バイオハザード RE:4
ジャンル | サバイバルホラー |
---|---|
対応機種 | |
開発元 | カプコン |
発売元 | カプコン |
プロデューサー | 平林良章 |
ディレクター |
安保康弘 門井一憲 |
デザイナー | 合田秀弘 |
シナリオ | マシュー・コステロ |
音楽 | 鈴木幸太 |
シリーズ | バイオハザードシリーズ |
人数 | シングルプレイヤー |
発売日 |
2023年3月24日 2023年12月20日(Apple版) |
対象年齢 |
CERO:Z(18才以上のみ対象) PEGI:18 ESRB:M(17歳以上) USK:18(18歳未満提供禁止) |
コンテンツアイコン | CERO:暴力 |
エンジン | REエンジン |
売上本数 | 700万本(2024年時点)[1] |
動作環境 | |||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
『バイオハザード RE:4』(バイオハザード アールイーフォー、英語表記:BIOHAZARD RE:4, 英語版タイトル:RESIDENT EVIL 4)は、2023年3月24日[3]にカプコンから発売された『バイオハザード4』(以下『4』)のリメイク作品[4]である。
今作は2020年に発売された前作『バイオハザード RE:3』(以下『RE:3』)から続く「REシリーズ」3作目となる。
製品展開
対応ハードはPlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X/S、Steam(現時点ではMicrosoft Windowsのクライアントソフトを使用することが基本となる)。Xbox Oneには対応しない。PS4版は当初リリースの予定は無かったが、日本では2022年9月15日に対応機種として追加発表された[5]。2017年発売の『バイオハザード7 レジデント イービル』から直近の作品である『バイオハザード ヴィレッジ』まではグロテスク表現を緩和した通常版(D区分)とZ Version(Z区分)の2種類に分けて発売していたが、2つのレーティングの中でプレイヤーへの体験の差を作るべきではないという考えから、本作においてはZ区分のみの発売となった[6]。
2023年4月7日、シリーズ恒例のミニゲーム『THE MERCENARIES』が無料DLCとして配信された。 同年9月21日にはエイダ・ウォンとアルバート・ウェスカーがプレイアブルキャラクターとして無料追加。
2023年9月21日、オリジナル版『4』の『the another order』に相当する、本編をエイダの視点で描いた追加シナリオ『SEPARATE WAYS』が有料DLCとして配信された[7]。『SEPARATE WAYS』とは『the another order』の海外版におけるタイトルである[8]。
2023年12月8日、PlayStation VR2(PS VR2)向け無料DLCとして、ストーリーモード全体をVR化した「VRモード」が配信された。
2024年2月9日、各種DLCとのセット品である『バイオハザード RE:4 ゴールドエディション』が発売された。
ストーリー
1998年、「アンブレラ事件」によってラクーンシティが壊滅した。その後、生還した生存者達の告発によってアンブレラ社はアメリカ政府から業務停止命令を下され、社会的信用を失って倒産した。生存者の一人であるレオン・S・ケネディは、ラクーンシティから生還したそのポテンシャルを見込まれて政府高官からスカウトされ、アメリカ政府のエージェントとなった。
ラクーンシティ壊滅から6年後の2004年。アメリカ政府のエージェントとして活躍していたレオンは、警護を担当するはずであった大統領の娘、アシュリー・グラハムが何者かに拉致された為、その捜索任務に就くことになる。地元警察官に案内され、拉致された場所と思われるスペインの片田舎の村へ潜入。同じ組織に属する女性オペレーターのイングリッド・ハニガンのサポートの下、村はずれの民家で早速聞き込みを試みたレオンは、狂気に満ちた雰囲気の村人に襲撃される。辛くも村人を撃退するも、ゾンビを彷彿とさせる村人の様子に、レオンはラクーンシティでの悪夢を思い出す。その後、村の中央広場でも、大勢の村人の襲撃を受ける。レオンは無線でハニガンのサポートを得ながら、単独で村の捜索を開始。村の奥地の廃屋で、拘束されていた謎の男性ルイス・セラを助けるが、そこに現れた巨漢の村長ビトレス・メンデスによる返り討ちに遭って意識を失い、その場で謎の注射を打たれる。
意識を取り戻したレオンは、ルイスと共に拘束されていた状態から脱出する。レオンは村の捜索を再開し、苦難の末に教会に囚われていたアシュリーを救出。ハニガンから指定されたヘリの降下ポイントに向かうが、大勢の村人に追われ、ルイスと合流し廃屋に立てこもるも、そこで籠城戦を強いられる。何とか廃屋から脱出したレオンとアシュリーは、村人があのようになった原因がプラーガと呼ばれる寄生生物であること、そしてその卵がレオンとアシュリーの体内にも注入されていることをルイスから聞かされる。その後、ルイスと別れたレオン達は村から脱出すべく探索を続け、村の最奥の小屋で待ち構えていたメンデスを倒し、村に隣接する古城に向かう。
古城に着いた直後、ルイスから無線が入り、体内のプラーガの成長を遅らせる遅延薬を渡すから城の中庭に来いと言われる。レオンとアシュリーは中庭に向かうが、「謁見の間」で城主のラモン・サラザールと遭遇。ラモンにアシュリーを渡すよう言われるが、これを拒否し、彼が刺客として差し向けた邪教徒達を倒しながら中庭を目指す。しかし、突如アシュリーの意識が乗っ取られ、レオンはアシュリーと分断されてしまう。その後、レオンは探索の最中に、ラクーンシティで死亡したと思われていた女スパイのエイダ・ウォンと6年ぶりに再会する。エイダと別れた後、なんとかアシュリーと合流してルイスの指示で舞踏場を目指すが、その途中でまたしてもアシュリーと分断され、彼女がラモンの側近に連れ去られてしまう。その後、レオンは舞踏場を経てラモンがいる「領主の間」にたどり着くが、ラモンによって奈落に落とされてしまう。
何とか奈落から這い上がりルイスと合流したレオンは、2本の遅延薬を受け取ってそのうち1本を自身に投与し、ルイスと共に地上に戻るべく、トロッコに乗りながら坑道を進む。しかし、あと一歩で地上に出られるところで、かつてレオンの教官だった軍人のジャック・クラウザーが現れ、ルイスを殺害する。熾烈なナイフ格闘でなんとかクラウザーを退けたレオンは、単身で地上に戻り、エイダからの無線連絡で、ラモンとアシュリーが向かったという時計塔に向かう。時計塔では邪教徒達の幾度もの妨害を受けるが、レオンはこれを退けてなんとか塔の最上部へ到着。しかし、寸でのところでアシュリーはクラウザーによって連れ去られ、怪物に変異したラモンがレオンに立ち塞がる。レオンは苦戦の末にラモンを倒し、エイダと共にモーターボートでクラウザーの船を追う。
クラウザーの船が向かった先は、近代的な工場のような建物が立ち並ぶ孤島だった。レオンが孤島に上陸すると、そこは武装した戦闘員達が厳重に警備している要塞だった。レオンは戦闘員達と戦いながら、リヘナラドールなど新手の生物兵器に苦戦しながらも、警備網と突破して施設内に囚われていたアシュリーを救出。彼女に、ルイスから受け取ったもう一本の遅延薬を投与する。その後、レオンは自分とアシュリーの体内のプラーガを除去するため、山頂にあるという教団の本部を目指す。しかし、その最中に教祖のオズムンド・サドラーと遭遇し、アシュリーを連れ去られてしまう。その後、遺跡でクラウザーとの決戦に挑み、苦戦の末に彼を倒す。
レオンはなおも山頂を目指すが、そこにハニガンが派遣した戦闘ヘリが現れ、マイクと名乗るパイロットの援護で戦闘員達の防衛網を突破していく。しかし、マイクのヘリはサドラーが操るノビスタドールの群れに襲われ墜落してしまう。レオンはサドラーへの怒りを胸に進み、ようやく山頂の教団本部に到着し、サドラーの妨害を受けながらも、エイダのアシストによってアシュリーと共に難を逃れる。プラーガの成長によってレオンの体も既に限界寸前だったが、それでもアシュリーを助けるべく気力を振り絞ってルイスの研究室を目指し、研究室の設備でアシュリーの体内のプラーガを除去する。その後、意識を失ってしまったレオンもアシュリーの助けで体内のプラーガが除去され、2人ともようやくプラーガから解放された。あとは島から脱出するだけだったが、その途中、エイダが拘束され吊るされているのを発見。レオンは単身で助けに向かい、そこでエイダと共にサドラーとの最終決戦に挑む。苦戦の末にサドラーを倒したレオンは、ヘリで脱出するエイダと別れ、アシュリーと共にジェットスキーで爆破寸前の孤島から脱出。無事に生還を果たした二人は、お互いに助けてくれたことへの感謝を伝え合い、母国アメリカへの帰路につく。
ゲームシステム
本作は、オリジナル版のバイオハザード4のシステムを踏襲している部分が多く、そこからさらに改良がなされているが、オリジナル版にあったムービー中のQTEは廃止された。
- アタッシェケース
