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アーヴィング・クリストル

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アーヴィング・クリストルIrving Kristol 1920年1月22日 - )は米国の文芸批評家。ネオコンの創始者と考えられている。

ガートルード・ヒメルファーブは保守系の歴史家でニューヨーク市立大学大学院名誉教授。息子のウィリアム・クリストル(ビル・クリストル)もネオコンの代表的存在であり、レーガン政権ではベネット教育長官の、ジョージ・ブッシュ政権ではクエール副大統領のそれぞれ首席補佐官を務めた。

経歴

ニューヨーク市ブルックリンにて正統派ユダヤ教徒の家庭に生まれ、バル・ミツワーを受ける。しかしながら、彼は自身の思想をユダヤ教と無関係と主張している[1]。ニューヨーク市立大学でトロツキストとして活動し、1940年に同大で歴史学の学士号を取得。卒業前、トロツキストの集会でガートルード・ヒメルファーブと知り合い、1942年1月18日に彼女と結婚[2]1940年第四インターナショナルのメンバーだったことを「誇りに思っている」と書いたのは1983年のことだった[3]第二次大戦中は、1941年から1944年まで機甲歩兵部隊の軍曹としてヨーロッパで従軍。戦後は1年間マルセイユに駐留した[4]

1947年から1952年まで『コメンタリー』誌の主筆を務め、英国発の文芸誌『エンカウンター』誌の創刊に参加すると共に、1953年から(1958年に友人でニューヨーク市立大学の同級生メルヴィン・J・ラスキーに地位を譲るまで)同誌の編集者を務める[5]1959年から1960年まで『レポーター』の編集者、1961年から1969年までベーシック・ブックス出版社の取締役副社長。1969年から1988年までニューヨーク大学経営大学院教授として社会思想を講義。今はなき「民主的多数派のための連合」(en:Coalition for a Democratic Majority)の設立にも参加し、同連合の副議長を務める。1988年から保守系シンクタンク「アメリカ企業研究所」のジョン・M・オーリン記念上席研究員。これらの地位や言論活動を通じてネオコン運動を軌道に乗せ、減税や軍事費増強、国外派兵、保守的価値観、米国憲法修正第1項(「言論の自由」条項)に保障された権利の縮小解釈を主張した。たとえば彼は「同性愛擁護は、実は米国憲法修正第1項に属するものではないと私は思う。それは、ポルノの出版が米国憲法修正第1項に属するものではないのと同じだ」と発言したことがある[6]

クリストルは、政治や文化を扱う言論誌『ザ・パブリック・インタレスト』や、国際関係論を扱う言論誌『ザ・ナショナル・インタレスト』を創刊した。彼はまた、1965年の創刊から2002年まで『ザ・パブリック・インタレスト』の編集委員をも務め(最初の共同編集委員はダニエル・ベル、次の共同編集委員はネイサン・グレイザー)、1985年の創刊から2001年まで『ザ・ナショナル・インタレスト』の発行人でもあった。

1988年からアメリカ企業研究所の上席研究員。1972年から外交問題評議会の終身会員。1972年から『ウォールストリート・ジャーナル』寄稿者委員会会員ならびにナショナルアフェアーズ社会長。

クリストルは「記憶にある限り、私はいつも『ネオ』だった。ネオマルクシスト、ネオトロツキスト、ネオリベラル、ネオ保守主義者。ネオトロツキストやネオマルクシストだった時ですら、宗教上はネオ正統派だった。私は一生『ネオ』尽くしで終わることになるだろう」と自らを語る[7]

2002年7月、ジョージ・W・ブッシュ大統領から大統領自由勲章を授けられた。

著書

  • Neoconservatism: The Autobiography of an Idea 1995 (ISBN 0-02-874021-1)
  • Reflections of a Neoconservative: Looking Back, Looking Ahead 1983 (ISBN 0-465-06872-3)
  • Two Cheers for Capitalism 1978 (ISBN 0-465-08803-1)
  • On the Democratic Idea in America
  • The American Revolution as a successful revolution (Distinguished lecture series on the Bicentennial) 1973 (ISBN 0-8447-1300-7)
  • Democracy does not guarantee equality of conditions - it only guarantees equality of opportunity.

脚注

  1. ^ Kristol, Irving. Neoconservatism: The Autobiography of an Idea. New York: The Free Press, 1995. ISBN 0-02-874021-1 p. 3-4
  2. ^ Kristol, 12-13.
  3. ^ Flirting with Fascism, Laughland, John, The American Conservative, 30 June 2003 (retrieved 17 December 2007)
  4. ^ Kristol, 13-14.
  5. ^ “Stephen Spender Quits Encounter”. The New York Times. (1967年5月8日) 
  6. ^ Sex and God in American Politics: What Conservatives Really Think, Pol'y Rev., Summer 1984
  7. ^ Review of Arguing the World (January 7, 1998) (retrieved 29 December 2007)

外部リンク