異人館
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異人館(いじんかん)とは、幕末・明治時代以降(主として明治時代)の日本において、主に欧米人が住宅として建設した西洋館。従来の日本家屋とは異なる西洋式の住宅に異邦人(異人)が住んだことによる。日本人が住んでいた西洋館も(誤って)異人館と呼ばれることがある。
開国から明治前期まで、外国人の住まいは原則として居留地に限られていた(お雇い外国人は例外だったという)。条約改正との関連で明治32年(1899年)以降、内地雑居が認められ、旧居留地以外の高台などにも建設されるようになった。
特に神戸市の北野町山本通には外国人の住宅が多数残っており、1977年放送のNHK連続テレビ小説『風見鶏』などで広く知られるようになり、その一部が公開され観光名所にもなっている。1980年、北野町山本通は種別「港町」として最初に重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。平成7年に発生した阪神・淡路大震災により異人館の約3割が失われたが、40棟余りが現存し、保存措置が講じられている。「異人館通り」とは山本通の別称である。
- 神戸市ではJR塩屋駅の山手、ジェームス山と呼ばれるエリアにも異人館が約50棟現存している。こちらは昭和初期にイギリス人貿易商アーネスト・ウィリアム・ジェームスにより外国人用住居・別荘として建てられたものが主である。現在も多くの外国人が居住しており、観光地化されていない。
長崎にもグラバー邸など、異人館が残っている。このほか鹿児島などにも異人館(外国人技師の住まい)は残っているが、群として多く残っているのは神戸、長崎である。
- 横浜は関東大震災で大きな被害を受け、震災以前の建物はほとんど残っていない。現在観光コースになっている山手本通り沿いは数棟の西洋館があるが、山下公園前の外国商館であった旧イギリス7番館(1922年)を除いて、関東大震災以降に建築されたものか、他所から移築されたものである。
- 函館では1907年(明治40年)の大火があり、大火後に建設された外国関係のものはイギリス・ロシアの領事館程度である。
横浜、函館では異人館という呼び方は一般的でないようである。
主な異人館
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c6/Kagoshima_Ijinkan.jpg/320px-Kagoshima_Ijinkan.jpg)
- 旧グラバー邸 - 文久3年(1863年)築、長崎市、重要文化財
- 旧オルト住宅 - 慶応元年(1865年)築、長崎市、重要文化財
- 旧リンガー住宅 - 明治2年(1869年)築、長崎市、重要文化財
- ムーセ旧居 - 明治5年(1872年)築、朝来市
- 旧居留地十五番館 - 明治13年(1880年)頃築、神戸市、旧アメリカ領事館、重要文化財
- 旧阿仁鉱山外国人官舎-明治15年(1882年)築、北秋田市、重要文化財
- 旧ハンター住宅 - 明治22年(1889年)築、神戸市、重要文化財
- シュウエケ邸 - 明治29年(1896年)築、神戸市
- 旧キャセリン・アンダーセン邸 - 明治32年(1899年)築、神戸市
- 旧ハッサム住宅 - 明治35年(1902年)築、神戸市、重要文化財
- 旧シャープ住宅 - 「萌黄の館」、明治36年(1903年)築、神戸市、重要文化財
- 旧ワサ・ダウン住宅 - 明治38年(1905年)築、高松市・四国村(神戸市から移築)
- 旧トーマス住宅 - 「風見鶏の館」、明治38年(1905年)築、神戸市、重要文化財
- 旧ハリヤー邸 - 「うろこの家」、明治38年(1905年)築、神戸市
- 旧ヘイガー邸 - 「みなと異人館」、明治39年(1906年)築、神戸市
- 旧ブルクマイヤー邸 - 「北野物語館」、明治40年(1907年)築、神戸市
- ダイセル異人館 - 明治42年(1909年)築、姫路市
- 旧グッゲンハイム邸 - 明治45年(1912年)築、神戸市
- 旧ウォーカー住宅 - 明治後期築、長崎市
- 旧ドレウェル邸 - 「ラインの館」、大正4年(1915年)築、神戸市
- 旧鹿児島紡績所技師館 - 慶応2年(1866年)築、鹿児島市、重要文化財