- オリジナル版と同じく、武器やアイテムをアタッシェケースで管理する。アタッシェケースに入れるのは武器・弾薬・回復アイテム・素材アイテムで、キーアイテムとトレジャーはアタッシェケースとは別枠で管理する。ストーリーを進めると武器商人の店で「ケースサイズアップ」が販売され、それを買うことでサイズを拡張できる。
- 本作ではアタッシェケースは1種類だけではなく、通貨やガンパウダーのドロップ率が上がるなどの特殊効果があるアタッシェケースもあり、予約特典や武器商人とのトレードで入手できる。
- 今作からアタッシュケースではなくアタッシェケースに読み方が統一されている。
- タイプライター
- 本作でも、マップの各所に設置されたタイプライターでセーブを行う。今作では難易度を問わずインクリボンは不要になっており、タイプライターで何度でもセーブ可能になっている。
- また、本作ではタイプライターに以下の機能が備えられている。
- ケースカスタマイズ
- 使用中のアタッシェケースを他のアタッシェケースと切り替えたり、アタッシェケースにチャームを取り付けることができる。
- 装備入れ替え
- 過去作品の「アイテムBOX」に相当する機能で、使用しないアイテムを預けたり、預けていたアイテムを取り出したりできる。ただし、預けられるアイテムは銃器・銃器のパーツ・修理可能なナイフ・救急スプレーのみで、弾薬やハーブなどは預けられない。
- 戦闘
- 戦闘では銃器類の使用はもちろんのこと、シリーズ恒例ともいえるナイフの使用が可能。パリィを行ったり、敵に組みつかれた時の緊急回避ができる。今作のナイフにはいくつかの種類があるがすべて耐久度があり、使用する度に耐久度が減っていき、耐久度がゼロになると壊れて使用不能になる。一部のナイフは耐久度減少・破損後の修理が可能であり、武器商人の店で有償で修理してもらえる(使い捨ての直せないナイフもある)。
- 今作ではボディアーマーにも耐久度があり、敵から攻撃を受けたりすると減っていき、ナイフと同じく武器商人の店で有償で修理してもらえる。
- 銃撃などで敵をのけぞらせた時に体術(メレー)を繰り出したり、敵の背後から近づいてナイフでステルスキルを行うこともできる。
- トレジャー
- オリジナル版と同様、マップ上に様々なお宝が隠されている。オリジナル版を踏襲したお宝も多いほか、宝石を組み合わせることで価値(売値)が上がるものもある。宝石は丸い宝石と四角い宝石が3色ずつあり、トレジャーの窪みに合う形の宝石をはめ込む。窪みが複数ある場合、はめ込む宝石の色の組み合わせによって売値にボーナスがかかる。
- 武器商人
- オリジナル版と同じく、武器商人に話しかけることで武器の売買や改造を行うことができる。その他、今作ではナイフとボディアーマーの修理をしてもらえるほか、スピネルを貴重なアイテムとトレードすることができる。
- また、今作では「青の依頼書」という書面でレオンに様々な依頼を出してくる。依頼の内容は、青いメダリオンの破壊、クリーチャーの強個体の撃破、フィールド内の害獣(ネズミ)駆除、指定されたアイテムの納品(売却)など。依頼を達成すると、報酬として先述のトレードで使えるスピネルを入手できる。なお、「青の依頼書」の文面からはオリジナル版で語られなかった武器商人の人物像を窺い知ることができる。
- 武器商人がいる一部の部屋にはエレベーターがあり、そこではオリジナル版と同じく射的をプレイできる。射的では金と銀のトークンを入手でき、これを射的場にあるガチャガチャで使用すると、様々な効果があるチャームが手に入る。チャームはタイプライターでアタッシュケースに取り付けて使う。
- オリジナル版では武器商人を攻撃するとナイフ一発でも死亡し、以降その場所に武器商人が現れなくなったが、本作では武器商人に銃を向けても自動でエイムが外されるため、攻撃できないようになっている。また、ナイフでの攻撃やロケットランチャーの爆風等も当たらないため、本作では武器商人が死亡することはない。
- アシュリー
- オリジナル版と同じく、アシュリーが同行している状態で彼女が敵に攫われるとゲームオーバーとなる。また、敵の攻撃を受けると行動不能状態になり、その状態で再度攻撃を受けるとアシュリーが死亡してゲームオーバーとなる。行動不能状態は、アシュリーに近づいて話しかけることで解除できる。また、アシュリーにナイフの攻撃は当たらず、銃を向けても自動でエイムを解除されるため、オリジナル版よりもアシュリーを誤射するリスクは減っている(ただし、手榴弾やロケットランチャーの爆風に巻き込まれた場合は行動不能状態になる)。一方、中盤のアシュリー操作パートでは敵の攻撃を受けると即死するため、慎重なプレイが求められる。
- また、オリジナル版では高低差のある場所では毎回アシュリーを下で受け止める必要があったが、本作では基本的に自分でハシゴや段差を降りるため、下でアシュリーを受け止める場面はごく一部に限られる。
- アシュリーが段差を登る際にレオンが近くにいると、レオンがアシュリーの手をとって補助する等の演出が追加されている。
- 無線通信
- 本作でもオリジナル版同様、序盤はハニガンから無線通信でサポートを受ける。古城に入ると、オリジナル版では敵に電波をジャックされ、以降はゲームクリアまでサラザールやサドラーとの通信になったが、本作ではノイズによってハニガンとの通信は途絶えるものの敵に電波ジャックはされず、ルイスやエイダと通信して情報を得ていく。
- NEWGAME+
- 本編を一度クリアすると「NEWGAME+」を選べるようになり、本編クリア時の状態を引きついだ状態で最初からプレイできる。武器とその改造状況、所持アイテム、所持金、アタッシュケースのサイズ、セーブ回数、射的のスコア、貴族人形の破壊数などが引き継がれる。
難易度
本作でもこれまでのREシリーズと同じく、「ASSISTED」「STANDARD」「HARDCORE」の3つの難易度が存在する。また、このいずれかの難易度で本編をクリアすると、さらに難易度の高い「PROFESSIONAL」が解放される。
- 「ASSISTED」
-
- エイムのアシスト(自動照準)がある
- HPが死亡寸前まで減ると一定値まで自動回復する
- 敵の攻撃力と耐久力が低くなる
- クラフトで作れる弾薬の数が多くなる
- 武器商人の店で一部のアイテムの価格が安くなる
- 隠し要素の開放がほとんどできない
- 「STANDARD」
-
- エイムのアシストはなし(設定でアシストをONにすることが可能)
- 敵の攻撃力と耐久力が標準的
- ゲームオーバーになった時、任意で難易度を「ASSISTED」に下げることが可能(ただし、一度難易度を下げたら元の「STANDARD」に戻すことはできない)
- 「HARDCORE」
-
- エイムのアシストが使用できない
- 敵の攻撃力と耐久力が高くなり、プレイヤーの攻撃で怯みにくくなる
- 敵や罠の配置が難しくなる
- 武器商人の店で一部のアイテムの価格が高くなる
- 「PROFESSIONAL」
-
- エイムのアシストが使用できない
- 敵の攻撃力と耐久力、怯みにくさが「HARDCORE」よりさらに高くなる
- オートセーブが無くなる
- パリィの入力を受け付けるタイミングがシビアになり、ジャストパリィのみ有効になる
- 武器の改造が最初から全て解放される
登場人物
主要人物
- レオン・S・ケネディ (Leon Scott Kennedy)
- 英語音声 - Nick Apostolides / 日本語音声 - 森川智之[9]
- 本作の主人公で、アメリカ政府のエージェント。27歳。ラクーンシティの生き残りで、卓越したサバイバルと戦闘の技術を持つ。
- 警護を担当するはずだったアシュリーの捜索任務に就く。今作では「コンドル1」というコードネームを持ち、ハニガンからはこの名前で呼ばれる。
- アシュリー・グラハム (Ashley Graham)
- 英語音声 - Genevieve Buechner / 日本語音声 - 鬼頭明里[9]
- 2004年当時のアメリカ大統領の令嬢。20歳の大学生。学校からの帰宅途中に誘拐されてヨーロッパ某国の村に連れてこられ、プラーガの卵を植え付けられる。その後、教会に監禁されていたところをレオンに助けられる。
- 当初は敵の攻撃に対して無力であったが、レオンと行動するうちに重機を操縦するなどの行動力を発揮し始める。
- エイダ・ウォン (Ada Wong)
- 英語音声 - Lily Gao / 日本語音声 - 皆川純子[9]
- レオンがラクーンシティで出会ったアジア系の美女。ラクーンシティで死亡したと思われたが生きており、ウェスカーの指示で村に潜入。特殊なプラーガが閉じ込められた琥珀「アンバー」を奪取しようとしている。
- DLC「SEPARATE WAYS」では主人公を務める。物語冒頭でペサンタと交戦中に分体を寄生させられてしまい、幻覚に苦しみながら「アンバー」確保のため行動する。工作員として冷徹に振る舞いながらも、寄生されたレオンやエイダを危険を顧みず救おうとするルイスに感化され、ルイス亡き後もレオンやアシュリーを助けるために遠回しながら工作を行う等、オリジナル版よりも非情に徹し切れない甘さを見せる。また、理想や目的の為ならどれほどの犠牲も厭わないウェスカーの考えには嫌悪感を露わにしており、エンディングではウェスカーと無線で交信して意図を聞き出した直後に反旗を翻し、「アンバー」を彼に渡さなかった。
