ロッパの悲食記
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「ロッパの悲食記」は古川ロッパの随筆。1959(昭和34)年8月学風書院から発行
内容
食通のロッパにふさわしく全編食に関する内容である。
Ⅰ 悲食記 昭和十九年の日記抄
Ⅱ 食談あれこれ
1・想い出
2・氷屋ぞめき
3・清涼飲料
4・駄パンその他
5・うどんのお化け
6・下司味礼賛
7・食べたり君よ
8・牛鍋からすき焼きへ
9・甘話休題
10・色町洋食
11・ああ東京は食い倒れ
12・冨士屋ホテル
13・神戸
14・このたび大阪
15・八の字づくし
16・浅草を食べる
Ⅲ 食日記 昭和三十三年の日記抄
概論
第一部「悲食記 昭和十九年の日記抄」はこの随筆の中でも圧巻である。食糧事情が悪化した大戦末期の世相下、「食」にこだわるロッパの悲惨な姿が生々しく描かれており、ロッパの長男古川清「最早悲しくて涙も出ない。」と記している。ロッパ自身が日記を大幅に改編しているので、「古川ロッパ昭和日記」とは内容が異なる部分が多い。闇の食についても書かれているなど戦時下の生活を知る貴重な史料である。 第二部は食に関する想い出話や和食洋食中華料理の蘊蓄、大阪、神戸、名古屋の食について、すき焼きの由来などが書かれている。ここではロッパ自身が洋菓子や海老が好きでマグロは嫌い。江戸っ子なのに大阪風の味付けの寿司を好むなど好き嫌いが激しいことを述べていて興味深い。 第三部は昭和三十三年の日記、すでにロッパの人気は凋落し自身病気に苦しんでいたが、食に対する欲望は衰えていない。小林信彦は「食べ物の本は、ちかごろ、数が多いが、これほど壮烈なのは珍しい。」と評している。
なお1983(昭和58)年六興出版から、2001(平成13)年筑摩書房からそれぞれ復刊された。