コンテンツにスキップ

ドラゴンクエストIV 導かれし者たち

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。59.134.165.245 (会話) による 2008年4月14日 (月) 11:15個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎ファミコン版)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
ジャンル ロールプレイングゲーム
ゲーム:ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
(FC/NES版)
対応機種 ファミリーコンピュータ/NES
開発元 チュンソフト
発売元 エニックス
メディア 4Mbitロムカセット
バッテリーバックアップ搭載)
プレイ人数 1人
発売日 日本 1990年2月11日
北米 1992年10月
売上本数 日本 約304万本
セーブファイル数 3
ゲーム:ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
(PS版)
対応機種 プレイステーション
開発元 ハートビートアルテピアッツァ
発売元 エニックス
(b,uh)スクウェア・エニックス
メディア CD-ROM1枚
プレイ人数 1人
発売日 日本 2001年11月22日
(b)2005年3月3日
(uh)2006年7月20日
北米 発売中止
売上本数 (通常版)約117万本
セーブファイル容量 1ブロック
その他 * (b)はPS one Books版
* (uh)はアルティメットヒッツ版
ゲーム:ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
(DS版)
対応機種 ニンテンドーDS
開発元 アルテピアッツァ
発売元 スクウェア・エニックス
メディア DSカード
プレイ人数 1人
発売日 日本 2007年11月22日
売上本数 日本 約122万本
セーブファイル数 3
その他 すれちがい通信対応
スタッフ
テンプレート - ノート

ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(ドラゴンクエストフォー みちびかれしものたち、北米版タイトル:Dragon Warrior IV)は、エニックス(現スクウェア・エニックス)より発売されたゲームソフト。ジャンルはロールプレイングゲーム(RPG)。

日本では、1990年2月11日ファミリーコンピュータ(以下、ファミコンまたはFC)用ソフトとして発売され、その後リメイク版としてプレイステーション(以下PS)版とニンテンドーDS(以下DS)版が発売されている(PS版はのちに廉価版PS one Books」「アルティメットヒッツ」として再販)。

北米では1992年NES用ソフトとして発売されている。

概要

ドラゴンクエストシリーズの第4作であり、ファミコンで発売された最後のドラゴンクエストシリーズ作品。5つの章に分かれたシナリオや、馬車システムによる多人数パーティ制が導入された作品である。

メインキャラクターはそれぞれ人気が高く、他作品への派生・ゲスト参加なども多い。FC版の発売後には、ゲームブック化や小説化、ドラマCD(CDシアター)化も行われている。これらについてはそれぞれの項目(小説ドラゴンクエストゲームブックドラゴンクエストCDシアター ドラゴンクエスト)も参照。

ゲーム内容

前作『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』にて、「勇者ロトの伝説シリーズ」(ロト三部作)は完結し、本作は前3作とは別の世界の物語となった。次作『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』は本作の続編である[1]。『ドラゴンクエストVI 幻の大地』も内部構造が天空城に酷似している城が登場するため、本作と『V』『VI』を合わせて「天空シリーズ」(天空三部作)と呼ばれる。ただし、『VI』が『IV』、『V』よりも以前の話なのか、後の話なのかは、作中で明らかにされていない。

本作では5つの章に分かれたストーリーを順に追うため、プレイヤーの自由度はロト三部作よりも低く、また各々の仲間キャラクターのストーリーとの関わりがロト三部作よりも深くなっている。

これまでは『I』から『III』と進むにつれマップ(フィールド・城・町・村・ダンジョン等)が拡大されて来たが、これ以上は単にマップを拡大しても、プレイヤーに負荷がかかり遊び易さが低下するため、マップとシナリオの連動に新しい方法が導入された。それは第一章から第四章まで登場したマップの約半分を、第五章でも使うというもので、第五章で再登場するモンスターの強さやシナリオはもちろん異なっている。こうする事で(ほとんど)同じマップに、異なる複数のシナリオの情報を組み込めるため、データをコンパクトにまとめる事が出来る。この手法はその後のシリーズにおいても、時間軸や別世界など様々な要素を変えて使われ続けている。

主要プレイヤーキャラクターは勇者(プレイヤーの分身)を含めた「導かれし者」と呼ばれる8人。第一章から第四章までは勇者の仲間それぞれの旅立ちに関するシナリオ、そして第五章は主人公である勇者が他の7人の「導かれし者」を次々と仲間に加えて、人間を滅ぼそうとするラストボスを倒すために冒険をする。

※以降、本項ではPS版とDS版を総称して「リメイク版」と呼ぶ。

ファミコン版

4メガビットというROM容量は当時としては膨大な量で、「それまでのエニックスのファミコンソフト(ドラゴンクエスト前3作と『ポートピア連続殺人事件』『ドアドア』)を全部足してもまだ余る」とのアピールが発売前の雑誌広告などでなされていた。これまで1年に1本ずつ出ていたが、本作の登場までには第3作から2年のブランクがあった。

グラフィック面で見てみると、前作までは平坦なつくりのマップがほとんどであったのに比べ、本作では外観が立体的に見える建物が多く登場した。「天空への塔」はその典型的な例である。また、合体スライムやメラゴーストなど、一部のモンスターが戦闘画面においてアニメーションで動きを見せるようになった。

また、FCのグラフィックでは背景となるバックグラウンドと、自由に動くキャラクターなどが描写されるレイヤーとなるスプライトの二層構造を持っていたが、8x8ドットで表示されるスプライトは横一直線であれば4つまでしか並べることができなかった。5つ並べた場合は短時間で表示されるスプライトを入れ替えることで同時表示数4をクリアしていたが、これがチラツキとなってしまい、このことからパーティを5人以上にすることはそれまでのFCのRPGでは避けられてきた(シューティングゲームのグラディウスが移植された際は、アーケード版での「オプション最大4基」が2基に減じられている)。しかし、本作では後述の「馬車システム」を取り入れ、馬車の外のメンバーを最大4人にすることによってチラツキを極力防ぎ、合計で最大10人に及ぶ多人数パーティを実現させた(ただし、実際に10人パーティを実現するには、特定の条件が必要)。

基本事項

  • シナリオは全5章のオムニバス形式で、各章はストーリーとしては独立しているが、ゲームは章番号どおりの順序で進行する。章ごとにプレイヤーが操作するキャラクターも変わり、レベルも1からのスタートとなる。プレイヤーの分身である「勇者」が主役となる第五章では、第一章から第四章までの主役たちが、勇者とともに戦う仲間として登場する。第四章までの各章終了時のキャラクターのステータスやアイテムは第五章に継承されるが、所持金や一部の重要アイテムは第五章に継承されない。
  • 章ごとに異なるフィールドBGMがそれぞれ用意されている。第五章で導かれし者たち8人集結後は、先頭に立つキャラクターに合わせて変更される。
  • 移動中のコマンドに、扉を開ける「とびら」コマンドが復活し、後述のAI戦闘の作戦の変更などを行う「さくせん」コマンドが新登場。また、鍵なしで開く扉が登場するようになった。
  • 壷やタンスからアイテムを入手できるようになった(壷・タンスは前作にも存在したが、調べることはできなかった)。
  • 戦闘システムは、ターンの最初にまず全体のコマンド(たたかう・さくせん・いれかえ・にげる)が表示され、全体コマンドの入力後に各キャラクターの行動(こうげき・じゅもん・どうぐ・ぼうぎょ)を指示するシステムとなった。第一章から第四章までは従来どおりのマニュアル戦闘(コマンド入力でキャラクターの行動を指示する)、第五章は初登場のAI戦闘(後述)となっている。
  • 前作から登場した昼と夜の時間の流れのシステムを継承している。
  • 前作までは王様や老人などに会うことによってセーブ(または復活の呪文の記録)をしていたが、本作からは教会で「おいのりをする」を選択することによってセーブをするシステムとなった。次のレベルまでに必要な経験値も「おつげをきく」形で教会で聞くシステムとなった(セーブと経験値情報取得が分離された)。

AI戦闘システム

ゲームプログラムに搭載されたAI(人工知能によって、自動で戦闘を進めるシステム。主人公を除く味方キャラクターたちは、指定された作戦に従って自動で動く(主人公は従来どおりコマンド入力どおりの行動をする)。作戦は全6種類が用意され、プレイヤーは状況に応じて作戦を変更できる。作戦の変更は移動中でも戦闘中でも行うことができる。

