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ワイルドリーガー

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ワイルドリーガー』は、週刊コミックバンチ(新潮社)で2001年5月29日号から2003年5月2日号まで連載された渡辺保裕作の野球漫画。全10巻が同社より発売している。

挫折からの再起というテーマを多く掲げたコミックバンチの傾向に漏れず、プロ野球界に再起を図るキャラクターが多く登場する。また作者のメジャーリーグへの造詣から日本では馴染みの無い野球用語を多く用いていることも特徴(B.P.F.B、フリニアク打法など)。

あらすじ

かつての名門、東京武鉄レッドソックス。しかしここ数年成績は低迷、最下位の常連となり選手も無気力な有様であった。かつてのエース浅野夏門は肘の故障による引退の後、アメリカでシャークハンターとして暮らしていたが、レッドソックス嘗ての恩師志堂喜八がファンからチーム低迷の責任を問われている姿を目撃。かつての恩に報いるため現役復帰を決意する・・・

東京武鉄レッドソックス

セリーグ所属の球団。親会社は武蔵野鉄道株式会社。本拠地は武蔵野フィールド。嘗ては名門と呼ばれていたが、現在は成績低迷によるファンの減少で球団の身売りや合併も囁かれている。ユニフォームや球場のモデルはボストン・レッドソックス(選手構成や赤、白、紺の配色ユニフォームを見る限り、作者がファンである大阪近鉄バファローズをモデルにしているという声もある)。

