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超高層建築物

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超高層ビル(ちょうこうそうビル)とは、著しく高いビル、あるいは建築様式のことである。正式には「超高層建築物」と呼ぶ。

世界一高い超高層ビルの台北国際金融大楼(台北101
世界第2位の高さで、世界一高いツインビルでもあるペトロナスツインタワー
現在の超高層ビルの高さ順位(含アンテナ高)左からシアーズタワー台北101ペトロナスツインタワーエンパイアステートビルディング

概要

英語ではSkyscraper(スカイスクレイパー、「空 (sky) を削る (scrape) もの」の意)、またはSpire(スパイア)などと表され、建物に命名する場合は『』を意味するTower(タワー)を用いる事もある。日本語ではSkyscraperの訳語で摩天楼という呼び名もある。また、建物の縦横比において、縦の数値が大きければ大きい程美しいと言われる[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。日本の超高層ビルは、縦横比が1:3前後の建物が多い[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。なお、シカゴ大学をはじめ1990年代から具体的に現在研究が進められている高さが1000mを超えるビルは、超々高層ビルもしくはハイパービルディングという。世界で最も高い超高層ビルの推移は、50年以上の長きにわたりアメリカが世界一を占めていたが、近年の東南アジア東アジアの経済力の発展に伴ってその座を譲り渡している。

耐震構造

地震や風圧対策(耐震構造)は、従来の建築物では『剛構造』という地震や風圧に耐える構造(ヒトが走行中の列車内で脚を踏ん張って揺れに耐える原理を応用した)が求められてきたが、超高層ビルでは地震の揺れや風圧にある程度建物を任せる『柔構造』の建築がほとんどである。さらに、昨今建設される超高層ビルでは、基礎部分に油圧装置(油圧ダンパー)を取り付ける、柱の中に低降伏点鋼を挟む(制震柱)、建物の上部にダンパーと呼ばれる錘(おもり)を取りつけたりして揺れを軽減する、等の方法(いずれも制震構造)を採用している。

また、基礎と上部建築物を切り離し、構造物の間に積層ゴムやベアリングを媒介して、横揺れそのものを逃す方法(免震構造)も開発されている。

免震構造については古い構造基準で建設された老朽化しているビルにも有効であり、免震レトロフィット(改良、後付)工法もあるほどである。ただし、この工法は基本的に柱を切断しジャッキアップしたうえで積層ゴムやベアリングを取り付けるものなので、1階部分が空洞(駐車場や駐輪場など)であり、かつ十分な敷地が確保できる場所で重量の負担が一定のレベルを超えないことが条件とされている。

長周期地震動との共振の可能性

超高層ビルの固有振動周期は低層の建物に比べ長いので、地震動の周期の長い海溝型巨大地震の地震動との共振の可能性が最近は指摘されるようになった。日本で超高層ビルが建築されるようになってからの歴史が浅いので、実際の海溝型巨大地震を経験した超高層ビルはないので経験的予測はできず、シミュレーションに頼るしか予測はできない。2007年7月16日の新潟県中越沖地震では、六本木ヒルズの高層階用エレベーターが長周期地震動で緊急停止した。

超高層ビルの意味

超高層ビルは規模にもよるが、多くの場合巨大な需要能力を有するので、再開発事業などを起案する際などに区画整理後の敷地へ建設される建物にこの建築様式が採用される事が多い。

超高層ビルの建てられる条件としては、不動産価格が高い土地に事業者が投資しようとする場合、その回収方法として多層の建築を設けて収益を得ようとする事から結果的に超高層ビルになる場合や、限られた土地に許容を超えた収容を想定する場合、土地や都市、国などのランドマークシンボル)として建設する場合などが挙げられる。また超高層ビルは周囲からも抜き出た高さとなる事も多く、社会的に影響も大きい事から高い意匠性を求められると同時に、ビル建築主やビルを使用するテナントブランドイメージをも決定する場合もある。更にその意匠が周辺地域から認められない時には、多くは計画段階時に是正を求められるか、最終的には訴訟にまで発展する場合もある。

