[[フェロル]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
6月26日イギリス・[[プリマス]]着、7日碇泊<ref name="M11清輝航泊表"/>。
7月4日同国[[ポートランド島|ポートランド]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
7月6日同国[[ポーツマス (イングランド)|ポーツマス]]着、11日碇泊<ref name="M11清輝航泊表"/>。
7月18日同国グリーンハイス(Greenhithe)着、11日碇泊<ref name="M11清輝航泊表"/>。
なお『海軍省報告書』によると5月25日、清輝乗組の川村正介少尉はイギリスで退艦し、3年間の自費留学を行った<ref name="M11.5報告書沿革">[[#M10.7-M11.6海軍省報告書]]画像31-34、明治11年5月沿革</ref>。
7月31日(または7月30日<ref name="機関史(1975)上p484"/>)フランス・セルブル(セルフール<ref name="機関史(1975)上p484"/>)着、15日碇泊<ref name="M11清輝航泊表"/>。
8月21日イギリス領ジブラルタル着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
8月26日フランス・ツーロン着<ref name="M11清輝航泊表"/>、
9月29日より同地で修理を行った<ref name="機関史(1975)上p484"/>。
10月3日イタリア・ジェノバ着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
10月8日同国ナポリ着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
10月14日シチリア島[[パレルモ]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
10月18日同島メッシーナ着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
10月20日マルタ島バレッタ着<ref name="M11清輝航泊表"/>、
10月23日よりスクリュー翼1枚の交換などの修理を行った<ref name="機関史(1975)上p484"/>。
11月3日[[トルコ]]・ベシカベー着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
11月4日同国[[チャナッカレ|チャナク]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
11月6日同国[[ガリボリ]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
11月7日同国[[アルタッキ]]着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
11月9日同国[[コンスタンティノープル]]着、11日碇泊した<ref name="M11清輝航泊表"/>。
以後帰国の途につき、チャナク、ポートサイド、[[グレートビター湖]]、スエズを経由し12月8日アデン着<ref name="M11清輝航泊表"/>。
12月26日ボンベイ着<ref name="M11清輝航泊表"/>、


=== ヨーロッパ遠征 ===
[[1879年]](明治12年)
[[1878年]]（明治11年）から翌1879年（明治12年）にかけて「清輝」はヨーロッパ遠征を行った<ref name="大井2019" /><ref>中島武著『[{{近代デジタルライブラリーURL|45012798}} 明治の海軍物語]』三友社、[[1939年]]のうち、「[{{NDLDC|1720072/44}} 軍艦淸輝の歐洲航海]」。</ref>。
1月6日より同地で上甲板の修理を行った<ref name="機関史(1975)上p484"/>。
1月11日ボンベイ発、17日コロンボ着<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝">[[#M12.7-M13.6海軍省報告書]]画像29-30(pp.49-51)、航泊表清輝</ref>。
1月21日コロンボ発、ポイントデガールに回航、23日同地発、31日ベナンに到着した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
2月4日ベナン発、2月6日シンガポール着<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
2月23日シンガポール発、3月2日マニラ着<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
3月6日マニラ発、9日ランマ島西湾着、翌10日香港に入港した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
3月16日香港発、霧のために香港口テートー島で漂泊、翌17日出港したが北東風の為に18日チノベーに避泊、19日同地発、20日厦門外港に到着、21日厦門に入港した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
3月25日厦門発<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>、
3月29日長崎港に帰国した<ref name="機関史(1975)上p484"/><ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
4月4日長崎発、大辺浦、神戸、鳥羽に寄港し<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>、
4月18日横浜に帰港した<ref name="機関史(1975)上p484"/><ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
4月23日[[品湾|品川]]に帰着した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。


1877年12月14日、欧州回航が命ぜられ{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上483}}、翌1878年1月17日14時45分に横浜を出港した{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上484}}<ref name="M11.1報告書沿革">[[#M10.7-M11.6海軍省報告書]]画像19-22、明治11年1月沿革</ref>。金田湾 - [[下田港|下田]] - [[長崎港|長崎]]を経て日本を離れ、[[香港]]（2月3日）、[[シンガポール]]（2月17日）、[[コロンボ]]（3月1日）、[[アデン]]（3月18日）、[[エジプト]]（3月29日[[スエズ]]～同30日[[イスマイリア|イスメリヤ]]～同31日[[ポートサイド]]）へ寄港し、4月13日から[[マルタ島]]の造船所で修理を受けた{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上484}}<ref name="M11清輝航泊表">[[#M11.7-M12.6海軍省報告書]]画像51-53、清輝艦航泊表</ref>。
[[1879年]](明治12年)
5月19日品川から横須賀に回航した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
6月21日横浜に回航、23日に艦隊訓練を行い、横須賀に戻った<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
8月26日品海に回航した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
9月18日横須賀に回航した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
;修理
9月10日(または9月12日<ref name="M12.7-M13.6艦船所轄在任">[[#M12.7-M13.6海軍省報告書]]画像16-17、艦船所轄並在任附改称及等級</ref>)清輝は修復艦と定められ<ref name="機関史(1975)上p484"/>、
9月22日より[[横須賀造船所]]で修理開始<ref name="M12.7-M13.6艦船修復">[[#M12.7-M13.6海軍省報告書]]画像20-21、艦船修復</ref><ref name="M13.7-M14.6艦船修復">[[#M13.7-M14.6海軍省報告書]]画像19-20、海軍艦船修復</ref>、
30日にボイラーを陸揚げした<ref name="機関史(1975)上p485"/>。
[[1881年]](明治14年)7月7日に修理は完了した<ref name="M14.7-M15.6部内艦船修復">[[#M14.7-M15.6海軍省報告書]]画像21-23、部内艦船修復</ref>。


