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== 歴史 ==
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[[明治4年]]([[1871年]])に、[[明治政府]]は[[東京府]](現・[[東京都]])で[[邏卒]]を採用し、屯所([[警察署]])を中心にパトロールなどを行なわせた。[[1874年]]([[明治]]7年)に[[警視庁 (内務省)|東京警視庁]]が設置され、邏卒を[[巡査]]に改称し、巡査を東京の各「交番所」(交番舎)に配置した。[[巡査]]を'''交'''代で屯所から「交番所」へ行かせ、立'''番'''(りつばん)などを行なう場'''所'''にした同1874年の8月に、「交番所」に設備を設置して周辺地域のパトロールなどを行う拠点にした。
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[[1881年]](明治14年)には「交番所」から「[[派出所]]」に改称された。[[1884年]](明治17年)[[6月1日]]、巡査派出所に[[天気予報]]の掲示を始めた<ref>時事新報 {{出典無効|date=2021年3月15日|title=基本情報が無いに等しい。}}</ref>。[[1888年]](明治21年)になると、全国に「派出所」が配置されるようになり、同時に、外勤警察官が居住する施設として「[[駐在所]]」が設置された。
[[1881年]](明治14年)には「交番所」から「[[派出所]]」に改称された。[[1884年]](明治17年)[[6月1日]]、巡査派出所に[[天気予報]]の掲示を始めた<ref>時事新報 {{出典無効|date=2021年3月15日|title=基本情報が無いに等しい。}}</ref>。[[1888年]](明治21年)になると、全国に「派出所」が配置されるようになり、同時に、外勤警察官が居住する施設として「[[駐在所]]」が設置された。


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[[1944年]](昭和19年)、警視庁では戦時の治安維持のため警察官の重点配備を計画。警備派出所へ人員を増強(シフト)させるため、同年10月には346ヶ所の巡査派出所の廃止(閉鎖)が行われた<ref>都内の交番三四六カ所を廃止(昭和19年10月5日 朝日新聞)『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p116 毎日コミュニケーションズ刊 1994年</re>。しかし[[第二次世界大戦]]直後の[[194年]](昭和20年)10月には一転、民主警察化を進める一環として定員の再配置が行われ、1,107ヶ所あった派出所、出張所、駐在所を115ヶ所増やす措置が採られた<ref>戦後は都民生活重視で交番増やす(昭和20年10月31日 毎日新聞(東京))『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p116 毎日コミュニケーションズ刊 1994年</ref>。


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所長の階級は[[警部]]か[[警視]]で、昇任直後に就任する傾向が強い。最近{{いつ|date=2021年3月15日}}の傾向としては、[[日本の市町村の廃置分合|市町村合併]]の影響で警察署統廃合が全国で行なわれており、'''幹部'''(ただし、[[鳥取県警察]]・[[岡山県警察]]・[[佐賀県警察]]では『'''幹部派出所'''』が正式名称となっている)が増加しつつある。幹部交番は廃止された警察署庁舎を使用している。
所長の階級は[[警部]]か[[警視]]で、昇任直後に就任する傾向が強い。最近{{いつ|date=2021年3月15日}}の傾向としては、[[日本の市町村の廃置分合|市町村合併]]の影響で警察署統廃合が全国で行なわれており、'''幹部番''(ただし、[[鳥取県警察]]・[[岡山県警察]]・[[佐賀県警察]]では『'''幹部派出所'''』が正式名称となっている)が増加しつつある。幹部交番は廃止された警察署庁舎を使用している。