超高層ビルは結果的に、現在ではその国や都市、企業の経済力や技術力を示す指標ともなっているが、昨今の特に先進国では消費社会から環境社会への転換が図られようとしており、その中で莫大なエネルギーを消費する超高層ビルは効率性が疑問視されている面もある。また居住者への精神的或いは肉体的な影響なども懸念されており、特に高層住宅の場合、居住者の立場によっては周囲や地区の住環境も悪化すると言った研究報告もあるなど、課題も抱えている。

世界の超高層ビル

現在、世界で最も高いビルは、2004年竣工で台湾台北市信義区にある、地上101階建て、高さ508m台北101(TAIPEI 101)である。

世界各国においての超高層ビルは、建物が建設される土地の広さに対しての建築物の増床方法などと言った、必要性に基づいた機能面のみならず、海外に対して国力や企業力の誇示、一都市の成熟度を示すランドマークとしての機能と言った様な政治的に利用される事も多々ある[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。


アジアの超高層ビル

1960年代まで主にアメリカの独壇場であった超高層ビル建設は、次第にアジア地域の経済的な発展と共に移ってゆく。東京霞が関ビルディング(147m)や世界貿易センタービル(162.6m)、京王プラザホテル(170m)、神戸神戸商工貿易センタービル(107m)をはじめ、香港ジャーディーン・ハウス(Jerdine House:怡和大廈、178.5m)、シンガポール華僑銀行センター(Overseas Chinese Banking Corp Center:201m)などがその最初である。日本では1970年代から1980年代にかけては東京での超高層ビル建設が著しく、その筆頭となるのは新宿区角筈地区(現:西新宿)にあった淀橋浄水場跡地の再開発により建設された新宿副都心の超高層ビル群や、竣工当時は東アジアで最も高いビルとなった豊島区東池袋サンシャイン60(240m)であった。

日本

大阪・大阪ビジネスパーク
東京・新宿副都心

中華人民共和国

中華人民共和国では、1978年に始まる中国共産党鄧小平が指揮する経済開放路線により1980年経済特区深圳珠海汕頭厦門(後に海南省)に設定された。その後1984年経済技術開発区が臨海部の各地に設定され、この動きに上海広州などの大都市が加わると外国資本の流入から諸都市の著しい発展を見る。中国では地方の天津重慶長春青島大連成都武漢瀋陽厦門と言った都市でも多く超高層ビルが建設されている。

香港

香港の特に香港島北部に位置する中心街は、地勢が山がちで平地が少ないこともあり、無数の超高層ビルが短期間の内に建設された。1970年代から1980年代、工業主体から転換し金融及び貿易都市として急激に発展していた香港では、大量のオフィスや住宅需要を賄うため、中心部のみならず九龍(Kowloon)地区や新界(New Terittories)、ランタオ島などの郊外にも大量に超高層のオフィスや住宅が建てられた。香港は結果的にアメリカ合衆国、ニューヨーク市のマンハッタン地区に次ぐ、世界でも二番目に超高層建築の集積率が高い都市へと成長している。

1990年、香港島の金鐘(Admiralty)地区にイオ・ミン・ペイ(I.M.Pei:貝聿銘)設計の中国銀行タワー(Bank of China Tower:367.4m)が完成し、これはアジアで初めて300mを超える超高層ビルとなった。続いて、1992年に灣仔(Wan Chai)地区に中国銀行タワーの高さを超える、デニス・ラウとン・チュンマン(Dennis Lau & Ng Chunman:劉榮廣&伍振民)設計のセントラルプラザ(Central Plaza:中環廣場:374m)が完成する。この他にも1998年完成のザ・センター(The Center:中環中心:346m)や、2006年完成のニーナタワー(Nina Tower:如心廣場:318.8m)など、300m超の超高層ビルが多く建設されている。

中国銀行タワーと並び、1985年に完成したノーマン・フォスター(Norman Foster)設計の香港上海銀行・香港本店ビル(HSBC Headqarters:178.8m)や、1988年に完成したポール・ルドルフ(Paul Rudolph)設計のリッポーセンター(Lippo Centre:力寶中心:186m)などの著名な建築も存在する。

