小野吉郎
表示
小野 吉郎(おの きちろう、1902年1月2日 - )は昭和期の逓信官僚。元郵政事務次官、日本放送協会(NHK)第11代会長。広島県広島市出身。
来歴・人物
広島商業学校、大阪高等商業学校を経て1931年、九州帝国大学法学部卒。逓信省に入省し札幌鉄道郵便局長、広島逓信局経理局長、中華民国臨時政府副郵務長(華北郵政総務計画課長)、大連関東逓信局長などを経て1951年、郵政省貯金局長、1955年同簡易保険局長などを歴任の後、1956年郵政事務次官就任。30代で大臣に初就任(郵政大臣)した田中角栄が進める放送局の免許大量交付や新聞社とテレビ局との統合系列化他に協力した。1959年、日本放送協会(NHK)専務理事、1964年同副会長を経て1973年、田中に抜擢され第11代NHK会長に就任。
会長在任中の1976年8月、田中がロッキード事件で逮捕される。小野は保釈中だった田中を見舞うとこれが大きな問題となった。NHKに抗議が殺到し受信料支払い拒否者が急増、日本放送労働組合の運動などで小野は同年9月引責辞任に追い込まれた。NHK初の大きなスキャンダルであった。NHKの会長はこれ以降、池田芳蔵以外は内部昇格となっている。また当時「ニュースセンター9時」のキャスターだった磯村尚徳が、小野辞任の日にNHKがこの事件を積極的に報じなかったことを独断で視聴者に謝罪、新しいキャスター像を作り上げたといわれている。(朝日新聞、2007年8月22日)
参考文献
- 『新日本人物大観』(広島県版)人事調査通信社 1959年