5月4日にマルタ島を離れ、[[シチリア|シチリア島]]（5月4日[[シラクサ|シラキュース]]～同7日[[メッシーナ]]）、[[イタリア]]本土（5月10日[[ナポリ]]～同18日[[ラ・スペツィア]]～同20日[[ジェノヴァ|ジェノバ]]）、[[フランス]]（5月24日[[トゥーロン|ツーロン]]～同29日[[マルセイユ]]）、イベリア半島（6月5日[[バルセロナ]]～同9日[[カルタヘナ (スペイン)|カルタヘナ]]～同12日[[ジブラルタル]]～同15日[[リスボン]]～同20日[[フェロル]]）、[[イギリス]]（6月26日[[プリマス]]～7月4日[[ポートランド島|ポートランド]]～同6日[[ポーツマス (イングランド)|ポーツマス]]～同18日{{Ill2|グリーンヒス|en|Greenhithe|label=グリーンハイス}}）に寄港した<ref name="M11清輝航泊表"/>。「清輝」乗組の川村正介少尉はイギリスで退艦し、3年間の自費留学を行った<ref>[[#M10.7-M11.6海軍省報告書]]画像31-34、明治11年5月沿革</ref>
===1881年-1882年===
;朝鮮派遣
[[1881年]](明治14年)
7月1日に造船所所轄修復艦の清輝は[[東海鎮守府]]常備艦とされた<ref name="M14.7-M15.6艦船所轄在任">[[#M14.7-M15.6海軍省報告書]]画像18、艦船所轄並在任附改称及等級</ref>。
7月28日'''清輝'''は横須賀港を出港し、30日兵庫港に入港した<ref name="M14.7-M15.6清輝">[[#M14.7-M15.6海軍省報告書]]画像29、艦船航海 清輝艦</ref>。
8月6日兵庫港を出港、翌7日に釜山港に到着した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
以後仁川、豊島と寄港し、9月1日豊島を出港、3日に厳原に到着した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
9月7日、9日と厳原発、同地着を繰り返し、9月12日竹敷に回航した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
9月14日同地発、釜山に入港した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
10月1日同地を出港したが一旦引き返し、翌2日改めて出港し長崎に回航した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
[[長崎造船所|長崎工作分局]]で10月9日から10月15日まで修理を行い<ref name="M14.7-M15.6部内艦船修復"/>、
10月24日長崎出港、27日元山津に入港した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
11月20日松田湾、22日内湖湾、25日元山津と回航し、12月1日同地を出港し、3日釜山港に入港した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
12月18日統営、21日絶景島西岸、22日釜山ヘ回航した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
12月24日同港を出港、翌25日に長崎港へ入港した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。


7月29日にイギリスを発ち、フランスの[[シェルブール＝オクトヴィル|セルフル]]（7月30または31日）{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上484}}、ジブラルタル（8月21日）を巡り<ref name="M11清輝航泊表"/>、8月26日にツーロンに再寄港して修理を受け{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上484}}、イタリアとシチリア島（10月3日ジェノバ～同8日ナポリ～14日[[パレルモ]]～同18日メッシーナ）を巡り、10月20日にマルタ島[[バレッタ]]に寄港し、ここでスクリュー翼1枚の交換などの修理を行った<ref name="M11清輝航泊表"/>{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上484}}。修理完了後は[[トルコ]]の各地（11月3日ベシカベー～同4日[[チャナッカレ|チャナク]]～同6日[[ゲリボル|ガリボリ]]～同7日アルタッキ～11月9日[[イスタンブール|コンスタンティノープル]]）を訪れた<ref name="M11清輝航泊表"/>。
[[1882年]](明治15年)
1月27日長崎を出港し、翌28日釜山着<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
2月22日同港を出港、翌23日に巨文島へ到着した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
2月24日同地発、25日豊島着、26日仁川へ回航した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
3月14日仁川を出港し、16日釜山着<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
釜山沖で射撃訓練を行った<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
3月24日釜山発、翌25日に長崎港に入港した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
長崎工作分局で4月6日から4月10日まで修理を行い<ref name="M14.7-M15.6部内艦船修復"/>、
4月14日長崎発、彦島、門司、伊予ヲベハトに寄港し、4月27日兵庫港に入港した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。
4月29日兵庫発、5月1日午前に横浜港に帰港した<ref name="M14.7-M15.6清輝"/>。


以後帰国の途につき、チャナク、ポートサイド、[[グレートビター湖]]、スエズを経由し12月8日にアデン着<ref name="M11清輝航泊表"/>。12月26日[[ムンバイ|ボンベイ]]に到着し<ref name="M11清輝航泊表"/>、翌年1月6日より同地でで上甲板の修理を受けた{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上484}}。1月11日にボンベイを発し、コロンボ（1月17日）、ポイントデガール（1月21日）、ベナン（1月31日）、シンガポール（2月6日）、[[マニラ]]（3月2日）、[[ラマ島|ランマ島]]西湾（3月9日）、香港（3月10日）、[[廈門市|厦門]]（3月21日）を経て3月29日に長崎へ帰国した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝">[[#M12.7-M13.6海軍省報告書]]画像29-30(pp.49-51)、航泊表清輝</ref>{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上484}}。
[[横須賀造船所]]で[[1882年]](明治15年)5月17日から6月9日まで修理を行った<ref name="M14.7-M15.6部内艦船修復"/>。

;朝鮮派遣
'''清輝'''は8月9日横須賀港を出港、10日神戸港に入港した<ref name="M15.7-12艦船航海清輝">[[#M15.7-12海軍省報告書]]画像19、艦船航海 清輝艦</ref>。
4月4日に長崎を発し、大辺浦、神戸、[[鳥羽港|鳥羽]]に寄港し<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>、4月18日横浜に帰港した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上484}}。4月23日、[[品川湊|品川]]に帰着した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。