FC版での作戦は以下の6種。

  • みんながんばれ : その状況に応じて攻撃、補助、回復のバランスの取れた、平均的な戦い方をする。
  • ガンガンいこうぜ : 残りMPを気にせず、各自の持てる最大威力の攻撃手段で総攻撃をかける。敵へのダメージは大きいが、MPが消耗しやすいほか、回復を後回しにしすぎて間に合わなくなることがある。
  • いのち(を)だいじに : 仲間が倒れないことを最優先にする。HPの回復を徹底して行う。最上級の攻撃呪文を連発し、被害が大きくならないよう手早く戦闘を終える手段をとることもある。
  • じゅもん(を)せつやく : 呪文の使用を控えめにする。必要最小限の回復呪文や補助呪文しか使わない。
  • じゅもん(を)つかうな : 呪文を一切使わずに戦う。
  • いろいろやろうぜ : 色々なアイテムを使ったりする。ドラゴンクエスト本編ではFC版の本作にのみ登場。

FC版では、AIが導入されている本シリーズの作品の中で唯一、AIに初めからモンスターの弱点や特性が記憶されておらず、戦闘経験を積んでいくごとにそれを覚えさせる学習機能が搭載されている。しかし仲間に直接コマンドで指示を出すことができず、特に初めて出会ったモンスターが相手の場合はプレイヤーの思いどおりに動かないことも多い。

プレイヤーの中には全滅したときにリセットボタンを押す人もいるが、これをやるとAIが学習した内容がセーブされず、同じ敵にまた同じ行動を繰り返すようになってしまう。

馬車システム

馬車」を手に入れることにより、パーティを最大10人にまで増やすことが可能となる。その中の1人から4人までを馬車の外に出すことができ、残りのメンバーは馬車の中で待機することとなる。戦闘には馬車の外にいるメンバーのみが関わり、馬車の中にいるキャラクターは、敵からダメージを受けたり悪影響を受けたりすることが一切無い。

馬車があるときは、「さくせん」コマンドによっていつでもメンバーの入れ替えをすることができる。入れ替えは戦闘中にも行うことができる。ただしFC版の戦闘中における馬車入れ替えシステムは、入れ替えと総替えが瞬時にできる『V』以降とは異なり、メンバーの入れ替えがコマンド入力後、ターンの途中で行われるというシステムになっている。

馬車の扱いについては、次のようになる。

場所 メンバーの入れ替え(不可の場所では馬車が切り離される) 移動中の馬車内からの呪文・アイテム使用、馬車内キャラクターの経験値獲得
フィールド上、入口の広い(※)洞窟
町・城・ほこら、一部ダンジョン(デスキャッスルなど) 不可
塔、入口の狭い(※)洞窟 不可 不可
※洞窟に馬車が入れるかどうかは、フィールド上の洞窟の入口の広さで判別することができ、入口が横に広くなっている洞窟には馬車を入れることができる。

馬車が切り離された状態で施設内の旅の扉を使用したり、ダンジョン奥の別の出口から出るなどして離れた場所へ移動した場合は、馬車は入口で待機し続けることになる。この場合は、呪文「ルーラ」やアイテム「キメラのつばさ」で瞬間移動するか、または終盤で入手できるあるアイテムを使うことで馬車を呼び寄せることができる。

NPC

本作では「導かれし者」と呼ばれるメインキャラクター以外に、作戦に関係なく自分の判断で動くNPC(ノンプレイヤーキャラクター)も登場する。

NPCは「導かれし者」同様HPやMPなどを持ち、戦闘にも参加する。回復や蘇生などは「導かれし者」同様の扱いであるが、戦闘中に作戦・指示を与えることはできず、独自の判断で自動的に行動する。ステータスは固定値となっており成長はせず(レベルは「?」と表示される)、アイテムを持たせたり装備を変更したりすることもできない。また、NPCだけが生き残っても、「導かれし者」が全員戦闘不能(死亡または麻痺)になると全滅扱いとなる。

NPCはシナリオを進めて所定のイベントをこなした時点で自動的にパーティに加入、離脱するようになっている。仲間にしなくてもシナリオ進行に支障の出ないNPCも存在する。

カジノ

II』『III』にはそれぞれ「福引所」「モンスター格闘場」といったギャンブル施設があったが、本作からは本格的なカジノが登場した。

カジノでは、ゴールド(所持金)をカジノのみで使えるコインに換金し、カジノの中にあるミニゲームに挑戦してコインを増やし、景品に交換するシステムである。獲得したコインはカジノを出た後も保存されるが、コインを直接現金に戻すことはできない。

本作ではスロットマシンポーカー、それに前作で登場した「モンスター格闘場」を加えた3ゲームが登場する。

本作では第二章、第三章、第五章でカジノを利用できる(第三章では、終盤にならないと利用できない)が、コインの販売額は章によって異なっており、ストーリーの都合上で高額のゴールドを扱う第三章では販売額が高く設定されている。獲得したコインは後の章にそのまま継承される。

ちいさなメダル

世界各地の宝箱やツボ、タンスそして地面を調べることにより「ちいさなメダル」というアイテムを入手することができる。この「ちいさなメダル」を集めて、「メダル王の城」にいるメダル王に一定の枚数のメダルを渡すと、貴重なアイテムを入手することができる。

本作のFC版、および次作『V』(SFC、PS2とも)では、入手したメダルと引き換えにアイテムと「交換」するシステムになっているが、『VI』以降の作品(リメイク版『III』『IV』を含む)では、集めたメダルの累計に応じてアイテムが得られるシステムに変更された。

乗り物

水上を移動することができる。本作以降では、船に乗らないと入ることのできない町や洞窟などが登場する。
気球
あらゆる地形の上を飛行できる。歩くことのできる地形であれば、沼地以外のどこでも離着陸が可能。ただし、ゴットサイドの島のマップでは離着陸地点が定められている。

その他

世界地図
フィールドの地図を見ることができるシステムが初登場。本作では「たからのちず」というアイテムを使用することによって地図を閲覧する。「たからのちず」は本来はあるアイテムの所在地を示すためのものだが、現在パーティが世界のどこにいるかを示す機能を兼ね備えている。
武器屋と防具屋の分離
「武器と防具の店」が、「武器屋」と「防具屋」に分かれた。また、前作までは道具屋でしかアイテムを売ることができなかったが、本作からは武器屋・防具屋でもアイテムを売ることができるようになった。

没要素

リメイク版(PS・DS)で新たに登場するようになる海のモンスター9種は、FC版では没となったため通常は出現しないが、ROM内にデータとして存在している(リメイク版での「マリンワーム」はFC版では「マリンリバイアサン」)。9種のうち4種は、出現場所・タイミングが極めて限られており確率は非常に低いものの、ある場所で出会うことが可能である。

プレイステーション版

※ここではファミコン版からの変更点や追加要素を中心に述べる。上記「ファミコン版」の節も合わせて参照のこと。

前年に発売された『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』で採用された、「俯瞰視点の3Dマップ上に2Dテクスチャのキャラクター」という手法を引き継いでおり、この他コマンドやキャラクター操作、戦闘画面の仕様なども『VII』のものが受け継がれている。地形や建物などは『VII』をそのまま流用しているものも多い。

キャッチコピーは、「勇者よ、めざめなさい 」。

基本事項

  • べんりボタン」が導入された。なお、何も起こらない時はべんりボタンを押しても反応がない(DS版も同様)。
  • ふくろ」が登場(第五章以降)。「預かり所」は「ゴールド銀行」に変更。
  • 仲間会話システムの導入(移動中のみ)。第二章と第四章では主役であるアリーナ、マーニャも喋る。
  • 『VII』と同様、キャラクターを縦・横・斜めの8方向に移動させることが可能となった。井戸の中に入れるようになり、壷や樽などを持ち上げて投げることもできるようになっている。
  • 戦闘中の馬車入れ替えシステムが、『V』以降と同様、即座に入れ替えおよび総入れ替えが可能になっている。
  • 戦闘中の各キャラクター個別のコマンドは6つ(こうげき・じゅもん・どうぐ・ぼうぎょ・そうび・にげる)。個別コマンドで「にげる」を選択するとそのキャラクターが行動時に逃走を試み、1人でも逃走に成功すれば戦闘が終了する(従来どおり、全体コマンドの「にげる」も存在する)。
  • 作戦システムが『VII』に準じたものに変更された。作戦がキャラクターごとに変更可能になり、「いろいろやろうぜ」「じゅもんせつやく」削除、「おれにまかせろ」「めいれいさせろ」追加、「みんながんばれ」が「バッチリがんばれ」に変更。主人公が女の場合は「ガンガンいくわよ」など女性言葉の作戦名になる。また、AI が最初から弱点・特性が記憶されているシステムに変更された。ただし、クリフトだけは意図的にFC版の評判を考慮されている(登場キャラクターの節を参照)。
  • 戦闘中の補助系呪文の効果および麻痺状態が、『VII』と同様、数ターン後に消える仕様となっている。
  • FC版では可能だった、味方を攻撃できる「パーティアタック」が廃止された。
  • ミネアが使用する「ぎんのタロット」の効果が一部変わり、「ひいてはいけないカード」以外の全てのカードが、味方側に有利となる効果となった。

