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名阪国道

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高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路
名阪国道
MEIHAN
国道25号標識
名阪国道
国道25号バイパス
路線延長 73.3km
制定年 1962年
開通年 1965年
起点 亀山IC三重県亀山市
主な
経由都市
伊賀市
終点 天理IC奈良県天理市
接続する
主な道路
記法
記事参照
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路
上柘植IC付近
神野口IC - 小倉IC間
天理東IC付近

名阪国道(めいはんこくどう)は、一般国道25号三重県亀山市 - 奈良県天理市間のバイパス道路である。東名阪自動車道西名阪自動車道とを結ぶ高速道路自動車専用道路)であり、名神高速道路新名神高速道路と並んで中京と近畿とを結ぶ幹線道路となっている。全長約73km。

概要

通行料金は無料。自動車専用道路であるため、125cc未満の二輪車は通行禁止となっている。

全区間4車線。福住IC天理東ICの間にΩカーブと呼ばれる急カーブ(最小曲率半径150m、設計速度60km/h)があり、最高速度は全区間60km/h(雨天等の悪天候時は50km/h)に制限されている。また、通常の高速道路よりもインターチェンジの数が多い。

なお、交通量が多くトラックを中心とした事故が多発している。ちなみに、2005年の全国の自動車専用道路10kmあたり事故発生件数ではワースト1となっている[1]

歴史

1962年3月の計画当初から、名阪国道は無料の一般道路として整備される予定であった。このため、1962年5月1日に当時の一級国道25号四日市市 - 大和郡山市間の指定が政令公布された。しかし、その政令が施行された1963年4月の工事着手後の1963年9月に出された第2次道路整備5か年計画の基本構想により、名阪国道が国土開発幹線自動車道近畿自動車道名古屋大阪線の一部として選定された。そのため、自動車専用道路としての機能を果たすために高速自動車国道の規格をとるよう構造の修正が行われた。それまでの経緯から、高速道路に準じる「準高速道路道路構造令第1種第4級・設計速度60km/h)」という扱いとし、建築限界の取り方などについて特例が適用された。有料道路にすることも検討されたが、「準高速道路」扱いであることや、「一般道路として整備する」と住民に説明していたことなどから、開業時から無料で供用することとなった。自動車専用道路であるので案内標識は高速道路と同じで緑色のものとなっている。兵庫県国道2号加古川バイパス1970年3月開通)などでも緑の標識で開通している。

1963年4月の工事着手から1000日間で完成させるという目標が立てられていたことから「千日道路」と呼ばれた。実際、ルートの決定から、用地買収、トンネルや橋の建設なども含めて1000日以内に完成し、1965年昭和40年)12月16日暫定2車線で開通した。

1969年3月21日に西名阪道路(現在の西名阪自動車道)が、1970年4月17日に東名阪道路(現在の東名阪自動車道)が開通し、1977年3月には名阪国道全線の4車線化が完成して現在の形となった。

有料道路とすることの問題点

1964年には工事費の負担の問題から、有料道路に変更して建設することも検討されたが、有料とすると次のような問題点があったため、当初の予定通り、無料の一般道路として建設された。