日本が[[インバウンド消費]]に官民挙げて取り組み始めた[[2010年代]]には、[[東京]]の[[新宿]]や[[渋谷]]、[[京都]]の歴史的[[名所]]などといった来日[[外国人]]の多い[[繁華街]]や[[観光地]]を中心に、[[英語]]を主とする[[外国語]]での意思疎通が可能な警察官を配置することが増えていった<ref name="産経_20161127">{{Cite news |和書 |date=2016-11-27 |title=「相談Welcome」祇園に外国語交番 「おもてなし通訳人」も242人 京都府警など観光客対応に本腰 |url=https://www.sankei.com/article/20161127-Q35ZXK3VM5JGHOXW2VSUZOEWGY/ |publisher=株式会社[[産業経済新聞社]] |newspaper=産経WEST |accessdate=2021-03-15 }}</ref><ref>[http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-NT/102500075/ 警視庁、新宿と渋谷の交番に英語や中国を話せる警察官を配置]、[[日経BP]]。{{リンク切れ|date=2021年3月15日}}{{出典無効|date=2021年3月15日|title=基本情報の不備}}</ref>。
日本が[[インバウンド消費]]に官民挙げて取り組み始めた[[2010年代]]には、[[東京]]の[[新宿]]や[[渋谷]]、[[京都]]の歴史的[[名所]]などといった来日[[外国人]]の多い[[繁華街]]や[[観光地]]を中心に、[[英語]]を主とする[[外国語]]での意思疎通が可能な警察官を配置することが増えていった<ref name="産経_2016127">{{Cite news |和書 |date=2016-11-27 |title=「相談Welcome」祇園に外国語交番 「おもてなし通訳人」も242人 京都府警など観光客対応に本腰 |url=https://www.sankei.om/article/20161127-Q35ZXK3VM5JGHOXW2VUZOEWGY/ |publisher=株式会社[[産業経済新聞社]] |newspaper=産経WEST |accessdate=2021-03-15 }}</ref><ref>[http://www.nikkebp.co.jp/atcl/column/15/IB-NT/102500075/ 警視庁、新宿と渋谷の交番に英語や中国を話せる警察官を配置]、[[日経BP]]。{{リンク切れ|date=2021年3月15日}}{{出典無効|date=2021年3月15日|title=基本情報の不備}}</ref>。


== 交番の役割 ==
== 交番の役割 ==

2023年7月3日 (月) 08:47時点における版

世の中は、全て、茶番である。

概要

歴史

明治4年([[1871年])に、明治政府東京府(現・東京都)で邏卒を採用し、屯所(警察署)を中心にパトロールなどを行なわせた。1874年明治7年)に東京警視庁が設置され、邏卒を巡査に改称し、巡査を東京の各「交番所」(交番舎)に配置した。巡査を'代で屯所から「交番所」へ行かせ、立(りつばん)などを行なう場にした同1874年の8月に、「交番所」に設備を設置して周辺地域のパトロールなどを行う拠点にした。

1881年(明治14年)には「交番所」から「派出所」に改称された。1884年(明治17年)6月1日、巡査派出所に天気予報の掲示を始めた[1]1888年(明治21年)になると、全国に「派出所」が配置されるようになり、同時に、外勤警察官が居住する施設として「駐在所」が設置された。

1944年(昭和19年)、警視庁では戦時の治安維持のため警察官の重点配備を計画。警備派出所へ人員を増強(シフト)させるため、同年10月には346ヶ所の巡査派出所の廃止(閉鎖)が行われた引用エラー: <ref> タグに対応する </ref> タグが不足しています

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1994年([[平成]6)、「派出所」の正式名称は「交番」に決定する。「派出所」という名称の施設は「警備派出所」があるが、これは通常の交番と異なり、要警備諸所(空港や各種公邸など)における警察官の詰め所的な存在である。 所長の階級は警部警視で、昇任直後に就任する傾向が強い。最近[いつ?]の傾向としては、市町村合併の影響で警察署統廃合が全国で行なわれており、'幹部番(ただし、鳥取県警察岡山県警察佐賀県警察では『幹部派出所』が正式名称となっている)が増加しつつある。幹部交番は廃止された警察署庁舎を使用している。

日本がインバウンド消費に官民挙げて取り組み始めた2010年代には、東京新宿渋谷京都の歴史的名所などといった来日外国人の多い繁華街観光地を中心に、英語を主とする外国語での意思疎通が可能な警察官を配置することが増えていった[2][3]