8月11日神戸港を出港、12日門司浦に入港<ref name="M15.7-12艦船航海清輝"/>
5月19日、品川から横須賀に回航した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。6月21日に横浜に回航、6月23日に艦隊訓練を行い、横須賀に戻った<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。8月26日、品海に回航した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。9月18日、横須賀に回航した<ref name="M12.7-M13.6航泊表清輝"/>。
8月14日門司浦発、8月16日仁川港に入港した<ref name="M15.7-12艦船航海清輝"/>。

8月22日豊浦、牙山浦、南陽と回航し、仁川港に戻った<ref name="M15.7-12艦船航海清輝"/>。
9月10日（または9月12日<ref>[[#M12.7-M13.6海軍省報告書]]画像16-17、艦船所轄並在任附改称及等級</ref>）、「清輝」は修復艦と定められ{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上484}}、9月22日より[[横須賀造船所]]で修理が開始され<ref>[[#M12.7-M13.6海軍省報告書]]画像20-21、艦船修復</ref><ref>[[#M13.7-M14.6海軍省報告書]]画像19-20、海軍艦船修復</ref>、9月30日にボイラーが陸揚げされた{{sfn|帝国海軍機関史|1975|p=上485}}。[[1881年]]（明治14年）7月7日に修理は完了した<ref name="M14.7-M15.6部内艦船修復">[[#M14.7-M15.6海軍省報告書]]画像21-23、部内艦船修復</ref>。
8月31日仁川港から南陽に回航<ref name="M15.7-12艦船航海清輝"/>、

9月2日豊浦を経由し、仁川港に戻った<ref name="M15.7-12艦船航海清輝"/>。
=== 1880年代 ===
9月10日豊浦に回航、11日同地発、12日芝罘着<ref name="M15.7-12艦船航海清輝"/>。
1881年（明治14年）7月1日、造船所所轄修復艦の「清輝」は[[横須賀鎮守府|東海鎮守府]]常備艦とされた<ref>[[#M14.7-M15.6海軍省報告書]]画像18、艦船所轄並在任附改称及等級</ref>。
13日同地発、14日仁川港に戻った<ref name="M15.7-12艦船航海清輝"/>。

9月19日仁川港発、門司浦に帰国した<ref name="M15.7-12艦船航海清輝"/>。
7月28日、「清輝」は横須賀港を出港し、兵庫港を経て、8月7日に朝鮮の釜山港に到着した<ref name="M14.7-M15.6清輝">[[#M14.7-M15.6海軍省報告書]]画像29、艦船航海 清輝艦</ref>。以降、仁川と豊島に寄港し、[[対馬]]・[[厳原町|厳原]]を経て9月12日に[[竹敷要港部|竹敷]]に回航された<ref name="M14.7-M15.6清輝" />。9月14日、竹敷から釜山に移動し、10月2日に長崎へと回航され<ref name="M14.7-M15.6清輝" />、[[長崎造船所|長崎工作分局]]で10月9日から10月15日まで修理を受けた<ref name="M14.7-M15.6部内艦船修復" />。
9月26日門司浦発、9月27日兵庫港着<ref name="M15.7-12艦船航海清輝"/>

10月3日兵庫発、10月5日品海に帰着した<ref name="M15.7-12艦船航海清輝"/>
10月24日、長崎を出港し、[[元山市|元山津]]～松田湾～内湖湾～元山津と回航し、12月3日に釜山港へ入港<ref name="M14.7-M15.6清輝" />。12月18日より統営、絶景島西岸、釜山を回航した<ref name="M14.7-M15.6清輝" />。12月25日に長崎へ入港した<ref name="M14.7-M15.6清輝" />。
;修理

'''清輝'''は11月17日から[[横須賀造船所]]で修理を開始<ref name="M15.7-12部内艦船修復">[[#M15.7-12海軍省報告書]]画像17、部内艦船修復</ref>、
[[1882年]]（明治15年）1月27日、釜山、巨文島、仁川を回り、2月26日に仁川へ戻る<ref name="M14.7-M15.6清輝" />。3月14日仁川を出港、3月16日に釜山に到着し、釜山沖で射撃訓練を行った<ref name="M14.7-M15.6清輝" />。3月25日、帰国して長崎工作分局で修理を受け<ref name="M14.7-M15.6部内艦船修復" />、4月14日に出港し、[[彦島]]、[[北九州港|門司]]、伊予ヲベハト、兵庫港に寄港し、5月1日に横浜港に寄港した<ref name="M14.7-M15.6清輝" />。5月17日から6月9日まで横須賀造船所で修理を受けた<ref name="M14.7-M15.6部内艦船修復" />。
[[1883年]](明治16年)5月21日まで修理を行った<ref name="M16報告書艦船修理">[[#M16海軍省報告書]]画像21、艦船修理</ref>。

7月2日に試運転の成績が報告された<ref name="M16報告書艦船備考">[[#M16海軍省報告書]]画像26、艦船備考。
8月9日に横須賀港を出港し、神戸、門司を経て8月16日に仁川港に入る<ref name="M15.7-12艦船航海清輝">[[#M15.7-12海軍省報告書]]画像19、艦船航海 清輝艦</ref>。8月22日、豊浦～牙山浦～南陽と回航し、仁川港に戻った<ref name="M15.7-12艦船航海清輝" />。8月31日から9月2日にかけて南陽～豊浦を回航し仁川に戻る<ref name="M15.7-12艦船航海清輝" />。9月10日から14日にかけて豊浦～[[芝罘区|芝罘]]を回り、仁川に戻る<ref name="M15.7-12艦船航海清輝" />。9月19日に仁川を発ち、門司に帰国<ref name="M15.7-12艦船航海清輝" />。兵庫を経て10月5日に品川に帰着した<ref name="M15.7-12艦船航海清輝" />。11月7日から横須賀造船所で修理を受け<ref name="M15.7-12部内艦船修復">[[#M15.7-12海軍省報告書]]画像17、部内艦船修復</ref>、翌年5月21日に完了した<ref name="M16報告書艦船修理">[[#M16海軍省報告書]]画像21、艦船修理</ref>。7月2日に試運転の成績が報告された<ref name="M16報告書艦船備考">[[#M16海軍省報告書]]画像26、艦船備考。
「清輝艦修復落成ノ検査ヲ遂ケ試運転ノ成績報告ヲ主船局ヨリ具陳ス」
</ref>。
</ref>。