香港は1997年7月1日イギリス領『香港』から、中華人民共和国の『香港特別行政区』へと移行した。現在では、イギリスなど旧来の関係諸国と共に中華人民共和国本土とも経済的な繋がりを一層強めている。昨今の近隣アジア諸国や中華人民共和国の活況を受けて、市街ではなおも超高層ビルが建設され続け、再開発事業も活発となっている。

香港島北部と九龍地区
新界・将軍澳の超高層住宅群

2003年、新たに中環(Central)地区で香港で最も高い、シーザー・ペリ(Seser Pelli)設計の国際金融中心・第二期(Two International Finantial Centre:415.8m)が完成した。2010年には、この建物を超える高さでKPF設計の環球貿易廣場(International Commerce Centre:484.0m)が、西九龍(West Kowloon)のユニオンスクエアに完成する予定である。

上海

上海中国の経済を牽引する最前線の都市であり、その中で超高層ビルの建設気運が1990年代前半から高まり、現在でも継続されている。

上海の超高層ビル群は大きく分けて二つに分類される。黄浦江を東西に分け浦東地区と浦西地区に分かれ、特に浦東は浦東新区陸家嘴(Lu Jia Zui)地区、浦西は旧市街の黄浦(Huangpu)区や長寧区にある虹橋経済開発区などに多く集中している。

特に黄浦江に突き出る浦東新区の陸家嘴地区では、政府主導による開発で金融中心地の核となる上海証券取引所や超高層オフィスビル等の施設が数多く建設され、スカイラインを短期間の内に出現させた。これは同時に、諸外国に向けて国力誇示の為のショーウインドーとしての役割も果たし、1998年竣工でSOM設計の金茂大厦(Jin Mao Tower:420.5m)はその最たるものである。また金茂大厦の隣地には、KPFの設計により中国国内で最も高い建物となる上海環球金融中心(Shangahai World Financial Center:492m)が2008年の完成を予定して建設されている(後述)。

上海には1910年代から1940年代にかけて、かつて租界であった黄浦江沿いの外灘(The Bund)と呼ばれる地域には1927年竣工の上海海関(Custom House:90m)や1929年竣工の和平飯店(現:Peace Hotel、竣工時はキャセイホテル(Cathay Hotel):77.1m)、1937年竣工の中国銀行大楼(Bank of China:69m)などのネオ・バロック様式や洋中折衷様式の高層建築が建設された。現在でも現存しており、ここからは黄浦江を対比して新旧の高層建築を垣間見る事が出来る。

上海の浦東新区・陸家嘴

浦東地区にある上海匯豊大厦(Shanghai HSBC Tower、旧称:上海森茂国際大厦:203.4m)や浦西地区の香港新世界中心(Hong Kong New World Center:278.3m)など、外資による建物の建築も多く行われている。 一方上海で加熱する超高層オフィスや住宅建設は、一部の見方では供給過多であるとの指摘がある。また中心部に林立している上海風胡同である『弄堂』の急激な再開発は、地域文化の破壊に繋がっていると言う指摘も挙がっている。

北京

ファイル:Birdeye bj CBD.jpg
北京のCBD地区

中国国内では、現在多くの都市で超高層ビルが建設されている。上海や広州の他に、首都の北京では2008年に開催が予定されている北京オリンピックともあいまって、数多くの再開発事業において超高層ビルが建設されている。その中には斬新な意匠を伴うものも多く、現在建設中でOMAレム・コールハース(Rem Koolhaas)設計の新中国中央電視台本社ビル(CCTV Headquarters:234m)などはその代表格である。

しかし歴史的な街でもある北京の再開発においては、超高層ビル建設が朝廷時代の四合院と言う歴史的な宮廷官僚の住居を取り壊して行われている事も多く、これらの遺構(文化的な遺産)を排斥して超高層ビルを乱造する事が後世どの様に影響してくるのかといった、考古学的かつ都市工学的な懸念にも繋がっている。

