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「惑星質量天体」の版間の差分

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[[File:Spectra of the Candidate 'Planemos.jpg|thumb|6つの惑星質量天体候補の光学スペクトル]]
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'''惑星質量天体'''(わくせいしつりょうてんたい、Planemo)は、質量が[[太陽系小天体]]より大きく、活性な核を持つ[[褐色矮星]]や[[恒星]]よりも小さい天体の総称である。この大きさの天体は恒星にはなり得ず、宇宙空間を漂っている<ref>[http://www.msnbc.msn.com/id/19588333/?pg=4#Space_10ExtraSolarPlanets_070626 Extra Solar Planets msn.com]</ref><ref>[http://www.space.com/scienceastronomy/060803_planemo_twins.html www.space.com]</ref>。恒星の周りを回る多くの惑星質量天体は[[惑星]]であるが、この言葉はこの大きさの範囲に含まれる全ての天体を含む。Planemoという言葉は、'''''plane'''tary '''m'''ass '''o'''bject''を縮めたものである。この言葉はまだ科学的な文脈で普通に使われるには至っていない。2007年10月時点で、[http://arxiv.org/archive/astro-ph astro-ph archive]中の4つの論文に表れているのみである。
'''惑星質量天体'''(わくせいしつりょうてんたい、{{Lang-en-short|planetary-mass object}}{{R|astro-dic}})は、質量が[[太陽系小天体]]より大きく、活性な核を持つ[[褐色矮星]]や[[恒星]]よりも小さい天体の総称である。この大きさの天体は恒星にはなり得ず、宇宙空間を漂っている<ref>[http://www.msnbc.msn.com/id/19588333/?pg=4#Space_10ExtraSolarPlanets_070626 Extra Solar Planets msn.com]</ref><ref>[http://www.space.com/scienceastronomy/060803_planemo_twins.html www.space.com]</ref>。恒星の周りを回る多くの惑星質量天体は[[惑星]]であるが、この言葉はこの大きさの範囲に含まれる全ての天体を含む。
<!-- ==言葉の起源==

==言葉の起源==
"Planemo"という記述は、天体の術語体系を明確にするため、[[カリフォルニア大学バークレー校]]の天文学教授Gibor Basriによって[[国際天文学連合]]に提案された<ref name="BrittPlanemosMSNBC">{{cite web |url= http://www.msnbc.msn.com/id/13149429/ |title= Mini-solar systems spark scientific debate |author= Robert Roy Britt |work= MSNBC |date= 6 June 2006 |quote= The scientists involved in the new research are calling the objects "planemos," short for planetary-mass objects that were born in the manner of stars and do not orbit normal stars. |accessdate= 2010-01-07}} (Image by space artist Jon Lomberg.)</ref>。この頃、天文学界は[[惑星の定義]]を巡って議論が続いていた。Basriの定義では、Planemoは、軌道を公転しているか否かに関係なく、「生涯に渡って[[核融合]]反応を起こさない(重力により球形を保っている)天体」となる<ref>公転すべき恒星を持たず、ただ宇宙空間を漂っている惑星([[自由浮遊惑星]])を恣意的に惑星質量天体と呼称する場合がある。</ref>。これは故意に、Basriによる惑星の定義(「恒星の周りを公転する惑星質量天体」)と対比させたもので、議論を収束させることを意図したものである。
"Planemo"という記述は、天体の術語体系を明確にするため、[[カリフォルニア大学バークレー校]]の天文学教授Gibor Basriによって[[国際天文学連合]]に提案された<ref name="BrittPlanemosMSNBC">{{cite web |url= http://www.msnbc.msn.com/id/13149429/ |title= Mini-solar systems spark scientific debate |author= Robert Roy Britt |work= MSNBC |date= 6 June 2006 |quote= The scientists involved in the new research are calling the objects "planemos," short for planetary-mass objects that were born in the manner of stars and do not orbit normal stars. |accessdate= 2010-01-07}} (Image by space artist Jon Lomberg.)</ref>。この頃、天文学界は[[惑星の定義]]を巡って議論が続いていた。Basriの定義では、Planemoは、軌道を公転しているか否かに関係なく、「生涯に渡って[[核融合]]反応を起こさない(重力により球形を保っている)天体」となる<ref>公転すべき恒星を持たず、ただ宇宙空間を漂っている惑星([[自由浮遊惑星]])を恣意的に惑星質量天体と呼称する場合がある。</ref>。これは故意に、Basriによる惑星の定義(「恒星の周りを公転する惑星質量天体」)と対比させたもので、議論を収束させることを意図したものである。


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このリストは、[[太陽]]からの平均距離の順に並べられており、惑星と[[準惑星]]は太字で示されている。番号が付いたものはBasriの定義による惑星に数えられるものである。しかし、太陽系外縁部にはこれからこの定義を満たす天体がさらに見つかる可能性もある。
このリストは、[[太陽]]からの平均距離の順に並べられており、惑星と[[準惑星]]は太字で示されている。番号が付いたものはBasriの定義による惑星に数えられるものである。しかし、太陽系外縁部にはこれからこの定義を満たす天体がさらに見つかる可能性もある。