- ルイス・セラ・ナバロ (Luis Serra Navarro)
- 英語音声 - André Peña / 日本語音声 - 津田健次郎[9]
- レオンが村で出会うラテン系の男。28歳。教団に捕まり監禁されていた。プラーガについて詳しい知識を持ち、レオン達に協力する。
- 大学以前の記録が全くない。大学卒業後はアンブレラ社の欧州研究所の研究員となり、表向きにはいくつかの新薬(ごく一般的な市販薬)の開発にかかわったことになっている。退職後は行方をくらまし、ラクーン事件後に警察や政府関係者が必死に捜索したが見つからなかった。その裏では教団の研究員として雇われていたが、サドラーの思想に危険性を感じ、エイダと秘密裏にコンタクトを取り支配種プラーガのサンプル「アンバー」を引き渡すことを条件に高跳びの計画を立てていた。
- レオンと共に地下坑道を抜けた後、奇襲したクラウザーが投げつけたナイフにより致命傷を負い、レオンに研究室の鍵を託して息絶えた。
- オリジナル版との違いとしてルイスの生い立ちがさらに深掘りされ、また研究者としての過去に贖罪の意識を感じており、教団からの逃亡もサドラーへの対抗として「アンバー」の研究を行う為であること等、軽薄ながらもより正義感が強い性格が強調されている。
ロス・イルミナドス教団
- ビトレス・メンデス (Bitores Méndez)
- 英語音声 - Jon Bryant / 日本語音声 - 大羽武士[9]
- レオンが訪れる村の村長で、ロス・イルミナドス教団の神父。レオンを片手で持ち上げて投げ飛ばしたり、太い鉄のかんぬきを素手で捻じ曲げるほどの怪力を持つ。見上げるほどの巨体やスキンヘッド、トレンチコートを着て帽子を被った装い等、その見た目や動作は『バイオハザードRE:2』のタイラントと酷似しており、頭部を撃たれると帽子が飛ばされるのも同じ。
- 本来は村の発展に貢献し、また村人たち一人一人との交流も欠かさず子ども達に勉学を教える等、心優しい村長であったが、プラーガに寄生されてからはサドラーに心酔し、たとえ村に損害が出ようとも忠実に命令を実行する冷酷な性格へ変貌してしまった。
- ラモン・サラザール (Ramón Salazar)
- 英語音声 - Marcio Moreno / 日本語音声 - チョー[9]
- 村に隣接する古城の主で、サラザール家の8代目当主。子供のような小柄な体形に老人のような皺だらけの顔というアンバランスな容姿をしている。オリジナル版を踏襲し、日本語版でもレオンを「ミスター・ケネディ」と呼ぶ。
- サラザール家は代々、孤島に追放した教団の監視と城の地下に封印したプラーガの管理を役目としてきたが、親を早々に亡くした喪失感をサドラーにつけ込まれプラーガを解き放ってしまう。やがて自身にも支配種プラーガを寄生させ、サドラーの熱狂的な信奉者となった。幼少期にある奇病に罹っており、それを治療する為に母親がサドラーを招き入れてしまった事が全ての発端であるとされる。
- かつて自身の陰口を言った従者に硫酸を浴びせ苦しむ様を見て喜ぶといったサディスティックな性格であり、亡き父親もその歪んだ性格を懸念していた。また歴代サラザール家の記録を残した執筆者からも「ラモンの代でサラザール家は断絶が決定した」「ラモンは病で死ぬべきだった」と酷評されている。
- イシドロ・ウリアルテ・タラヴェラ / ヴェルデューゴ (Isidro Uriarte Talavera / Verdugo)
- ラモンの側近の一人。赤いローブを身に付けている背の高い昆虫人間。素体はサラザール家に仕えていた研究者で、ノビスタドール、ペサンタ、ヴェルデューゴを開発した人物。ラモンの執事がU-III(ペサンタ)へ変異したのを見届けた後に自身にも施術を行い、ヴェルデューゴとなった。
- 執事 / ペサンタ (Housekeeper / Pesanta)
- ラモンの側近の一人。黒いローブを身に付けている背の高い怪物。素体はラモンに仕えていた執事で、自らイシドロに志願して施術を受け、U-III(ペサンタ)へ変異した。本編ではラモンやヴェルデューゴと共にレオンの前に現れてから姿をくらますが、DLC「SEPARATE WAYS」でエイダを執拗に追跡する。
- ジャック・クラウザー (Jack Krauser)
- 英語音声 - Mike Kovac / 日本語音声 - 辻井健吾[9]
- サドラーの部下の元軍人。ナイフ格闘と白兵戦の達人で、プラーガの力に頼らなくても非常に高い戦闘力を持つ。
- かつてはアメリカ特殊作戦軍の隊長で、本作の2年前にレオンと南米での麻薬カルテル壊滅作戦『オペレーション・ハヴィエ』に従事した。作戦中、隊が窮地に陥っても祖国から救援が何もなかった事や結果として自身以外の隊員が全滅した事から祖国を恨み、また圧倒的な力を求めて姿をくらませていた。
- オリジナル版との違いはかつてレオンに白兵戦や対人格闘を教えた師としての立場が追加され、レオンからは「クラウザー少佐」と呼ばれ、クラウザーはレオンを終始「新兵」と呼んでいる。また、ウェスカーの組織のスパイという設定はなく、今作ではサドラーの部下として孤島の防衛設備の建設にも関わっている。圧倒的な強さを求めていたためアナベルの実験台になることに了承し、実験の結果アンバーに適合し、変異を操れる強力な力を得た。体内にアンバーを宿していることから、レオンに敗れて死亡後、遺体はアンバーを狙うウェスカーによって回収された。
- アナベル・ガルシア・エスクデロ (Anabel García Escudero)
- 作中のファイルにて名前が登場する、教団の研究主任。プラーガの成長を遅らせる遅延薬を開発したチームの主任であり、プラーガの上位種の開発にも携わっている。サドラーにより上位種を寄生させられ、抵抗していたが寄生後は教団への忠誠を誓う。
- アンバーの研究主任も務めており、研究で死亡事故が発生したため「新設された通信施設」に場所を移して研究を続行。この時、理由は不明だがサドラーに極秘で実験を進め、アンバーで実験体の強化に成功しマルティニコを誕生させた。マルティニコの脱走時のセーフティとして通信施設にレーザートラップを設置するが、その後にサドラーからアンバーを自らに打つように迫られる。一時は拳銃自殺も考えるが、悩んだ末、クラウザーのように適合する可能性に望みをかけて自身にアンバーを投与。しかし自身にアンバーは適合せず、変異して2体目のマルティニコと化した。
- オズムンド・サドラー (Osmund Saddler)
- 英語音声 - Christopher Jane / 日本語音声 - 大塚芳忠[9]
- ロス・イルミナドス教団の教祖。世界中の人間にプラーガを寄生させ、自らが世界の頂点に立とうと企む。
- 人間の姿を保っている他の支配種プラーガ宿主と違い、後頭部が鰓状の音波発生器官に変貌している。そこから発する音波で他のプラーガ達を操っており、またレオンとアシュリーの体内のプラーガを活性化させ、アシュリーの意識を操ったりレオンの動きを封じたりする。
- オリジナル版ではプラーガによる世界征服が目的であったが、本作では全人類にプラーガを寄生させることで争いも憎しみもない世界を作ろうとしている等、より邪教としての面が強調されている。しかしそれは全人類がサドラーの支配下になる事を意味し、また教団内における非人道的な人体実験やガナード達を文字通り「家畜」としてぞんざいに扱っている事、自身に反発した者を容赦なく粛清する事等からルイスからその思想を危険視されている。
アメリカ合衆国政府
- イングリッド・ハニガン (Ingrid Hannigan)
- 英語音声 - Raylene Harewood / 日本語音声 - 杉本ゆう[9]
- アメリカ政府のエージェント。アメリカから無線通信でレオンのサポートを行う。レオンからは「HQ」と呼ばれている。
- マイク (Mike)
- 英語音声 - Erik Gow / 日本語音声 - 川中子雅人
- アメリカ政府のエージェント。ヘリコプターのパイロット。ハニガンの指示を受けて武装ヘリに搭乗して孤島に駆け付け、レオンの援護をする。
現地の警察官
- マリオ・フェルナンデス・カスタニョ (Mario Fernández Castaño)
- 英語音声 - Mathias Retamal / 日本語音声 - さかき孝輔
- 現地の警察官の一人で階級は巡査。髭面。旧作ではレオンをカウボーイと称し、やや悪態づきながら接してきたが、今作ではさほどではない。村外れで用を足そうとした際、木立に潜む村人の気配を感じて先行した結果、囚われて殺害され、頭部を切断された上でデルラゴの餌にされてしまう。
- メガネの警官 (Newbie Officer)
- 英語音声 - / 日本語音声 - 星野健一
- 現地の警察官の一人で、マリオの相棒。本名不明。レオンがマリオを探しに行っている間にガナードに襲われる。殺された後、村の中央広場で磔にされ火を放たれる[注釈 1]。
- 旧作同様に喫煙者である為、パトカーの車内でレオン(非喫煙者)に煙草を勧める。
その他
- 武器商人 (Merchant)
- 英語音声 - Michael Adamthwaite / 日本語音声 - 千葉繁[9]
