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コンプレックス

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コンプレックス(独:komplex 英:complex)とは、基本的な意味では「複合」「複雑」である。日本語としては、心理学精神医学用語としての用法が代表的であり、この場合「感情複合」すなわち「フィーリング・トーンド・コンプレックス(Feeling Toned complex)」とも呼ばれる。もっとも、この意味でのコンプレックスは、フロイト派、アードラー派、ユング派など、深層心理学諸学派のあいだでだけ流通する概念であって、心理学や精神医学の世界で広く受け入れられているわけではない。

他に、技術分野での用語として、プラント複合体(いわゆる、コンビナート)を「プラント・コンプレックス」と呼ぶことがある。数学では複体を意味する。化学では錯体を意味する。

本稿では深層心理学用語としてのコンプレックスについて述べる。

深層心理学におけるコンプレックス

この語を、最初に精神医学に持ち込んだのはヨーゼフ・ブロイアーであるらしい。しかし、この語を有名にしたのはユングである。ユングの定義によれば、コンプレックスとは、何らかの感情によって統合されている心的内容の集まりである。ある事柄と、本来無関係な感情とが結合された状態であり、これを「心的複合体」とも訳す。

  • 日本では、早くから西洋医学の導入と共に、フロイトの精神分析もまた心理学・精神医学上の学説として入って来ていた。フロイトの精神分析においては、「エディプス複合エディプス・コンプレックス)」が中心的な位置を占めていたが、元々西洋人の意識・無意識の動力学理論でもあった精神分析は、日本人の心理には余り適合しなかった。

戦後、アメリカより、アルフレート・アドラーの「人格心理学」が日本に入ってきたが、アードラーの理論は、「劣等複合(inferiority complex)」を理論の中心に置いており、劣等複合の克服を通じて、人格の発達が成立するとしたアードラーのこの理論は、日本人には親しみのある内容であった。そのため、戦後、日本においては、フロイトの理論よりも、アードラーの理論が流通し、又、その理論の中心概念である「劣等複合」が一般になった。

「劣等複合」とは「劣等コンプレックス」の事であるが、アードラーの理論の一般的な受容と、とりわけ、このコンプレックスが日本において流布したため、コンプレックスの名で、「劣等複合」を指すような日常の用語法が生まれた。日本においては、現在でも、なお、「コンプレックス」と言えば、暗黙に「劣等コンプレックス」の事を指す傾向があり、更に、精神分析の用語から離れて、「コンプレックス」を「劣等感」の同義語とするような誤用も生まれ、今に至っている。なお、劣等感とは劣等なものを合理的に認めるものであるため、劣等コンプレックスを克服したものであるとも言える事に注意しなくてはなるまい。

さらに分析心理学フェティシズムがコンプレックスがほぼ同義であるため、フェティシズムの分野にもコンプレックスという用語が使われる事もある。この場合、正確には「あるフェティシズムから想起されるコンプレックス」の事を意味する。

心理学的コンプレックスからの派生事例

一般的な用例