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論理療法

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論理療法(Rational Emotive Therapy)は、アメリカ心理療法アルバート・エリス(Albert Ellis)によって創始された心理療法の一つである。

人の悩みは出来事そのものではなく出来事の受け取り方によって生み出されるものであり、受け取り方を変えれば悩みはなくなるというのが基本的なスタンスである。

論理療法の中心概念はイラショナル・ビリーフ(不合理な思い込み)である。「失敗してはならない」「すべての人に愛されなければならない」「世の中は公正でなければならない」などという思いを持っていると、それらが満たされなかったときに悩むことになる。イラショナル・ビリーフは以下のような特徴がある。

  • 事実に基づいていない
  • 論理的必然性がない
  • 気持ちを惨めにさせる

イラショナル・ビリーフは願望(~ねばならない、~であって欲しい)と事実を混同することから起こっている。このような混同を論理的に否定し、ラショナル・ビリーフ(合理的信条)へと変えてゆくのが論理療法の役割である。ラショナルビリーフは

  • 事実に基づいている
  • 論理性がある
  • 人生を幸福にする

ラショナル・ビリーフの例は「失敗しないほうがいいが人間だから失敗することもある。失敗から学ぶべきである」「人に愛される・愛されないとは関係なしに具体的になにかをするべきである。その結果人が愛してくれればありがたいし、愛されなくとももともとである」などである。

参考文献

カウンセリングの理論 國分康孝・1981年・誠信書房 ISBN 4414403081

関連書籍

訳書

  • Edelstein, M. R. & Steele, D. R. (1997) Three minute therapy: Change your thinking, Change your life.
    • (エデルシュタインM.R.・スティールD.R.(著) 城戸善一(監訳) 2005 論理療法による三分間セラピー:考え方しだいで、悩みが消える 東京:誠信書房)
  • Dryden, W. (1994) Invitation to rational: Emotive psychology.
    • (ドライデンW.(著) 國分康孝・國分久子・國分留志(訳) 1998 論理療法入門:その理論と実際 東京:川島書店)
  • Dryden, W. & DiGiuseppe, R. (1990) A primer on rational‐emotive therapy.
    • (ドライデンW.・デジサッピR.(著) 菅沼憲治(訳) 1997 実践論理療法入門:カウンセリングを学ぶ人のために 東京:岩崎学術出版社)
  • Waren, S. R., DiGiuseppe, R. & Dryden, W. ()  A practioner's guide to Rational-Emotive Therapy.
    • (ワレンS.R.・デジサッピR.・ドライデンW.(著) 菅沼憲治(監訳) 2004 論理療法トレーニング:論理療法士になるために 東京:東京書籍)
  • Yankura, J. & Dryden, W. (1994) Albert Ellis.
    • (ヤンクラJ.・ドライデンW.(著) 國分康孝・國分久子(監訳) 1998 アルバート・エリス 人と業績:論理療法の誕生とその展開 東京:川島書店)


和書

  • 日本学生相談学会(編) 今村義正・國分康孝(編集) 1989 論理療法にまなぶ:アルバート・エリスとともに・非論理の思いこみに挑戦しよう 東京:川島書店
  • 伊藤順康(著) 1990 自己変革の心理学:論理療法入門 東京:講談社
  • 國分康孝(編) 1999 論理療法の理論と実際 東京:誠信書房
  • 石隈利紀・伊藤伸二(著) 2001 論理療法と吃音―自分とうまくつき合う発想と実践 東京:芳賀書店
  • 岡野守也(著) 2004 唯識と論理療法:仏教と心理療法・その統合と実践 東京:佼成出版社
  • 石隈利紀・伊藤伸二(著) 2005 やわらかに生きる:論理療法と吃音に学ぶ 東京:金子書房


関連項目

外部リンク