  1. 準高速道路扱いで特例を適用した構造規格であったが、有料とすると、登坂車線、インターチェンジの加速車線長など、構造規格の再検討が必要となること。
  2. 料金徴収や出入制限のため、三重県内のインターチェンジの数を17ヶ所から3ヶ所程度に制限する必要があり、沿線地区の直接利用も不可能になる。さらに料金所を設置するために1ヶ所当たりの建設費用(通常のICで5,000万円程度)が10倍~20倍(同時期に開通した名神高速道路の例で5億円~11億円)かかること。
  3. トンネル区間を除いた大部分の区間で側道を計画しているが、当初はこれを施工せずに、第2期施工の際に側道を考慮する予定であった。しかし、有料となると側道を同時施工する必要があり、そうなると、第1期施工の切土を第2期施工の盛土として使用することができなくなり、工費及び工期に大きな影響を与えること。
  4. 一般道路として整備すると住民に説明して地元協議を行っていたが、有料となると用地買収が困難になるだけでなく、公共道路として低く設定された用地単価も引き上げる必要があること。実際、有料化問題が公になった以降、用地交渉は停止した。
  5. 建設省の施工から日本道路公団(現在のNEXCO)の施工に変わると、事務引継や工事事務所職員の扱いなどに問題点が生じること。
  6. 以上の問題点を解決するには工期を延長する必要があり、1000日間で完成させるという目標が達成できなくなること。
  7. 当初の計画では、三重県内42kmの暫定2車線供用までの事業費が110億円であったが、有料道路にすると暫定2車線でも160億円程度になると考えられ、これは全巾完成の事業費175億円に匹敵して、事業費を大幅に増額する必要があること。
  8. 当時、国道25号線(現道)の道路改良率はわずか10%であり、名阪国道が有料となれば、当然一級国道として存続する現道を改良しなければならず、相当程度の事業費が必要となること。

インターチェンジなど

  • IC番号欄の背景色がである部分については道路が供用済みの区間を示している。また、施設名欄の背景色がである部分は施設が供用されていない、または完成していないことを示す。未開通区間の名称は仮称。
  • BS(バス停留所)のうち、○/●は運用中、◆は休止中の施設。無印はBSなし。
    • 御代ICは▲としている。これは当該BSはIC近隣に設置された施設でIC設備からも離れており、本自動車道に属すBSではないためである。しかし実際の運用上の扱いは一緒である。
  • (数字)は、他路線の番号。<数字>は、予定番号。
  • 英略字は以下の項目を示す。
    IC:インターチェンジ、JCT:ジャンクション、SA:サービスエリア、PA:パーキングエリア、BS:バスストップ、TN:トンネル、BR:、RS:道の駅
IC
番号
施設名 接続路線名 起点から
の距離
終点から
の距離
BS 備考 所在地
1 亀山IC 東名阪自動車道 名古屋方面
国道1号国道25号
0.0 73.3 東名阪道は
名古屋方面のみ接続
三重県 亀山市
- 関バイパス分岐) 国道1号関バイパス
(国道1号亀山バイパス直結)
(0.5) (72.8) 名古屋方面のみ接続
(34) 伊勢関IC 伊勢自動車道 伊勢方面 1.7 71.6 伊勢方面のみ接続
一般道とは未接続
2 関IC 県道10号津関線 2.8 70.5
3 久我IC 6.1 67.2
TN 関トンネル 長さ1,140m
4 向井IC 8.5 64.8
5 板屋IC 国道25号 10.5 62.8
6 南在家IC 県道668号関大山田線 11.6 61.7
TN 加太トンネル 長さ 500m
伊賀市
7 伊賀IC 国道25号
県道50号伊賀信楽線
16.7 56.6
SA 伊賀SA 16.9 56.4 天理方面は
別名「道の駅いが」
8 上柘植IC 名神名阪連絡道路
県道4号草津伊賀線
18.6 54.7
9 下柘植IC 県道146号伊賀大山田線 21.1 52.3
10 御代IC 県道2号伊賀青山線 22.4 50.9
11 壬生野IC 県道49号甲南阿山伊賀線 23.1 50.2
12 伊賀一之宮IC 県道138号信楽上野線
県道676号寺田佐那具停車場線
26.8 46.5
13 中瀬IC 国道163号 29.2 44.1
14 友生IC 県道56号上野大山田線 31.3 42.0
15 上野東IC 国道422号 32.8 40.5
16 上野IC 国道368号 34.0 39.3
17 大内IC 35.4 37.9
SA 伊賀上野SA/
七本木BS
SAは天理方面のみ
18 白樫IC 県道686号上野島ヶ原線 38.3 35.0
19 治田IC 県道687号治田山出線 40.4 32.9
20/SA 五月橋IC/SA 国道25号 42.3 31.0 SAは亀山方面のみ 奈良県 山添村
BS 五月橋BS
21 山添IC 県道80号奈良名張線 45.0 28.3
22 神野口IC 国道25号
県道214号月瀬三ケ谷線
49.5 23.8
BS 切幡BS
23 小倉IC 国道25号
県道127号北野吐山線
53.6 19.7 奈良市
BS 小倉BS
24/RS 針IC/
道の駅針T・R・S/
針ICBS
国道369号 56.4 16.9
BS 国道針BS
25 一本松IC/
国道一本松BS
国道25号 58.7 14.6
26 福住IC 国道25号
県道192号福住横田線
61.4 11.9 天理市
BS 国道福住BS
SA 高峰SA 奈良市
27 五ヶ谷IC/
国道五ヶ谷BS
67.6 5.7
28 天理東IC/
国道岩屋BS
県道51号天理環状線
県道192号福住横田線
71.2 2.1 天理市
29 天理IC 国道169号 73.3 0.0
西名阪自動車道 香芝松原方面

