ドイツの鉄道
ドイツの鉄道 | |||
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ザンクト・イングベルト駅に停車中のICE 3 | |||
運営 | |||
国営鉄道 |
ドイツ鉄道 (Deutsche Bahn) | ||
統計 | |||
乗客数 | 20.1億 (2015、ドイツ鉄道のみ)[1] | ||
旅客輸送量 (人キロ) | 793億 (2015、ドイツ鉄道のみ)[1] | ||
貨物輸送量 (トンキロ) | 750億 (2015、ドイツ鉄道のみ)[1] | ||
距離 | |||
総延長 | 41,315キロメートル (25,672 mi) [2] | ||
複線距離 | 18,201キロメートル (11,310 mi) | ||
電化距離 | 19,857キロメートル (12,339 mi) | ||
軌間 | |||
主な軌間 | 1,435 mm (4 ft 8+1⁄2 in) | ||
電化方式 | |||
主電化方式 | 15 kV 16.7 Hz | ||
設備 | |||
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ドイツの鉄道では、ドイツ連邦共和国における鉄道について述べる。
2015年現在、ドイツには33,331kmの鉄道があり、このうち19,983kmが電化区間、18,201kmが複線区間となっている[1]。ドイツは国際鉄道連合(UIC)の加盟国であり、UIC番号は80、コードはDである。
ボストン・コンサルティング・グループによる欧州鉄道性能指数2017年版において、ドイツは4位に位置付けられており、旅客・貨物双方の利用率が特に高く評価されたほか、サービス品質と安全性においても高い評価を得た。また、公共投資の効果についても比較的高い数値を獲得し、費用対効果はヨーロッパ全体平均を上回っている[3]。
概要
100%国有の株式会社であるドイツ鉄道(Deutsche Bahn)が最大の鉄道会社であるが、近年、民間鉄道会社の参入も進んでいる。民間鉄道会社は、主に州の補助を受けて地域輸送を行っているものが多いが、長距離列車に参入している会社もある。2016年現在、ドイツには452の鉄道事業者が存在し、うち約20事業者が長距離列車を運行している[4]。
旅客輸送 | 貨物輸送 | 合計 | ||
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長距離 | 近距離 | |||
電車・気動車 | 538 | 15,224 | 0 | 15,762 |
機関車 | 2,650 | 1,950 | 3,134 | 7,734 |
合計 | 3,188 | 17,174 | 3,134 | 23,496 |
2006年には、ドイツには約23,500両の動力車が存在しており[5]、延べ旅客輸送人員は長距離で約1億2千万人(1人当たり平均288km)、近距離で約21億人(1人当たり平均21km)であり、延べ貨物輸送量は3億5千万トン(平均309km)であった[6]。
長距離列車(ドイツ鉄道)
- ICE(Intercity Express・インターシティエクスプレス)- 高速列車 主に国内を走るが、一部列車は国境をまたぎ、オランダ、ベルギー、スイス、オーストリア、フランス、デンマークにも足を延ばす。
- EC(EuroCity・ユーロシティ)- 国際長距離列車(特急相当)
- IC(Intercity・インターシティ)- 国内長距離列車(特急相当)
- EN(EuroNight・ユーロナイト)- 国際夜行列車
近年では、ドイツ鉄道はICEの割合を高め、ICを以前のIR(InterRegio・インターレギオ)の水準に下げるという施策を進めている。
その他の長距離列車
- Thalys(タリス)- フランス・ベルギー・オランダ・ドイツの4か国を結ぶ高速列車。車両は仏TGVベースのものを使用。
中距離・短距離列車
中距離・短距離列車は州による補助金を受けて運行される。民間鉄道会社や、ドイツ鉄道の地域輸送部門であるDBレギオグループが実際の運行を行う。
- RE(Regional-Express・レギオナルエクスプレス)・IRE(Interregio-Express・インターレギオエクスプレス)- 中距離準速達列車
- RB(Regionalbahn・レギオナルバーン)- 普通列車
都市鉄道
- S-Bahn(Sバーン)- 都市近郊列車
- U-Bahn(Uバーン)- 地下鉄
- 路面電車・Stadtbahn(シュタットバーン)- 地上を走行するものも多いが、一部の大都市では地下鉄として都心を走るものもある。
歴史
鉄道の最初期の形のひとつ、鉱山用トロッコは、16世紀のドイツにおいて改良された。図はゲオルク・アグリコラが1556年に出版した「デ・レ・メタリカ(金属について) 第12巻(原題:De re metallica Libri XII)」に収録されているスケッチである。 このトロッコは、「フント」(ドイツ語で犬の意・走行音からこう呼ばれた)カートといって、フランジなしの車輪が2枚の板の上を走り、板の間に差し込むガイドピンによって向きを変えるという方式であった[7]。この後このシステムはヨーロッパ中に広まった。
ドイツにおける近代的な鉄道はルートヴィヒ鉄道(現在廃止)が始まりである。この路線はニュルンベルク・フュルト間6.04kmを蒸気機関車の牽引によって結んだもので、1835年12月7日に開業した。1839年4月7日には初の長距離路線であるライプツィヒ・ドレスデン鉄道(現・ライプツィヒ–ドレスデン線)が開業し、これを皮切りにドイツの鉄道網は急速に拡大した。1845年にはドイツの鉄道路線長は2000kmを超えており、さらに10年後の1855年には8000km以上にも達した。