- レオンに武器の販売や改造を提供してくれる特殊なガナード。オリジナル版を踏襲し、日本語版でもレオンを「ストレンジャー」と呼び、レオンが話しかけた時は「ウェルカム!」と言って歓迎してくれる。作中における青の依頼書の依頼主は彼であり、その依頼内容から教団に対して極めて否定的であることがうかがえる。
- DLC「SEPARATE WAYS」にも登場し、エイダにも武器の販売や改造を提供してくれる。
- アルバート・ウェスカー (Albert Wesker)
- 英語音声 - Craig Burnatowski / 日本語音声 - 中田譲治
- ラクーン市警の特殊部隊「S.T.A.R.S.」の元隊長で、本シリーズの黒幕的存在。本作ではオリジナル版同様、エイダを村に派遣し、指令室から無線で彼女に指示を出す。
- DLC「SEPARATE WAYS」にて、今作の現場付近の海洋上に船で停泊しており、その船内の指令室からエイダに指示を出していたことが判明。村や孤島で直接エイダの元を訪れて指示を出す等、登場頻度が増えている。エピローグではエイダに離反されアンバーを逃してしまうが、それも想定の範囲内だったらしく、クラウザーの遺体を回収することで彼の体内にあるアンバーを入手している。
登場クリーチャー
新クリーチャーが多数登場する一方、オリジナル版にいたガトリング男が未登場となっている。ただし大男:連弩がその役割を引き継いでいる。またU-3の設定が大幅に変更されており、オリジナル版とは違い、人と虫の完全な融合体として研究員のイシドロによって生み出された、ラモンの二人の従者の内の一人の最初期の名前としてU-IIIの名が与えられている。後にぺサンタと名を改めるが、そのローブを脱ぎ捨てた姿は、オリジナル版のU-3のビジュアルをモチーフとしたデザインとなっている。
寄生体
- プラーガ
- サラザール家の領地に古くから原生する寄生生物。名前はスペイン語で「害虫」を意味する「Plaga(プラーガ)」及び、その複数形で「疫病」を意味する「Las Plagas(ラス・プラーガス)」から来ている。また、ゲーム内では「Las Plagas」という語句に対して「悪疫」という日本語も併記されている。
- 本作では琥珀に閉じ込められているものが古城の地下で採掘されており、教団の関係者からは「聖体」と呼ばれている。
- 人間をはじめあらゆる脊椎動物に寄生し、成長と共に宿主の意識を乗っ取り支配する。宿主から分離した成体は単独では長くは生きられない。光に弱い。
- 「通常種」「上位種」「支配種」の3種類が存在する。通常種に寄生された者は自我と理性を失い、また知能も後退し単純な作業しか出来なくなってしまう欠点がある。上位種は寄生されてもある程度の自我を残し知能も低下しない特徴があり、研究等の知能作業を行う為に教団によって開発され量産された。ただし通常種に比べ変異はしない模様。しかし最上位である支配種に従属するプラーガの性質は変わらず、寄生させられた者は自我を残しつつも総じてサドラーに心酔するような人格に変貌してしまう。支配種はサドラーや教団の幹部達が身に宿しており、宿主を通して全てのプラーガに信号を送り意のままに操ることが出来る。また宿主の意思で真の力を解放することが可能でその際は劇的な肉体的変異を伴う。
- 体内に寄生したプラーガは、孵化前なら投薬で卵を殺すことで除去できる。しかし、孵化してしまうと薬では成長を遅らせることしかできず、除去するには体外から特殊な波長の放射線を照射してプラーガを焼き殺す必要がある。その際はプラーガの苦痛が宿主に伝わるため、宿主は筆舌に尽くし難い激痛に襲われ、場合によってはショック死することもある。プラーガが体内で成体まで成長している場合、除去すれば宿主も死ぬことになる。
- プラーガの危険性はその変異性ではなく、たとえ敵対者であっても寄生させてしまえば絶対裏切らない味方にさせてしまう「支配力」であるとされる。それが上位種であれば完璧なスパイをいとも簡単に作り出せると言われ、国家転覆も可能であると示唆されている。
- アンバー
- ルイスによって発見された作中で鍵となるプラーガの生体サンプル。支配種と類似した器官を持つが上述の3種とはまた異なる種であることが示唆されている。本体は琥珀に封印されており未覚醒の状態であるが、他の寄生体やガナードに近づけるだけでプラーガを活性化させてしまうほどの力を持つ。
ガナード
通常種のプラーガに寄生された人間。人間としての自我を失い凶暴化しているが、武器を扱ったり他の者と集団で主人公を追い詰めるなどの知能はある。
- 村人
- サラザール家の支配下にある村落の住人がプラーガに寄生されたもの。斧・鎌・鋤などを武器に使用するほか、火炎ビンやダイナマイトを投げてくる者もいる。
- チェーンソー
- 樹木伐採用のチェーンソーを武器に使うガナード。通常のガナードと比較にならないほど耐久力が高く、怯みにくい。チェーンソーの攻撃は非常に強力で、受ければ即死となる。
- チェーンソー男
- チェーンソーを武器に使う若干大柄な男。オリジナル版と同じく黄土色の頭陀袋をかぶっている。
- チェーンソー姉妹
- チェーンソーを武器に使う二人の姉妹。二人とも顔に包帯を巻いている。行動パターンはチェーンソー男と同じだが、二人組な上に村人達も同時に襲いかかってくる。片方がキーアイテムを所持しているため、必ず倒さなければならないボスとして立ち塞がる。
- 難易度にもよるが、古城地下でチェーンソー男と一緒にチェーンソー女が現れる。
- 暴走チェーンソー男(Mad Chainsaw Villager)
- 無料DLC『THE MERCENARIES』の岸壁ステージにのみ登場する個体。白い頭陀袋をかぶり、2枚刃のチェーンソーを使用する。オリジナル版の「巨大チェーンソー男」に相当する個体。
- 大男
- 本作で新たに登場した個体。動物のマスクをかぶった巨漢のガナードで、チェーンソー男と同じく耐久力が高く怯みにくい。近距離ではパンチやキック、ラリアットを仕掛けてくる。
- 大男:ハンマー
- 牛のマスクをかぶっている大男。大きな鉄槌を手にしており、味方の巻き添えも厭わずに鉄槌を振り回してくる。
- 大男:連弩
- 猪のマスクをかぶっている大男。左腕にエンジン駆動の連弩を装着しており、矢をマシンガンのように撃ってくる。オリジナル版の「ガトリング男」に相当する個体。
- 邪教徒
- プラーガに寄生されたロス・イルミナドス教団の教徒達。黒いローブに身を包み、大鎌・フレイル・ボウガンなどを武器に使用するほか、木製の盾を使用する者やドクロを模した金属製の仮面を着用している者もいる。
- オリジナル版と違いローブの色は黒のみで、今作では女性の邪教徒の姿も見られる。
- 邪教徒:錫杖
- オリジナル版の「邪教徒(リーダー)」に相当する個体。赤いローブと山羊の頭骨を着用し、赤いカンテラを吊り下げた錫杖を持っている。「¡Gloria a las Plagas!(プラーガに栄光あれ)」の掛け声と共にプラーガに刺激を与える波動を飛ばし、周囲の邪教徒達を即時にプラガ・マンディーブラに変貌させたり、レオンやアシュリーの動きを鈍らせたりする。
- 戦闘員
- 孤島を警備する戦闘員のガナード。戦闘訓練を受けており、スタンロッドやトゲ付の棍棒の他、ロケットランチャーや固定銃座など強力な武器を扱う。金属製の盾を使用する者や、強固なヘルメットやアーマーを着用している者もいる。
- ガナード・デスヌカド
- 首が真横に折れ曲がった状態のガナード。レオンの攻撃で首を折られた後、倒れたまま激しい痙攣を起こす個体がこの状態に変貌し、なおも襲い掛かってくる。痙攣している間にパリィを行う事で、変貌を阻止できる。また、寄生体が直接外界を視認しているため、閃光手榴弾の光で即死する。
- ガナード(寄生体)
- 本来は宿主の体内にいるプラーガが、宿主がダメージを受けた際に外部に露出した状態のガナード。プラーガの成長度合いによって、以下の3種類が存在する。
- プラガ・グアダニャ
- オリジナル版の寄生体Aに相当する。まだ幼体であり、村人・邪教徒・戦闘員全ての首から出現する。光が弱点のため夜間や屋内でのみ出現する。閃光手榴弾の光で即死する。
- オリジナル版と同じく鋭利な刃がついた長い触手を持つ。宿主の脳を失ったため武器は使えず、動きは機械的。
- プラガ・マンディーブラ
- オリジナル版の寄生体Bに相当する。幼体よりも成長しているがまだ成長途中で、主に邪教徒の首から出現する。夜間、屋内でのみ出現する。閃光手榴弾の光で即死する。
- グアタニャと同じく動きは機械的だが、巨大な顎でプレイヤーの頭部に噛みついて死に至らしめる即死攻撃を持つ。オリジナル版と違って距離が離れていると口から黒い液体を吐き出してくる他、口を吸盤のように用いて天井に張り付き空襲するなど攻撃のバリエーションが増えている。また、外皮が硬質化しており、弱点の閃光手榴弾の光と口内への攻撃以外はダメージを与えにくくなっている。
- プラガ・アラニャ
- オリジナル版の寄生体Cに相当する。成体のプラーガがガナードの背中に貼り付き、尾から伸ばした触手を配線のように頭や両腕に刺して身体を制御している状態。邪教徒と戦闘員がこの状態に変異する。
- 通常のガナードより動きが俊敏で凶暴。攻撃を受けてのけぞるとプラーガが離れて通常のガナードになり、反対に独立していたプラーガがガナードに貼り付く事でアラニャへと変貌する。
- グアダニャやマンディーブラと違って宿主の脳は破壊されていない為、武器を扱う事も可能。
B.O.W.