戦歴システム

今までに戦闘で勝利した回数、全滅(敗北)した回数、逃走した回数、今までの最大ダメージなどが記録され、サブ画面でそれらを閲覧できるシステム。それらの値や現在のストーリー進行状況、レベル、装備などによって現在の主人公たちの状態を表す「称号」が決められる。ただしストーリーには影響しない。

また、一度ゲームをクリアした冒険の書では、現在の状態を表す画面とは別に、クリア時の状態とクリア時専用の称号を表示する画面が追加される。

このシステムは後に発売される『VIII』でも採用された。

移民の町

『VII』に登場した移民の町が再登場した。本作の移民の町の管理はホフマンが行う。

PS版の移民の町のシステムは『VII』とほぼ同様だが、メモリーカードを使用したキャラクターの交換は今回はできない。特定のキャラクターを集めてできる特殊な町の形態が『VII』の4パターンから本作では7パターンに増えている。

PS版での移住希望者には、エルフやモンスターなど人間以外の種族や、導かれし者と関連の深いキャラクター(メイ、パノンなど)、あるキャラクターの後を追って自分も移住しようとするキャラクターも登場する。特定のキャラクター移住させることにより、他のキャラクターが自動的に町から出て行く場合もある。

その他

FC版からの変更点で、上に挙げたもの以外の主なものを以下にまとめる。

キャラクター
  • 主人公、ブライ、ミネアの習得呪文、消費MP、効果値が一部変更された。また、移動中の呪文「レミラーマ」、トルネコ用の移動中の特技4種、主人公用の攻撃特技「ギガソード」などの攻撃呪文・特技8種が新設された。逆に、味方キャラクターの変身呪文「モシャス」の使用、および戦闘中における「ルーラ」での逃走ができなくなった。
  • メインキャラクターを最高レベル(99)まで成長させたときのステータスが、FC版と比べると高くなった。
  • 移動中に限り、NPCの呪文を自由に使えるようになった。
  • NPCと武術大会対戦者のグラフィックが、FC版のグラフィックや関連書籍でのイラストから大幅に変更された。
モンスター
  • FC版においてROMにデータは存在したが登場は没案になっていた海のモンスター9種が、正式なエンカウント対象になった。ただし「マリンリバイアサン」のみ名前が「マリンワーム」と変更されている。
  • トラップモンスター「いどまねき」「いどまじん」、および隠しダンジョン用のモンスター19種(すべて『VII』に登場したモンスター)、隠しボス3体が追加された。
  • 第五章以降の「古井戸の底」にて、FC版において第五章で戦うことのできなかったモンスターと戦えるようになった(ただし第四章にのみ登場する2種を除く)。
アイテム
  • FC版に存在した武器の中で、ブーメランやムチのような『V』以降の作品で複数攻撃の効果を持つ武器の名称が変更された(「いばらのムチ」→「せいなるナイフ」、「ブーメラン」→「クロスボウ」など)。また、複数攻撃の効果を持つ武器が新たに2種登場した。この他にも数点のアイテムが追加されている。FC版とは性能が変更された装備もある。
  • モンスター図鑑」が登場。『VII』では無かった索引が追加され、見たいモンスターのデータをすぐに見られるようになった。
  • トルネコがアイテムを鑑定した時の台詞が、全てのアイテムに対して個別に用意された。
  • 「ちいさなメダル」の枚数と隠し場所が変更され、褒美が交換方式(メダルを消費)ではなく、『VI』以降と同様、集めたメダルの累計によってアイテムをもらえる方式となった。カジノともども、景品も追加・変更されている。
  • 『V』以降と同様に、キャラクター(NPCを除く)が一度に持てるアイテム数が1人あたり最大12個に増えた。
世界
  • 一部のフィールドや町・ダンジョンの構造が変更された(天空への塔など)。
  • 後述の第六章のみで行ける隠しダンジョンの追加。フロアは本作の既存のダンジョンおよび『VII』からの流用。
シナリオ
  • 第一章から第四章までの各キャラクターにまつわるプロローグがデモ画面で流れる。
  • ゲーム開始直後に、旅立ちより前の主人公の話である「序章」が追加された。
  • 第五章のNPC「ホフマン」の離脱タイミングが変更された。
  • クリア後に「第六章」が新たに用意され、真の敵と戦うストーリーが付け加えられた。ただしゲーム中では、第六章開始を示す画面は登場せず、冒険の書選択画面においてゲームクリア後の冒険の書に「6章」と表示されるだけで、メンバー構成も第五章の最終決戦時とまったく同じであることから、実質的には第五章の平行分岐ストーリーといえる。(第六章のタイトル画面の画像データ自体はROM内に入っている)
サウンド
  • BGMがオーケストラ版に基づいたものになったことに伴い、一部の楽曲のキーが変わった(第一章フィールドなど)。

ニンテンドーDS版

※ここではPS版からの変更点や追加要素を中心に述べる。上記「ファミコン版」「プレイステーション版」の節も合わせて参照のこと。

グラフィックは俯瞰方式の3Dマップなど、PS版をベースとしたものであるが、DSのダブルスクリーンを活かした表示方法が取り入れられている。下画面のタッチパネルによる操作は無い。

DS版発表にあたり、主要キャラクター8人のイラストが鳥山明によって新たに描き起こされたが、製品のパッケージにはPS版開発時に描き起こされたキャラクターイラストが描かれ、DS版用独自のパッケージイラストは描き起こされなかった。また、ゲーム内で表示されるキャラクターの顔イラストは、メインキャラクターはPS版開発時の鳥山によるイラストが、NPCに関してはPS版公式ガイドブックに掲載されている村上ゆみ子のイラストが使用されている。

基本事項

  • GB版『I・II』、『III』同様、Aボタンを「べんりボタン」とした。「コマンド表示ボタン」はXボタンに移行。仲間との会話はBボタンで行えるようになった(固定コマンドとなった)。L・Rボタンはマップ回転のみになり、べんりボタンや地図表示としては使えなくなった。
  • キャラクター操作、コマンド入力は下画面で行う。フィールド(ワールドマップ)では、上画面に地図が表示される。世界地図は全体図と拡大図の切り替えが可能となっており、全体図では『VI』の「ふしぎなちず」同様に訪れた場所だけがカラーで表示される。町やダンジョンでは2画面双方に地形が映し出され、町では町の中の地図やショップリストを上画面に表示させることができる。
  • 壷や樽などを持ち上げるアクションが廃止された。べんりボタンで壷や樽を調べると触れることなく即座に破壊するようになり、花瓶や草などは調べても何も起こらなくなった。
  • コマンドウィンドウやアイテムウィンドウで、アイコンが表示されるようになった。また、戦闘中やステータス画面には各キャラクターの顔イラストが表示される。
  • ステータスから「たいりょく」が廃止され、「みのまもり」が追加された。それに伴い、守備力の計算方式も『V』以降の作品と同じ扱いになった(一部のNPCキャラを除く)。
  • 過去の携帯ゲーム機版同様に中断の書があるが、中断したゲームを再開しても「中断の書」のデータは消えず、何度でも再開できる。ただし、町や一部ダンジョンでは中断セーブはできない。
  • PS版では第五章以降のみの登場だった「ふくろ」が、第一章から登場する。持ち越したアイテムは、第五章で各章のメンバーが全員加わった時(第四章分はマーニャ加入時、第二章分はアリーナ・クリフト加入時)に「ふくろ」に追加される。
  • 戦闘はPS版を踏襲した完全対面型。上画面にはキャラクターの顔とステータス、入力したコマンドや与えた作戦が表示され、下画面にはモンスターの姿や戦闘のメッセージ、HPゲージが表示される。モンスターは攻撃などのアクション時以外にも常にアニメーションしている(麻痺状態でもアニメーションし続ける)。各キャラクターの戦闘コマンドはFC版と同じ「こうげき」「じゅもん」「ぼうぎょ」「どうぐ」の4つに戻され、「にげる」はターン最初の全体コマンド(たたかう・さくせん・いれかえ・にげる)でのみ選択できる。

