ドゥフレックス
デュフレックス(Duflex )は、ハンガリーのガンマ・ミューヴェク(Gamma Muvec 、以下ガンマ社)が1946年から1947年に発売した一眼レフカメラの一種。
ドゥロヴィチュ・イェネー(Dulovits Jeno )はアイレベル正立正像一眼レフのアイディアを1939年頃に考えつき、1943年8月23日に特許を取り、ガンマ社に持ち込んだ。ガンマ社社長のユハース・イシュトヴァーン(Juhasz Istvan )はこれに感心しカメラを設計させた。デザインはネーメット。当初の試作品はM42マウントだったというが市販品は専用バヨネットマウントに変更されている。アイレベルファインダーと併設されるブライトフレームファインダーは35mm、50mm、90mmの枠を持つが、ファインダーは今日一般的なペンタプリズムではなくポロミラー式であった。ミラーはクイックリターンで、ボディーを小型軽量化するため後退しつつ跳ね上がる。33mm幅のフィルムを使用し画面サイズは24×32mm。シャッターは横走りメタルフォーカルプレーンシャッター。マウントは専用バヨネットマウント、レンズはアルター(Arter )5cmF3.5、プリセット絞り。1950年に国による指令で製造が中止され、生産台数は約200台とも約500台とも言われる。
これ以前の一眼レフはウエストレベルしかファインダーがなく、縦方向の撮影が不可能だったり、一度シャッターを切ると巻き上げるまでミラーが上がったままになり、視界が全く写らなくなるなど問題点が多かったが、デュフレックスは史上初のアイレベルファインダー、採光式ブライトフレーム、クイックリターンミラーの他に後期のモデルでは自動復帰式フィルムカウンターを採用するなど、以降の一眼レフカメラにおいて基本となる機能をほぼ備えたエポックメイキングな機種であった。しかしながら冷戦のため市場には全く影響を与えられず、このカメラの存在が日本で認知されたのは1970年に『カメラ毎日』の特派員が現地で発見してからであった。ただ前述のとおり生産台数は数百台しかなかったため、現在中古市場で見かけることはまず無いといっていい。
スペック
型式:一眼レフカメラ
マウント:外爪式バヨネット
使用フイルム:33mm幅の特殊フィルム
画面サイズ:24×32mm
ファインダー:ポロミラー方式アイレベルファインダー、採光式ブライトフレーム(90/50/35 mmレンズ用)、光像式ファインダー、後退式クイックリターンミラー
シャッター:横走行式メタルフォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード:B, 1,2,5,10,25,50,100,250,500,1000
レンズ:Arter 50mm F3.5
絞り値:3.5~32
重量:783g
サイズ:152.8×95.3×40.5 mm