SA・PA・道の駅

  • 名阪国道のSA・PA・道の駅にはガソリンスタンドがない[2]。しかし、有料道路ではないため一旦国道から下りて一部のIC周辺に設置されているガソリンスタンドを利用する事が比較的容易である。なお、SAで給油する場合は、前後の接続する高速道路(東名阪道御在所SA伊勢道安濃SA西名阪道香芝SA)で給油する必要がある。また、大内IC・伊賀IC・関IC付近には民間のドライブインが設置されている。

通過市町村

車線

  • 全区間で片側2車線の本線を持つ。但し、下記の区間には付加車線(登坂車線)がある[3]
  • 登坂車線下り線(天理方向)
    • 五月橋IC~(山添IC)~(神野口IC)~小倉IC
  • 登坂車線上り線(亀山方向)
    • 天理東IC~五ヶ谷IC
    • 五ヶ谷IC~福住IC
    • 伊賀IC~南在家IC

他の自動車専用道路との違い

構造上の問題

この道路は、過渡期に建設された自動車専用道路であるため、構造上の規格を満たしていない部分が幾つかある。ICの数が多く、またIC間の距離が短い箇所が多い上、加減速レーンはかなり短く、自動車専用道路の規格を満たしていない箇所が多い。また、SA・PAも存在するもののほとんどが一旦国道から降り、再流入するという形式をとっているが、(SA・PAも含めて)流入・流出の際加減速余裕が全くないためドライバーに緊迫した判断を迫る入口が、大阪・名古屋方面共に複数存在する。一例として、上り線にあった高峰SAは、加減速車線が殆ど無いうえ、勾配があるカーブの途中にあることもあって、特に合流時には相当の注意を必要とするなど、本線への流入、流出時に危険が伴うことがあった。なお、国土交通省では、接触や追突事故の多いICについて加減速車線の延伸工事を引き続き行うとしている[1]

ICに料金所が無いため、まれに原付や自転車、歩行者が誤って進入する場合がある(ただし、進入禁止の標識はある)。これは、「この道路は高速道路ではありません」や、「この道路は一般道路です」などの、本来は自動車のみに対して安全運転を喚起する内容で、自動車以外にとっては紛らわしく、誤った表現の表示があるため、利用者にあたかも一般道路であるかのような錯誤を与えていることが一因である。そのため、(道路構造令で規定される「第一種」及び「第二種」規格の道路は)有料か無料かを問わず高速道路であるという認識が必要である。

一方、最低速度の規制がないため小型特殊自動車は通行可能である(最高速度15km/h以下、農耕作業用は35km/h未満)。このため、ごくまれに[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。農耕用トラクターなどが走行していることがある。