登場人物

東京武鉄レッドソックス・選手

浅野 夏門(あさの かもん)
投手。背番号14、右投げ右打ち。28歳。MAX161km/h。通称「レッドキャノン」
幼少のころ監督・志堂喜八に貰ったサイン「男は黙ってレッドソックス」に感動し、プロに入った後もレッドソックスの為に身命を投げ打つ。
9年前はレッドソックスのエースとして大車輪の活躍をしていたが370イニング以上を投げた為に肘を故障、そのまま引退となる。引退後はアメリカに渡りシャークハンターとして暮らしていたが、その中で肘を回復させメジャーリーグのバードドッグ(スカウト)の目に留まる。しかしレッドソックスの惨状を知った後、メジャーの合格を蹴りレッドソックスの入団テストを受け現役復帰。帰ってきたエースとしてチームを盛り上げ球団生まれ変わりの救世主となる。
160km/hを越す豪速球とロリポップ(山なりのゆるい球)、そして魔球エリプスハンターを用いる。これは大きく弧を描き(横変化のときは三塁ベースに達する程)ストライクゾーンに入る軌道を持ち、球速も速くノビがある。尚且つチェンジアップであり、タイミングに合わせて打つと打者はボールが消えたような錯覚を起こし、ミートに成功してもあまりの球の重さに体をどこかしら故障してしまうというまさに難攻不落の魔球。弱点は余りに集中力を要するため1試合に1度しか投げられないこと。後に投球回数を増やすことに成功する。
秋葉 駿(あきば しゅん)
捕手。背番号3、右投げ右打ち。23歳。
通称「BB(ベースボール)キッド」。昨シーズンにトリプルスリーを達成している強打俊足のレッドソックス正捕手。低迷を続けるレッドソックスで唯一のスター選手であった。打者としての評価が高いが、本人は捕手としても評価されたがっている。
年齢の幼さ故か生意気な言動が目立つが、実は涙もろく熱い男。茶髪に染めた刈り込んだ髪や語尾に「~っつーの」と付けるのが特徴。
下位に低迷する武鉄を見限ってポスティングシステムを行使してのメジャーリーグ入りを示唆していたが、浅野達の熱意ある練習に惹かれ武鉄で「楽しく」野球が出来るようになった。
友部 蓮司(ともべ れんじ)
捕手のちに一塁手。背番号7、右投げ右打ち。36歳。
通称「ワイルドハンズ」こんにゃく打法を用いる。非常に冷静で穏やか。一人息子の蓮(れん)を持つ。
かつては強肩の捕手として武鉄のホームを守っていたが、膝の故障と試合の最中に愛妻を失ったことで引退。野球から離れ郊外で酒場を営んでいたが、浅野と息子に諭され現役復帰を決意。当初は捕手として参加していたが、正捕手を秋葉に譲り一塁手として復帰。現在は志堂監督宅に同居している。
羽根田 耕(はねだ たがやす)
右翼手。背番号99、左投げ左打ち。34歳。元宝塚歌劇団の花形であった妻を持つ。
通称「孤高の天才」。四文字熟語をよく用いる。日本最速の安打量産ペースであったが、999安打で突如姿を消す。その後健康器具会社の社長となり、様々なアイディアと妻の実務能力により通販業界で財を為すも浅野の誘いを受け現役復帰。浅野の台詞「天涯孤独」を「天才孤独」と聞き間違えたことから、自分の世界に打ち込むことが出来るようになり恩義を感じている。現役を長く離れていたが毎日40キロを走るなどのトレーニングで全くキレは落ちていない。
巧打かつ強打。自分の打撃を「合気打法」と名づけ"地球の中心繋がる"ことを目標にしていたり、バットに「血を送り込む」ため打席で瞑想したりと独自の美学を持つ。守備でもライフルアームと呼ばれるほどの強肩で、ライト最深部からサードにノーバウンド送球出来るほど。
モデルは名前は羽田耕一、容姿や打撃技術前田智徳、強肩で会社経営をしている背後から羽生田忠克と思われる。
野間 ガルシア(のま ガルシア)
遊撃手。背番号5、右投げ右打ち。41歳。
通称「ロングトレイン」。現役最年長野手。子沢山。語尾に「~のだ!」とつけるのが特徴、またチームメイトを「~選手」と呼ぶ。
レッドソックスの牽引車(クリッパー)と呼ばれ連続試合出場1699試合の記録を継続中だが、年齢による衰えから往年の輝きを失っている。復帰した浅野に刺激され次第に以前の精神を取り戻していく。
モデルはノマー・ガルシアパーラ
伊能 栗之進(いのう くりのしん)
一塁手兼三塁手。背番号19、右投げ左打ち。27歳。
武鉄の主将。ドラフト逆指名で武鉄に入団するも、自己の才能を過信し、練習を怠けた結果、野球選手とは思えない肥満体と化している。またチームメイトを揶揄してムードを盛り下げたりとまさに内患。しかしながら、その潜在能力は本物のようで、羽根田や赤井からは、才能を腐らせていると嘆かれている。
名前のモデルはジョー・クローニンと思われる。
小山内 健寿(おさない けんじ)
内野手兼外野手。背番号24、右投げ両打ち。26歳。
通称「武鉄の森の王子様」。武鉄の2番打者で内外野どこでも守れ、打撃でも小技の得意なタイプの選手。
芸大出身の異色の選手で、語尾に「~なのサ(ハートマーク)」とつける。近藤和彦の天秤打法や山森雅文のサーカスキャッチといった過去の名選手をリスペクトしている。
福井 一人(ふくい ひとり)
外野手。背番号15、右投げ左打ち。22歳。
先頭打者ホームランを多く打ち、試合序盤に滅法強い。武鉄の1番打者。
スキンヘッドや名前からモデルは森本稀哲と思われる。
江勝 利一(えかつ としかず)
投手。背番号27、のちに81、左投げ。30歳。
通称「バッドマウス」。サイドスロー。
長髪に立派な口ひげが特徴で、非常に口が悪く、よく台詞に修正音が入る。
メジャーリーグに野球留学していた経験があり、プライドが高い。元武鉄の選手で、移籍した横浜ベイスターズを自由契約になり「プライドが満たされない」と現役を引退、メジャーのコーチに就任する予定だったが、浅野との邂逅により現役続行を決意する。先発兼リリーフとして活躍し、後に因縁のベイスターズから勝利を挙げる。
モデルはデニス・エカーズリーだが、この江勝はサウスポーである。
西若 公望(にしわか きんもち)
投手。背番号1、左投げ。34歳。
キャッチフレーズは「根魂」。強面で兵庫系関西弁。同僚を漢字一文字で呼ぶ(浅野夏門→門)。
浅野夏門加入前の武鉄のエースで、自称球界一の落差を誇る「根フォーク」を操るが、対阪神戦に置いて後述のルーブに全身の精気が抜け真っ白になる程打ち込まれた。
モデルは「草魂」鈴木啓示
吉野 邦弘(よしの くにひろ)
投手。背番号24。右投げ右打ち。28歳。
シュートが武器。秋葉とバッテリーを組むが、年上なのに「吉野クン」と呼ばれる。音楽鑑賞が趣味で、アナログレコードを愛する。これといった武器を持たない二流選手であったが、秋葉と共に積んだ特訓の成果で、唯一得意であったシュートをチームの武器とするまでに磨き上げた。