交番の役割

交番と駐在所には、都道府県公安委員会の規則などにより管轄区域が割り当てられており、交番の勤務員は通常はその範囲内の治安維持にあたる。ただし、本署の指示があったときや緊急の場合には管轄区域にかかわらず出動する。また、交番の勤務員は、例えばパトロールカーによるパトロール、留置管理、被疑者の護送、重大な事件の捜査など警察署の他の部署の職務の応援に回ることもある。これを「補勤」(ほきん)という。

市街地の各所に警察官の詰め所を設けることで、周辺地域の治安の維持と住民の利便を図ろうというものである。交替で番をするところであるためこのように呼ばれる。日本の治安が良好な要因のひとつは全国の交番にあるのではないかと、他の国からの注目は高い。

原則として、担当警察官の交代勤務により、警察官が24時間常駐している。しかし、警察官が減少しているため、一定時間のみ警察官が滞在する交番や、警察官を配置せずにテレビ電話を置いただけの無人交番も運用されている。この様な問題を抱えている交番を「空き交番」ということがある(後述)。このことで、暴漢から交番に逃れたものの無人で、結局暴行を受けた、などの事件も発生しており、課題となっている。

交番は、地域課のパトロール担当の警察官が常駐するところであるだけでなく、110番通報するまでもない状況の時(例として万引きの犯人を取り押さえて引き渡す)には警察官の出動依頼も可能である。110番通報よりも最寄の交番に電話をかける方が警察官の現場到着が早い場合もある(電話を受けた交番では制服警察官が黒バイや自転車で飛んで行く。また、神奈川県警察兵庫県警察岡山県警察などでは交番・駐在所の電話番号を公表していないため、一般の電話から交番に直接かけることができない地域もある)。

ただし、電話連絡を受けた警察官は、その連絡の内容を本署に報告し、指示を受けてから出動する他、重要事件の場合はその警察官がさらに交番から110番通報をして、本部組織(機動捜査隊や鑑識課など)の応援を要請してから出動するので、かえって時間がかかることも多く、緊急時には交番や警察署ではなく110番へ電話をかけることが推奨される。

その他、管轄地域内で起こった事件、事故などの報告などが可能である。また、交番には付近の住宅地図が備え付けられているほか、日常的に管轄区域のパトロールを行う警察官は近所の地理に詳しい場合が多いため、交番で道を尋ねる風景はよく見られる(警察内部では「地理案内」と呼ぶ)。また、交通量の多い交差点に面して設置されている交番では、交通の監視の機能を持たせ、スピーカーを通して注意を促したりする場合もある。

総務省による警察に対するアンケート調査の結果、「交番にはいつも警察官が常駐していて欲しい」「いつもパトロールして欲しい」との相反する要望がある。この国民の要望に応えるため2003年(平成15年)8月から福岡県警察は全国に先駆けて交番、駐在所の再編を行い交番の大型化などを実施し、治安の回復など一定の成果をあげている。

巡回連絡

交番の職務の中に「巡回連絡」がある。これは、管轄区域内の住宅や事業所などを交番の勤務員が巡回し、住宅であれば世帯主をはじめとする家族構成、勤務先や通学先などを、事業所であれば業種や従業員数などを、それぞれ家人や経営者などから直接聞き取り、交番備え付けの「巡回連絡簿」に記載するというものである。管轄区域内の住民などは絶えず流動しているため、半年から1年ごとに区域内全ての住宅・事業所を巡回することを目安としているが、他の業務との兼ね合いもあり、必ずしもこの通り実施されてはいない交番もある。

巡回連絡は、第二次世界大戦直後から行われていた戸口査察にさかのぼる。調査は「行き過ぎた警察行政だ」として1950年1月、一度は廃止されたが防犯上に不便があるとして同年9月5日、強制的な調査から任意調査に改めて再出発している[4]

空き交番

「空き交番」とは交番の施設があるものの、警察官が不在がちな交番をいう。交番は、原則として一当務2人以上の交替制をしくことになっているが、人手不足により夜間無人となるもの、あるいは警察官は常駐するが巡回に出かけた後などに無人になるものなどがある。