===1883年===
[[1883年]]（明治16年）4月19日、機関学校生徒1名が実地演習のために「清輝」に乗組み、12月まで乗務した<ref>[[#M16海軍省報告書]]画像56、学術備考</ref>。7月6日、「清輝」は品川を出港して[[館山湾]]に回航、同地で大砲射撃を行った<ref name="M16報告書清輝">[[#M16海軍省報告書]]画像25、艦船航海、清輝艦</ref>。その後、[[浦賀]]～鳥羽～兵庫～[[厳島]]湾～門司を経由し、8月24日に仁川港に到着した<ref name="M16報告書清輝"/>。9月19日から10月16日にかけて、長崎港～平戸河内湾に回航し、仁川に戻った<ref name="M16報告書清輝" />。11月16日に仁川を発ち、長崎を回航して12月14日に釜山港に入る<ref name="M16報告書清輝" />。12月20日、仁川を目指して出港したが暴風の為に前に進めず、12月24日、[[伊万里市|伊万里]]に到着した<ref name="M16報告書清輝" />。12月28日に伊万里から長崎に回航した<ref name="M16報告書清輝"/>。
;朝鮮派遣
[[1883年]](明治16年)
4月19日、機関学校生徒1名が実地演習のために清輝に乗組<ref name="M16報告書学術備考">[[#M16海軍省報告書]]画像56、学術備考</ref>、
生徒は12月に退艦した<ref name="M16報告書学術備考"/>。
7月6日清輝は[[品海|品川]]を出港して[[館山湾]]に回航、同地で大砲射撃を行った<ref name="M16報告書清輝">[[#M16海軍省報告書]]画像25、艦船航海、清輝艦</ref>。
翌7日に[[浦賀]]に入港、同日同地発、[[鳥羽港]]、[[兵庫港]]、[[厳島]]湾、[[門司]]浦を経由し、8月24日仁川湾に到着した<ref name="M16報告書清輝"/>。
9月19日仁川湾発、[[長崎港]]、平戸河内湾に回航し、10月16日仁川湾に戻った<ref name="M16報告書清輝"/>。
11月16日仁川湾発、長崎に回航し、12月14日釜山浦に到着した<ref name="M16報告書清輝"/>。
12月20日仁川を目指して出港したが暴風の為に前に進めず、24日伊万里に到着した<ref name="M16報告書清輝"/>。
28日に伊万里から長崎に回航した<ref name="M16報告書清輝"/>。


===最後===
===最後===
[[1888年]](明治21年)12月7日午前2時頃、駿河湾にて触礁<ref name="kanpho">『官報』第1640号、明治21年12月15日。</ref>。
[[1888年]]（明治21年）12月7日午前2時頃、駿河湾にて触礁<ref name="kanpho">『官報』第1640号、明治21年12月15日。</ref>。12月10日午後2時頃、船体が破壊された<ref name="kanpho"/>。
12月10日午後2時頃、船体が破壊された<ref name="kanpho"/>。