移民の町

PS版から登場した移民の町は、システムが変更され、PS版のように移民(希望者)がランダムに現れることはなく、ステップごとに与えられるヒントを元に移民を探すシステムになった。1人(または1組)が新たに移民になると、それに呼応するかのように自動的に移民が増えていく。PS版に存在した特定の種別のキャラクターを集めたときの特殊形態は存在せず、最終形態も1パターンのみである。その代わりに各形態の「目玉」のほぼ全てが網羅されている。

また、DSのすれちがい通信機能を使用した「すれちがい大使」という機能が新たに加わった。これは、通信機能を用い、自分の設定したキャラクターをメッセージとともに相手の移民の町へ送ることができるという機能である。「すれちがい大使」のキャラクターのタイプ・名前・年齢(年代)・特技(ゲーム中で使用する「特技」ではなく、人間が持つ普通の意味での特技)と相手へのメッセージは、プレイヤー自身で設定することができる。そしてすれちがい通信が行われると、通信相手の移民の町に自分の「すれちがい大使」のキャラクターが現れ、自分の設定したメッセージを話すようになる。すれちがい大使として迎えたキャラクターは、それ以降は送られた側でも使えるようになる。

この機能を使って、限定キャラクターの配信が行われたこともある(『VI』のハッサンと『ドラゴンクエストソード』のセティア)。

その他

PS版からの変更点で、上に挙げたもの以外の主なものを以下にまとめる。

  • PS版に存在した各章のオープニングエピソードが廃止された。
  • FC・PS版の「ラックのたね」が「まもりのたね」に置き換えられている。
  • 「ちいさなメダル」は取得してもアイテムとして所持することはなくなり、取得数のみがカウントされるようになった。取得数は「つよさ」の馬車アイコンで確認できる。
  • 日本国外の展開を行うための配慮として、サントハイムの紋章が変更された(○に十を組み合わせた図形→逆五角形に縦線)。また、墓などの十字架の形も『VIII』と同様のデザインに変更されている。しかし、神父のミトラ帽にある十字架は変更されていない。
  • 「おつげをきく」際の発声音がなくなった。逆に、台詞ではないメッセージに発声音が伴っている箇所もある。
  • BGMは内蔵音源だが、『序曲』のみ東京都交響楽団演奏のオーケストラ音源になっている。また、戦闘終了後など音楽が切り替わる際は途中からの再開ではなく最初から流れるようになっている。
  • クリア後の隠しダンジョンの構造が、既存の地形の流用ではなく、オリジナルなものとなった。ただし、出現モンスターは変更されていない。
  • モンスター「じごくの番犬」の連続噛み付きは、PS版ではランダムに数発の攻撃技だったが、DS版では味方全体にダメージを与える技になった。

注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


ストーリー

リメイク版にのみ登場する「第六章」はここでは割愛する。

第一章 王宮の戦士たち
バトランド王国の王宮戦士のひとりであるライアンが、王の命令により、最近次々と起こる子供の失踪事件を解決するために城を旅立つ。
第二章 おてんば姫の冒険
ある日、サントハイムの姫アリーナが力試しの旅に出るべく、父であるサントハイム王に見つからぬよう城を抜け出す。姫が城を抜け出したことに気づいた城の神官クリフトと教育係の老人ブライがすぐさま姫のもとに駆けつけ、3人の旅が始まる。
第三章 武器屋トルネコ
妻・息子とレイクナバで暮らし、武器屋の店員のアルバイトをしていた商人トルネコが、世界一の商人になることを目指し、故郷を離れて金儲けの旅に出る。
第四章 モンバーバラの姉妹
姉の踊り子マーニャと妹の占い師ミネアの姉妹は、父である錬金術師エドガンを殺害したバルザックを探し出すため、モンバーバラに来て働いていた。ある日、マーニャは踊り子を辞め、ミネアとともに、敵討ちの旅を続けるためモンバーバラを旅立つ。
第五章 導かれし者たち
名もない山奥の村で村人に育てられてきた主人公。ある日、主人公の住んでいた村はデスピサロ率いる魔物の軍団に襲われ、壊滅させられる。ただ一人生き残った主人公は、7人の仲間を探し、地獄の帝王を打ち倒すために旅に出る。

世界

本作では世界全体を探索できるのは第五章になってからであり、第一章から第四章までは行動範囲が次の地域に限られる。「ルーラ」「キメラのつばさ」の行先のメニューや、出現するモンスターも各章で異なる。

  • 第一章 : バトランド城周辺
  • 第二章 : サントハイムの大陸 + エンドール城周辺
  • 第三章 : レイクナバ周辺〜エンドール城周辺
  • 第四章 : キングレオの大陸

また、本作ではメインフィールドの他に2つの別の小さなフィールドマップがある。ひとつはゴットサイドの島の拡大マップであり、気球で上陸することでマップが切り替わる。もうひとつはストーリーの最後に訪れる闇の世界で、この世界は昼と夜の区別がない。いずれのマップも「ルーラ」等で相互行き来ができる。

城・町など

( )内の英語表記は北米版での名前。

  • バトランド (Burland) : 北の大陸にあるバトランド王国の城とその城下町。第一章のスタート地点。かつては伝説の盾があったが、二代前の王が、ある人物に渡した。
  • イムル (Izmit) : バトランドから川を隔てて北にある村。ドラゴンクエストシリーズで唯一学校がある。第一章では子供の失踪事件が起きている。第五章では宿屋に泊まると不思議な夢が見られる。
  • サントハイム城 (Santeem) : 世界北西に位置するサントハイム王国の城。第二章のスタート地点。第二章の最後で人々が行方不明になり、第五章では魔物たちによって占拠される。
  • サラン (Surene) : サントハイムの隣にある町。元はサントハイム城の出城だった大きな教会の建物が特徴。第五章にならないと行くことができない場所がある。
  • テンペ (Tempe) : サントハイム城の北東、谷間にある小さな村。魔物により村人が生贄にされ、村人自ら「呪われし村」と呼んでいる。
  • フレノール (Frenor) : サントハイム大陸の北東の海岸沿いに位置する町。ここではニセの姫一行が出現する。南にある洞窟には重要なアイテムが封印されている。
  • 砂漠のバザー (Bazaar) : サントハイム大陸南の砂漠で開催されるバザー。バザーは第五章までに終わるが、リメイク版では、後にここに移民の町が作られる。
  • エンドール (Endor) : サントハイム大陸から海を隔てて南東に位置する城とその城下町。城の奥には、武術大会や結婚式が催されるコロシアムがある。また、城下町の酒場の地下にはカジノもある。国王は民衆に尊敬されているものの、思いつきで物事を実行する面があるために城の関係者は頭を悩ませることもしばしば。
  • レイクナバ (Lakanaba) : エンドールからはるか北、フレノールの対岸にある町。トルネコ一家が当初暮らしていた。第三章のスタート地点であり、北にある洞窟には、数々の商人が求めてやまない宝が眠る。
  • ボンモール (Bonmalmo) : エンドールの北にある城。エンドールとは敵対関係にあった(ボンモール国王が、エンドールに対して戦争を仕掛ける準備をしていた)が、後に和解する。
  • モンバーバラ (Monbaraba) : 世界南西に位置するキングレオ大陸の南端の町。夜は劇場が賑わい、マーニャはここのスターとなっている。第四章のスタート地点。
  • コーミズ (Kievs) : モンバーバラの北にある村。マーニャとミネアの故郷であり、かつて二人が暮らしていた家もある。
  • ハバリア (Haville) : キングレオ大陸北海岸に位置する港町。港からはエンドールへ向かう船が出る。
  • キングレオ城 (Keeleon) : キングレオ王国の城。城門や城内にはライオンの頭部を象った黄金像が飾られている。扉は固く閉ざされており、普通の方法では入ることはできない。王室は隠されている。
  • アッテムト (Aktemto) : ハバリアの西にある鉱山の町だが、鉱山から有毒ガスが噴出、これによる死者が次々と出て街は荒れ果てた。第四章では鉱山の途中までしか行くことはできないが、第五章で鉱山は地獄の帝王の神殿に繋がる。街の随所に白骨死体が転がり、全滅時に聴くことになるレクイエム「エレジー」が延々と流れる不幸な街。
  • 山奥の村 (Hero's Hometown) : バトランドから岩山を隔てて西にある名もなき村。外の地域の人々との交流を一切持たない。主人公はここで村の人たちに育てられたが、デスピサロの手によって滅ぼされる。第五章のスタート地点。
  • ブランカ (Branka) : 山奥の村から南、エンドールの東にある城。地獄の帝王を倒すための戦士たちがここから旅立つ。
  • アネイル (Aneaux) : 大砂漠の南にある温泉の町。宿屋が2つあり、町の英雄リバストの墓もある。
  • コナンベリー (Konenber) : アネイルの南にある港町。造船業が盛んだが、町の東にある大灯台から発せられる邪悪な光で船が沈められ、悩まされている。
  • ミントス (Mintos) : 世界南東の大陸の北部にある町。商売の神といわれるヒルタン老人が住み、町にある大きな宿屋も彼によって作られた。
  • ソレッタ (Soretta) : ミントスの南にある国。薬草の一種である「パデキア」の特産地であり、城の周りは農村となっている。近くの洞窟には最後の種が残されているというが、魔物が住み着いているため近づくことができないとのことである。そのため国は困窮状態にあり、王自らが農作業に精を出している。
  • 海辺の村 (Seaside Village) : サントハイム大陸の南の島の海岸沿いの村。海賊が作った小さな村で、今はその子孫たちが暮らす。昼と夜とで海岸の様子が変化する。
  • スタンシアラ (Stancia) : サントハイムの北の島にある城及び城下町。城下街・城の中にも水が入り込む水の都であり、町の中では主に舟を使って移動する。舟の武器屋も存在する。この国の王は、自分を笑わせた者に褒美を与えるという御触れを出している。
  • ガーデンブルグ (Gardenbur) : バトランドの東にある岩山に囲まれた城。女王が治めており、教会の老人を除く住人全員が女性である。火山噴火によって外部からの道が塞がれた。
  • ロザリーヒル (Rosaville) : ガーデンブルグの南にある、エルフや動物などが暮らす村。塔にはロザリーが住んでいるが、通常の方法では塔に入れない。この村の動物たちは、「進化の秘法」によって言葉を話すことができる。
  • リバーサイド (Riverton) : 世界の南にある島の川沿いにある村。船に乗らないと村に入れず、村の中でも船で移動することになる。気球の研究を行う者が住んでいる。
  • デスパレス (Dire Palace) : リバーサイドの東にある、デスピサロ率いる魔物の城。人間の姿で魔物に話し掛けると、強制的に戦闘に突入する。地下牢に数人の人間が囚われている。
  • エルフの里 (Elfville) : ミントスの東、岩山に囲まれた砂漠の中にそびえ立つ巨木「世界樹」の根元にある集落。エルフやキツネたちが住んでいる。訪れるには気球が必要。
  • ゴットサイド (Gottside) : 世界地図のほぼ中心の浅瀬に囲まれた島にある神秘的な町。神の声を聞く者が住んでおり、天空に一番近い町と言われるが、闇にも近い街である。この街の西には、つの笛のほこら、北には岩山に囲まれた、巨大で深遠な洞窟がある。
  • 天空への塔 (Tower of Zenithia) : ゴットサイドの南に天高く聳え立つ塔。天空城へと通じている。資格無き者を一切受け入れない。構造が、FC版とリメイク版とで大幅に異なる。
  • 天空城 (Zenithia) : 空中に浮かぶ城。竜の神マスタードラゴンが治めており、天空人やエルフが住んでいる。
  • 希望のほこら (Last Refuge) : 闇の世界にある小さなほこら。天空人が1人住んでいる。
  • デスキャッスル (Necrosaro's Castle) : 闇の世界の中央にある城。結界に阻まれており、この結界を守っている魔物たちを全て倒さない限り入ることができない。この城にはデスピサロはおらず、ここを抜けることでデスピサロのいる大きな山へ行くことができる。

