コンテンツにスキップ

綸言汗の如し

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。アスタロト (会話 | 投稿記録) による 2008年5月18日 (日) 02:55個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

綸言汗の如し(りんげんあせのごとし)とは、皇帝が一旦発した言葉(綸言)は取り消したり訂正することができないという中国歴史上の格言孔子の「礼記」を出典とする。原文では「綸言如汗」。

概要

古来より、皇帝など国家の支配者の発言は神聖であり絶対無誤謬性を有するとされ、臣下が疑念や異議を差し挟むことは不敬とされた。 このため、一旦皇帝より発せられた言葉は仮に誤りがあっても、それを訂正することは皇帝が自らの絶対無誤謬性を否定することになり、皇帝の権威を貶めてしまうためタブーとされた。 このため、「綸言汗の如し」(皇帝の発言は、かいてしまったのように体に戻すことができない)という礼記の言葉を引用、格言として軽率な発言やその訂正を戒めた。

この慣例は発言のみならず文書にも適用され、乾隆帝が先に入手した黄公望の「富春山居図」模本に賛を記入してしまったため、後に入手した真本に賛を入れることが出来なかったという故事が残されている。