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ファミ通

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ファミ通(ファミつう)とはエンターブレインが発行している日本最大の家庭用ゲーム専門雑誌である。映画・DVD情報、TV番組情報、書籍情報等も扱っている。『週刊ファミ通』は毎週金曜日に発売され、他のファミ通シリーズは毎月発売されている。

概要

マスコットキャラクター松下進によってデザインされたキツネのキャラクター・ネッキー。名前は公募により決定した。編集は偶数週と奇数週の2班体制で行なわれ、基本的に奇数週は表紙がグラビアアイドルや俳優、偶数週はネッキーが様々なゲームキャラクターに扮するイラストや模型を掲載する。ちなみに隔週時代はイラストが表紙を飾り、グラビアアイドルが表紙を飾ったのは後述の増刊号だけである。通常は中綴じ、記念号や増刊号は無線綴じとなる。

ファミ通は2007年現在公称50万部を誇り、「キヨスクで唯一販売されている」という事実からも解る通り、ゲーム専門誌の中で圧倒的な影響力を持つ。朝日新聞読売新聞から記事を任されたこともあるほどであり、この成功の要因としては競合他誌と異なる斬新な紙面造りを実践してきたことやオリコンと同様の独自集計体制により、ゲームソフト等の販売ランキングを掲載していることが挙げられる。ただし、文教堂の売り上げランキングで2007年10月29日発表分にて電撃プレイステーションに一度だけ頂点の座を渡している。

しかし、一部の店舗の売り上げから統計的に全体の推定販売数の集計をする方法の為、同様の集計を行っているメディアクリエイトとの間で著しい差分が発生する時がある(家電最大手のヤマダ電機ベスト電器の集計はゲーム取扱い店舗の一部に限られており、コジマケーズデンキは集計に含まれていない。またネットショップ最大手のAmazonも集計に含まれていない)。

沿革

  • 元々はパソコン雑誌『Login(ログイン)』1985年3月号(2月8日発売)で「ファミコン通信」という名でLoginの一コーナーとして誕生したのが始まり(その後Loginの「ファミコン通信」は1986年12月号(11月8日発売)をもって終了した)。
  • 1986年6月6日 - Loginから独立した雑誌『ファミコン通信』として創刊(6月20日号)。創刊号は荒井清和が描くべーしっ君が表紙を飾り、誌面では『グラディウス』の攻略情報で「コナミコマンド」が初掲載される。以降、「ファミ通」の愛称で親しまれる。ちなみにマスコットキャラクターのネッキーが表紙を飾るのは第7号(9月19日号・9月5日発売)からである(名前は第11号(11月14日号・10月31日発売)で決定)。
  • 1987年6月26日 - 創刊1周年記念号(7月10日号)発売。
  • 1988年6月17日 - 創刊2周年記念号(7月1日号)発売。
  • 1989年6月9日 - 創刊3周年記念号(6月23日号)発売。
  • 1990年
  • 1991年
  • 1991年7月12日 - この日発売の第135号(7月26日号)より当時のゲーム誌としては珍しく週刊誌化。その際のキャッチコピーは「ゲーム誌はファミコン通信でウッドボールだね」。決まり→木+鞠→ウッドボールという洒落であるが、あまりの馬鹿馬鹿しさに当時話題になった。以降ゲーム以外の総合情報誌としての側面も強化されていく。
  • 1992年10月2日 - 通巻200号(10月15日号)発売。
  • 1994年9月2日 - 通巻300号(9月16日号)発売。
  • 1995年12月22日 - この日発売の第368号(1996年1月5日12日合併号)より正式名称を「ファミ通」に変更。
  • 1996年
  • 1998年7月3日 - 通巻500号(7月17日号)発売。それを記念して7月25~26日にかけて秋葉原駅電気街口前の駅前広場(現在その敷地の一部は秋葉原ダイビルになっている)で「ゲームサーカス500 in 秋葉原」なるイベントが開催され、計6万5000人もの人が訪れた。
  • 2000年4月1日 - アスキーの分社化により、出版元がエンターブレインとなる。
  • 2004年3月18日 - エンターブレインの持株会社メディアリーヴスが角川ホールディングスの傘下に入る。これにより同じ傘下のメディアワークスと業務が重複することになったが、角川は「『ファミ通』、『電撃』の両ブランドは当面の間継続する」とのコメントを出している。
  • 2006年
    • 6月2日 - 創刊20周年記念号(6月16日号)発売。この号より5号連続で20周年記念スペシャルを掲載。また、7月2日には「ファミ通20周年記念イベント」がエンターブレイン本社2階のイベントスペースで開催された。
    • 11月12日 - 通巻832(ファミツー)号記念増刊号(11月26日増刊号)発売。DVDが付録。誌面では江口寿史の漫画が掲載。
  • 2008年
    • 1月25日 - 通巻999号(2月8・15日合併号)発売。1000号を記念して、表紙特集を連続的に行う。1回目では999にちなみ松本零士が描いた銀河鉄道999が表紙を飾り、インタビューも掲載。
    • 2月1日 - 通巻1000号(2月15日増刊号)発売。表紙特集では松下進が作成した熊手が表紙を飾り、インタビューも掲載。
    • 2月8日 - 通巻1001号(2月22・29日合併号)発売。表紙特集では野村哲也がネッキーに加え野村の手掛けるキャラクター6人を描いた。インタビューも掲載。