警察庁生活安全局地域課の統計によると、2006年(平成18年)4月1日時点での全国の交番数は6,362か所(前年同期比93か所減)、交番勤務員は約48,700人(前年同期比約1,800人増)である。「空き交番」は全国で268か所あるが、2005年(平成17年)の統計では1,222か所であったことから、ある程度改善されていると言える。

空き交番問題は以前から指摘されていたが、特に市街地や住宅街の交番、また、過疎地の駐在所での警察官不足はいまだ解消されていない地域がある。交番所長が置かれない交番も多い。交番に勤務する警察官は毎日交番勤務についているわけではなく、各警察署各課の応援に出動することもあり(被疑者護送も地域課の任務)、交番勤務員の人手不足は治安に関係する深刻な問題である。

警察庁としては交番相談員制度を発足させ、定年退職した警察官を対象に再雇用をして交番勤務員を増やす施策も行っているが、空き交番問題や署員不足などの問題は、警察官の人数(特に地域部・地域課員。一般的な『お巡りさん』)そのものが少ないことが原因である。

警察庁は広範囲の職域を抱えている警察署員数確保のためには、全国的にあと3万人の警察官を増員する必要があるとしている。

市町村によっては、廃止した交番の建物や土地を譲り受けたり有償で借り上げたりして、地元の自治会やボランティアの力で治安の維持に努める場合もある。2007年4月、警察庁は人員増と統廃合により、空き交番の解消完了を発表した。

配備されるパトカー

日本の交番に配備されているパトロールカーは、地域特性や周辺の道路環境により異なる。大部分の交番には、地域巡回・違法駐車取り締まりを主とする、軽自動車小型自動車の小型警ら車(ミニパト)が置かれているが(『街頭犯罪対策車』と呼ぶところもある)、交通量の多い幹線道路沿いの交番では、自動車警ら隊交通機動隊で使用された1~2モデル前のパトカーや警察署地域課同等の警らパトカーが配備されている場合もある。2020年代、北海道札幌方面中央警察署薄野交番には、トヨタ・ハイエース日産・キャラバンの護送車や、トヨタ・クラウンが配備されている。そのほか、警察署に置く場所がない護送車や管区機動隊用の警察バスが置かれているケースもある。

交番には基本的に管轄警察署が置かれている自治体のナンバーを有する車両が配備される。

移動交番

1958年(昭和33年)頃にも既に同じような[信頼性要検証]役割の移動交番車が出現していた[5]。現在も最寄りの警察署および交番が遠い地域や犯罪が多発する地域、住宅地、公園、商業施設、イベント会場[6]、観光地[7]などでは、既設の交番を補完するように日時を限定して「移動交番」が設置されることがある。警察官と交番相談員が乗り組み、地理案内や届出の受付、地域の警戒、広報啓発活動などに従事する[8]

既設の交番が使用できない場合や、大規模な災害が発生した地域に移動交番車が派遣されて現地の仮設交番として活用されることがある[9]

移動交番車に用いられる車両は資機材の輸送や車内を事務室および休憩室として用いるためにミニバンワンボックスカーマイクロバスが多く、千葉県警察富山県警察のように専用のカラーリングを施す事例が見られる[10]

2020年東京パラリンピックでの来場者への対応として、警視庁では仮設式などに比べ各種許可が不要であり、コンテナが積載されるトレーラーレンタルが可能であるなど、コスト面で優れていることからトレーラーハウス型のモバイル交番を試験的に導入した[11][12]代々木公園内と国際展示場駅前に試験的に設置され、管轄する警察署の警官が24時間体制の4交代制度で勤務する。試験運用後に評価と必要台数や設置場所の決定を行い、今後、各種大型イベントが開催される際に設置される計画となっている[11][13]。なお、北海道ニセコ地区を担当する倶知安警察署では、世界的に有名である「ニセコアンヌプリ」に訪れる多くのウィンタースポーツ観光客に対応するため、毎年シーズン中は麓にトレーラーで運搬可能な臨時の移動式交番が設置されている[14]。この他、熊本県警察では度重なる豪雨災害の経験から2005年キャンピングカーをベースとした警察官の待機所を目的とした移動交番(移動駐在所)が導入されている[15]