登場キャラクター

この節では、ゲーム本編内で語られる設定を中心に記述する。( )内の英語表記は北米版での名前。〔〕内はゲーム中のステータスウィンドウに表示される肩書き。解説文中の呪文についての詳細はドラゴンクエストシリーズの呪文体系を参照。

導かれし者たち

主人公 〔勇者〕
物語全般の主人公であり、序章(リメイク版)と第五章以降で登場する。年齢は17歳。かつてブランカの北に住んでいたきこりの男と、天空から舞い降りた天空人の女との間に生まれた混血児であるが、父は雷に打たれて死に、母は天空に連れ戻された。その後主人公は、人里離れた山奥の村で育てられたが、魔族のピサロによって村を滅ぼされ、地獄の帝王を倒すためにひとりで旅立つ。天空城には、母親と思わしき女性がいる。
攻撃・回復などさまざまな呪文のほか、勇者だけが使えるデイン系呪文も覚える。ステータスは全体的に高く、特にHPや攻撃力は導かれし者8人の中でも上位の数値になる。プレイヤーはゲームスタート時に男性か女性かを選ぶことができる。どちらの性別でも覚える技や能力などに違いはないが、女性を選択した場合にのみ装備できる武具が存在するため、女性を選んだほうが若干であるが有利と言える。
リメイク版では、取扱説明書や公式ガイドブックなどで図版に使用されたスクリーンショットにおける主人公の名は男性が「ソロ」、女性が「ソフィア」とされている。
ライアン (Ragnar) 〔戦士〕
第一章の主役。バトランド王国の王宮戦士のひとり。男性。バトランド王の命令により、イムルの村で起きた子供失踪事件の真相を追うために旅立つ。
HPとちからが勇者よりも遙かに高く、強力な武器や防具を使いこなせるが、すばやさが低く、呪文が使えない。
アリーナ (Alena) 〔姫〕
第二章の主役。サントハイム王国の姫。格闘技が得意なおてんば姫である。ある日、自分の腕前を試したくなって城を脱出し、旅に出る。物語スタート以前にも、城を出ようとして自分の部屋の壁を壊したことがある。
呪文が使えず盾を装備できないが、ちからとすばやさが驚異的に伸び、戦闘では真っ先に大ダメージを与える。レベルが上がると「会心の一撃」を出す確率が高くなり、HPもそれなりに高い。ただしDS版では「会心の一撃」が出る確率は低くなった。原作者堀井雄二は、『IV』で最も好きなキャラクターにアリーナを挙げ、その理由を「会心の一撃が出やすいから」、彼女が主人公である第二章の見どころを「武術大会」とし、読者に対して「『ドラゴンボール』感覚で遊んでほしい」と語っている[2]
クリフト (Cristo) 〔神官〕
第二章のアリーナの仲間。男性。サントハイム城に仕える神官。神学校をトップで卒業した秀才[3]。城を飛び出したアリーナを追って彼女のお供をする。アリーナに惚れているようである[4]。リメイク版では高所恐怖症という性格が追加され、また、セリフ中で時折新約聖書口語訳の言葉を引用する。
回復系の呪文やザキ系呪文を覚える。ある程度強力な武器を装備できるが、ちからの伸びは鈍い。AIによる学習機能のあったFC版で、ボスキャラには絶対に効かないザキ系呪文をボスに対しても使用するという特徴を持ち、「ザキ系を連発するキャラクター」としてファンの間で有名になった。リメイク版ではAI学習が無くなったが、この「ザキキャラ」と前述のアリーナに惚れているという設定が加味され、相変わらずザキ系を頻繁に使用し、さらにいかなる場合でも回復はアリーナを最優先させるようになった。
北米版では宗教問題に配慮し、肩書きが「神官」から "Chancellor" (大臣、秘書などの意味)に変更されている。
ブライ (Brey) 〔魔法使い〕
第二章のアリーナの仲間。サントハイム城に仕える魔法使いの老人。男性。アリーナの教育係でもあり、彼女の暴れっぷりに、嫁の貰い手がいないのではと嘆いている。城を飛び出したアリーナをクリフトとともに追い、彼女のお供となる。リメイク版では時代劇やヒロイックファンタジーに見られるステレオタイプ的“じいや”であり、頑固で毒舌、お国自慢好き、身分階級にシビアといった特徴が台詞上に描写されるが、その背景にはアリーナらへの心配が見受けられることが多い。
呪文はヒャド系呪文や補助呪文を中心に覚える。典型的な魔法使いタイプで、MPやかしこさは高いが、HPとちからが低く、装備できる武器防具が少ない。
トルネコ (Taloon) 〔武器屋〕
第三章の主役。レイクナバの町に住む武器商人。男性。最初は雇われの身であるが、伝説の武器を見つけて世界一の商人になることを夢見ている。体格は太り気味であるが、自身では人に言われるほど太りすぎているとは思っていない。
アイテムの鑑定能力を持つが、呪文は使えない。第五章では戦闘中にプレイヤーの意図しない珍行動を起こすことがある(前作の「遊び人」に近いが、味方に有用な結果となるものが多い)。装備できるアイテムが多いほか、ちからもそこそこ強く、HPも勇者に横這いする勢いで伸びる(成長が早いのでHPは大抵勇者以上になる)。「鉄のまえかけ」はトルネコのみ装備できる防具である。リメイク版ではダンジョン探索時に便利な移動補助特技を覚える。
マーニャ (Mara) 〔踊り子〕
第四章の主役。コーミズ村の錬金術師エドガンの長女で、モンバーバラにて大スターとなっている踊り子である。モンバーバラで働いていたのは「旅のための資金集め」と「客の中に殺された父の仇であるバルザックが居ないか探すため」だったが、ミネアに経過を聞かれて「いい男がいなかった」と答えたり、稼いだ金を使い込んだりと、お気楽脳天気な面もある。しかし父の仇を討つという意志は本物で、妹ミネアとともにバルザックを討つために旅に出る。エンドールではすっかりカジノにはまる。リメイク版で、高いところは好きだが、暗くて湿った洞窟は大嫌いという設定が追加された。
呪文はブライよりも攻撃に特化した構成で、メラ・ギラ・イオ系と豊富に攻撃呪文を覚えるが、補助呪文はほとんど覚えない。ブライと同じく魔法使いタイプでHPやちからは低いが、MPの伸びが良い。リメイク版ではレベル60以降ちから、すばやさ、HPが驚異的な伸びを見せる。
ミネア (Nara) 〔占い師〕
第四章のマーニャの妹。エドガンの次女。よく当たると評判の占い師であり、エンドールでもファンができるほど。初対面にも関わらず、主人公を勇者だと見抜いた。占い師だけあって、タロットカードを武器にして(装備して)戦うこともできる。「銀のタロット」はミネアにしか使用できず、使用すると数々の効果が現れる。姉とは正反対で生真面目な性格。FC版で「月」を象徴するとされていたキャラクター性がリメイク版では強調され、洞窟などの暗所を好み、人ごみを嫌う台詞が見られる。
基本的に回復・サポートタイプであるが、回復呪文はクリフトに及ばない。その代わり攻撃呪文としてバギ系呪文を覚えるほか、ボス戦で非常に有効な防御呪文「フバーハ」を覚える。特徴として力は相応に伸びるがHPの伸びが鈍く後半は戦力外になりがち(FC版)。リメイク版ではステータス面でかなり改善され、確固とした戦力として使えるようになった。また、そこそこ重量のある武具も装備できる。