== 艦長 ==
== 艦長 ==
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**{{Cite journal|和書|id=Ref.C09112499400|journal=公文類纂 明治10年 後編 巻14 本省公文 艦船部|title=往出1557 春日并右2艦横浜帰港の件 太政官へ御届|ref=M10公文類纂後編14/春日清輝鳳翔横浜帰港}}
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* <!--アサイ1928-->{{Cite book|和書|author=浅井将秀/編|title=日本海軍艦船名考|publisher=[[水交社|東京水交社]]|date=1928-12|ref=艦船名考(1928)}}
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*大井昌靖『初の国産軍艦「清輝」のヨーロッパ航海』芙蓉書房出版、2019年。ISBN 978-4-8295-0753-7
*大井昌靖『初の国産軍艦「清輝」のヨーロッパ航海』芙蓉書房出版、2019年。ISBN 978-4-8295-0753-7
*海軍歴史保存会（編）『日本海軍史　第1巻　通史第一・二編』海軍歴史保存会、1995年
*海軍歴史保存会（編）『日本海軍史　第1巻　通史第一・二編』海軍歴史保存会、1995年
*海軍歴史保存会『日本海軍史』第7巻、第9巻、第10巻、第一法規出版、1995年。
*海軍歴史保存会『日本海軍史』第7巻、第9巻、第10巻、第一法規出版、1995年。
*片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』光人社、1993年。
*片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』光人社、1993年。
** <!--カタギリ2014-->{{Cite book|和書|author=片桐大自|date=2014-04|origyear=1993|title=聯合艦隊軍艦銘銘伝<普及版> <span style="font-size:90%;">全八六〇余隻の栄光と悲劇</span>|publisher=潮書房光人社|isbn=978-4-7698-1565-5|ref=銘銘伝(2014)}}
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* {{Cite book|和書| |author= |date=1894 |title=[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/845238 大日本帝国軍艦帖] |publisher=共益商社書店 |isbn= |ref={{SfnRef|大日本帝国軍艦帖|1894}}}}
* <!-- -->{{Cite book|和書|
* {{Cite book|和書 |author=日本舶用機関史編集委員会/編 |title=帝国海軍機関史 |volume=明治百年史叢書 第245巻 |publisher=原書房 |date=1975-11 |ref={{sfnref|帝国海軍機関史|1975}}}}<!-- 上巻、下巻、別冊の3分冊-->
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* {{Cite book|和書 |author=福井静夫 |authorlink=福井静夫 |date=1994 |title=写真 日本海軍全艦艇史 |publisher=ベストセラーズ |isbn=4-584-17054-1 |ref={{SfnRef|日本海軍全艦艇史|1994}}}}<!-- 上下巻の2分冊-->
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* {{Cite book|和書 |volume=明治百年史叢書 第170巻 |title=横須賀海軍船廠史 |author=横須賀海軍工廠/編 |publisher=原書房 |date=1973-03 |origyear=1915 |isbn= |ref={{sfnref|横須賀海軍船廠史|1973}}}}<!--(第1巻から第3巻)-->
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* <!--ニホンハクヨウ1975-->{{Cite book|和書|author=日本舶用機関史編集委員会/編|title=帝国海軍機関史|volume=明治百年史叢書 第245巻|publisher=原書房|date=1975-11|ref=帝国海軍機関史(1975)}}<!-- 上巻、下巻、別冊の3分冊-->
* <!--フクイ1994-->{{Cite book|和書|author=福井静夫|authorlink=福井静夫|date=1994|title=写真 日本海軍全艦艇史|publisher=ベストセラーズ|isbn=4-584-17054-1|ref=日本海軍全艦艇史(1994)}}
* <!--ヨコスカカイグンコウショウ1973(org1915)-->{{Cite book|和書|volume=明治百年史叢書 第170巻|title=横須賀海軍船廠史|author=横須賀海軍工廠/編|publisher=原書房|date=1973-03|origyear=1915|isbn=|ref=横須賀海軍船廠史(1973)}}<!--(第1巻から第3巻)-->
*『[[官報]]』
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* [[大日本帝国海軍艦艇一覧]]
* [[大日本帝国海軍艦艇一覧]]
* [[千代田形]] - 幕末に江戸幕府が建造した日本初の国産蒸気軍艦。
* [[千代田形]] - 幕末に江戸幕府が建造した日本初の国産蒸気軍艦。
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2023年6月5日 (月) 17:18時点における版

清輝
横須賀での清輝（推定1878年1月）[1]
横須賀での清輝（推定1878年1月）[1]
基本情報
建造所 横須賀造船所[2]
運用者  大日本帝国海軍
艦種 砲艦[3]、またはスループ[4]
艦歴
発注 1873年2月10日[5]
起工 1873年11月20日[6]
進水 1875年3月5日[2][7]
竣工 1876年6月21日[8]、または6月20日[9]
最期 1888年12月7日、触礁破壊[6]
要目
排水量 897 英トン[4]
または898英トン[10]
トン数 489 トン[10]
長さ 211 尺86[10](64.200 m)
垂線間長 61.150 m[4]
幅 30尺756[10](9.320m)
または9.300 m[4]
深さ 16尺93[10](5.130m)
吃水 13尺365[10](4.050 m[4])
ボイラー 片面戻火缶（または円缶[2]）×2基[3]
主機 横置2段3気筒還働式レシプロ×1基[3]
推進 青銅製4翼[11] スクリュー・プロペラ[10]
直径：14 ft 10 in (4.521 m)[11]
ピッチ：11 ft 2 in (3.404 m)[11]
出力 720実馬力(180名馬力)[10]
または700実馬力[3]
帆装 3檣バーク型[10]
速力 9.6ノット (17.8 km/h)[3][12]
燃料 炭団:218,400斤[10](約168.4英トン)
航続距離 燃料消費:31,900斤/日[10]
または28,000斤(21.6英トン)/日[2]
乗員 士官21名 兵員119名 雇人19名 合計159名[12]
1875年:136名[10]
1876年6月時定員:236名[13]
兵装 15cmクルップ砲 1門
12cmクルップ砲 4門
16斤アームストロング砲 1門
短4斤山砲 2門[2]
搭載艇 最終時:5隻[14]
その他 船材:木材[10]
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清輝(せいき)は、日本海軍の軍艦[6]。清輝は「輝く清い光」の意味で[15]、易経に「輝光日新其徳」とあるという[6]。

概要

明治維新後の初めての国産軍艦として横須賀造船所で建造された（それまでの建造艦船は何れも運送船や御召船などになる）[15]。設計はフランス人技術者レオンス・ヴェルニー、建造は日本人の職工であった[12]。また日本艦船として初めてヨーロッパへ遠征したことでも特筆すべき艦である[15]。

1888年に触礁により破壊された[16]。

艦型

3檣バーク型[10]の砲艦[3]、またはスループ[4] になる。

機関

日本で製造された機関の中で初めて2段膨張式機械を備えた[3]。ボイラーは片面戻火缶（または円缶[2]）2基を備えた[3]。蒸気圧力は45ポンド/平方インチ[17]。また触面復水器が設置された[2]。

1876年11月29日の試運転届出によると、回転数60rpmで速力8ノット、75rpmで11.2ノットを記録した[2]。

1886年頃、新しいボイラーに換装した[3]。

要目

船体主要寸法については、文献によって色々な単位で数値が残されている。右表の寸法は主に『海軍省報告書』の値となる[10]。他の文献の値も以下に示す。

出典 海軍省報告書[10] 大日本軍艦帖(1894)[4] 帝国海軍機関史(経歴)[18] 帝国海軍機関史(沿革)[19]
長さ 211尺86(64.200m) 61.150m 60.07m(36間5尺)* 垂線間長:200 ft 7+1⁄2 in (61.151 m)
幅 30尺756(9.320m) 9.300m 9.032m(5間7寸)* 30 ft 6 in (9.296 m)
深さ 16尺93(5.130m)
吃水 13尺365(4.050m) 4.050m
排水量 898トン 897噸 897噸
  • 括弧内はmに変換した値。ただし*の値は記載のママを転載。