交通量における諸問題

現在、最高速度は60km/hに制限されているが、両端に接続する高速道路(東名阪道西名阪道)の最高速度が80km/hであることもあって、殆どの走行車両が80km/h前後の速度で運転しているのが実情である(100km/h近く出す車もある)。その一方で、制限速度を忠実に守って走行している車もおり、急勾配の区間で大型車やトラックが低速で走行していることもあるので、追突事故が多発している。また、一度事故が発生すると後続の渋滞の中で事故が多発することがあり、そのせいもあってか名阪国道は、2005年の全国の自動車専用道路10kmあたり事故発生件数ではワースト1となっている[1]

名古屋-大阪間を走行する場合、名神新名神を利用するより通行料金が安い[4]ほか、大阪市南部へ到達する場合の所要時間も名神経由と同程度[5]であるため、交通量は車種や時間帯を問わず多い。西名阪道への接続点に近い福住IC~天理東IC間には急坂・急カーブ区間(Ωカーブ)であって走行速度は必然的に低下する。このため夜中でも混雑していることが多い。

自動速度違反取締装置が多く設置されている。

また、このような問題を抱える名阪国道はネット上でもその改善策が議論されている[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。一例として、名阪国道の規制速度のあり方について、「区間別速度規制」を導入すべきだと主張している者もいる。これは、福住IC~天理東IC間のΩカーブ区間については現行の60km/hで留めるが、それ以外の線形が良好な区間は70〜80km/hに緩和することで、実勢速度の現状に近くなり、速度遵守する人が増え、かえって交通安全に寄与するのではないかという考えである。交通量が多く車間を詰めるドライバーによる追突事故が多いので車間距離規制を強化すべき、登坂部での過積載大型トラックやトレーラーの急な速度低下による後続車の追突の危険性を減らすための過積載規制を強化すべきといった意見がある。[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。

名阪国道を走行する路線バス[6]があり、これらは比較的低速で運行している。

集中工事による車線規制実施時は激しい渋滞が各所で発生し、大型車両が絡む追突事故も多く発生する[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。

以上のことから、一時期「名阪国道は高速道路ではない!!」と描かれた警告看板をところどころに掲示してドライバーに注意を促していたことがあった。

備考

  • 名阪国道のキロポストは、三重県内が亀山ICからのキロ数であるのに対し、奈良県内は国道25号の起点からのキロ数表示となっている。このため両県の県境(五月橋SAの名古屋側)でキロ数表示が連続していない。
  • 名阪国道の道路標識は、高速道路・自動車専用道路の緑色が使われているが、書体は三重県内が丸ゴシック体(ナール)であるのに対し、奈良県内は旧日本道路公団が開発した独自の角ばった書体(公団文字)を使用している。
  • 上記の通り「ここは一般国道です(自動車専用道路)」と言う看板が数キロメートルごとにある。また「下り坂 エンジンブレーキ」という看板も多く見られる。
  • 冬場降雪時、急勾配区間などではチェーン着用規制が敷かれる事がある(近年では、チェーン規制ではなく即通行止となっている模様[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。)。

脚注

  1. ^ a b c 中日新聞に掲載された新聞広告(2006年12月17日掲載) - 国土交通省中部地方整備局 北勢国道事務所 引用エラー: 無効な <ref> タグ; name "Announcing to public by MLIT 061222"が異なる内容で複数回定義されています
  2. ^ かつては伊賀SA下り線にあったが閉店した。
  3. ^ 開通から20年程度は設置されていなかった。
  4. ^ 名神経由の例:一宮 -(米原経由)- 吹田 4,100円、新名神経由の例:名古屋西 -(甲賀土山経由)- 吹田 3,850円、名阪国道経由の例:名古屋西 - 長原(松原) 2,350円 (いずれも普通車、割引なしの場合)
  5. ^ 規制速度で計算した場合。
  6. ^ 奈良交通天理駅 - 国道山添および三重交通の路線バス(後者は、2005年から一部区間で、旧道を走行するようになった)

関連項目

外部リンク