その他の仲間キャラクター

ホイミン (Healie) 〔ホイミスライム〕
第一章で登場。古井戸の底に住み、人間になることを夢見るホイミスライム。仲間にしなくてもクリア可能。その後第五章では人間となる。人間へと転生した経緯は『知られざる伝説』で詳しく語られている。ホイミンという名前は以後のシリーズ作品にてホイミスライムにつけられるネーミングとして定着した。リメイク版では、ベホイミスライムのベホイミンやベホマスライムのベホマンも登場する(仲間にはならない。ベホイミンは移民として登場)。
スコット (Strom) 〔用心棒〕
武術大会を観るためエンドールを訪れ、その後は用心棒として職を探している兵士。男性。エンドールの教会付近にいるが、第三章では報酬を支払うことで5日間、トルネコの仲間となる。犬が嫌いなので、犬を連れていると仲間にできない。仲間にしなくてもクリア可能。
ロレンス (Laurent) 〔旅の詩人〕
エンドールに宿を取っている旅の吟遊詩人。男性。第三章ではスコット同様、報酬を支払うことで5日間、トルネコの仲間となる。初級の呪文を使うことができる。仲間にしなくてもクリア可能。
オーリン (Orin) 〔錬金術師〕
第四章で登場。マーニャとミネアの父である錬金術師エドガンの弟子。男性。魔法の鍵の扉を素手でこじ開けるほどの力持ち。キングレオ城から逃亡する際、マーニャとミネアを逃がすために死んだと思われていたが、かろうじて生き延びフレノールにて療養している。
ホフマン (Hector) 〔宿屋の息子〕
第五章で登場。砂漠の宿屋の主人の息子であり、馬車の持ち主。過去に冒険仲間に裏切られ、人を信じる心を失っていたが、主人公たちによって信じる心を取り戻す。主人公たちとしばらく旅をした後ミントスにて主人公たちと別れ、ヒルタン老人に弟子入りをする。FC版ではその後、宿屋の店員になる。リメイク版では、主人公たちと別れた後、宿屋の店員を経たのち、サントハイム大陸にて移民の町を作る。
パノン (Panon) 〔旅芸人〕
第五章で登場。世界中を旅して回っているお笑い芸人。男性。主人公たちとはとあるきっかけで旅を共にすることとなる。PS版では別れた後、移民として登場する。「まどろみの剣」を装備しており、ラリホーの呪文を唱えるなど、相手を眠らせる能力に長ける。『知られざる伝説』によると“パノン”とは彼の本名ではなく、苦しい時代に人々に「笑い」を広める者が名乗る、屋号のようなものである。
ルーシア (Lucia) 〔天空人〕
第五章で登場。世界樹の葉を摘みに来た際、世界樹の最上層で魔物に襲われ翼を折られた天空人の女性。竜の子のお世話係。リメイク版では語尾に小さな「ぅ」がつく不思議少女系のキャラクターとなっており、見慣れない地上の世界に興味を持ち、色々な事柄に感激する。
ドラン (Doran) 〔竜の子ども〕
第五章以降で登場。天空城でルーシアに世話をされている竜の子ども(ルーシアと同い年)。ブレス攻撃を使うことができる。仲間にしなくてもクリア可能。リメイク版では六章のストーリーを進めるとパーティを離れる。

重要人物

シンシア (Celia)
山奥の村にいる主人公の幼なじみの少女。姿がエルフと似ている。変身の呪文「モシャス」を使うことができる。山奥の村が魔物に襲われた際、主人公に変身して自ら囮となって主人公を助ける。
ネネ (Neta)
トルネコの妻。いつもトルネコのために美味しいおべんとうを作る。第三章ではトルネコが仕入れた商品を他店の定価の1.5倍を超える値段で売り切るという驚異的な商才を発揮する。トルネコが旅に出ることを知ったときも、笑って送り出す理解ある女性。第五章では預かり所(リメイク版ではゴールド銀行)を営む。息子の名前はポポロ(リメイク版のみ)。
エドガン (Edgar)
マーニャとミネアの父で、錬金術師。オーリンとバルザックの二人の弟子を持っていた。既存の生物を変化させ恐ろしい怪物を作り出すことのできる「進化の秘法」を発掘したが、それを邪悪なものとして封印しようとしたため、それを欲していたバルザックによって殺害された。コーミズには彼の墓があるが、作中では回想なども含めて彼自身が登場することは無い。
パトリシア (Primrose)
ホフマンの父の宿屋で飼われている雌馬。主人公たちの馬車を牽引する。『知られざる伝説』によると、その正体はドランと同じ天空城に住む竜の子ども。いたずら好きで迷惑ばかりかけていたため、マスタードラゴンによって馬の姿に変えられて地上へと追放され、ホフマンに拾われたとされる。しかし、リメイク版ではホフマンが「仔馬のころから世話していた」と発言しているため、この設定は反映されていない。
ロザリー (Rosa)
ルビーの涙を流すというエルフ。それゆえ、捕まえて大金持ちになろうと目論む人間たちに狙われている。ルビーの涙にはエルフ族の強い想いが込められていると言われており[5]、普通の人間では手にした瞬間に砕ける。ピサロによって保護されていたが、エビルプリーストの謀略によって結局人間によって殺され、それがピサロを復讐と狂気に走らせる要因となった。
リメイク版の第六章では、主人公たちが手に入れた「世界樹の花」の効力によって蘇生。その後主人公たちに同行し(戦闘には参加しない)、進化の秘法で怪物化したピサロを説得する。またリメイク版では、かつては名前が無く、人間に襲われているときにピサロによって助けられ、その際に地名「ロザリーヒル」に冠して「ロザリー」と名づけられたというエピソードがある。
マスタードラゴン (Master Dragon)
天空城に住む竜の神。天空城に居ながらにして、世界の全てを知ることができる。かつて地獄の帝王を封印した。FC版のドットグラフィックでは体色が金色であったが、鳥山明によるパッケージイラストやリメイク版ではグレーである。天空シリーズではすべて同一人物である。

