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「ロンド イ短調 (モーツァルト)」の版間の差分

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== 概要 ==
== 概要 ==
[[File:Mozart's piano.JPG|thumb|モーツァルトが[[1787年]]に[[ザルツブルク]]で所有していた[[フォルテピアノ]](製作:[[アントン・ワルター|アントン・ヴァルター]])]]
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モーツァルト自身による作品目録では、このロンドは[[1787年]][[3月11日]]に完成したと記されている。モーツァルトはこの年の[[1月8日]]に、前年に作曲した自身の[[オペラ]]『[[フィガロの結婚]]』(K. 492)が大評判となっている[[プラハ]]を訪れ、このオペラの指揮や『[[交響曲第38番 (モーツァルト)|交響曲第38番 ニ長調《プラハ》]]』(K. 504)の初演を行っており、プラハから戻って間もなく完成したのがこのロンドである<ref name="zen-on">『全音ピアノライブラリー モーツァルト:ピアノアルバム』[[全音楽譜出版社]]、[[2006年]](解説:竹内ふみ子)p.7</ref>。また、同年[[5月28日]]には父[[レオポルト・モーツァルト|レオポルト]]が亡くなるほか、『[[弦楽五重奏曲第3番 (モーツァルト)|弦楽五重奏曲第3番 ハ長調]]』(K. 515)や『[[弦楽五重奏曲第4番 (モーツァルト)|第4番 ト短調]]』(K. 516)、[[セレナーデ|セレナード]]『[[アイネ・クライネ・ナハトムジーク]]』(K. 525)、オペラ『[[ドン・ジョヴァンニ]]』(K. 527)なども作曲されている。
モーツァルト自身による作品目録では、この[[ロンド]]は[[1787年]][[3月11日]]に完成したと記されている。モーツァルトはこの年の[[1月8日]]に、前年に作曲した自身の[[オペラ]]『[[フィガロの結婚]]』(K. 492)が大評判となっている[[プラハ]]を訪れ、このオペラの指揮や『[[交響曲第38番 (モーツァルト)|交響曲第38番 ニ長調《プラハ》]]』(K. 504)の初演を行っており、プラハから戻って間もなく完成したのがこのロンドである<ref name="zen-on">『全音ピアノライブラリー モーツァルト:ピアノアルバム』[[全音楽譜出版社]]、[[2006年]](解説:竹内ふみ子)p.7</ref>。また、同年[[5月28日]]には父[[レオポルト・モーツァルト|レオポルト]]が亡くなるほか、『[[弦楽五重奏曲第3番 (モーツァルト)|弦楽五重奏曲第3番 ハ長調]]』(K. 515)や『[[弦楽五重奏曲第4番 (モーツァルト)|第4番 ト短調]]』(K. 516)、[[セレナーデ|セレナード]]『[[アイネ・クライネ・ナハトムジーク]]』(K. 525)、オペラ『[[ドン・ジョヴァンニ]]』(K. 527)なども作曲されている。


モーツァルトが公の場でこのロンドを初演したという記録は残っていないため定かではないが、楽譜は同年に[[ウィーン]]の[[フランツ・アントン・ホフマイスター|ホフマイスター]]から出版されている。また、自筆譜は現在、[[スイス]]の個人所有となっている。
モーツァルトが公の場でこのロンドを初演したという記録は残っていないため定かではないが、楽譜は同年に[[ウィーン]]の[[フランツ・アントン・ホフマイスター|ホフマイスター]]から出版されている。また、自筆譜は現在、[[スイス]]の個人所有となっている。

2024年2月21日 (水) 06:11時点における最新版

ロンド イ短調 K. 511 は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト1787年に作曲したピアノ曲旧モーツァルト全集では通し番号の第3番が充てられたため、『ロンド第3番』と表記される場合もある。

概要

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モーツァルトが1787年ザルツブルクで所有していたフォルテピアノ(製作:アントン・ヴァルター

モーツァルト自身による作品目録では、このロンド1787年3月11日に完成したと記されている。モーツァルトはこの年の1月8日に、前年に作曲した自身のオペラフィガロの結婚』(K. 492)が大評判となっているプラハを訪れ、このオペラの指揮や『交響曲第38番 ニ長調《プラハ》』(K. 504)の初演を行っており、プラハから戻って間もなく完成したのがこのロンドである[1]。また、同年5月28日には父レオポルトが亡くなるほか、『弦楽五重奏曲第3番 ハ長調』(K. 515)や『第4番 ト短調』(K. 516)、セレナードアイネ・クライネ・ナハトムジーク』(K. 525)、オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(K. 527)なども作曲されている。

モーツァルトが公の場でこのロンドを初演したという記録は残っていないため定かではないが、楽譜は同年にウィーンホフマイスターから出版されている。また、自筆譜は現在、スイスの個人所有となっている。

曲の構成

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イ短調アンダンテ、8分の6拍子ロンド形式。演奏時間は約10分。

全体は「A-B-A-C-A」の典型的なロンド形式によるが、シチリアーナ風のリズムと休符を挟みながら半音階的に上昇していく主題Aは、既にこの作品の多感な情調を予感させるものとなっている。主題Bはヘ長調で、半音階的変化を聴かせながら走り回る16分音符が支配する。主題Cは主題Aをイ長調で出した後に3連符の走句が続く[1]


\version "2.14.8"
\header {
  tagline = ##f
}

upper= \relative c' {
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  \tempo "Andante"
  \tempo 4 = 54
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           s16
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  \key c \major
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   <<  { r8 \stemUp <c e>  <c e> r <c e>  <c e> r  <d f>  <d f> r <e g>  <e g> r  <f a>  <b, a'> r <c a'>  <c e> } \\ {\stemDown a4.\p a a a a a}>> 
   \clef bass <<  { r8 \stemUp b (d)   c (b) r }  \\ {\stemDown d,4. e4 s8} >>
   \clef treble
   <<  { r8 \stemUp <c' e>  <c e> r <cis e>  <cis e> r  <d f>  <d f> r <e g>  <e g> r  <f a>  <b, gis'> <a c a'>  } \\ {\stemDown a4. a a a a } >> r8 r
} 
\score {
       \new PianoStaff \with { instrumentName = #"K. 511" }
       <<
         \new Staff = "upper" \upper
         \new Staff = "lower" \lower
       >>
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\midi { } }

脚注

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  1. ^ a b 『全音ピアノライブラリー モーツァルト:ピアノアルバム』全音楽譜出版社2006年(解説:竹内ふみ子)p.7

外部リンク

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