日本国外の交番

アメリカ合衆国シンガポールブラジルにも交番制度が輸出されている。

米国ハワイ州ワイキキにはホノルル市警の "Waikiki Beach koban" が、ニューヨーク市マンハッタンにも交番が設置された。ロサンゼルス市警察はショッピングモール「ザ・グローブ」前に "LAPD KOBAN" を設置した。ロサンゼルスの場合は日本のような24時間態勢ではなく、運用時間が正午から夜10時までで、時間外は無人で閉鎖される[16]

インドネシアや、ブラジルサンパウロ州などでは、日本の例を参考にして交番制度が導入されている。特にブラジル・サンパウロ州では2005年からの導入で、殺人事件などの犯罪が大幅に減少した[17]

シンガポール警察は、幹部候補生を日本に研修に派遣し、警視庁築地警察署数寄屋橋交番に勤務させて、交番制度を実地で体験させるなど、積極的に制度を輸入した。大韓民国中華民国では、以前から日本とほぼ同様の交番が存在するほか、中華人民共和国にも交番が新設されており、いずれも「派出所」と呼ぶ[注 1]。ただ、上海市公安局の交番はおおむね日本のそれより規模が大きく、アメリカの警察署(または分署)の規模である。

交番が標的となった主な犯罪

交番と創作

警視庁亀有警察署亀有駅北口交番 / 2007年(平成19年)撮影。

交番を舞台にした創作物としては、秋本治ギャグ漫画こちら葛飾区亀有公園前派出所』(連載期間:1976年〈昭和51年〉- 2016年〈平成28年〉)が最もよく知られており、「こち亀」の愛称とともに一世を風靡した。

この漫画では「亀有公園前派出所」という名の、実在しない派出所を主要な舞台としているが、右に画像で示した警視庁亀有警察署亀有駅北口交番[21](所在地:東京都葛飾区亀有5-34-1)は、モデルとなった派出所(交番)である[22]

漫画が連載されていた、昭和後期および平成の派出所(交番)として、至って平凡で典型的な形態を持っており、日本独特の「白チャリ[23]」こと警邏用自転車(ママチャリ〈婦人用シティサイクル〉型)や、指名手配犯の情報を告知する掲示板交通事故件数等を告知する照明看板様の掲示板、パトロール中であることを示すバナーなど、右の画像にはそれらが全て写り込んでいる。

なお、笹本稜平推理小説シリーズ『駐在刑事』(2006年〈平成18年〉初出)は、駐在所を舞台としていて、交番ではない。

参考文献

辞事典
書籍、ムック
インターネット資料

脚注

注釈

  1. ^ 韓国では交番に相当するものとして、派出所とともに「地区隊」(지구대)がある。地区隊は派出所よりやや規模が大きい。
字引
  1. ^ 田村 正博”. KAKEN. 文部科学省日本学術振興会. 2021年3月15日閲覧。
  2. ^ 田村 正博 < 法学部 教員一覧”. 京都産業大学. 2021年3月15日閲覧。