その他の人物

フレア (Flora)
バトランドに住む女性。夫アレクスが行方不明となり、道具屋の主人に言い寄られて頭を悩ませている。第1章にてドラクエシリーズ定番である「ぱふぱふ」を披露するが、ライアンにはしてくれない。
アレクス (Alex)
フレアの夫。魔物に襲われたショックで精神が子供還りし、パンを盗んで投獄されている。フレアの「ぱふぱふ」によって精神を取り戻す。
ププル (Pocos)
イムルの宿屋の息子。ピサロの手先の陰謀により、湖の塔に連れ去られる。
メイ (May)
女性旅芸人であり、フレノールでニセのサントハイム姫を演じている最中に誘拐事件に遭う。2人のお供がいる。PS版では第五章で、アリーナが馬車の外にいる時にお供のワリフト、プライとともに移民として登場する。
モニカ (Mia)
エンドールの姫。父親(エンドール王)が、武術会で優勝した者と結婚させると言い出し、困り果てている。
リック (Reed)
ボンモールの王子。エンドールのモニカ姫に恋しているが、ボンモール国王がエンドールに戦争を起こそうとしていることを知り、ボンモールを訪れたトルネコにモニカへの手紙を託す。トルネコにしか読めないくらい字が下手らしい。後にモニカと結婚。
キングレオ王
先代のキングレオ城の王。世間では死んだと伝えられているが、実際は怪物化した息子のキングレオにより投獄されている。第四章でキングレオに敗北して投獄されたマーニャとミネアに乗船券を与え、牢屋から逃がした。第五章では牢屋の中で息絶えている。
リバスト (Ruvas)
かつて天空の鎧を身に纏い、アネイルの町を自らの命と引き換えに魔物の手から守った戦士で、ゲーム中では亡霊として登場する。天空の装備を身に纏って魔物と戦ったという点では、先代の勇者であるとも言える。『知られざる伝説』や『モンスター物語』では「リバスト・ラル・クルトス」というフルネームとなっており、彼について詳しく語られている。
ヒルタン (Howden)
ミントスに住む老人。世界のことについて詳しく、「商売の神」とも言われている。かつては伝説の武器を探して世界を奔走していたが、結局見つけることはできず、生活も安定してきたため旅をあきらめ、ミントスで宿屋を経営している。

敵キャラクター

ピサロ (Saro)
魔族の王。本編のラストボス。人間を嫌い、「デスピサロ (Necrosaro)」を名乗って勇者の出現を阻止しようともくろむ。その強さと冷酷さにより人間には恐れられているが、部下の魔物たちからは崇拝されており、ロザリーヒルの住人にも信頼されていた。人間に襲われていたロザリーを助けた後、ロザリーと2人で暮らしていたが、ある日世界征服の野望を抱いて村を飛び出したことが、住民によって語られている。世界を魔族のものにするべく、地獄の帝王の復活のために奔走し、ロザリーに対し人間を根絶やしにする決意を語る。その後、ロザリーを人間に殺されたことで憤怒と狂気に任せて進化の秘法で怪物に姿を変える。様々な研究・実験の末に完成させた進化の秘法を自らに施した結果、肉体は比類なき強力なものになったが、精神がそれに耐えられずに自我が崩壊。記憶は失われ、人間を根絶やしにするという意思のみで存在している。デスキャッスル城を抜けた大きな山の奥にて勇者たちを待ち受ける。
リメイク版の第六章では、主人公たちの手によって蘇ったロザリーの涙により、進化の秘法が解けて主人公たちの仲間となる(NPCではなく、導かれし者と同様の扱い)。初期状態から、既に即戦力になるほどの実力を持っている。特技や呪文は高レベルで攻防補助とバランスがとれており、かつ「ジゴスパーク」「マダンテ」などの強力なものを習得する。また、呪いの装備を呪われず、マイナス効果を受けずに装備できる。
エビルプリースト (Radimvice)
邪心に満ちた大神官。人間を仕向けてロザリーを殺害させた真犯人。闇の世界でデスキャッスルの結界を守る魔物のひとりとして登場する。FC版、CDシアター版ではデスピサロの忠実な部下であり、ロザリーを殺害させたのもピサロを新たな帝王にするための行動であると本人が語っている。リメイク版では、小説版の設定を反映して、忠誠を誓っているのは表向きであり、ピサロに取って代わって魔族の王にならんと面従腹背している。
第六章では進化の秘法を完璧なものにして(本人談)デスパレスに君臨し、真のラストボスとして登場。第六章での戦いでは馬車は使えず、ピサロ+最大3人で戦うことになる。
アンドレアル (Anderoug)、ヘルバトラー (Infurnus Shadow)、ギガデーモン (Gigademon)
エビルプリーストとともにデスキャッスルの結界を守る魔物たち。
アンドレアルはドラゴン系の魔物。エビルプリーストと同じく幹部級のモンスターであるはずだが、アンドレアルだけは元から3匹で登場する上に仲間を呼んでさらに増えるため、大量に居ると考えられる。アンドレアルのデスピサロに対する忠誠心の篤さは、今際の際の台詞から見て取れる。高熱のガスを連発し、倒しても倒しても同じ仲間を次々と呼び寄せるのが特徴。
ヘルバトラーは牛のような姿の魔物で、イオナズンと激しい炎を連発してくる。勝利すると必ず「奇跡の剣」を落とす。
ギガデーモンは棍棒を持った巨躯の魔物。その外見からかリメイク版ではマーニャに「アタマの弱そうなの」と形容されたが、主人公に背後を調べさせてその隙に不意打ちを仕掛ける狡猾さも持っている。戦闘においても、ルカナンで守備力を下げてから攻撃してくると、力一辺倒ではない面を見せる。もちろん外見に見合う高い攻撃力も持っており、痛恨の一撃による大ダメージは驚異。
バルザック (Balzack)
エドガンの弟子でありながら、進化の秘法を欲して師を殺した。キングレオ城の王・キングレオをバックに付けて進化の秘法を自らの体に施し、魔物と化す。第五章ではさらにパワーアップし(モンスター図鑑では「バルザック+」と表示。ギガデーモンの色違い)、人々が居なくなった後のサントハイム城を占拠するが、非常に高慢な態度をとり、部下の魔物達からも嫌われている。本人は、神に近い肉体を得たと豪語し、ピサロを超えたつもりでいたが、実はピサロに黄金の腕輪無しでの進化の秘法の限界を計るための実験台に使われていただけだった。
キングレオ (Keeleon)
キングレオ城を支配している、ライオンの姿をした怪物。アームライオンの色違いである巨大モンスター。最初はバルザックを配下に置いていたが、バルザックがさらなる力を手に入れたため、「捨てられる」形となった。『知られざる伝説』にてキングレオ城の王子が進化の秘法を使った姿であるとされ、小説に反映されたのを経てリメイク版ではゲーム中の描写に反映された。FC版では主人公たちに倒されるとそのまま息絶えるが、リメイク版では人間に戻り、怪物化していた時の記憶は全て失くした状態となる。
第四章と第五章で、実質2回戦うことになる。第四章のキングレオは通常ではどうやっても勝つことは不可能な「負け戦闘」である。なお、倒した場合、FC版では戦闘がエンドレスで続き、PS版では負けたときと同様に物語が進む。2回行動をし、ギラと凍り付く息を連発し、高い攻撃力を誇る強敵。
ピサロナイト (Saroknight)
ロザリーヒルでロザリーの護衛をする鎧の魔物。相手の魔法を封じる「せいじゃくの玉」を持ち、戦いでは何度も使用してくる。『知られざる伝説』によると、彼の本名は「アドン」といい、かつてのピサロの直属の剣士で彼の無二の親友。剣の腕はピサロと御前試合で互角に渡り合うほどの腕であり、その腕を買われて、ロザリーの護衛を命じられた。だが皮肉にも、ロザリーはかつてアドンが人間の手から守ったことあるエルフの少女であり、彼の初恋の相手でもあった(このあたりの設定はリメイク版でピサロとロザリーの出会いに流用されている)。己の運命を呪ったアドンは鉄仮面で顔を隠し、本名を捨て、「ピサロナイト」として生きていくことを誓った。なお、この設定は小説版にも反映されている。
ピサロの手先 (Saro's Shadow)
バトランド北西の湖の塔に潜むデスピサロの手先。「そらとぶくつ」でイムルの村の子供たちをさらい、伝説の勇者を子供のうちに殺害しようと企む。大目玉と一緒に現れる。MPは無限であり、メラとギラを連発してくる。
エスターク (Esturk)
アッテムトの地下深くに封印された自らの神殿で眠る地獄の帝王。かつての魔族の王で、「進化の秘法」を作り出した張本人でもあり、それを自らの身体に施して究極の生物と化した。両手に巨大な剣を持ち、それを武器に戦う。主人公たちが到着した時点では完全に覚醒しておらず、本来の力を発揮できていなかったが、それでも眠っている体から光を発して攻撃をしてくるなど、実力は底知れない。

