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ロケット砲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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M270 MLRS ただし、これはロケット砲ではなく自走式ロケット発射器である

ロケット砲(-ほう)とは、後部の推進剤で高速に飛行するロケットに爆薬を乗せたロケット弾を発射する。同じくロケット弾を発射する一般的なロケット発射器(ロケットランチャー)とは構造が異なり、明確に分類される。

概要

この兵器にて使用される弾丸(発射物)はロケット弾と呼ばれ、推力を持ち、自力で飛翔する能力のあるものも含まれる。なおロケット砲の場合は、火薬の燃焼ガス(大抵はロケット弾内部の推進剤だが、別に発射用の炸薬が使われる場合がある)によって加速・発射される。

ロケット弾を発射する装置には薬室と尾栓がある「ロケット砲」(ガン)とそれが無い「ロケット発射器」(ランチャー)があり、配備数では後者の方が圧倒的に多い。外見が普通の大砲に似た尾栓のあるロケット砲では、砲身や砲架に一定の強度が必要とされ、射程や命中精度に勝るもののコストが高いが、尾栓の無い発射器では発射ガスを受け止める必要が無く軽く作ることができ、一般的に安価で生産性に優れる。ただしロケット発射器では後方に噴射炎(バックブラスト)があるため、取り扱いに注意が必要とされる。

ロケット発射器の場合は、発射時に周囲に大量の噴射炎が発生するため、遠距離からでも発射を確認しやすい。また発射直後の噴射炎が砲周辺を焦がす事があるため、発射中は近くに居られない。 なお通常の砲の砲弾にロケットブースターを追加した物もあり、こちらは砲の能力不足から発射できない重量のある弾丸をより速い速度・長い距離に打ち出すために利用される。

ロケット発射器とロケット砲の歴史

ファイル:Russian artillery fire in Berlin.jpg
BM-13カチューシャロケット発射器を搭載したスチュードベイカートラック(1945年4月、ベルリン
博物館に展示されるカチューシャロケット発射器を搭載したスチュードベイカートラック (Studebaker US6)
側面から見たカチューシャロケット発射器を搭載したスチュードベイカートラック


過去に使用された実際の兵器には牽引式の他、自走式のロケット発射器およびロケット砲もあった。

この種の兵器を初めて運用したのは火薬を発明した中国であり、火箭とよばれた簡単なロケット発射器であった。現在でも中国ではロケットにこの名称が当てられている。そして、おそらくイスラム世界を通じてこの兵器に関する技術が西欧に入り、コングリーヴ・ロケットとして実用化された。これはアメリカ独立戦争などでイギリス側の兵器として用いられた。火箭同様に巨大なロケット花火のような風体をしており、姿勢の安定は後部に伸びた"棒"によって行われた。

大砲の発展により精度の劣るロケット兵器は一時衰退したが、第二次世界大戦では多数のロケット発射器と、少数のロケット砲が実戦使用された。ソ連のカチューシャはトラックに多連装ロケット発射器を載せたもので、一斉に小型ロケット弾を投射して地域制圧射撃を行い、「スターリンのオルガン」と呼ばれドイツ軍に恐れられた。一方のドイツ軍は、より大型で一発あたりの破壊力が大きいロケット弾を発射する、各種のネーベルヴェルファー(直訳すると煙幕発射器であるが、機密保持のための暗号名)ロケット発射器を使用し、こちらも一部は装甲ハーフトラックに搭載された。同じドイツ軍のシュトルムティーガーは、スターリングラード攻防戦で頑強な農業サイロを破壊できなかった反省から開発され、もともと海軍の対潜用だった38cmロケット臼砲を搭載し、陣地・建物破壊用に用いられた。この他、歩兵用の小型対戦車ロケット砲として8.8cm「プップヒェン」が使用されている。

また、日本海軍でも艦載用として12cm28連装噴進砲が開発され、マリアナ沖海戦後の残存空母(瑞鶴瑞鳳隼鷹等)に搭載され、レイテ沖海戦で使用された。なお日本軍ではこの手の兵器を噴進「砲」と名づけてはいたが、構造的には噴進弾「発射器」=ロケットランチャーであった。

主なロケット砲

ドイツ
日本
  • ホ-301

主なロケット発射器

旧ソ連・ロシア
アメリカ
ドイツ
日本

※個人携帯式。対戦車兵器。

関連項目