出典

  1. ^ 時事新報 [出典無効]
  2. ^ 「相談Welcome」祇園に外国語交番 「おもてなし通訳人」も242人 京都府警など観光客対応に本腰」『産経WEST』株式会社産業経済新聞社、2016年11月27日。2021年3月15日閲覧。
  3. ^ 警視庁、新宿と渋谷の交番に英語や中国を話せる警察官を配置日経BP[リンク切れ][出典無効]
  4. ^ 「生ま変る「戸口警察」 調査票に任意書込んで提出」『日本経済新聞日本経済新聞社、1951年8月3日(3面)。2021年3月15日閲覧。
  5. ^ 長野県警察本部 警務部 広報相談課 (2019年5月20日更新). “パトカー今昔物語”. 長野県警察. 長野県警察本部. 2020年7月26日閲覧。
  6. ^ 富山県警察移動交番車 [@toyama_idokoban] (2022年1月5日). "【初詣警備】・日枝神社:31日21:30~約4時間". X(旧Twitter)より2022年1月31日閲覧
  7. ^ 移動交番:言葉の壁越えおもてなし 外国人向け、伏見署が府内初 / 京都」『毎日新聞毎日新聞社、2016年9月28日。2018年8月4日閲覧。
  8. ^ 千葉県健康福祉部健康福祉政策課 (2012年2月7日). “平成24年度当初予算案について:別冊 安全・安心のまちづくり” (PDF). 千葉県. p. 1. 2018年8月4日閲覧。
  9. ^ 東日本大震災に伴う警察措置” (PDF). 警察庁. p. 17 (2016年3月). 2018年8月4日閲覧。
  10. ^ 富山県警察移動交番車 [@toyama_idokoban] (2021年6月15日). "【本部移動交番専用車両の運用開始】富山県警察移動交番車の公式アカウント開設です。安全・安心に向け移動交番車関係の情報を発信します。この度、ワンボックスタイプの車両にイラストを施した専用車両が完成し、6月2日(水)から移動交番として運用を開始しました。". X(旧Twitter)より2022年1月31日閲覧
  11. ^ a b 移動交番車でトラブル対応 五輪本番に備え代々木公園で試行”. 東京新聞 (2019年7月24日). 2021年8月29日閲覧。
  12. ^ 日テレNEWS24 (2019年7月23日). “東京五輪へ トレーラーハウス型移動交番”. 日本テレビ放送網. 2021年8月29日閲覧。
  13. ^ 広報けいしちょう 夏号 第96号”. 警視庁 (2021年7月11日). 2021年8月29日閲覧。
  14. ^ 海外からのオファー急増中の動かせる家 「スマートモデューロ」が期間限定の臨時交番となって登場!”. @Press (2017年10月24日). 2021年9月26日閲覧。
  15. ^ 増える「走る交番」移動交番車 いま注目集まるワケ キャンピングカー型警察車両も存在”. mimamoru (2019年11月28日). 2021年11月9日閲覧。
  16. ^ Wen, Melissa (2016年6月13日). “LAPD Opens Japan-Inspired Police Box at The Grove” (English). NBC Los Angeles (NBC). https://www.nbclosangeles.com/news/local/koban-unveiling-lapd-police-box-at-the-grove/2007642/ 2021年3月15日閲覧。 
  17. ^ 日本直輸入、「交番」で犯罪減少 ブラジル全土に普及へ、産経デジタル、iza(イザ!)。[リンク切れ]
  18. ^ 「警官を刺し短銃を奪う 岡山県 19歳少年を逮捕」『朝日新聞朝日新聞社、1969年9月18日朝刊・第12版・15面。2021年3月15日閲覧。
  19. ^ 「大阪・京都で派出所襲撃 火炎ビンで次々5か所 赤軍派学生がゲリラ戦」『朝日新聞』朝日新聞社、1969年9月23日朝刊・第12版・1面。2021年3月15日閲覧。
  20. ^ 富山の駐在所で警察官襲撃 大学生を殺人未遂容疑で逮捕」『朝日新聞デジタル』朝日新聞社、2019年1月24日。2020年10月4日閲覧。
  21. ^ P.K.サンジュン「【そうだったのか】おまわりさんから聞いた「交番の自転車」が電動にならない理由」『RocketNews24』2018年8月24日。2021年3月15日閲覧。■記事内容は異なるが、画像あり。
  22. ^ 亀有警察署 亀有駅北口交番”. 警視庁 (2018年2月28日更新). 2021年3月15日閲覧。
  23. ^ 警察官の自転車「白チャリ」1台いくらで購入?”. ラジオライフ.com. 株式会社三才ブックス. 2021年3月15日閲覧。

関連項目

外部リンク