コンテンツにスキップ

日本の健康

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Renamed user dd181aabead3dd720fd94bacf4ea0cfe0c6e6f7b6c8c3a7ba0d7dcdd0227d2f4 (会話 | 投稿記録) による 2024年5月30日 (木) 03:45個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (情報更新)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

WHOによる、各国の平均寿命(橙色)と健康寿命(緑色)

日本の健康(にほんのけんこう、Health in Japan)は良好とされ、平均寿命は世界で最上位に位置づけられる。平均寿命と健康寿命の差は9.6歳であった(国の健康寿命順と延命期間順リスト)。

平均余命

日本における平均余命の推移は以下の通り。

平均余命

都道府県別の健康

令和2年度の生命表調査によれば、日本人の平均寿命は男性が81.49歳、女性が87.60歳であった。平均寿命がもっとも長いのは男性が滋賀県、女性が岡山県、最も短いのは男女とも青森県であった[1]

滋賀県が長寿県である理由

滋賀県が長寿県であると考えられる理由は、以下の通り[2]

  • 喫煙者、多量飲酒者が少ない
  • 琵琶湖などの自然に恵まれ、能動的な運動習慣を持つ住民が多い
  • 失業者、高齢単身者が少なく、生活環境に恵まれている
  • 喫煙率を減らす取組など、他都道府県よりも健康習慣の啓発活動に積極的な傾向

青森県の寿命が短い理由

青森県の寿命が短いと考えられる理由は、以下の通り[3]

  • 塩分の摂りすぎ
  • 喫煙者が多い
  • 運動量が少ない
  • 平均歩数が少ない
  • 所得が低い
  • 医師が充足していない
  • 高血圧・糖尿病患者が多い
  • 肥満率が高い
  • 健康診断受診率が低い
  • 野菜摂取量が少ない
都道府県別の平均余命

栄養状態

摂取カロリー2015年の報告では平均2,094kcal[4]

体重

2019年度の体重に関する報告は、以下の通り[5]

肥満者(BMI25以上)の割合
男性 33.0%
女性 22.3%
  • 男性は2013年から2019年の間に有意に増加している。
低体重者(BMI18.5未満)の割合
男性 3.9%
女性 11.5%
  • 20歳代女性の低体重者は20.7%。
  • 65歳以上の高齢者の低栄養傾向の者(BMI20以下)の割合は、男性12.4%、女性20.7%であり、男女とも85歳以上でその割合が高い。

糖尿病

糖尿病の罹患率は5.0%で、先進国で下位クラスである[6]

OECD 加盟国のうち、BMI 指数が 30 以上の割合。
20歳以上の身長・体重[7]
性別 体重 ボディマス指数
平均 (cm) 標準偏差 平均 (kg) 標準偏差 平均
男性 167.2 7.1 65.8 11.1 23.49
女性(妊婦除外) 153.9 6.8 53.2 9.3 22.45
世界における肥満の割合(男性:左、女性:右)[8]   <5%   5–10%   10–15%   15–20%   20–25%   25–30%   30–35%   35–40%   40–45%   45–50%   50–55%   >55% 世界における肥満の割合(男性:左、女性:右)[8]   <5%   5–10%   10–15%   15–20%   20–25%   25–30%   30–35%   35–40%   40–45%   45–50%   50–55%   >55%
世界における肥満の割合(男性:左、女性:右)[8]

喫煙率

喫煙率(1か月以内に吸ったことがある)は、2019年(令和元年)度、男性で27.1%、女性で7.6%[5]。喫煙率は2021年OECD加盟国内において平均より高く、男性の喫煙率は7番目に高い。過去10年の喫煙率の減少はOECD平均よりも小さい[9]

2015年の推計による、たばこに関連疾患の経済損失と超過医療費は、以下の通り[10]

  • 能動喫煙(喫煙者本人)- 1兆2000億円
  • 受動喫煙(喫煙者の周囲をとりまく者)- 3,300億円
  • 総額 - 1兆5300億円
  • 総コスト(介護費用やタバコに起因する火災など) - 年間1兆8000億円

日本の死因

2022年(令和4年)の死因順位は、以下の通り[11]