1871年のドイツ統一は鉄道会社の統合及び国有化とさらなる発展を促した[8]。フランスと異なり産業発展を大きな目的としていたため、ルールなどの工業地帯に路線が張り巡らされ、主要港であるハンブルクやブレーメンへのアクセスを確保した。1880年には、ドイツには9400機の機関車が存在し、輸送量は旅客が43,000人、貨物が30,000トンに達していた[9]。
第2次世界大戦中には、製造時間と輸入原料の使用を抑えるため、いわゆる戦時設計の機関車が製造されれた。代表例としては52形蒸気機関車が挙げられる。
また、アウトバーンの建設が始まってはいたものの、道路網は決して十分とは言えず、このことから輸送手段としては鉄道(そして水運)に依存していた[10]。
1989年にはベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツを結ぶ路線の復活や運行頻度の増大が行われた。1990年10月3日にはドイツ再統一が行われたが、鉄道に関して言えば「鉄道再編」を同時に行うため、東西統一はしばらく待たなければならなかった。1994年1月1日、旧西ドイツのドイツ連邦鉄道と旧東ドイツのドイツ国営鉄道が統合され、現行のドイツ鉄道株式会社が誕生した[11]。
ドイツにおいて、鉄道は50km以上の区間では都市間バスとの競争から守られていたが、2013年に規制が撤廃されてしまい[12]、バスへの乗客の流出が顕著である[13]。これに加え、1996年以降ドイツ鉄道は鉄道における独占権を失っており[14]、2016年時点でのドイツ鉄道の地域鉄道交通でのシェアは67%に、内陸貨物輸送でのシェアは68.6%に低下している。
軌間
軌間 | Notes | ||
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名称 | メートル法(mm) | ヤード・ポンド法 | |
1,800 | 5 ft 10+7⁄8 in | オーバーワイスバッハ登山鉄道(ケーブルカー区間のみ)[15] | |
アイリッシュ・ゲージ | 1,600 | 5 ft 3 in | バーデン大公国邦有鉄道(1855年標準軌に改軌)[16] |
ロシアン・ゲージ | 1,520 | 4 ft 11+5⁄6 in | ザスニッツ・ムクラン港構内(メクレンブルク=フォアポンメルン州ザスニッツ)のみ |
1,458 | 4 ft 9+2⁄5 in | ライプツィヒ市電 | |
1,450 | 4 ft 9+1⁄5 in | ドレスデン市電 | |
標準軌 | 1,435 | 4 ft 8+1⁄2 in | 国内標準
ドイツ鉄道など |
メーターゲージ | 1,000 | 3 ft 3+3⁄8 in | ハルツ狭軌鉄道
路面電車 |
900 | 2 ft 11+7⁄16 in | モリー鉄道 | |
750 | 2 ft 5+1⁄2 in | レースニッツグルント鉄道 |
国際列車
隣接国は9ヶ国あり、すべての国との間で直通列車が走っている。軌間は全て標準軌で共通だが、電化方式や信号システムなどに違いがあることがある。以下は電化方式のみをまとめたもの。リンクは各国の鉄道記事。なお、ドイツの主電化方式は交流15kV 16.7Hz。
- デンマーク - 交流25kV
- ポーランド - 直流3000V
- チェコ - 直流3000V
- オーストリア - 同一
- スイス - 同一 ただしパンタグラフの種類が異なる
- フランス - 交流25kV(直流1500V区間も存在するが直接つながってはいない)
- ルクセンブルク - 交流25kV
- オランダ - 直流1500V(エメリッヒ(ドイツ側)・ゼーフェナール(オランダ側)では交流25kVで接続 アルンヘム行き列車についてはその後直流1500V区間に)
- ベルギー - 直流3000V
国際旅客列車
短距離列車を除く
- ICE 12:ベルリン - フランクフルト - バーゼル - インターラーケン / チューリッヒ
- ICE 20:キール - フルダ - バーゼル - クール
- IC 30:(ヴェスターランド / フレンスブルク / グライフスヴァルト - )ハンブルク - ケルン - マンハイム - バーゼル - チューリッヒ
- IC 32:ミュンスター / ドルトムント - シュトゥットガルト - ザルツブルク - クラーゲンフルト
- ICE 43:アムステルダム / ドルトムント - ケルン — バーゼル
- IC 60 / RJ 90:(バーゼル - )カールスルーエ - ミュンヘン( - ザルツブルク )
- EC 62:ザールブリュッケン / フランクフルト - シュトゥットガルト - ザルツブルク - クラーゲンフルト / グラーツ
- IC 76:オーフス / コペンハーゲン - ハンブルク
- IC 77:アムステルダム - ベルリン
- ICE 78:アムステルダム - フランクフルト
- ICE 79:ブリュッセル - フランクフルト
- ICE / TGV 82:パリ - ザールブリュッケン / フランクフルト
- ICE / TGV 83:パリ - ミュンヘン
- TGV 84:マルセイユ - フランクフルト
- ECE 85:フランクフルト - バーゼル - ミラノ
- IC 87:シュトゥットガルト - チューリッヒ
- EC 88:ミュンヘン - チューリッヒ
- EC 89:ミュンヘン - ヴェローナ( - ボローニャ / ヴェネツィア )
- ICE 91:(ドルトムント - )フランクフルト - ウィーン