艦歴

建造

当初は2,600トンの大型艦を予定していたが、資材不足のため計画を改めた[15]。最終的に「清輝」（897トン）と「天城」(926トン) が建造されたと言われる[15]。1873年（明治6年）2月10日、ヴェルニーに対し排水量800英トン、出力180馬力、大砲5門の艦の設計が命じられた[5]。11月20日、横須賀造船所にて起工[6]。12月4日、新造の180馬力艦は「清輝」と命名された[20]。1875年（明治8年）3月5日、明治天皇臨席の下、「清輝」は進水した[7]。

10月15日付で井上良馨少佐が艦長に任命された[21]。10月28日、日本周辺を東部と西部に分け、東部指揮官には中牟田倉之助少将、西部指揮官には伊東祐麿少将が任命され[22]、10月31日、「清輝」は東部指揮官所轄予定[21]となった[22]。

1876年（明治9年）6月21日に「清輝」は竣工した[2]。

1870年代

1876年（明治9年）奥羽巡幸が行われ、「清輝」(竣工前) は5月25日に横浜港を出港、青森港に回航していた[23]。6月6日、「春日」と「清輝」「高雄丸」が奥羽巡幸の護衛として青森を出港した[23]。6月27日、「清輝」は常備艦とされた[23]。8月1日、入渠してボイラーなどを修理した[2]。10月30日に再入渠し[24]、スクリュー翼の折損を修理した[25]。11月6日に出渠し[26]、11月29日に試運転の結果が報告されている[27][28]。

1877年（明治10年）1月12日スクリュー翼1枚を失ったため、横須賀で修理したいと申し出があり[28]、1月16日に横須賀港へ入港し[29]、同日入渠した[30]。1月19日に出渠し横浜に回航した[31]。1月24日から同27日にかけて、明治天皇の大和行幸に供奉艦として横浜から神戸まで同行した[15][32]。

鹿児島の情勢不安（後に西南戦争）のため[15]、2月13日22時、「春日」と「清輝」は神戸港を出港し、鹿児島に向かった[33]。2月21日、熊本で偵察のため上陸した士官・兵が攻撃され7名が死亡した[34]。3月26日、長崎で機関部の修理の届出があった[28]。修理は4月4日に完了した[28]。9月1日、下関で機関が故障し、同地に午後8時投錨、翌2日に博多港に寄港した[28]。9月5日、長崎港に回航し、修理と決定した[28]。同月、城山の戦いに参加[35]。「清輝」は10月10日午前1時30分に横浜港に帰港した[36][37][38]。

10月29日、横浜港から横須賀港に回航し[39]、修理を受けた[40]。この当時は各港に常備艦を置いており、そのため損傷からの修理が増加して現用の艦が「春日」1隻になってしまった[41]。そのため「清輝」の修理が急がれ[40]、12月26日に出渠した[42]。

ヨーロッパ遠征

1878年（明治11年）から翌1879年（明治12年）にかけて「清輝」はヨーロッパ遠征を行った[12][43]。

1877年12月14日、欧州回航が命ぜられ[28]、翌1878年1月17日14時45分に横浜を出港した[44][45]。金田湾 - 下田 - 長崎を経て日本を離れ、香港（2月3日）、シンガポール（2月17日）、コロンボ（3月1日）、アデン（3月18日）、エジプト（3月29日スエズ～同30日イスメリヤ～同31日ポートサイド）へ寄港し、4月13日からマルタ島の造船所で修理を受けた[44][46]。

5月4日にマルタ島を離れ、シチリア島（5月4日シラキュース～同7日メッシーナ）、イタリア本土（5月10日ナポリ～同18日ラ・スペツィア～同20日ジェノバ）、フランス（5月24日ツーロン～同29日マルセイユ）、イベリア半島（6月5日バルセロナ～同9日カルタヘナ～同12日ジブラルタル～同15日リスボン～同20日フェロル）、イギリス（6月26日プリマス～7月4日ポートランド～同6日ポーツマス～同18日グリーンハイス（英語版））に寄港した[46]。「清輝」乗組の川村正介少尉はイギリスで退艦し、3年間の自費留学を行った[47]

7月29日にイギリスを発ち、フランスのセルフル（7月30または31日）[44]、ジブラルタル（8月21日）を巡り[46]、8月26日にツーロンに再寄港して修理を受け[44]、イタリアとシチリア島（10月3日ジェノバ～同8日ナポリ～14日パレルモ～同18日メッシーナ）を巡り、10月20日にマルタ島バレッタに寄港し、ここでスクリュー翼1枚の交換などの修理を行った[46][44]。修理完了後はトルコの各地（11月3日ベシカベー～同4日チャナク～同6日ガリボリ～同7日アルタッキ～11月9日コンスタンティノープル）を訪れた[46]。

以後帰国の途につき、チャナク、ポートサイド、グレートビター湖、スエズを経由し12月8日にアデン着[46]。12月26日ボンベイに到着し[46]、翌年1月6日より同地でで上甲板の修理を受けた[44]。1月11日にボンベイを発し、コロンボ（1月17日）、ポイントデガール（1月21日）、ベナン（1月31日）、シンガポール（2月6日）、マニラ（3月2日）、ランマ島西湾（3月9日）、香港（3月10日）、厦門（3月21日）を経て3月29日に長崎へ帰国した[48][44]。