悪性新生物(腫瘍)の割合は年々上昇しており、2022年の全死亡者に占める割合は24.6%、1981年以降一貫して首位となっている。 心疾患(高血圧性を除く)は、1985年より脳血管疾患と逆転して2位となっている。 老衰は、ピークの1947年から低下し続けていたが、2001年以降は上昇の傾向が見られ、2018年には脳血管疾患と入れ替わり3位となっている。脳血管疾患は、1970年をピークに低下傾向が続く。また2022年の肺炎による死亡数は7万4002人、新型コロナウイルス感染症による死者数は4万7635人となっている。

また自殺率の高さが問題となっており、WHOは2011年に日本の自殺率を世界10位(21.7%)と報告した(国の自殺率順リスト[12]2020年以降のコロナ禍では、パンデミック時代に10~30代の若年女性間において顕著に自殺者数が増加している。一般的に女性は自殺未遂が多く、男性は自殺既遂が女性の倍である傾向にあるが、女性は人とのコミュニケーションを重んじる習性にあり、コロナ禍のステイホーム等より他者との接触が減少した傾向や、他にも家庭内暴力虐待に晒されやすいリスクも指摘される[13]。2022年には男性の自殺者数も13年振りに上回り、男性もまたコロナ禍の影響により失業者、年金生活者など低所得者の自殺が増加している傾向にある。小中高生の自殺も2020年に過去最多を記録、以降同程度を推移しており、深刻な問題となっている。コロナ禍における休校やオンライン授業等によって、人間関係や学業への悩みが深刻化している可能性が示唆されている[14]

性別にみた死因順位別死亡数・死亡率(人口10万対)令和4年度 [11]
順位 全体
1位 悪性新生物 24.6% 悪性新生物 27.9% 悪性新生物 21.1%
2位 心疾患 14.8% 心疾患 14.1% 老衰 16.8%
3位 老衰 11.4% 脳血管疾患 6.7% 心疾患 15.6%
4位 脳血管疾患 6.8% 老衰 6.3% 脳血管疾患 7.0%
5位 肺炎 4.7% 肺炎 5.4% 肺炎 4.0%
6位 誤嚥性肺炎 3.6% 誤嚥性肺炎 4.2% 誤嚥性肺炎 2.9%
7位 不慮の事故 2.8% 不慮の事故 3.1% 不慮の事故 2.4%
8位 腎不全 2.0% 腎不全 2.0% アルツハイマー病 2.1%
9位 アルツハイマー病 1.6% (データ無し) (データ無し) 血管性および詳細不明の認知症 2.0%
10位 血管性および詳細不明の認知症 1.6% (データ無し) (データ無し) 腎不全 1.9%

年代別

年齢別にみた死因順位(平成24)[15]
年齢 一位 二位 三位
0~4歳 先天奇形及び染色体異常 31.3% 周産期に発生した病態 18.7% 循環器系の先天奇形 13.0%
5~9歳 不慮の事故 20.7% 悪性新生物 16.9% 呼吸器系の疾患 12.5%
10~14歳 悪性新生物 21.8% 不慮の事故 18.7% 自殺 14.7%
15~19歳 自殺 37.3% 不慮の事故 24.9% 交通事故 17.9%
20~24歳 自殺 51.7% 不慮の事故 17.3% 交通事故 10.5%
25~29歳 自殺 49.5% 不慮の事故 13.0% 悪性新生物 10.4%
30~34歳 自殺 39.0% 悪性新生物 16.9% 循環器系の疾患 13.2%
35~39歳 自殺 29.3% 悪性新生物 22.6% 循環器系の疾患 18.1%
40~44歳 悪性新生物 28.9% 循環器系の疾患 21.8% 自殺 20.9%
45~49歳 悪性新生物 33.0% 循環器系の疾患 23.3% 自殺 16.0%
50~54歳 悪性新生物 39.4% 循環器系の疾患 22.9% 心疾患(高血圧性除く) 12.4%
55~59歳 悪性新生物 45.6% 循環器系の疾患 22.3% 心疾患(高血圧性除く) 12.4%
60~64歳 悪性新生物 48.7% 循環器系の疾患 21.9% 心疾患(高血圧性除く) 12.4%
65~69歳 悪性新生物 48.1% 循環器系の疾患 22.3% 心疾患(高血圧性除く) 12.6%
70~74歳 悪性新生物 43.7% 循環器系の疾患 23.4% 心疾患(高血圧性除く) 13.0%
75~79歳 悪性新生物 36.9% 循環器系の疾患 26.0% 呼吸器系の疾患 14.8%
80~84歳 悪性新生物 29.0% 循環器系の疾患 28.7% 呼吸器系の疾患 18.7%
85~89歳 循環器系の疾患 31.6% 呼吸器系の疾患 21.4% 悪性新生物 21.0%
90~94歳 循環器系の疾患 33.6% 呼吸器系の疾患 21.9% 心疾患(高血圧性除く) 19.7%
95~99歳 循環器系の疾患 33.1% 呼吸器系の疾患 21.9% 心疾患(高血圧性除く) 20.1%
100歳~ 症状、徴候・異常臨床所見 32.3% 老衰 31.6% 循環器系の疾患 29.0%