- コルミロス
- プラーガを寄生させた犬。名前はスペイン語で「牙」を意味する。動きが素早い上に姿勢が低いため、攻撃を当てにくい。
- コルミロス:強個体
- コルミロスの中でも特異な変異を起こした個体。背中から大きな寄生体が露出している。武器商人から「青い依頼書」で退治依頼を受けると1体だけ出現する。
- デルラゴ
- オオサンショウウオにプラーガを寄生させて生み出された怪物。名前は「湖の主」を意味する。プラーガの影響で20mを越える巨体に成長し、村の湖畔に放たれている。
- エルヒガンテ
- プラーガに寄生された人間に遺伝子操作を施して生み出された怪物。実験の結果、巨人とも言えるほどの巨体に変貌している。名前は「巨人」を意味する。
- 生み出された瞬間から急激に成長が進み、巨大化と共に家畜を何頭も平らげてしまう食欲と凶暴化によって制御不能になっていく様の記録が作中で入手できる、(エルヒガンテの為に村の女性たちがズボンを縫ったり、生まれたがすぐに死んでしまった個体もいた模様)
- DLC『SEPARATE WAYS』でも、村でボスとしてエイダの前に立ちはだかる。
- エルヒガンテ:鎧
- 全身に強固な鎧を纏ったエルヒガンテ。古城で2体登場し、1体目は城壁で離れた足場から岩を投げてくる。2体目は地下の溶鉱炉で、通常のエルヒガンテと共に登場する。
- ガラドール
- プラーガを用いた肉体強化実験により誕生した狂戦士。名前は「カギ爪を持つ者」を意味する。あまりの凶暴さから目を縫い付けられ視覚を奪われているが、その代わりに聴覚が発達し、わずかな物音に反応して襲いかかってくる。主に両手の長い鉤爪で強力な攻撃を繰り出し、近くにいる味方をも巻き込む。その正体は城に仕えていた拷問官で、手記によると代々その役目を担う一族で、複数体登場する。
- ガラドール:鎧
- 全身に強固な鎧を纏ったガラドール。領主の間に向かう際に通る控えの間にて、通常のガラドールと共に登場する。DLC『SEPARATE WAYS』でもボスとして登場する。
- アルマデューラ
- 宿主を探して迷っていたプラーガが、城内の甲冑に入って操っているもの。名前はスペイン語で「鎧」を意味する。鎧の中に触手を張り巡らせ、あたかも人間が入っているかのように動かしている。青い光が弱点で、光が当たると中のプラーガが硬直するため全く動けなくなる。
- アルマデューラ:強個体
- アルマデューラの中でも特異な変異を起こした個体。通常のアルマデューラの鎧が銀色なのに対し、強個体は金色。武器商人から「青い依頼書」で退治依頼を受けると1体だけ出現する。
- ノビスタドール
- 不完全な人の身を虫の高みへ至らせる研究により、黒い水と呼ばれるものを用い妊婦の子宮内の胎児を蛆に変異させ摘出し、その後人ほどのサイズにまで成長して誕生したクリーチャー。開発したイシドロのミドルネーム(家名)の「U」を用いてU-IIと名付けられ、後にラモンより、「見えざる者」を意味するノビスタドールの名を与えられた。オリジナル版では、飛行能力を持つが擬態できない個体と、擬態能力を持つが飛行できない個体に別れていたが、今作では両方の能力を併せ持っている。また、オリジナル版と違って古城だけでなく孤島でも登場し、サドラーに使役されている。
- ヴェルデューゴ
- 赤いローブを纏ったラモンの従者の一人で、不完全な人の身を虫の高みへ至らせる研究により誕生した、人と虫の完全な融合体。素体となったのはサラザール家に仕える研究員のイシドロ。先に施術を受けたラモンの執事に続く形で自身にも施術を行い、虫との完全な融合を果たした。この際、ラモンの従僕として反徒を捕らえる処刑者になぞらえ、自身をスペイン語で「処刑者/執行者」を意味するヴェルデューゴであると名乗った。
- ペサンタ
- 黒いローブを纏ったラモンの従者の一人で、不完全な人の身を虫の高みへ至らせる研究により誕生した怪物。素体となったのはラモンの執事であり、自ら志願して施術を受けた。開発したイシドロのミドルネーム(家名)の「U」と、イシドロが最も美しく、完全な数字であると感じている「III」を組み合わせ、U-IIIと名付けられ、後にペサンタと名を改めた。ペサンタ(Pesanta)とはスペイン東部のカタルーニャ地方の民間伝承に登場する犬の怪物の名前が由来であり、ゲーム内では魔犬とも称されている。ゲーム本編ではラモン、ヴェルデューゴと共に初登場して以降、行方を眩ませていたが、DLC『SEPARATE WAYS』においてエイダを執拗に追跡する形で立ちはだかる。
- 自分の分化した細胞を獲物に撃ち込んで寄生させることができる。これに寄生された獲物は知覚を操られ、ペサンタの分身などの強烈な幻覚を見せられる。この分化細胞は単体では生存できないため、母体であるペサンタが死亡すると分化細胞も死に絶える。
- 戦闘では当初は黒いローブを纏った姿で交戦するが、後にローブを脱ぎ捨て、下記の第一形態、第二形態へと変異する。
- ペサンタ第1形態
- エイダとの決戦においてローブを脱ぎ捨て変異した姿。後方に張り出した虫を思わせる腹部や脊椎付近から伸びる尾のような触手の先端には鋏のような大顎がついているなど、その姿はオリジナル版に登場したクリーチャーのU-3の姿をモチーフとしている。本作ではヴェルデューゴとほぼ同じ手順で誕生したという経緯があるため、全体的なフォルムはヴェルデューゴに近くオリジナル版のU-3と違い本体は二足歩行を行う。
- また、ヴェルデューゴとほぼ同じ手順で誕生していながらヴェルデューゴとは異なる性質を持つクリーチャーになった理由として、同DLC内のファイルにて、人と虫の完全な融合体を目指していたが2つの要素が安定せず、もう1つ別の生物の要素を足したことを示唆する内容が書かれている[注釈 2]。
- ペサンタ第2形態
- 人型の本体が倒されたことで、肉体の主導権が背部の触手に移り動き出した姿。
- リヘナラドール
- 人間の体内に複数のプラーガを寄生させる実験で誕生した怪物。名前はスペイン語で「再生者」を意味する。驚異的な代謝能力を持っており、体内のプラーガが生きている限り、何度でも身体の欠損個所を短時間で再生できる。
- アイアンメイデン
- リヘナラドールの変異体。口が大きく縦に割れている醜悪な顔をしており、全身から1メートル以上にもなる針を無数に出すことができる。また、体から出した無数の針を飛ばすこともできる。その針で敵を串刺しにする様子から、中世ヨーロッパの拷問具「鉄の処女」を意味する名が付けられた。
- オリジナル版ではリヘナラドールとは完全に別個体だったが、本作ではレオンに一度倒された一部のリヘナラドールが変異してアイアンメイデンになる。
- リヘナラドール:強個体
- リヘナラドールの中でも特異な変異を起こした個体。全身が黒く、既にアイアンメイデンの形態になっており、体内に内包している寄生体の数が異常に多い。武器商人から「青い依頼書」で退治依頼を受けると1体だけ出現する。
- マルティニコ
- DLC『SEPARATE WAYS』にて孤島の通信施設に登場した新クリーチャー。元は脆弱な実験体であり「生まれ間違い」とまで呼ばれていたが、研究主任のアナベルが行った「アンバーで他のプラーガを活性化させる能力の実験」によって回復能力が強化され、通常の兵器では殺傷不可能な存在になった。しかし当初から脆弱性と共に指摘されていた知能の低さは変わらず、ただ本能のままに獲物を求めて暴れ回る危険な個体と化した。最初のマルティニコは、脱走時のフェイルセーフとして設置されたレーザートラップで始末された。今作でエイダの前に現れるのは、アナベルが自身にアンバーを投与した結果変異して誕生した、2体目のマルティニコである。
- 人型ではあるが人間を大きく上回る巨躯と非常に大きな口を持ち、通信施設にてエイダを捕食するべく執拗に追跡する。武器ではダメージを与えられず、接触するだけで捕食されゲームオーバーとなる。最後は格子状のレーザーで身体を切り刻まれバラバラにされるという、実写映画版第1作目のワン隊長ことジェームス・P・シェイド(演 - コリン・サーモン)を彷彿とさせる形で撃退された。
支配種プラーガを宿した者
- ビトレス・メンデス
- 村の終盤にて村人達と共に追跡してくる。いくら攻撃を受けても倒れない上、アシュリーが捕まると即座に連れ去られゲームオーバーとなるため、逃げるしかない。
- ビトレス・メンデス:変異
- ビトレス・メンデスが支配種プラーガの力を解放した姿。村のボス。形態はオリジナル版に準拠している。オリジナル版では一切言葉を発することはなかったが、本作では教団に対する信仰心の強さをうかがわせる発言を度々している。攻撃方法もオリジナル版を踏襲しているが、第二形態ではドラム缶や燃える柱などを触手で投げつける攻撃も用いてくる。
- ラモン・サラザール:変異
- ラモン・サラザールが支配種プラーガの力を解放した姿。古城のボス。オリジナル版と違いプラーガの母体と融合せず、単独で変異する。巨大な虫のような異形になり、壁にへばり付いて縦横無尽に動き回わりながら黒い液体を吐きかけてくる。
- ジャック・クラウザー:変異
- ジャック・クラウザーがアンバーの持つ力で上位種プラーガが成長し解放した姿。形態はオリジナル版に準拠しているが、本作では左腕だけでなく右腕も変異させている。左腕はブレード状に変異して攻撃専用になり、右腕は分厚い異形の形に変異して盾のように使ってガードする。左右同時に攻撃も行える。