4月4日に長崎を発し、大辺浦、神戸、鳥羽に寄港し[48]、4月18日横浜に帰港した[48][44]。4月23日、品川に帰着した[48]。

5月19日、品川から横須賀に回航した[48]。6月21日に横浜に回航、6月23日に艦隊訓練を行い、横須賀に戻った[48]。8月26日、品海に回航した[48]。9月18日、横須賀に回航した[48]。

9月10日（または9月12日[49]）、「清輝」は修復艦と定められ[44]、9月22日より横須賀造船所で修理が開始され[50][51]、9月30日にボイラーが陸揚げされた[19]。1881年（明治14年）7月7日に修理は完了した[52]。

1880年代

1881年（明治14年）7月1日、造船所所轄修復艦の「清輝」は東海鎮守府常備艦とされた[53]。

7月28日、「清輝」は横須賀港を出港し、兵庫港を経て、8月7日に朝鮮の釜山港に到着した[54]。以降、仁川と豊島に寄港し、対馬・厳原を経て9月12日に竹敷に回航された[54]。9月14日、竹敷から釜山に移動し、10月2日に長崎へと回航され[54]、長崎工作分局で10月9日から10月15日まで修理を受けた[52]。

10月24日、長崎を出港し、元山津～松田湾～内湖湾～元山津と回航し、12月3日に釜山港へ入港[54]。12月18日より統営、絶景島西岸、釜山を回航した[54]。12月25日に長崎へ入港した[54]。

1882年（明治15年）1月27日、釜山、巨文島、仁川を回り、2月26日に仁川へ戻る[54]。3月14日仁川を出港、3月16日に釜山に到着し、釜山沖で射撃訓練を行った[54]。3月25日、帰国して長崎工作分局で修理を受け[52]、4月14日に出港し、彦島、門司、伊予ヲベハト、兵庫港に寄港し、5月1日に横浜港に寄港した[54]。5月17日から6月9日まで横須賀造船所で修理を受けた[52]。

8月9日に横須賀港を出港し、神戸、門司を経て8月16日に仁川港に入る[55]。8月22日、豊浦～牙山浦～南陽と回航し、仁川港に戻った[55]。8月31日から9月2日にかけて南陽～豊浦を回航し仁川に戻る[55]。9月10日から14日にかけて豊浦～芝罘を回り、仁川に戻る[55]。9月19日に仁川を発ち、門司に帰国[55]。兵庫を経て10月5日に品川に帰着した[55]。11月7日から横須賀造船所で修理を受け[56]、翌年5月21日に完了した[57]。7月2日に試運転の成績が報告された[58]。

1883年（明治16年）4月19日、機関学校生徒1名が実地演習のために「清輝」に乗組み、12月まで乗務した[59]。7月6日、「清輝」は品川を出港して館山湾に回航、同地で大砲射撃を行った[60]。その後、浦賀～鳥羽～兵庫～厳島湾～門司を経由し、8月24日に仁川港に到着した[60]。9月19日から10月16日にかけて、長崎港～平戸河内湾に回航し、仁川に戻った[60]。11月16日に仁川を発ち、長崎を回航して12月14日に釜山港に入る[60]。12月20日、仁川を目指して出港したが暴風の為に前に進めず、12月24日、伊万里に到着した[60]。12月28日に伊万里から長崎に回航した[60]。

最後

1888年（明治21年）12月7日午前2時頃、駿河湾にて触礁[16]。12月10日午後2時頃、船体が破壊された[16]。

艦長

※『日本海軍史』第9巻・第10巻の「将官履歴」及び『官報』に基づく。

  • 井上良馨 少佐：1875年10月15日[22] - 12月15日
  • 井上良馨 少佐：1876年3月22日[61] - 1879年8月19日
  • 磯辺包義 少佐：1880年6月17日 - 1882年8月3日
  • 磯辺包義 中佐:1882年8月6日 - 1883年3月2日
  • 隈崎守約 中佐:不詳 - 1884年6月16日
  • 伊地知弘一 少佐：1884年6月16日 - 1885年6月22日
  • 野村貞 少佐：1885年6月22日 - 1886年4月12日
  • 松岡方祇 少佐：1886年4月12日 - 8月4日
  • 河原要一 少佐：1886年12月28日 - 1887年10月27日
  • 田尻唯一 少佐：1887年10月27日[62] -