広州

広州は古くからの交易都市であり、第二次世界大戦以前に珠江(Pearl Rever)沿いの欧米諸国が敷いた租界跡の地区には古いネオ・バロック式の建築が伺える。この中でも、1937年竣工の愛群大厦(Oi Kwan Hotel:64m)はこの時代に建てられた最も大きく壮麗な建物である。現在広東省省都でもある広州では、市内に多くの超高層ビルが建設されている。特に市街東部の、香港と広州とを往来する九廣鐵路(KCR)が発着している広州東駅前は再開発され、新都心として計画された。また1997年に、ここでは広州で最も高い中信広場(CITIC Plaza:391.1m)がデニス・ラウ&ン・チュン・マン(Dennis Lau & Ng Chun Man:劉榮廣伍振民建築事務所)設計事務所の設計によって建設された。

1980年の改革開放により資本主義地域である香港に隣接する広東省は、中央政府から直轄の経済特区に指定された。外国資本の導入による投資や香港からの製造業の移転などによって、それまで漁村であった地が、わずか十数年の内に摩天楼を携える都市に変貌した。1998年には竣工当時中国国内で最も高かった、信興広場地王大厦(Shun Hing Square:384m)が建設されるのを筆頭に、2000年に建てられた賽格廣場(SEG Plaza:355.8m)など数多くの超高層ビルが建設されている。

台湾

現在世界で最も高い超高層ビルは、台湾台北市信義区2004年に竣工した台北101(Taipei101、旧称:台北国際金融センター:Taipei International Financial Center:台北國際金融大樓)で、高さ508m、地上101階建て、設計は李祖原建築事務所、施工は熊谷組を中心としたJV(共同企業体)である。下層部に2003年先行開業したショッピングモールを有する。このビルに設置されている東芝製の展望台直通高速エレベーターは、三菱電機製の横浜ランドマークタワーのものを凌ぎ世界で最も速いエレベーターとなった。

なお台湾第2位の超高層ビルは、李祖原建築事務所設計で1997年完成の高雄市にある高雄85ビル(Tuntex 85 Sky Tower:東帝士85國際廣場、378m)であり、台北101が完成するまでは台湾で最も高い建物であった。現在高雄85ビルの高さは、世界では12番目である。

シンガポール

シンガポールのラッフルズ・スクエア

シンガポールでは、1965年マレーシア連邦から独立した後、リー・クアンユー首相と人民行動党は権威主義的な独裁体制を敷き、これらは開発独裁と言われた。徹底した管理社会となるが、経済は著しい成長を続ける。その中で、シンガポール南部に位置する中心部のラッフルズ・スクエアには数多くの超高層ビルが建てられる。この中でも、丹下健三設計のOUBセンター(Overseas Union Bank Centre:280.1m)やUOBプラザ(United Overseas Bank Plaza One:280.1m)、また黒川紀章設計のレパブリックプラザ(Republic Plaza:280.1m)などはシンガポールを代表する超高層ビルである。2006年には、KPF設計のワン・ラッフルズ・キー・タワー(One Raffles Quay North Tower:245.1m)が完成している。

マレーシア

マレーシアの首都クアラルンプールでは、マハティール前首相による「ルックイースト政策」などの経済政策により、マレーシア経済は飛躍的に成長した。首都クアラルンプールの再開発地『KLCC』では1998年に、当時世界で最も高い超高層ビルであったシーザー・ペリ設計、日本の大手ゼネコンハザマ施工のペトロナスツインタワー(Petronas Towers:452m)が完成、このビルは国有石油会社のペトロナスが建設したものである。ペトロナスツインタワーは、既に台湾台北にある台北国際金融センターに追い抜かれているが、ツインで建てられた超高層ビルとしては今なお世界で最も高い。

アラブ首長国連邦

ファイル:Dubai Sheikh Zayed Road.jpg
ドバイの超高層ビル群

中東の物流、金融の拠点として投資を進め、経済発展を遂げたアラブ首長国連邦(UAE)のドバイでは、近年数多くの超高層ビルが林立している。現在、世界最高クラスの高さを誇るブルジュ・ドバイ(後述)が建設中である。