クロスレビュー

概要

4人の編集者がレビュアーとしてゲームソフトをプレイし、レビュアーそれぞれが10点満点、計40点満点で採点するシステム。『ファミコン通信』1986年10月31日号より開始された。

合計点数が高いソフトは「殿堂入り」とされ、マークが付けられる。更に点数によって「シルバー」(30 - 31点)「ゴールド」(32 - 34点)「プラチナ」(35点以上)とランク付けがなされる[1]。ファミ通がこのレビュー形式を導入すると、他の家庭用ゲーム雑誌もこぞって模倣したコーナーを設けるようになった。このレビュー形式はファミ通が支持を受ける理由のひとつになっている。このクロスレビューで高得点を獲得したソフトは、「ファミ通殿堂入り」を謳って、店頭パッケージなどでアピールステッカーを貼られている事が多い。

このクロスレビューによって脚光を得た名作は多い。代表例として『バイオハザード』が挙げられる。この作品は今でこそ非常に有名なタイトルであるが、初代の発売当時は全くの無名であった。にもかかわらずクロスレビューで38点という高得点を獲得し、注目された。また他にも『マリーのアトリエ』や低価格帯ソフトの一部など「無名のメーカーによる名作」がクロスレビューで高得点を獲得したケースは多い。一方で、『デスクリムゾン』のように、そのレビューの極端な酷評が話題になることもある。

開始後しばらくの間はレビュアーのそのジャンルの得手不得手によって、評価が大きく割れる事があったが殿堂システムが誕生してからはレビュアーの評価が画一的となり割れる事が少なくなっている。

信頼性

少人数による短期間のプレイでの評価のため、評価の信頼性について疑問視する声も多い。『ポケットモンスター』『アイドルマスター』などクロスレビューでは酷評されていた作品がヒットし、後に別特集を組まれるソフトも存在する。

ゼルダの伝説 時のオカリナ』が初めて40点満点を獲得した際、それまでの同レビューと比べて異常に甘い採点と疑問視する指摘がGame Walkerに掲載された。ただし、時のオカリナに関しては、その後国内外で数々の賞を獲得しており、このゲームに関してのファミ通の採点が甘いというGame Walkerの指摘にはやや信頼性に欠ける部分があるが[2]、これを機に40点満点のゲームが増えていったことは事実である。また、伊集院光は自身のラジオ番組で、40点満点を獲得した『ファイナルファンタジーXII』について「いくらなんでも、『ほぼ全ての人間が納得出来る』という意味を持っているはずの40点"満点"は(この作品の評価としては)高すぎる」といった意見を述べている[3]

2007年末期以降は点数の上にレビュー対象のゲームソフトの購入ターゲット層や平均プレイ時間をまとめたメーカーアンケートを記載している。返答に関しては各メーカーによって委ねられており、特殊な例として任天堂のように「ターゲット層」に関しては、例えばCERO審査が全年齢対象“ではない”ゲームに関しても、「どなたでも楽しめます」としか回答していない。「平均プレイ時間」も「プレイ方法によって異なります」とだけ書いており、明確な時間を答えていないメーカーも存在する。