- オズムンド・サドラー:変異
- オズムンド・サドラーが特別な支配種プラーガの力を解放した姿。孤島のボスにして、本作の最終ボス。
- 第一形態と第二形態があり、第一形態はオリジナル版に準拠したものになっている。メンデスと同じく変異後も言葉を発し、教祖としての狂信的な発言に加えてプラーガを除去したレオンを神への冒涜者と罵倒している。
- オリジナル版とは桁違いに移動スピードが上昇しており、更に距離が離れていれば広範囲に渡る液体を吐き出して攻撃する。また、更には足場を破壊したりノビスタドールを呼び寄せるなどして、こちらの行動範囲を制限してくる。一定ダメージを受けるとプラーガの母体と融合した第二形態に変異し、プラーガを有する核と無数の巨大な触手を持つ姿になる。
舞台
本作は、ヨーロッパの某国にある山奥の村を舞台としている。この村は隣接する城の城主であるサラザール家の統治下にあったが、8代目当主のラモン・サラザールがロス・イルミナドス教団に心酔し、地下に封印されていたプラーガを解放したため、村の住民たちは皆プラーガに寄生されガナードと化している[10]。
マップは大きく分けて「村」「古城」「孤島」の3つから成り、オリジナル版を踏襲したエリアも多く見られる。
- 村
- レオンが最初に訪れる村。村人は皆プラーガに寄生され、ガナードと化している。マップの全体的な構造はオリジナル版とほぼ同じであるが、随所にアレンジやマップの追加が見られる。
- 教団の労働力として村人達が駆り出された結果、村での農作業に人手が足りず飢饉が起こってしまったり、実験体の餌として貴重な家畜を差し出す等、教団のヒエラルキーでも最下層に位置していると思われる。
- 古城
- 村に隣接するサラザール家の古城。ガナードと化した教団の邪教徒達が徘徊している他、城の一室にある巨大な巣でノビスタドールが無数に繁殖している。マップの構造は、オリジナル版では下から上へ縦方向に進む形だったが、本作では左から右へ横方向に進む形になっている。正門・中庭・水の間などオリジナル版を踏襲したエリアも多数あるが、全体的な構造はかなりアレンジされている。
- 本来は教団が拠点としていた城であったが、それを危険視した初代サラザール家当主により教団は孤島へと追放され、プラーガも地下深くへと封印された。以降は歴代当主の趣向により増改築が繰り返されたことで広大な城となった。
- 孤島
- ロス・イルミナドス教団の本拠地がある島。防衛設備によって島全体が要塞となっており、強力な武器を扱う戦闘員のガナードが島を警備している。研究所や教団の総本山など、重要な施設は山頂に集約されている。
- 教団の初代教祖の名前や自身らを追放したサラザール家に対しての報復の決意表明が記された碑文があったり、聖域にある石碑に歴代の教祖達の名前が刻まれているなど、旧作に比べると教団の歴史にまつわる要素が増えている。
製作
作品背景
『4』のディレクター・脚本を務めた三上真司は2022年に行なわれたインタビューにて、「バイオハザード4の制作時において、3週間でのシナリオ執筆を余儀なくされたため、リメイクするならストーリーを改善してほしい」と述べている[11]。
スタッフィング
三上は本作の開発に参加していない一方、オリジナル版のカットシーンチームの一員だった平林良章がプロデューサーを務めたほか、オリジナル版のスタッフが何人か参加している[12]。 平林はメディアへのインタビューの中で、多くの人に愛され、シリーズのターニングポイントとなった作品であるため、気を引き締める思いはあったと話しており、いかにして「再構築」を提案すべきか、シリーズを統括する竹内潤とは方向性についてしっかり話し合ったと述べている[13]。一方、ディレクターを務めた安保康弘は1ユーザーとして『4』に触れた過去があり、リメイクにあたっては『バイオハザード』としての根幹は大切にしつつも、アクションゲームとしての爽快さとホラーのバランス性を生かすことを意識したと2023年のインサイドとのインタビューの中で話している[6]。
また、銃への造詣が深い竹内が実際のプロの構え方を考慮したいという思いから、本作においても銃の専門家が開発に協力している[13]。
開発
本作の開発に当たってはテンポの良いストーリー展開といった原作の良いところを「核」として残し、そこからキャラクターの掘り下げといった要素を足していく方針がとられ[13][14]、ストーリーの進行または状況に応じたセリフがそれぞれ用意された[15]。たとえば、レオンが敵をヘッドショットで撃破する場面では、彼が「よし」と言った後に、そばで見ていたアシュリーが彼をほめたたえる描写が追加された[15]。 ルイスはレオンと行動を共にする場面が増えたり[15]、行動の理由を描いた場面も追加された[16]ほか、『4』ではデモシーンだけだった軽口も本作では戦闘中にも取り入れられた[17]。
また、原作要素の取捨選択はバランスを取りながら行われ、レーザー部屋など本編からカットされた要素の一部は「the another order」のリメイクにあたる「セパレート ウェイズ」へ組み込まれた[18]。一方、古城でレオンが城主サラザールの巨像に追い回される場面は原作のファンにとって印象深いものだった分、開発チームでも思い出としてどう扱うべきか議論が行われ、紆余曲折の末に複数の要素として物語の中に分散された[18]。
クラウザーは、『4』の後に発売された『バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ』における彼の物語も反映させる形で設定が再構築された[19][20][注釈 3]。その分、これらの情報を容姿にどう反映させるで思い悩んだと平林は2023年のファミ通とのインタビューの中で振り返っており、たとえば彼の着用している赤いベレー帽は、平林と安保とアートディレクターとの間で変更すべきか話し合ったと述べている[20]。また、クラウザーは『4』での登場の仕方が唐突だと指摘されていたため、登場する少し前から存在を匂わせるなどの補完が行われた[6]。
サドラーは、教団の代表らしさをより強めたデザインが施されており、『4』よりも大物で勿体づけた感じが際立っていると安保は2023年のファミ通とのインタビューの中で話している[20]。サラザールは『4』では少年らしい容姿に老人のようなしわを付け足したデザインだったのに対し、本作では老人らしさが強調されたデザインに変更され、『4』で着用していた帽子もなくなった[21]。
オリジナル版のうち、村の警官が火あぶりにされるといった直接的な恐怖をあおる場面について、平林はユーザーを驚かせるためにそれらの場面をあえて変更することもできたが、かつての記憶を呼び起こさせる象徴的な場面は残しておくべきだと考えたとファミ通とのインタビューの中で話している[22]。なお、国内版はすでに警官は死亡した状態で焼かれているのに対し、海外版(北米版)は生きたまま焼かれるため、断末魔の叫びと共に死亡するという、さらに残虐表現の激しい映像となっている。
光の質感などの空気感は、本作の開発において重視された要素の一つである[22]。また、背景やキャラクターの挙動を通じてゲーム内の生活様式から醸し出される不気味さを表現することにも注力され、プレイヤーの目の届くところでネズミが駆け回る、血の付いた吊り橋が見えるなど、想像力を掻き立てられるよう細かな演出が強化された[22]。
なお、開発チームがスペインに行くことはなかったものの、スペイン出身のスタッフから聞き取りを行う形で舞台のセッティングが行われた[6]。
システム
システム面においては『バイオハザード4』らしさを残しつつも、「RE」シリーズや『バイオハザード7』『バイオハザード ヴィレッジ』といった作品を参考に、操作性の改善が図られた。レベルデザインの設計においては、プレイスタイルの幅を許容できるようにするという方針がとられた[13]。平林はファミ通とのインタビューの中で「オリジナル版と同じプレイ感覚を維持しつつも、現代風に楽しめるようにするため、ゲーム内のエリアはオリジナル版と同じように見えて実際は細かな調整を施している」と話しており、何度も試行錯誤を重ねたステージもあると述べている[22]。 また、本作においてはステルスアクションが追加されたことに伴い、これに見合った武器も用意された[20]。
『4』におけるアシュリーはHPの回復効果や待機させるといったゲーム的な遊びの役割が大きかったのに対し、本作においては没入感を高めるために「助けるべき人間」として扱うという方針がとられ、AIを搭載することで自ら攻撃を避けたり敵に抵抗するといった描写が実現した[15]。彼女に銃を向けると当たらないようにしゃがむものの、無敵というわけではなく、被弾する場面も存在する[20]。 一方で、『4』においてはルイスを一定回数攻撃すると返り討ちにされてゲームオーバーになるシステムがあったが、本作においてはリアクション程度にとどめられた[15]。 主人公であるレオンの性能が変わったことに伴い、敵キャラクターの動きも多様化したほか、ボスキャラクターの中には戦い方が変更された例もある。 たとえば、クラウザー戦の場合、『4』ではクイックタイムイベント(QTE)で表現されていたが、本作においてはナイフによる直接戦闘に変更された[15][19]。
