コンテンツにスキップ

テトラヒドロカンナビノール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Plax (会話 | 投稿記録) による 2008年7月7日 (月) 11:30個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎関連項目)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

テトラヒドロカンナビノール
THCの構造
IUPAC名(−)-(6aR,10aR)-6,6,9-trimethyl-3-pentyl- 6a,7,8,10a-tetrahydro-6H-benzo[c]chromen-1-ol
別名THC, Δ9-THC
分子式C21H30O2
分子量314.46
CAS登録番号1972-08-3
沸点200 °C(0.001 mmHg)

テトラヒドロカンナビノール (Tetrahydrocannabinol; THC, Δ9-THC) はカンナビノイドの一種。幻覚作用、多幸作用がある向精神薬大麻樹脂に数パーセント含まれ、大麻の主な有効成分である。

分子式 C21H30O2、分子量 314.46 g/mol、沸点 200 ℃ (0.001 mmHg)、溶解度 2.8 g/L (水、23 ºC)、CAS登録番号 [1972-08-3]。窒素を含まないという特殊な構造のためアルカロイドには分類されない。

THCは生きている大麻ではTHCA(THCのカルボン酸体)として存在し、伐採後に熱や光によって徐々に脱炭酸されてTHCへと変化していく。乾燥大麻の中ではTHCとTHCAが共存しており、この総THC(THC+THCA)でいわゆる「マリファナ」のTHC含有率を表す。

水には溶けにくいが、エタノールヘキサンなどの有機溶媒には溶けやすい。や体中にあるカンナビノイド特異的受容体に結合することで薬理学的作用を及ぼす。

抽出と合成

1964年、イスラエルのワイズマン研究所の Raphael Mechoulam と Yechiel Gaoni によって分離された。2006年、スタンフォード大学の2人の化学者が合成に成功した[1]

法律との関連

日本では麻薬及び向精神薬取締法において麻薬に指定されている。一部の国や州(オランダ、メキシコ、アメリカ・カリフォルニア、オーストラリア・ミンビン、他)では合法化されて(合法化に進んで)おりまたは州により医療として使用・解禁が認められている。

精神的な特性

強い中毒性は無いが依存性がある。幻覚作用があるとあるが、幻覚を見ることは稀である[2]。血圧には変化はなく、食欲が増進する[2]

メスカリンシロシビンリゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)との交叉耐性はない[2]

酒や他のドラッグよりは安全で、落ち着きや穏やかになる作用もある。THCを取り入れて危険な性格になったり危険な行動を起こすことはまず少ない。もし仮に運転をしていてもスピードが速く感じるため低速度で走り、周囲に敏感になるので飲酒運転とは正反対である。よって酒や他のドラッグと比べてより安全で穏やかな物と思われる。

脚注

  1. ^ ドラッグを扱った科学研究5件 (WIRED VISION、2008年4月8日)
  2. ^ a b c レスター グリンスプーン、ジェームズ・B. バカラー 『サイケデリック・ドラッグ-向精神物質の科学と文化』 杵渕幸子訳、妙木浩之訳、工作舎、2000年。ISBN 978-4875023210。58-60頁。(原著 Psychedelic Drugs Reconsidered, 1979)

関連項目