以下のように間違った指摘が過去に数点ある。レビューの誤報に関しては「レビュアー個人の意見」としており、公式には謝罪を行っていない。

  • あやかしびと -幻妖異聞録-』のレビューにて、レビュアーの一人が「選択肢が少ない」という点を根拠に4点という低い評価を下したが、文中で例示された『「どの女の子と一緒に戦うか」という選択肢』が、ゲーム中には存在しないことをメーカーホームページで指摘された。詳細はpropellerオフィシャルホームページ[3]の06年08月25日の日記を参照。
  • パワーストーン ポータブル』のレビューにおいて、レビュアーの一人がゲームシェアリングができる点を評価したが、実際には人数分のソフトが必要となる。
  • Gears of War』のレビューにて、評価の中で日本語音声のみが入っていると記載したが、実際はダッシュボードで英語に変更するとゲーム自体も英語音声と英文にできるハイブリッド仕様であった。

また、以下のようにバグが存在するゲームのレビューにおいて、バグについて言及しなかった点も指摘されている。但しこの問題点については、レビューに使っているソフトが店に並ぶ製品版ではなく、レビュー用のデバッグ未完了のソフトを使う場合があるため、言及はできない。(レビュー用ソフト提出期限までにメーカーのデバッグ作業が間に合わないことがあり、「製品版ではないのだからバグが存在しても致し方ない」という考えがレビュアーにはあるからである)

  • カルドセプト サーガ』に34点のゴールド殿堂がつけられたが、発売後に致命的なバグが多数発見され、回収とアップデート版が発売された。
  • ウイニングイレブン2008』にはプラチナ殿堂がつけられたが深刻なバグ問題が発生した。
  • 『海腹川背Portable』では致命的なバグの事を触れずに全員が6点をつけている。

クロスレビュー満点獲得作品

2008年6月現在、40点満点を獲得したソフトは以下の8作品のみである。

トリビア

  • 第7号から幾多のコスプレを披露し、ファミ通の表紙を毎週のように飾っているおなじみのマスコット「ネッキー」は創刊当時に「ファミコン」という言葉そのものが新しかったこともあり、イラスト担当の松下進が「ファミ『コン』ならキツネのキャラクターだ」ということでキツネのマスコットキャラクターとなったと語っている。なお、ネッキーという名前は読者が付けたもの。
  • 『ファミ通』という略称は、創刊号の時点で既に付けられていた。また、クロスレビューの原型となるコーナーやPC98やFMX-1、MSXと言ったパソコンゲームの紹介も行われており、ログインとの関係が保たれていた。また、最初に掲載されているニュースはファミコンの海外版(Nintendo Entertainment System)発売の第一報で写真入りで紹介された。
  • 最初に紹介したゲームは、ディスクシステム発売記念RPGとして製作された『ゼルダの伝説』であった。
  • 記念すべき第一回目の売り上げランキングで、1位を獲得したのは『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』で、前年に爆発的なヒットを記録した『スーパーマリオブラザーズ』はディスクライター分も含めて2位だった。
  • 創刊号の表紙は上記の通りべーしっ君だが、裏表紙は『スーパーマリオブラザーズ2』の広告であった。
  • パロディを用いることが多い。かつては業界の噂話の特集で、『噂の眞相』の誌面構成をパロディにしていた。
  • 半熟英雄』シリーズに登場する「ウッドボール」は、公認の本誌ネタである。外見は木の鞠になった爆弾で、自爆する。

問題点

誤植が見られる事がある。例として、ゲームの発売年「2006年」を「2600年」、「クロスレビュー」を「クレロスビュー」、「巻頭特集」を「巻特頭集」と表記し、後日発売される誌上やホームページでの謝罪を繰り返している。[7]
  • 攻略特集記事の内容を2ちゃんねるの攻略スレッド、有志の攻略wikiから転載した。記事の誤字の使い方までwikiと同一であった事により発覚した。攻略本においても同様の転載を行っている。


歴代編集長

関連人物

脚注

  1. ^ レビュー開始しばらくは、「32点以上で殿堂入り」という分岐方法のみであった。
  2. ^ 同作品はEDGEの読者や業界関係者の投票による歴代TVゲーム人気ランキングでは堂々の1位であり[1]、他にも「IGN」の識者による2006年度のゲームランクでも数々の名作を抑えて1位を獲得している[2]ほど評価の高い作品である。
  3. ^ 伊集院光 深夜の馬鹿力にて
  4. ^ 800MSは税込1260円ではなく税込1200円。[www.famitsu.com/game /news/1215569_1124.html 元記事]/1215569_1124.html 魚拓
  5. ^ (削除されたマジコンの紹介ページ)(魚拓)
  6. ^ 週刊ファミ通2月1日増刊号に関する訂正のお知らせ」 - ファミ通.com、2008年1月18日
  7. ^ 荒井清和の記念漫画でも、最後のページでネタにされていた。

関連項目

外部リンク