本作においてはクラフト[22]や、 アタッシュケースにつける「チャーム」、サブクエスト[17]といった要素が追加された。 このうち「チャーム」は、ゲームディレクターの門井一憲の提案で追加したと安保は2023年のAUTOMATONとのリモートインタビューの中で明らかにしている[17]。もともと『4』はプレイ時間が長く、やり込むユーザーも多かったため、やり込みに対する付加価値として追加された[17]。リモートインタビューに同席していた平林はやり込み要素だけでなく、通常プレイの選択肢からプレイヤーなりのカスタマイズ要素としてまで幅広い遊び方を提示したいという気持ちがあったと話している[17]。サブクエストも遊びの幅を広げるために取り入れられた[17][16]。
演技・キャスティング
日本語吹き替えキャストの選定は安保と平林によって行われた[6]。このうち、アシュリーは様々な声優を二人で聞いたうえで、『4』の時の彼女に近い声質から鬼頭明里が選ばれた[6]。一方、英語版のアシュリーの声は比較的低い声質のキャストが選ばれた[6]。 また、ルイスはシリアスとコミカルを併せ持ったキャラクターであるがゆえに幅の広い演技が求められたため、平林の推薦で津田健次郎が起用された[17][20]。
サドラーは悪の深みや重たさを意識した演技が求められることや、ゲーム内での登場頻度が少ない分存在感のある演者がふさわしいという安保の考えにより大塚芳忠が起用された[6] 。 一方、平林は『4』における武器商人が個性的な存在として人気があったことから、印象に残る演技が望ましいと考え、安保と話し合う中で、演技の幅や引き出しの多さから千葉繁を推薦したと2023年のファミ通とのインタビューの中で明かしている。インタビューに同席していた安保も、武器商人はゲームの中で頻繁に会うキャラクターであるため、千葉があいさつ一つとっても様々な演技をしてくれることで、何度会っても様々な側面を見られるという、深みのある武器商人になったと述べている。[20] 当初、レオンがやってきたときのセリフを「ようこそ」にした際、しっくりこなかったため、『4』と同じく「ウェルカム」に変更したと安保は2023年のインサイドとのインタビューの中で振り返っている。同席していた平林も、日本国外のファンからも武器商人のセリフが印象に残っていたことを挙げたうえで、それだけあのセリフが皆の印象に残っていたのだろうと述べている[6]。
サラザール役のチョーの演技について、ライターの重田雄一は、年相応にも老人にも聞こえる不思議な声だったと発売前にIGNに寄せた記事の中で述べており、個人的にはチョーが過去に演じた映画『ロード・オブ・ザ・リング』(吹き替え版)のゴラムを想起させると分析している[21]。
オリジナル版では敵キャラクターがスペイン語を話すという特徴があったものの、彼らのセリフには字幕がついていなかったため、日本のプレイヤーは敵キャラクターの話す内容を聞き取れず、やがて空耳[23][12][24][25][26]として流行した[注釈 4]。
本作においても敵キャラクターがスペイン語を話すという特徴は引き続き取り入れられており[20]、空耳のネタになったセリフに加え、新規のセリフも用意された[13][22]。ただし、これらの音声は本作向けに新録されたものであり、イントネーションの部分はネイティブに近づけるよう細心の注意を払ったと平林はAUTOMATONとのインタビューの中で話している[12]。
セパレート ウェイズ
「セパレート ウェイズ」は、『RE:4』本編に入りきらなかった原作要素のリメイクというコンセプトが据えられている[18]。もう一つの目的として、エイダが主体だからこそできる彼女の人間らしい面を描くことが挙げられており、熊澤は『RE:4』本編におけるクールなエージェントとしてのエイダと、「セパレート ウェイズ」におけるウェットな一面を合わせたのが本当のエイダだと表現している[18]。
また、『RE:4』本編のエイダはナラティブ感を優先させるため原作とは異なる衣装で登場するのに対し、「セパレート ウェイズ」ではファンにとってなじみのあるチャイナドレス姿で登場している[18]。
VRモードの導入
VRモードの企画は『RE:4』本編の発表が行われた2022年6月ごろから存在しており、本編のマスターアップが終わった2023年初頭から1年足らずの間に開発がすすめられた。プロデューサーを務めた熊澤雅登は「PlayStation Blog」とのインタビューの中で、タイトなスケジュールだったものの、本作の面白さをVRとして落とし込むためにこだわったとも語っている。[28]
本作のVRモードは『バイオハザード7』および『バイオハザード ヴィレッジ』のVRモードと同じく「RE ENGINE」が使われており、ディレクターは『バイオハザード7』のVRモードにも参加した山川恵介が務めたほか、本作のVRモードの開発初期には『バイオハザード ヴィレッジ』のVRモードのディレクターも手伝いに入った[28]。また、『バイオハザード ヴィレッジ』のVRモードはPlayStation VR2に対応していたため、同モードの開発で得た知見も活かされており、このような土台があったことも1年弱という短期間での作り込みを実現できたと山川は「PlayStation Blog」とのインタビューの中で振り返っている[28]。
一方、『バイオハザード ヴィレッジ』のVRモードでは一般人のイーサン・ウィンターズが事件に巻き込まれる体験を体感するというコンセプトだったのに対し、本作のVRモードでは戦闘のプロであるレオンになり切るという全く違うコンセプトが立てられており、かっこいい動作を盛り込むなど、こだわるところも『バイオハザード ヴィレッジ』とは異なる[28]。また、視点の変化に伴い、武器やキャラクターに関するシステムは一から作り直された[28]。
山川は力を入れたところの一つとして自分の両手を同時に動かせることでできることは可能な限り実現することを挙げており、その一例として「両手にナイフを持ってクラウザーに立ち向かう」という本編では不可能な遊び方をできるようにしたことを挙げている[28]。 加えてVRならではの遊び方も取り入れられており、たとえばトロッコの操作の場合、本編ではアナログスティックで動かしていたのに対し、VRモードでは実際に身体を動かしてバランスをとる遊び方に変更されている。もともとこの場面はスティックでレオンの体を傾ける仕組みだったが、VRなら自分の体でコントロールしたいという話が開発チームの中から出てこの方式に変更された[18][28] 当初は『RE:4』本編そのままVR化することを前提に開発を進めており、その検証として実際のレオンの背丈に合わせた高さに主観視点のカメラをつけてVR化してみたところ、もともと前のめりなガナードが小さく見えてしまうことが判明した。これでは迫力に欠けるため、カメラの位置をレオンの視点よりも若干低い位置に変更した。[18][28]
VR化にあたっては、銃の使い方にこだわり、ガンマニアでしかわからないような細かいネタや、スライドの引き具合によって効果音が変化するなどの演出が盛り込まれた[18]。また、銃の効果音もVR向けに録り直された[28]。このほかにも、爆風やトロッコの揺れなど空間全体に影響を及ぼす演出の際は、ヘッドセットフィードバックの振動による表現が取り入れられた[28]。
Chainsaw Demo
『バイオハザード RE:4 Chainsaw Demo』(バイオハザード アールイーフォー チェーンソー デモ、英語表記:BIOHAZARD RE:4 Chainsaw Demo、英語版タイトル:Resident Evil 4 Chainsaw Demo)は、『バイオハザード RE:4』の体験版である。2023年3月20日より各プラットフォームにて配信された。
体験版独自のモードとして超高難易度のMad Chainsaw Mode(マッド・チェーンソー・モード)が収録されている。ニューゲームの際、低確率のランダムのほか、隠しコマンドの入力によって出現する。
アニメPV
短編アニメ『バイオ名作劇場 ふしぎの村のレオン』が、YouTube『biohazard』で配信された。制作はカプコン、制作協力は日本アニメーション。全3話。あるあるや空耳をまとめた内容となっている[24]。
日本アニメーションとタッグを組んだのは、プロモーションチームから世界名作劇場シリーズで知られる同社と、『バイオハザード4』が“名作”と言われていたことにちなんで 組んでみてはどうかと提案されたことがきっかけだと熊澤は4Gamer.netとのインタビューの中で明かしている[18]。カプコン社内での盛り上がりを受け、日本アニメーションに提案したところ承諾され、バイオハザードシリーズと世界名作劇場シリーズ双方の既視感を織り交ぜた内容に仕上がった[18]。なお、「怖くない」プロモーションは『バイオハザード ヴィレッジ』でも行われていたが、あちらは多くの人に手に取ってもらうという目的だったのに対し、本作の場合は日本アニメーションの著名なIPがフックになることへの期待に由来している[18]。
話数 | サブタイトル | 配信日 |
---|---|---|
第1話 | アシュリーを探して | 2023年 3月20日 |
第2話 | ふたりの約束 | 3月22日 |
第3話 | 助けて おじいさん | 3月23日 |
評価
批評
