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堅信

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堅信(けんしん、ラテン語:Confirmatio)とはキリスト教の多くの教派で行われる儀式。宗派によって堅信の概念は異なるが、一般的には「すでに洗礼をうけたものが一定期間の信仰生活を送ったあとで、自らの信仰を確かなものとして宣言する」という意味がある。

カトリック教会では堅信は秘跡であり、多くの場合、幼児洗礼を受けたものが思春期になってから受けるため、文化によっては成人儀礼の一種とみなすものもある。このような意味合いを持つため、成人洗礼の場合は洗礼と同時に堅信を受けることも一般的である。

東方正教会でこれに相当する機密(秘蹟)は傅膏(ふこう、Chrismation)という。「あぶらを塗る」という意味である。幼児の洗礼でも洗礼機密に引き続いて行なわれるため成人儀礼という意味合いは無い。傅膏機密を参照。

堅信の概念

カトリック教会における堅信

カトリック教会では堅信は七つの秘跡の一つである。堅信はさらなる恵みを与え、個人の魂を神と結びつけるものであると考えられている。堅信は神からの恵み、知恵を受けるため『ヨハネによる福音書』の8章32節のイエスのことば「あなたたちは真理を知るようになる」の成就であるとされる。

堅信を受けるものは聖霊の恵みを受けることができるとされているが、現代では「キリストの証人」という意味づけが強調される。かつては堅信を受けることでキリスト教を守る「キリストの兵士」になるという意味づけがなされていたが、現代ではそのような考え方は用いられていない。

カトリック教会では堅信を授けることができるのは司教の権能であるとされている。司祭が堅信を授けるには司教からの特別な許可が必要になる。堅信を受けることができるのは秘跡の意味が十分に理解できるようになってからである。また、洗礼と同時に堅信を受ける際には行われないが、通常の堅信の際には男性なら代父、女性なら代母の付き添いを受け、洗礼名と同じように堅信名を選ぶ。堅信名は洗礼名と同じでも別のものでもかまわない。

堅信の権能は12使徒に由来し、叙階を通じて連綿と続いていると考えられているため、カトリック教会では東方正教会と東方典礼教会で授けられた堅信も有効なものであるとみなしている。このような考え方にしたがって東方教会からの改宗者ですでに堅信を受けているものは堅信を受ける必要はないが、プロテスタントからの改宗者は堅信を受けることになっている。

カトリック教会では堅信をうけることによって魂に消えることのない霊的な印を受けると考えている。このため堅信を二度受けるということは秘跡に対する冒涜にあたるとみなされる。

プロテスタントにおける堅信

ほとんどのプロテスタント教会において堅信は秘跡でなく、単なる象徴的な儀式である。このため、カトリック教会ではプロテスタント教会で授けられた堅信を有効なものとはみなしていない。プロテスタントの信徒がカトリックに改宗すると洗礼を受けなおす必要はないが、あらためて堅信を受けることになる。

堅信の一回性

基本的に堅信は一回のみ受けられる儀式である。特にカトリック教会では洗礼、堅信、叙階は一回しかうけられず、受けることで霊的な印をうけると考えるため、取り消すことができない秘跡であるとみなしている。すでに堅信を受けた東方教会の信徒がカトリックに改宗した場合、堅信を受けなおす必要はない。一方、洗礼がそうであるように、適切な形式をとっていない堅信(傅膏)が認められないことはありえる。プロテスタントの堅信をカトリックは認めない。逆にカトリック信徒として堅信を受けた場合であっても、正教会に改宗した場合は、正教会がカトリックの堅信を認めないため傅膏を受ける必要がある。

関連項目