バグ

本作のFC版の初期出荷分ロムでは以下のようなバグが発生した。詳細は外部のファンサイト等を参照のこと。

  • エンドールのカジノのコイン売り場において、ある金額以上分のコインを購入すると、要求される金額がおかしくなる(桁あふれ)。ちなみにDS版ではこの件についてさりげなく語っている町の住民がいる。
  • 気球入手前に船である地点へ行くと気球に乗ったときと同じ状態が発生する(透明気球と称されている)。しかしこれを行うとその場合エンディングの途中でフリーズしたり、数値や技がおかしい謎のNPCが出たりする。
  • ボス戦において戦闘中に一定回数「にげる」に失敗すると呪文「パルプンテ」などでしか起こらないはずの現象が起こる。
  • あることをすると大きい扉(4マス分の面積)が増殖する現象が起きる。

北米版においては、コイン売り場、透明気球、大きい扉の各バグは修正されている。


以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


発売時の事件

本作発売時に抱き合わせ商法が行われ、それが独占禁止法違反に問われた。その事件につき、公取委審決と解説が判例百選に掲載されている[6]

関連商品

ガイドブック

  • ファミリーコンピュータ版
    • ファミコン奥義大全書 ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(集英社) (ISBN 4-8342-1016-2)
    • ドラゴンクエストIV 導かれし者たち 公式ガイドブック 上巻 世界編(エニックス) (ISBN 4-900527-37-8)
    • ドラゴンクエストIV 導かれし者たち 公式ガイドブック 下巻 知識編(エニックス) (ISBN 4-900527-38-6)
  • プレイステーション版
    • Vジャンプブックスゲームシリーズ ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(集英社) (ISBN 4-0877-9137-8)
    • ドラゴンクエストIV 導かれし者たち 公式ガイドブック 上巻 世界編(エニックス) (ISBN 4-7575-0591-4)
    • ドラゴンクエストIV 導かれし者たち 公式ガイドブック 下巻 知識編(エニックス) (ISBN 4-7575-0592-2)
    • ドラゴンクエストIVのあるきかた(エニックス) (ISBN 4-7575-0638-4)
  • ニンテンドーDS版
    • Vジャンプブックス ドラゴンクエストIV 導かれし者たち NDS版 導きの書(集英社) (ISBN 978-4-08-779442-7
    • ドラゴンクエストIV 導かれし者たち 公式ガイドブック(スクウェア・エニックス) (ISBN 978-4757521957

その他の書籍

  • 小説ドラゴンクエストIV(エニックス)
  • ゲームブックドラゴンクエストIV(全4巻)(エニックス)
  • ドラゴンクエストIV ワールド漫遊記(エニックス) (ISBN 4-900527-64-5)
  • ドラゴンクエストIV モンスター物語 (エニックス)(ISBN 4-900527-45-9)
  • ドラゴンクエストIV 知られざる伝説(エニックス) (ISBN 4-900527-48-3) - ゲーム本編では語られることの無かった謎が明かされる短編集。
  • ドラゴンクエストIV マスターズクラブ(JICC出版局)(ISBN 4796600841)
  • ドラゴンクエストIV導きの書ワールドガイド(エニックス) - イラストとコミックで本作の登場人物や世界を紹介するブックレット。FC版発売直前に文具店や玩具店で出回った。

CD

†は廃盤。

  • CDシアター ドラゴンクエストIV
  • † 交響組曲 ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(アポロン音楽工業、APCG-9001) - NHK交響楽団演奏のオーケストラ版と、FC版のゲーム音源。ゲーム音楽としては史上初のオリコン初登場1位を獲得(1990年3月26日付)。
  • † ドラゴンクエスト イン・ブラスII(アポロン音楽工業、APCG-4007) - 『II』と銘打たれているが演奏曲目はIVより。
  • † ドラゴンクエストIV 導かれし者たち オン・エレクトーン(アポロン音楽工業、APCG-4008)
  • 交響組曲 ドラゴンクエストIV(ポニーキャニオン、PCCG-00118) - ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団演奏。
  • 交響組曲 ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(SMEビジュアルワークス、SVWC-7064) - ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団演奏。ポニーキャニオン版と曲目は同じだが、演奏内容が異なる。
  • N響版交響組曲 ドラゴンクエストIV 導かれし者たち +オリジナル・ゲームミュージック(SMEビジュアルワークス、SVWC7112〜3) - DISC1はNHK交響楽団演奏のオーケストラ版の再収録、DISC2はPS版のゲーム音源集。
  • 交響組曲 ドラゴンクエストIV 導かれし者たち コンサート・ライブ in 2002(SMEビジュアルワークス、SVWC7169〜70) - 神奈川フィルハーモニー管弦楽団演奏。2002年8月28日東京芸術劇場大ホールで行われた第16回ファミリークラシックコンサートの演奏のライブ録音。「立ちはだかる難敵」「ピサロ〜ピサロは征く」を初収録。アンコールで演奏された『亜麻色の髪の乙女』『花の首飾り』も収録。ただし、同じくアンコールで演奏された『ドラゴンクエストIII』の「そして伝説へ」は収録されていない。
  • 吹奏楽組曲 ドラゴンクエスト第2集 ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(OTO音、OTA-0004) - 「イン・ブラスII」にデジタルリマスターを施し再リリースしたバージョン。
  • 交響組曲 ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(アニプレックス、SVWC-7252) - 東京都交響楽団演奏。

派生作品

ゲーム

トルネコの大冒険 不思議のダンジョントルネコの大冒険2トルネコの大冒険3
本作のキャラクター「トルネコ」が主人公となったダンジョン探索型RPG
レディストーカー 〜過去からの挑戦〜(開発:クライマックス 販売:タイトー
アリーナ、クリフト、ブライを主人公とした外伝的作品として企画されたゲーム。しかし開発途中でドラゴンクエストシリーズとしての発売が中止されたため、主なシステム・シナリオ・パラメータはそのままに、グラフィック・名称などを入れ替えて発売された。[7]

漫画

ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場
多くの作者により漫画化・パロディ化されることで、ただでさえ従来のドラゴンクエストよりも強かった『IV』をはじめとする登場人物の個性がより強調されることになった。そこで生まれた設定が、リメイク版での会話システム等で採用されるなど、逆に影響を与えた。
ドラゴンクエスト プリンセスアリーナ八坂麻美子
本作のキャラクター、アリーナを主人公とした漫画作品。月刊Gファンタジーで連載された。
DRAGON QUEST IV外伝 -地獄の迷宮-三条陸(原作)、稲田浩司(作画))
第五章で勇者一行がアッテムトを訪れた時期に該当する外伝。主人公「ギィン」とそのパートナー「プラナ」は後の連載『冒険王ビィト』のビィトとポアラの原型キャラクターでもある。

脚注

  1. ^ 『スーパーファミコン奥義大全書ドラゴンクエストV天空の花嫁』(集英社1992)にて、「ドラゴンクエストIVから数百年後」と明言されている。また、週刊少年ジャンプ連載「ファミコン怪盗芸魔団」でも堀井雄二が同様に述べている。さらにそれら予備知識がなくとも、内部構造や名前、住人が本作と同じである「天空城」が存在する他、天空の武具が共通して登場する、『IV』の時代の伝説が残っているなど、ゲーム中からも読み取れる。さらにPS版『V』では「500年」という具体的数字のある台詞が追加された。
  2. ^ 月刊『Vジャンプ』 2002年1月号 巻頭カラーページ「堀井雄二さんおつかれさまパーティー/カニを食べながら聞く44のぶっちゃけQ(クエスチョン)!!」
  3. ^ 『ドラゴンクエストIV導きの書ワールドガイド』(エニックス)「クリフトの戦闘能力」より
  4. ^ FC版にはクリフトの台詞の中に一言だけ“アリーナに惚れている”ことを匂わせる台詞がある。リメイク版では解説書の紹介の項にアリーナに惚れているとの記述が加えられた他、仲間会話システムにおいて頻繁にその種の台詞を発するようになり、自室のタンスからアリーナの隠し撮りブロマイドを発見することもできる。
  5. ^ 作中でロザリーヒルに住む子供のホビットが発言している。
  6. ^ ドラクエIV事件(藤田屋事件)、別冊ジュリストNo.141 独禁法審決・判例百選(第5版)、今村成和・厚谷襄児編、有斐閣
  7. ^ レディストーカーとドラゴンクエストの共通点 - Index of /~s-endo/ (個人サイト)

外部リンク