- EC 95:ベルリン - ワルシャワ / グディニア
- ALX:ミュンヘン - プラハ
- (ヴェスターランド / キール - )ハンブルク - ベルリン - プラハ( - ブダペスト)
- フランクフルト - ストラスブール / バーゼル
- (夜行)ベルリン - マルメ
- (夜行)ベルリン - ハンブルク - チューリッヒ
- (夜行)ハンブルク / デュッセルドルフ - ウィーン / インスブルック
- (夜行)ウィーン - ベルリン
- (夜行)ブダペスト - ミュンヘン
- (夜行)ミュンヘン - ヴェネツィア / ミラノ / ローマ
- (夜行)ミュンヘン - ザグレブ / リエカ
- (夜行)ベルリン - モスクワ
補助金
ドイツの短距離交通(鉄道・バス)においては、費用の23.7%が自治体からの補助金によって賄われている[17]。長距離市場では、補助金は一般的に払われていない[18]。
脚注
- ^ a b c d “Railway Statistics 2015 synopsis”. 国際鉄道連合. 2020年1月12日閲覧。
- ^ The World Factbook: Country Comparison :: Railways
- ^ “The 2017 European Railway Performance Index” (英語). https://www.bcg.com. 2020年1月11日閲覧。
- ^ Barrow, Keith (2017年9月1日). “German Monopoly Commission challenges DB dominance”. International Railway Journal: Rolling Stock (Simmons-Boardman Publishing Inc.) 2018年8月2日閲覧。
- ^ Federal Statistical Office of Germany, Fachserie 8, Reihe 2.1: Verkehr, Eisenbahnverkehr/Betriebsdaten des Schienenverkehrs 2006
- ^ Federal Statistical Office of Germany, Fachserie 8, Reihe 2: Verkehr, Eisenbahnverkehr 2006
- ^ Lee, Charles E. (1943). The Evolution of Railways (2 ed.). London: Railway Gazette. p. 16. OCLC 1591369
- ^ by Colleen A. Dunlavy, Politics and Industrialization: Early Railroads in the United States and Prussia (1994).
- ^ Allan Mitchell, Great Train Race: Railways and the Franco-German Rivalry, 1815-1914 (2000)
- ^ Alfred C. Mierzejewski, The most valuable asset of the Reich. A history of the German National Railway: Vol 1: 1920-1932 (1999); Vol 2: 1933-1945 (2000)
- ^ Lutz, Friedrich; Lange, Bernd; Müller, Matthias (2003). “DB launches new locomotive strategy”. International Railway Journal 43 (11): 42 .(要購読契約)
- ^ “Career, education and lifestyle in Germany” (英語). deutschland.de (2018年1月25日). 2020年1月11日閲覧。
- ^ D'Inca, Joris. “European Bus Upstarts Snatch 20% of Passengers from Rail” (英語). Forbes. 2020年1月11日閲覧。
- ^ Berlich, Carolin; Daut, Felix; Freund, Anna C.; Kampmann, Andrea; Killing, Benedict; Sommer, Friedrich; Wöhrmann,Arnt (2017). “Deutsche Bahn AG: a former monopoly off track?”. The CASE Journal 13: 25–58. doi:10.1108/TCJ-07-2014-0051.
- ^ Rieger, Bernhard (2006年4月23日). “Breitspurbahn”. 2007年11月29日閲覧。
- ^ Rieger, Bernhard (2006年4月23日). “Breitspurbahn”. 2007年11月29日閲覧。
- ^ “VDV-Statistik & VDV-Jahresbericht - VDV - Die Verkehrsunternehmen” (ドイツ語). www.vdv.de. 2020年1月11日閲覧。
- ^ “Market Analysis: German Railways 2014”. 2015年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月29日閲覧。