東京武鉄レッドソックス・首脳陣

志堂喜八(しどう きはち)
レッドソックスの黄金時代を築いた名監督。既に引退していたが、昨年シーズン途中で前監督が辞任したため、急遽復帰するも、冷め切ったムードのチームを立て直せず、最下位に終わる。
彼自身も選手時代は「レッドソックスの太陽」と謳われた大打者であった。
栗橋純也(くりはし じゅんや)
武鉄レッドソックスのオーナー。彼自身は野球に興味がなかったが、浅野の姿勢を認め、球団経営に力を入れるようになる。
少年時代は長嶋よりも力道山に夢中だったと語る通り、プロレスボディビルにのめりこんでおり、自身も日々のボディビルディングを欠かさない。電話帳を破り捨てるパワーを持つ。
禿げ上がった頭頂部に、見開いたギョロ目、浅黒い肌、鍛え上げられたマッスルボディという、大変に強烈な風貌。
東京大学出身で、伊能は後輩にあたる。
赤井大機(あかい だいき)
レッドソックスの嘱託ヘッドコーチ。アメリカ・中南米・アジアと、世界を叉にかけるトラベリンコーチ。恐ろしげな風貌で、「走れ!走れ!」と怒鳴り散らすその姿はまさに鬼軍曹。才能を腐らせておくのが我慢ならず、自ら憎まれ役を買って出て、浅野たちに発破をかける。
彼もまたレッドソックスの元選手であったが、現役時代は無茶な練習と負傷を繰り返したせいで、一度も一軍に上がれなかった。しかし、そのひたむきな姿がチーム全体に刺激を与えていたという。
モデルはその風貌からピート・ローズと思われる。

読売ジャイアンツ

御園生静(みそのお しずか)
内野手。背番号4。右投右打。
浅野夏門の最大のライバル。あだ名は「プリンス」。読売巨人軍不動の四番打者であり、ジャイアンツはおろか、現在の日本球界最強クラスの選手。
浅野が現役当時、新人王を争ったが、24打席中一度も彼の球を打てないまま、浅野が肘を故障し引退。それを「勝ち逃げされた」と思い、ずっと引きずり続けていた。
もはや敵のいなくなった日本球界に見切りをつけ、メジャーリーグに移籍しようとしていたが、浅野がレッドソックスに復帰したことを知り、日本に留まって、彼と決着をつけようとする。
浅野とは、プロ入りする前に二度対決しており、そのいずれも御園生が勝利を収めている。
やたらと顔が不気味で、浅野に固執するその姿から、読者からはホモ疑惑が囁かれていた。また、時折すさまじい表情の崩れや、奇怪な特訓の姿を見せ、主人公のライバルという立場にありながら、イロモノキャラとして扱われていた。
モデルはデレク・ジーターと思われる。
森洋一(もり よういち)
投手。背番号14。右投右打。
御園生と一緒にいる事が多く、御園生に打撃投手として付き合わせている巨人の若手右腕。
MAX157キロの速球とスライダーが武器。
容姿や投球スタイルからモデルは森慎二か?

阪神タイガース

ルーブ・イノセント
中堅手。背番号10。右投げ左打ち。
阪神タイガースの秘密兵器。人智を超えたパワーを持ち、その打球はキャッチしたミットやボール自体が破壊されるほど。後述の過去から野球を戦場と考えており、威圧感で相手を圧倒し壊すことを仕事と考えている。
ソ連の難民収容所でスペツナズ候補の名も無い少年兵として従事させられていたが、戦場カメラマンルーブ・バンドックスと野球を通じ触れ合う中で人間らしさを少しずつ取り戻していく。しかし、ソ連当局にスパイ容疑をかけられたバンドックスを目の前で射殺されたことにより人間としての感情を完全に凍らせてしまった。その折、自分の名をルーブと決める。ちなみに"イノセント"は"無垢"の意。
その後、バンドックスのガールフレンドであるスティービーに保護され、雇われ野球選手として阪神タイガースに入団。武鉄戦で西若を真っ白になるまで打ち込んだが、次の対浅野戦でも序盤レッドソックスを圧倒、浅野や羽根田などを恐怖心で破壊しかけるも、「戦争とは違う野球の調和」を見せる浅野たちのプレーに次第に混乱しながらも成長、目の輝きを取り戻し浅野のエリプスと対峙をする。
野球の感動をメッセージを込めて描いたルーブの話はファンの間では評価が高い。
星野 仙一(ほしの せんいち)
阪神タイガース監督。序盤に中日ドラゴンズ監督としてキャンプを行っていたが、現実に合わせて何事も無かったように移籍した。
やたら血気盛んで初回から乱闘騒ぎを起こそうとしたりしているが、志藤監督に若かりし頃に師事を仰いでいたらしい。

広島東洋カープ

その他