ヨーロッパの超高層ビル

ヨーロッパでは、近年になって超高層ビルの建設が著しくなっている。特に、イギリスロンドンや、フランスパリなどでその動きが活発になっている。

歴史的な景観を重視するヨーロッパでは、元来超高層ビルの建設は余りされておらず、例外的には第二次世界大戦で壊滅したドイツフランクフルトではドイツ及びヨーロッパの金融中心地として開発される際のオフィス供給の手段として、ドイツ銀行コメルツ銀行などの200m級の超高層ビルが複数建設され、その一角はマイン川にマンハッタンを合わせた造語で「マインハッタン(Mainhattan)」と俗称される。またパリでは市内のオフィス需要を補うために郊外のデファンス(Defence)地区に新都心『ラ・デファンス』(La Defence)が作られ、ロンドンでは、『カナリー・ワーフ』(Canary Wharf)と呼ばれる新都心が作り出された。

現時点では、これらの地に代表される以外にヨーロッパでは超高層ビル群が建設されている例は余り見られない。しかし、ヨーロッパの都市での旧来の建築による不動産供給は限界に来ており、特にロンドンやパリと言った経済的に活動が活発な都市では景観に配慮しながらも、中心部の超高層建築の建設が容認され始めている。

モスクワ

ヨーロッパで一番高いモスクワのトライアンフ・パレス

ソビエト連邦の首都モスクワでもスターリン様式の超高層ビルが建設され、これら多くは社会主義体制下における国民の発揚効果を狙ったものであった。1930年代から1940年代にかけて「ソビエト宮殿」をはじめ多くの巨大建築が計画されたが、モスクワ大学(Moscow State University:182m)など実現したものは計画数からすると多いとは言えず、計画されたものの殆どは起草されただけに終わり、スターリンの死後に中止されている。しかしソビエト連邦の衛星国、主に東ヨーロッパ諸国での建築様式にも多大な影響を与えた。

また、1920年代から1930年代初頭、スターリン様式の確立以前に計画されたもの(ウラジーミル・タトリンの第三インターナショナル記念塔、高さ400mなど)は当時斬新なデザインでもあったため、社会情勢ともあいまって世界の多くの建築家に影響を与えた。また、当時はソビエト建築界自身もル・コルビュジエなど当時先端を歩む建築家の思想に大きく傾倒していた。

2000年代に入り、ロシアの経済発展(特に石油など天然資源輸出を中心とした発展)に伴って、モスクワでは超高層ビルの建設・計画が進んでいる。特に2003年に完成したスターリン様式を模した超高層マンション、トライアンフ・パレス(264.1m)はフランクフルトコメルツ銀行ビル(259m)を抜きヨーロッパ一の高さとなった。

さらに巨大な超高層ビル街をモスクワ川沿いに建設する「モスクワ国際ビジネスセンター計画」(MIBC、モスクワ・シティ)が1990年代前半から進められており、93階建て、高さ 354m の東棟と、62階建て、高さ 242m の西棟からなる「フェデレーション・タワー」が2003年に着工し、2008年に完成する予定である。また70階建て、高さ 380m の「マーキュリー・シティ・タワー」が2005年末に着工し2008年末に完成予定である。一番高い「ロシア・タワー」はこれまで125階建てなど複数の設計案があったが、2006年ノーマン・フォスター設計による118階建て、高さ 600m の設計案が明らかにされた。

ロンドン

ロンドンのカナリー・ワーフ
シティの変貌 手前はロイズ保険ビル、奥のガラスの尖塔はスイス・リ本社

ロンドン市街東部のドックランズ(Docklands)地区に『カナリー・ワーフ』(Canary Wharf)と呼ばれる港湾跡が再開発されて新都心となり、竣工当時は英国で最も高かったシーザー・ペリ設計のワン・カナダ・スクエア(One Canada Square:235.1m)が建設され、またノーマン・フォスター(Sir Norman Foster)卿設計の香港上海銀行(HSBC、社屋の名称は8 Canada Square:199.5m)や、シーザー・ぺリ設計のシティバンク(社屋の名称は25 Canada Square:199.5m)などの金融機関が中心部のシティ・オブ・ロンドンから移転し、超高層オフィスがロンドン・ドックランズ再開発公社(LDDC)によって続々と建設された。

