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遊び

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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遊びあそび

  1. 遊びは、楽しむ、娯楽、休養、リラックス、ストレス (生体)解消などの目的で生物がする行動の総称。普通は生命活動を維持するのに直接必要な食事睡眠や、自ら望んで行われない労働などは含まれない。以下、この項目で詳述。
  2. 遊びとは、工学などにおいて作られる、ある一定のたゆみ、ゆるみ、余白のこと。これを作ることを「遊びを持たせる」という。ハンドル等、機械で人間が操作する部分の遊びは、不覚筋動を機械の動きに反映させないという効果がある。

概要

ほとんどの高度な知性を持った動物には、主に成熟前に遊びが見られる。これは生物が生きていく上で必要な体力、知識、経験などを自然に得るために備わった性質だと考えられる。動物は遊びの中で狩りコミュニケーションの方法を学んでゆく。ヒトは成熟後も遊びを行なうのが一般的である一方、ヒト以外の動物は成熟するとあまり遊ばなくなるが、ペット化(家畜化)されたなどの動物は成熟後も遊びたがる傾向があるようであり、野生動物でもカラスには、成熟した個体に遊びと思われる行動が見られる。

人間の遊び

他の高度な知性を持った動物に比べ、人間(ヒト)は特に遊びが多様化、複雑化しており、成熟後も遊びを多く行ない、生きていく上ではまったく不要と思われるような遊びも多く見受けられる。これを他の生物との区別と捉える考えがある。遊びは大きな文化として確立しており、また商品の売り手にとっても市場を左右する要因としても重要である。個人の日常化した遊びを特に趣味と呼ぶ。遊びは個人の性質に大きく左右されるので、全ての人間に共通して楽しまれる遊びはない。

人間は他人から強制されて勉強や訓練されるのは苦痛だが、遊びの中で習得していくことは楽しい。そのため、遊びながら学習する方法がとられることがある。

オランダの歴史家ホイジンガ(ハイツィンハ)は著書『ホモ・ルーデンス』で、子どもの遊びだけでなく、企業活動、議論、戦争、人の活動のあるゆる局面に遊びのようなルールと開始と終わりのあるゲーム的性格が見られると指摘しており、「人は遊ぶ存在である」という所説が評判を呼んだ。フリードリッヒ・シラーも、「人は遊びの中で完全に人である」という有名な言葉を著書『人間の美的教育について』において残している。


遊びの種類

遊びは非常に多岐にわたっており、適当に分類することは難しい。遊びには自然発生的に形成され、世代や地域ごとに伝えられていくものと、パッケージ化・商品化して提供されるものがある。パッケージ化されたものは人間の創造力の成長を阻害するとして、批判の対象にされることもある。

フランスの思想家、ロジェ・カイヨワホイジンガの著書「ホモ・ルーデンス」に影響を受け、「遊びと人間」を執筆した。その中でカイヨワは遊びを次の4つに分類している。

カイヨワの説は遊びはこれらの4つの区分に分けられるとしたものであったが、遊びは必ずしもこれらの単一の要素からなるものではなく複数の要素を含むものも多いとする説もある。

参考文献

  • 安田武『「遊び」の論』永田書房 1968年
  • ロジェ・カイヨワ『遊びと人間 増補改訂版』講談社 1971年
  • 多田道太郎『遊びと人間』筑摩書房 1978年
  • ジャック・アンリオ『遊びー遊ぶ主体の現象学へ』(新装版)白水社 2000年
  • 増川宏一『遊戯 その歴史と研究の歩み』ものと人間の文化史134 法政大学出版局 2006年

関連する記事

遊ぶための専用の場所・施設・地域が設けられる場合もある。ただし大人の遊び場ではフラストレーション発散などの、別の意味を含む。

外部リンク