Metacriticによれば、本作は批評家から「普遍的な称賛」を得た[29][30][31]。
ファミ通1791号のクロスレビューで9/9/9/10で40点満点中37点を獲得し、プラチナ殿堂入りした[32]。
売上
発売から約1年後の2024年3月13日、全世界での販売本数が700万本に達した[33]。
脚注
注釈
出典
- ^ “『バイオハザード RE:4』が648万本販売 カプコンの歴代販売本数トップ10に着実に迫る”. IGN Japan (2024年1月17日). 2024年5月11日閲覧。
- ^ “【Steam版】動作環境はどのようになっていますか? (バイオハザード RE:4)”. www.capcom.co.jp. 2024年5月7日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2023年3月24日). “「バイオ4」のリメイク作、「バイオハザード RE:4」が本日発売! カメラ視点は3人称視点となる「ビハインドビュー」を採用”. GAME Watch. 2023年11月28日閲覧。
- ^ “18年前発売「バイオハザード4」に今年再注目のなぜ”. 東洋経済オンライン (2023年1月28日). 2023年11月28日閲覧。
- ^ “『バイオ4』リメイク『BIOHAZARD RE:4』は「PS4」にも対応へ”. 電ファミニコゲーマー(株式会社マレ) (2022年9月15日). 2022年9月16日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “『4』のリメイクはできればやりたくなかった?『バイオハザード RE:4』平林Pと安保Dが名作リメイク開発のプレッシャー語る【インタビュー】”. インサイド. イード (2023年3月3日). 2023年3月3日閲覧。
- ^ 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。「追加DLC
」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません - ^ “Resident Evil 4: Separate Ways”. IGN (September 26, 2005). October 15, 2007時点のオリジナルよりアーカイブ。September 29, 2023閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “『バイオハザード RE:4』新映像が公開! 日本語ボイス出演者も判明【State of Play】”. 電撃オンライン (2023年2月24日). 2023年3月3日閲覧。
- ^ “主人公レオンや舞台となる閑村のアートも!『バイオハザード RE:4』続報公開”. 電撃オンライン (2022年6月14日). 2023年11月28日閲覧。
- ^ “三上真司は『バイオハザード4』をリメイクするならストーリーを改善してくれたらうれしいと考えている”. IGN Japan (産経デジタル). (2022年2月6日) 2022年2月7日閲覧。
- ^ a b c Aya Furukawa (2022年10月21日). “『バイオハザード RE:4』開発者ショートインタビュー。QTEの変化や“空耳要素”など細かい部分を訊いた”. AUTOMATON (アクティブゲーミングメディア) 2022年11月14日閲覧。
- ^ a b c d e “『バイオハザードRE:4』プレイ映像&インタビュー:原作のよさを残してリファインされた要素に期待大!”. VジャンプWEB. 集英社 (2022年10月21日). 2022年11月14日閲覧。
- ^ “「バイオハザード RE:4」先行体験レポート&平林プロデューサーインタビュー ディープな「バイオ4」ファンでもきっと戦慄する恐怖! 重大な変化を超深掘り(2ページ目)”. GAME Watch (インプレス). (2022年10月21日) 2022年11月14日閲覧。
- ^ a b c d e f 渡邉卓也 (2023年3月2日). “『バイオハザード RE:4』平林P&安保Dインタビュー「カッコいいアクションが自然に溶け込むゲーム」に進化”. IGN Japan. 2023年3月3日閲覧。
- ^ a b “[インタビュー]「バイオハザード RE:4」では新たな体験,ゲームプレイのバリエーションを用意している。平林良章P&安保康弘Dに話を聞いた”. 4Gamer.net. Aetas (2023年3月3日). 2023年3月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g Furukawa, Aya (2023年3月2日). “『バイオハザード RE:4』平林P&安保Dに、新システムなど気になるアレコレを訊いた。「遊び心」も継承するリメイク”. AUTOMATON. アクティブゲーミングメディア. 2023年3月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “[インタビュー]「バイオハザード RE:4 ゴールドエディション」が2月9日リリース。平林良章氏と熊澤雅登氏にプロジェクトを振り返ってもらった”. 4Gamer.net. Aetas (2024年2月8日). 2024年2月8日閲覧。
- ^ a b “ナイフの扱いにサブクエスト、見えてきた「バイオハザード RE:4」の新要素とは? プロデューサー平林良章氏、ディレクター安保康弘氏にインタビュー”. GAME Watch. 株式会社インプレス (2023年3月3日). 2023年3月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “『バイオハザード RE:4』最新プレイ映像+インタビュー。クラウザーの右腕には『ダークサイド・クロニクルズ』を連想させる傷が……”. ファミ通.com (2023年3月3日). 2023年3月6日閲覧。
- ^ a b 重田雄一 (2023年3月3日). “『バイオハザード RE:4』とオリジナル版「バイオ4」を比較する動画が公開 雰囲気が少し変わったサラザール、クラウザーとのナイフバトルを収録”. IGN Japan. 2023年3月6日閲覧。
- ^ a b c d e f “『バイオハザード RE:4』平林Pにインタビュー。「“死を逸(かわ)し、倒す快感”というものをキーワードにしています」”. ファミ通.com (KAKOKAWA Game Linkage). (2022年10月21日) 2022年10月21日閲覧。
- ^ “「ウ◯コだ捨てろ!」「あーりえんな」…『バイオ4』の有名空耳は『バイオハザード RE:4』でも生き残っているのか?”. Game*Spark. イード (2023年3月26日). 2023年11月28日閲覧。
- ^ a b 片岡龍一 (2023年3月20日). “「ペラペラソース」などの空耳ネタも!ほのぼのとした『世界名作劇場』風に『バイオハザード RE:4』を描くアニメPVが公開”. IGN Japan. 2023年11月28日閲覧。
- ^ “おっぱいのペラペラソース!『バイオハザード4』リメイクで再注目、伝説の空耳集”. マグミクス. 2023年11月28日閲覧。
- ^ “『バイオハザード RE:4』「ペラペラソース」「どですか?」などの空耳ネタは週刊ファミ通発祥って知ってた?”. ファミ通.com (2023年3月27日). 2023年11月28日閲覧。
- ^ “「もちっとした餃子」はリメイクでどうなる?『バイオ4』で大流行した“空耳ミーム”たち”. インサイド (イード). (2022年6月16日) 2022年7月9日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “レオンが挑む過酷な救出劇がVR空間で蘇る──PS VR2『バイオハザード RE:4 VRモード』開発インタビュー!”. PlayStation.Blog 日本語 (2023年12月7日). 2024年2月8日閲覧。
- ^ “Resident Evil 4 for PC reviews” (英語). www.metacritic.com. 2024年3月13日閲覧。
- ^ “Resident Evil 4 for PlayStation 5 reviews” (英語). www.metacritic.com. 2024年3月13日閲覧。
- ^ “Resident Evil 4 for Xbox Series X reviews” (英語). www.metacritic.com. 2024年3月13日閲覧。
- ^ “バイオハザード RE:4 (PS4)のレビュー・評価・感想”. ファミ通.com (2023年3月24日). 2023年4月11日閲覧。
- ^ “『バイオハザード RE:4』が発売から約1年で700万本を突破!~ 継続的なコンテンツ投入により、順調に販売本数を伸長 〜 | プレスリリース | 株式会社カプコン”. www.capcom.co.jp. 2024年3月13日閲覧。
外部リンク
- BIOHAZARD RE:4 - CAPCOM公式サイト