歴史的建造物が並ぶシティ・オブ・ロンドンではセント・ポール大聖堂(111m)を越える高さの建造物は建ててはならないという不文律があったが、1965年に建ったポストオフィスタワー(現:BTタワー、188m)によって破られた。その後、1980年代までのイギリス経済の低迷により超高層ビルを求める声が経済界などから上がり、ナットウェスト・タワー(1993年IRA暫定派により爆破、現在改修され「タワー42」と改称)をはじめとする大聖堂を越える超高層ビルがいくらか建設された。またロイズ保険もハイテク建築の高層ビルに建て替えたが、今日まで多くの超高層ビル計画が景観を理由に中止させられている。この中で例外的に実現したのは、1992年にIRAが爆破した歴史的建築、バルティック・エクスチェンジの跡地に建設されたノーマン・フォスター設計によるスイス・リ本社ビル(別名「ガーキン」)であろう。

今後の計画では、レンゾ・ピアノ設計による三角錐型の超高層ビル、ロンドン・ブリッジ・タワー(シャード・ロンドン・ブリッジ、高さ 310m、72階建て)がテムズ川南側で2010年完成を目指して工事中であるほか、シティ・オブ・ロンドンではKPF設計の螺旋形の超高層ビル、ビショップスゲート・タワー(高さ 288m 、63階建て)が当初の高さ 307m の計画案を変更した上で建設認可が下りている。

ベルリン

ドイツ連邦共和国の新首都として再興されているベルリンでは高層、または超高層のビルが建設され始めている。『ポツダム広場』(Potsdamer Platz)にあるヘルムート・ヤーン(Helmut Jahn)設計のソニーセンター(Sony Center)や、レンゾ・ピアノ(Renzo Piano)設計のダイムラーシティ(Daimler City)などに代表され、他にミッテ(Mitte)地区やツォー駅(Zoologischer Garten)周辺でも再開発時に高層ビルを用いている。

フランクフルト

コメルツ銀行ドイツ銀行メッセタワーなど、200mを超える超高層ビルが建設されている。今のところドイツで超高層ビルの林立が見られるのはフランクフルトくらいで、同市を流れるマイン川とマンハッタンを組み合わせた「マインハッタン」という造語がある。

ラ・デファンス全景

パリ

1960年代後半からの再開発で市街地南端のモンパルナス駅が解体され、跡地にモンパルナス・タワー(210m)が完成したのがパリの超高層化の始まりである。以後、都心には超高層ビルは建てられていないが、1980年代ミッテラン大統領によるグラン・プロジェによってポストモダン建築やハイテク建築が相当数供給され街の様相を一変させた。同時期、エトワール凱旋門を通るパリの歴史軸の延長線上、市街地西郊のラ・デファンス地区には国際会議場グランダルシュをはじめ、フランスを代表する大企業や外資系企業の超高層ビルが相次いで建てられた。今後も新たな超高層ビルが建設されていく予定である。

スウェーデン

スウェーデン南部の都市マルメに、スカンディナヴィアで一番高いターニング・トルソ(190m)というビルがあり、サンティアゴ・カラトラヴァがデザインしたユニークな形状のビルである。

世界一高いビルの移り変わり

竣工 名称 位置 高さ 階数 設計
1930年 クライスラービル アメリカニューヨーク 319m 77階 ウイリアム・ヴァン・アレン
1931年 エンパイアステートビル アメリカ・ニューヨーク 381m 102階 シュリーブ・ラム&ハーモン
1974年 ワールドトレードセンター アメリカ・ニューヨーク 417m 110階 ミノル・ヤマサキ
1974年 シアーズ・タワー アメリカ・シカゴ 442m 108階 SOM
1997年 ペトロナスツインタワー マレーシアクアラルンプール 452m 88階 シーザー・ペリ
2004年 台北国際金融大楼 台湾台北市 508m 101階 李祖原建築事務所