日本のがん統計[16]
死亡数 (2017年) 罹患数 (2014年)
男女 男女
1位 大腸 乳房 大腸
2位 大腸 大腸
3位 大腸 膵臓 大腸
4位 肝臓 膵臓 前立腺 乳房
5位 膵臓 乳房 肝臓 肝臓 子宮 前立腺

健診

健康増進

日本におけるアルコール乱用の社会的コストは、ある試算では約6兆6千億円とされている[17][18]

脚注

注釈

出典

  1. ^ 1 都道府県別にみた平均余命” (PDF). 厚生労働省. 2024年2月21日閲覧。
  2. ^ 男性の平均寿命が全国1位! 滋賀県の長寿の秘けつ”. 政府広報オンライン (2018年9月1日). 2024年2月21日閲覧。
  3. ^ 第6回 短命県青森の背景:社会の総合力” (PDF). 中路重之(青森県医師会). 2024年2月21日閲覧。
  4. ^ 国民健康・栄養調査報告 2015, p. 60.
  5. ^ a b 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要” (PDF). 厚生労働省. 2024年5月30日閲覧。
  6. ^ OECD Health at a Glance 2011, OECD, (2011-11), doi:10.1787/health_glance-2011-en, ISBN 9789264126107 
  7. ^ 国民健康・栄養調査報告 2015.
  8. ^ Global Prevalence of Adult Obesity” (PDF). en:International Obesity Taskforce. January 29, 2008閲覧。
  9. ^ 図表でみる医療2023:日本” (PDF). OECD雇用局医療課 (2023年11月7日). 2024年5月30日閲覧。
  10. ^ たばこの超過死亡・超過医療費とは”. 国立保健医療科学院. 2024年5月30日閲覧。
  11. ^ a b 令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況” (PDF). 厚生労働省. 2024年5月30日閲覧。
  12. ^ Unless otherwise stated all statistics are from WHO: Suicide rates per 100,000 by country, year and sex (Table)”. World Health Organization (2011年). 2012年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月26日閲覧。
  13. ^ 新型コロナ禍による10-24歳の自殺増加は女児・女性のみ顕著であることを確認”. 横浜市立大学 (2023年6月22日). 2024年5月30日閲覧。
  14. ^ “全国の自殺者が前年比2・7%増、コロナ禍影響か…男性13年ぶりに増加に転じる”. 読売新聞. (2023年1月20日). https://www.yomiuri.co.jp/national/20230120-OYT1T50053/ 2024年5月30日閲覧。 
  15. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「jinkou」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  16. ^ がん情報サービス「がん登録・統計」 (Report). 国立がん研究センター.
  17. ^ 高野健人,中村桂子.アルコール関連問題の社会的費用.河野裕明,編.我が国のアルコール関連問題の現状.厚健出版.81-89, 1993
  18. ^ Nakamura K; Tanaka A; Takano T. (1993-07). “The social cost of alcohol abuse in Japan.”. J Stud Alcohol 54 (5): 618-25. PMID 8412152. 

参考文献

関連項目

外部リンク