脚注

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出典

  1. ^ 日本海軍全艦艇史 1994, p. 上490.
  2. ^ a b c d e f g h i j 帝国海軍機関史 1975, p. 上482.
  3. ^ a b c d e f g h i 帝国海軍機関史 1975, p. 上486.
  4. ^ a b c d e f g 大日本帝国軍艦帖 1894, p. 17.
  5. ^ a b 横須賀海軍船廠史 1973, p. 1巻227.
  6. ^ a b c d e 艦船名考 1928, pp. 39–40.
  7. ^ a b #M1-M9海軍省報告書画像62-63、明治8年3月。
  8. ^ 帝国海軍機関史 1975, p. 482, 上巻.
  9. ^ 横須賀海軍船廠史 1973, p. 2巻60.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p #M1-M9海軍省報告書画像74-75、明治八年艦船総数表
  11. ^ a b c 帝国海軍機関史 1975, p. 上491.
  12. ^ a b c d 大井昌靖『初の国産軍艦「清輝」のヨーロッパ航海』芙蓉書房出版、2019年。ISBN 978-4-8295-0753-7
  13. ^ #M1-M9海軍省報告書画像108-109、艦船表(明治9年6月30日現在)
  14. ^ #M22公文備考3/衝突触礁(3)画像30
  15. ^ a b c d e f g 片桐 2014, pp. 197–198.
  16. ^ a b c 『官報』第1640号、明治21年12月15日。
  17. ^ 帝国海軍機関史 1975別冊No.4、主機械罐制式発達一覧表
  18. ^ 帝国海軍機関史 1975, p. 上481.
  19. ^ a b 帝国海軍機関史 1975, p. 上485.
  20. ^ #M1-M9海軍省報告書画像45-47、明治6年12月。
  21. ^ a b 横須賀海軍船廠史 1973, p. 2巻28.
  22. ^ a b c #M1-M9海軍省報告書画像68-70、明治8年10月。
  23. ^ a b c #M1-M9海軍省報告書画像81-82、明治9年6月。
  24. ^ #M9公文類纂12/清輝入渠画像1
  25. ^ #M9公文類纂12/清輝入渠画像5
  26. ^ #M9公文類纂12/清輝入渠画像3
  27. ^ #帝国海軍機関史(1975)上巻p.483
  28. ^ a b c d e f g 帝国海軍機関史 1975, p. 上483.
  29. ^ #M10公文類纂前編12/清輝横須賀入湾画像1
  30. ^ #M10公文類纂前編12/清輝横須賀入湾画像7
  31. ^ #M10公文類纂前編12/清輝横須賀入湾画像9
  32. ^ #M9.7-M10.6海軍省報告書/沿革画像17-20、明治10年1月
  33. ^ #M10公文類纂前11/清輝春日神戸発鹿児島画像1
  34. ^ 『日本海軍史　第1巻』234ページ
  35. ^ 『日本海軍史　第1巻』236ページ
  36. ^ #M10公文類纂後編14/清輝帰港画像1
  37. ^ #M10公文類纂後編14/春日清輝鳳翔横浜帰港画像1
  38. ^ #M10.7-M11.6海軍省報告書画像11-14、明治10年10月沿革
  39. ^ #M10公文類纂後編16/清輝横須賀回航画像3
  40. ^ a b #M10公文類纂後編16/清輝至急修復画像3
  41. ^ #M10公文類纂後編16/清輝至急修復画像1
  42. ^ #M10公文類纂後編16/清輝出渠肇敏入渠画像1
  43. ^ 中島武著『明治の海軍物語』三友社、1939年のうち、「軍艦淸輝の歐洲航海」。
  44. ^ a b c d e f g h i 帝国海軍機関史 1975, p. 上484.
  45. ^ #M10.7-M11.6海軍省報告書画像19-22、明治11年1月沿革
  46. ^ a b c d e f g #M11.7-M12.6海軍省報告書画像51-53、清輝艦航泊表
  47. ^ #M10.7-M11.6海軍省報告書画像31-34、明治11年5月沿革
  48. ^ a b c d e f g h #M12.7-M13.6海軍省報告書画像29-30(pp.49-51)、航泊表清輝
  49. ^ #M12.7-M13.6海軍省報告書画像16-17、艦船所轄並在任附改称及等級
  50. ^ #M12.7-M13.6海軍省報告書画像20-21、艦船修復
  51. ^ #M13.7-M14.6海軍省報告書画像19-20、海軍艦船修復
  52. ^ a b c d #M14.7-M15.6海軍省報告書画像21-23、部内艦船修復
  53. ^ #M14.7-M15.6海軍省報告書画像18、艦船所轄並在任附改称及等級
  54. ^ a b c d e f g h i #M14.7-M15.6海軍省報告書画像29、艦船航海 清輝艦
  55. ^ a b c d e f #M15.7-12海軍省報告書画像19、艦船航海 清輝艦
  56. ^ #M15.7-12海軍省報告書画像17、部内艦船修復
  57. ^ #M16海軍省報告書画像21、艦船修理
  58. ^ #M16海軍省報告書画像26、艦船備考。
  59. ^ #M16海軍省報告書画像56、学術備考
  60. ^ a b c d e f #M16海軍省報告書画像25、艦船航海、清輝艦
  61. ^ #M1-M9海軍省報告書画像78-80、明治9年3月。
  62. ^ 『官報』第1301号、明治20年10月28日。

参考文献

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    • 国立公文書館
    • 『記録材料・海軍省報告書第一』。Ref.A07062089000。  明治元年から明治9年6月。
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    • 『記録材料・海軍省報告書』。Ref.A07062091300。  明治10年7月から明治11年6月。
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    • 『記録材料・海軍省報告書』。Ref.A07062091900。  明治13年7月から明治14年6月。
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      防衛省防衛研究所
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    • 「衝突触礁(3)」『明治22年 公文備考 演習 艦船 水路 巻3』、Ref.C06090881500。 
  • 浅井将秀/編『日本海軍艦船名考』東京水交社、1928年12月。 
  • 大井昌靖『初の国産軍艦「清輝」のヨーロッパ航海』芙蓉書房出版、2019年。ISBN 978-4-8295-0753-7
  • 海軍歴史保存会（編）『日本海軍史　第1巻　通史第一・二編』海軍歴史保存会、1995年
  • 海軍歴史保存会『日本海軍史』第7巻、第9巻、第10巻、第一法規出版、1995年。
  • 片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』光人社、1993年。
    • 片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝<普及版> 全八六〇余隻の栄光と悲劇』潮書房光人社、2014年4月（原著1993年）。ISBN 978-4-7698-1565-5。 
  • 『大日本帝国軍艦帖』共益商社書店、1894年。 
  • 日本舶用機関史編集委員会/編『帝国海軍機関史』 明治百年史叢書 第245巻、原書房、1975年11月。 
  • 福井静夫『写真 日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1。 
  • 横須賀海軍工廠/編『横須賀海軍船廠史』 明治百年史叢書 第170巻、原書房、1973年3月（原著1915年）。 
  • 『官報』

関連項目

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