現在の世界のビルの高さ順位

順位 名称 位置 高さ 階数 設計 竣工
1位 台北国際金融大楼 台湾台北市 508m 101階 李祖原建築事務所 2004年
2位 ペトロナスツインタワー マレーシアクアラルンプール 452m 88階 シーザー・ペリ 1997年
3位 シアーズ・タワー アメリカシカゴ 442m 108階 SOM 1974年
4位 ジンマオタワー(金茂大厦) 中国上海 420.5m 88階 SOM 1998年
5位 国際金融中心・第二期 中国・香港特別行政区 415.8m 88階 シーザー・ぺリ 2003年
6位 中信広場(CITIC Plaza) 中国・広州 391.1m 80階 劉榮廣伍振民建築事務所 1997年
7位 信興広場(Shun Hing Square) 中国・ 384m 69階 K.Y.チェン 1996年
8位 エンパイアステートビル アメリカ・ニューヨーク 381m 101階 シュリーブ・ラム&ハーモン 1931年
9位 セントラルプラザ(中環廣場) 中国・香港特別行政区 374m 78階 劉榮廣伍振民建築事務所 1992年
10位 中国銀行タワー(中銀大廈) 中国・香港特別行政区 367m 72階 I・M・ペイ 1990年

超高層ビル画像(高さ順)

現在建設中の超高層ビル

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現在世界で建設されている超高層ビルの中で、世界で最も高いビルとなるなる予定のビルは、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで建設中の、ブルジュ・ドバイ(Burj Dubai)である。アメリカのニューヨークで建設中のフリーダムタワーまたはシカゴで建設中のシカゴ・スパイアは、ブルジュ・ドバイに次ぐ世界第2位の高さになる予定である。

また、クウェートでは、高さ1km(1000m)の超超高層ビルが計画されている。

中華人民共和国上海市浦東新区の陸家嘴(Lu Jia Zui)地区に、日本の森ビルが主導になって建設が進められている、KPF設計の上海環球金融中心(Shanghai World Financial Center)は、高さが496mとなり、2008年の春予定通り完成すれば世界第2位、中華人民共和国では第1位の高さとなる。また、構造上の尖塔も含めない高さでは世界で最も高い超高層ビルとなる予定である。世界第2位となることで、世界の超高層ビル順位の上位第3位までは全てアジアにある超高層ビルとなる。

上海環球金融中心は、アジア経済危機の折で発生した資金難や、建設現場周辺の地盤沈下のため、竣工が2001年から2007年に変更された。総工費は約1050億円。

また、頂部に風圧対策として中国庭園の洞門をモチーフに円形の穴が設計されていたが、デザインが日章旗の様だというクレームが、中国国内の一部嫌日家の抗議として上海市側から森ビル側に伝えられた結果、この穴の設計が四角形に変更された。

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイには、ブルジュ・ドバイ(Burj Dubai)と呼ばれる超高層ビルがSOMの設計により建設中で、2008年12月30日に完成の予定である。その高さは800mとも1000mとも言われている。ブルジュ・ドバイについての確かな情報は公開されておらず、これは建物の情報が公開される事によって、ブルジュ・ドバイが竣工時に他国に建設されている超高層ビルより不利にならないようにするための工作である[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。

2001年アメリカ同時多発テロで倒壊したニューヨークマンハッタン世界貿易センタービル(World Trade Center)跡地に建設中で、2010年竣工予定のフリーダム・タワー(Freedom Tower)は、アメリカ合衆国独立宣言の年にちなんだ高さ1776フィート、メートルでは高さ541mの設計になっており、竣工時には再びアメリカ合衆国に世界一高いビルが誕生する事となるが、ブルジュ・ドバイが先に完成した場合世界第2位となる。なお、設計はダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)の基本設計にSOMのデイヴィッド・チャイルズ(David Childs)が参加している。

しかし、現在設計を巡りダニエル・リベスキンドと、不動産開発業者代表のラリー・シルバースタイン(Larry Silverstein)との間で訴訟問題が起きているため、将来的に設計内容が大きく変わる可能性を残している。

アメリカ合衆国シカゴに建設中の超高層ビルである。

2010年に完成予定で、完成すればシカゴのシアーズタワーや、現在建設中のニューヨークフリーダムタワーを抜き、北アメリカ一高い超高層ビルとなる。北アメリカ一というのは、ドバイに現在建設中のブルジュ・ドバイが800m以上と当ビルよりも高いためであり、完成しても世界第2位となる予定である。

関連項目

外部リンク


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