「球形」とは相対的な形で、このリストはこの閾値によっても変わる可能性がある。例えば、ハウメアは球形というよりもかなり扁平な形をしている。Basriは、「球形」というには、「非対称性によって生じる力を自身の重力で克服できるだけの十分な質量を持つこと」が必要であり、学術的には「等ポテンシャル面に従う」と述べている。国際天文学連合の定義では、「自身の重力が剛体の力に打ち勝ち、静力学的平衡と見なせる形」と定義している。
「球形」とは相対的な形で、このリストはこの閾値によっても変わる可能性がある。例えば、ハウメアは球形というよりもかなり扁平な形をしている。Basriは、「球形」というには、「非対称性によって生じる力を自身の重力で克服できるだけの十分な質量を持つこと」が必要であり、学術的には「等ポテンシャル面に従う」と述べている。国際天文学連合の定義では、「自身の重力が剛体の力に打ち勝ち、静力学的平衡と見なせる形」と定義している。-->
== 近年の発見 ==

==近年の発見==
[[スピッツァー宇宙望遠鏡]]によって、[[Cha 110913-773444]]が発見された。この天体は木星の約8倍の大きさで、約50 - 100万歳と推定されている。塵の円盤に取り囲まれており、地球から約500光年の距離にある。
[[スピッツァー宇宙望遠鏡]]によって、[[Cha 110913-773444]]が発見された。この天体は木星の約8倍の大きさで、約50 - 100万歳と推定されている。塵の円盤に取り囲まれており、地球から約500光年の距離にある。


太陽系外の最初の惑星質量天体は、[[パルサー]][[PSR 1257+12]]の周りを公転するもので、1992年に[[アレクサンデル・ヴォルシュチャン]]らによって発見された<ref>[http://www.astro.psu.edu/users/alex/pulsar_planets.htm Pulsar Planets<!-- Bot generated title -->] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20051230112904/http://www.astro.psu.edu/users/alex/pulsar_planets.htm |date=2005年12月30日 }}</ref>。それまで惑星は[[主系列星]]にしか存在しないと考えられていたため、多くの天文学者が驚く発見だった。
太陽系外の最初の惑星質量天体は、[[パルサー]][[PSR 1257+12]]の周りを公転するもので、1992年に[[アレクサンデル・ヴォルシュチャン]]らによって発見された<ref>[http://www.astro.psu.edu/users/alex/pulsar_planets.htm Pulsar Planets<!-- Bot generated title -->] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20051230112904/http://www.astro.psu.edu/users/alex/pulsar_planets.htm |date=2005年12月30日 }}</ref>。それまで惑星は[[主系列星]]にしか存在しないと考えられていたため、多くの天文学者が驚く発見だった。


===惑星に関係する術語===
== 惑星に関係する術語 ==
*[[二重惑星]]
*[[二重惑星]]
*[[準惑星]]
*[[準惑星]]
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*[[小惑星]]
*[[小惑星]]


==脚注==
== 脚注 ==
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<ref name="astro-dic">{{Cite web | 和書
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}}


==関連項目==
== 関連項目 ==
*[[静水圧平衡にある太陽系天体の一覧]]
*[[静水圧平衡にある太陽系天体の一覧]]


==外部リンク==
== 外部リンク ==
*Gibor Basri, Michael E. Brown, ''Planetesimals to Brown Dwarfs: What is a Planet?'', 2006 [http://www.arxiv.org/abs/astro-ph/0608417 Preprint]
*Gibor Basri, Michael E. Brown, ''Planetesimals to Brown Dwarfs: What is a Planet?'', 2006 [http://www.arxiv.org/abs/astro-ph/0608417 Preprint]
*[http://astron.berkeley.edu/%7Ebasri/defineplanet/Mercury.htm Defining "Planet" by Gibor Basri]
*[http://astron.berkeley.edu/%7Ebasri/defineplanet/Mercury.htm Defining "Planet" by Gibor Basri]

2023年10月15日 (日) 13:32時点における最新版

6つの惑星質量天体候補の光学スペクトル

惑星質量天体(わくせいしつりょうてんたい、: planetary-mass object[1])は、質量が太陽系小天体より大きく、活性な核を持つ褐色矮星恒星よりも小さい天体の総称である。この大きさの天体は恒星にはなり得ず、宇宙空間を漂っている[2][3]。恒星の周りを回る多くの惑星質量天体は惑星であるが、この言葉はこの大きさの範囲に含まれる全ての天体を含む。

近年の発見

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スピッツァー宇宙望遠鏡によって、Cha 110913-773444が発見された。この天体は木星の約8倍の大きさで、約50 - 100万歳と推定されている。塵の円盤に取り囲まれており、地球から約500光年の距離にある。

太陽系外の最初の惑星質量天体は、パルサーPSR 1257+12の周りを公転するもので、1992年にアレクサンデル・ヴォルシュチャンらによって発見された[4]。それまで惑星は主系列星にしか存在しないと考えられていたため、多くの天文学者が驚く発見だった。

惑星に関係する術語

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脚注

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  1. ^ 惑星質量天体”. 天文学辞典 (2022年1月11日). 2023年10月15日閲覧。
  2. ^ Extra Solar Planets msn.com
  3. ^ www.space.com
  4. ^ Pulsar Planets Archived 2005年12月30日, at the Wayback Machine.

関連項目

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外部リンク

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